71 / 113
65話 リュウガvs龍帝
しおりを挟む
運命の宿木にてウェンが、
「今迎えに来るそうです」
「誰が? 誰を?」
何やら念話で会話していると思えば上のようなことを言いだした。それに対してマイが疑問を投げかけるとそれに答えたのはウェンではなくリュウガだった。
「龍帝が俺をだろ?」
「えぇ、彼の事ですから。もう」
着くでしょう。とウェンが言おうとした瞬間にギルド前に雷が落ちる。
「うわぁぁぁぁ!!!!」
「キャーーーー!!!!」
「何だ何だ??!!」
冒険者ではないギルド職員は悲鳴を上げたり驚愕する。冒険者組は警戒する。外から発せられる気配はサブマスターのリュウガよりも龍であるウェンよりも強いからだ。そんな様々な反応をするギルドメンバーたちに、
「それじゃあ行ってくる。勝ちに行くが勝率は2割あれば良い方だからもし俺が死んだらサブマスターはレイに頼む」
そう言ってリュウガはギルドから出ようとする。そんなリュウガにマイやヒカリは何かを言いたいが外にいる龍帝の気配に気圧されて声がうまく出ない。そんなマイたちに、
「それでは私も見届け人として行きます。もし主様が死んだらそのまま脱退しますので手続きはそちらでよろしくお願いします」
ウェンも外に出る。そうして2人が外に出ると、
「こうして直接話すのは初めてだな。練龍牙」
「今はリュウガ・レンだ」
「細けぇな。まぁいいか。分かってるな? 来た理由は」
「分かってる。だが場所は? 俺はここではやりたくない」
2人がこのまま戦えば確実に後ろにいるギルドメンバーは全員死ぬ。例えウェンの結界があったとしても寿命が多少伸びるだけで結果は変わらない。そんな心配をするリュウガに、
「安心しろ。オレ様たちが戦うのに相応しい場所がある」
「どこなんだ?」
「龍神が産まれたとされる土地。龍脈谷」
そう言って龍帝はリュウガとウェンに近づくと2人の手を掴むと、
「善は急げだ」
雷速で飛び立つ。そんなめちゃくちゃな速度であってもリュウガが無事なのはウェンが周囲に結界を張って風圧等から守っているからだ。それでも龍帝が移動の際に流れる電力はもろにリュウガに浴びせられている。これがリュウガではなく他の人間ならば即死である。魔力が高い者ならばその魔力で防御しても黒焦げになり死亡する。リュウガは天性の肉体で無事であるが全くの無傷とはいかず所々焦げているし痺れによる弱体化もしている。そんな中での移動であるが流石は雷速。あっという間に目的地である。龍脈谷にたどり着いた。
「なんつーか雰囲気あるな」
濃い霧に包まれた深い深い谷。何より土地からは力が溢れているのが分かる。
(死の気配で視るとより分かるな。これが龍脈ってやつか? これを殺すとなると相当脳に負担がかかるな)
なんて感想を抱く。リュウガや龍鬼は生物だけでなく現象にさえ死の気配を視てそれを壊して死を与える事が出来る。だが生物よりも視るのは難しく壊すとなるとより難しく脳に負担がかかり下手をすると死ぬのだ。そんな力を身につけたリュウガは改めて龍帝を視る。圧倒的な死の気配を感じる。
(下手に動けばあっという間に殺されるな)
出方を伺うか。色々と思考を張り巡らせる。
「それではお二人とも死力を尽くして下さい」
見届け人のウェンは自分に結界を張り2人から離れる。それを見届けると、
「先手は譲ってやる」
「お言葉に甘え・・・・てっ!!」
初手から全力の神凪を放つ。首を狙った一撃。それは龍皇クラスであってもただでは済まない一撃であったが、
「悪くはないがオレ様には届かない」
全く斬れない。しかも、
(あざもつかねぇとか終わってんだろ!!)
全力の一撃の結果があざもつかないという事態にキレる。そんなリュウガに雷撃が襲う。
「ガアァァ!!!!」
「オレ様に触れてるんだからそうなるわな」
そう言って思いっきり膝をついてるリュウガの事を殴り飛ばす。岩壁にぶつかり崩れた岩がリュウガを襲い駄目押しの雷撃もリュウガが襲う。
「流石に死なねぇだろ。頼むぜ。ウォーミングアップで死ぬのだけは」
そう言ってリュウガ目掛けて突っ込む龍帝に岩から出てきたリュウガはカウンターを仕掛ける。それに対して龍帝は真っ向から立ち向かう。ガキン! という音が鳴り響きリュウガの刀は龍帝の顔面を狙った一撃は無傷に終わってしまう。逆にリュウガには龍帝の蹴りが腹にもろに喰らい再び吹っ飛ぶ。
「上手いな。殴り飛ばされた時と違って今度は後方に飛んで威力を流そうとしたようだが無駄だ。その後方に飛ぼうとする力も利用すれば威力が上がる。自分で自分の首からを絞めただけだな」
そう言って天に向かって右手を掲げる。
『豪雷招雷』
無数の雷降り注ぐ。
「クッソ!」
死の気配が見えるところから急いで避難する。無数に降り注ぐとはいえ落ちる場所さえ分かれば問題はない。しかし、
「動きを制限するために使ったんだよこの技は」
一瞬でリュウガの前に迫り顔面に拳を撃ち込む龍帝に対してギリギリで応戦するが、
「いいのか? オレ様だけに構っててよ」
降り注ぐ雷がリュウガを龍帝共々襲う。
「がァァァァァァァ!!!!!!」
リュウガはボロボロであるが雷を司り雷そのものになれる龍帝は自分の技だろうと自然発生の雷だろうと雷ならば無効化出来るためノーダメージだ。それを利用して雷に打たれながらもリュウガを殴り飛ばす。おまけにまだ雷は降り注いでおりリュウガを襲う。煙が晴れて現れたのは黒焦げで衣服もボロボロになっているリュウガであった。そんなリュウガであっても龍帝は追撃を止めない。そんな龍帝の攻撃を『虚無』を発動して防ぐが龍帝の殴る、蹴るといった攻撃は防げるのだが追加攻撃の雷撃は防げない。雷撃も防ぐとなると死の気配を視て殺さないといけない。しかし、龍帝から目をはなす訳にはいかない。結果として雷撃によるダメージがどんどん蓄積していく。そんなリュウガは雷により痺れて動きがどんどん鈍くなる。ただでさえ龍帝の動きはリュウガが無理をしてようやく捌けているのだ。そんなリュウガの動きが鈍ったとなれば、
「限界だな」
その言葉と共に龍帝の一撃がリュウガの腹を貫こうとした瞬間、それはトドメの一撃であり今日一の威力と速度を持っていたがそれゆえに攻撃の軌道は読みやすくカウンターの格好の餌食となる・・・・はずだった。
「惜しかったな」
直前で腕を引き戻しその反動による蹴りをリュウガに叩き込んだ。
「がっは!!」
吹き飛んだリュウガが岩壁にぶつかる前に龍帝はリュウガに追いつき地面に叩きつける。
「動きは悪くない。名持ちの龍とも渡り合う実力はある。だが足りないな。オレ様は他の龍と違って人型であっても龍の姿と変わらない出力で戦う事が出来るんだよ。だからお前が今まで戦った連中よりも圧倒的に実力差があるんだよ」
そう言って頭を掴まれたリュウガは勢い良く投げ飛ばされる。そこへ、
『龍雷撃』
雷を模した龍がリュウガを襲い。岩壁を消し飛ばす。それでも、
「防いだか。死にかけなのに良くやる」
「はぁー、はぁー」
死の気配さえ視てそれを壊せば死を与える力により雷撃を殺すことで生き延びる。
「それだけボロボロなのにも関わらずにそれだけの技量を見せたお前に敬意を表して全力で殺してやる」
そう言って龍帝は、
『モード・雷神龍』
覇龍を殺した時に使った姿。雷そのものであり神の領域に踏み込んだ姿だ。
「一撃くらいは凌いでくれよ」
バチンという音共に龍帝は姿を消す。それでもリュウガは反応して背後に回った龍帝に斬りかかる。しかし、死の気配を視ることは出来ず普通の斬撃となり雷となった龍帝には効かずに攻撃を腹に喰らい風穴が空く。
「ぶはぁ!!」
ボタボタと血が流れる。意識が飛びそうになるリュウガに、
「雷である以上オレ様が移動する際には電荷誘導が走る。それでオレ様の出現位置を予測しての反撃とは中々の対応力だ」
心の底からリュウガを褒める。それだけに、
「残念だ。お前の敗因はスロースターターである事だ」
2代目当主である練龍鬼も言っていた弱点を龍帝にも指摘される。それでも普通の人間よりは強いし龍帝ここまで戦えるなら充分過ぎる。そんなリュウガに、
「まだ息があるな。このままトドメを刺してもいいがそれじゃつまんねぇ。最期にあの技を使って華々しく散れ」
龍帝が言う技とは『死閃』の事である。
「あの技が唯一オレ様と対等になれる技だ。死ぬ前に使って死ねよ。オレ様としても全力のお前の技を叩き潰した上で殺したいんだからよ」
そう言って距離を取る。
「だいたいこれくらいか? あの技が最大威力と速度を発揮する距離は?」
確認を取るが返事がない。
「立てよ。立てってオレ様を殺してみろよ!!!!」
龍帝の怒りに反応するように周囲に雷が落ちる。それに対して、
(やはり無茶なんですよ。龍帝に挑むなんていうのは)
ウェンが心配そうにしていた。龍神である練龍鬼に止められているためこの戦いに入り込めない。仮に入り込んでも太刀打ち出来ないがそれでも主人であるリュウガを守る事は出来る。しかし、それすら許されない。そんな自分に対して悔しさを滲ませていると、
「少しくらい待てよ、こちとら腹に穴が空いてんだからよ」
ふらふらになりながらもリュウガは立つ。その目はまだ死んでいなかった。まだ勝つ気でいる。
「お望み通り使ってやるよ。練家最強の技を!」
刀を地面に這わせるような独特な抜刀術の構えを取る。そして深呼吸をして覚悟を決めて、全神経を龍帝を殺す事だけに集中させる。そんなリュウガに満足そうに笑い、
「それで良い! そんなお前を殺してオレ様が龍神になる!!(全魔力を右手に集中させる!!)」
龍帝の右手が刀へと変化する。
「雷刀・天裂」
雷のような形状をした刀となった右手の鞘代わりに左手を添える。龍帝の最強の技にして覇龍を両断した一撃『豪来一閃』の構えだ。
「さぁ、決着をつけるぞ」
勝つのはリュウガか龍帝か。決着は一瞬であった。
「今迎えに来るそうです」
「誰が? 誰を?」
何やら念話で会話していると思えば上のようなことを言いだした。それに対してマイが疑問を投げかけるとそれに答えたのはウェンではなくリュウガだった。
「龍帝が俺をだろ?」
「えぇ、彼の事ですから。もう」
着くでしょう。とウェンが言おうとした瞬間にギルド前に雷が落ちる。
「うわぁぁぁぁ!!!!」
「キャーーーー!!!!」
「何だ何だ??!!」
冒険者ではないギルド職員は悲鳴を上げたり驚愕する。冒険者組は警戒する。外から発せられる気配はサブマスターのリュウガよりも龍であるウェンよりも強いからだ。そんな様々な反応をするギルドメンバーたちに、
「それじゃあ行ってくる。勝ちに行くが勝率は2割あれば良い方だからもし俺が死んだらサブマスターはレイに頼む」
そう言ってリュウガはギルドから出ようとする。そんなリュウガにマイやヒカリは何かを言いたいが外にいる龍帝の気配に気圧されて声がうまく出ない。そんなマイたちに、
「それでは私も見届け人として行きます。もし主様が死んだらそのまま脱退しますので手続きはそちらでよろしくお願いします」
ウェンも外に出る。そうして2人が外に出ると、
「こうして直接話すのは初めてだな。練龍牙」
「今はリュウガ・レンだ」
「細けぇな。まぁいいか。分かってるな? 来た理由は」
「分かってる。だが場所は? 俺はここではやりたくない」
2人がこのまま戦えば確実に後ろにいるギルドメンバーは全員死ぬ。例えウェンの結界があったとしても寿命が多少伸びるだけで結果は変わらない。そんな心配をするリュウガに、
「安心しろ。オレ様たちが戦うのに相応しい場所がある」
「どこなんだ?」
「龍神が産まれたとされる土地。龍脈谷」
そう言って龍帝はリュウガとウェンに近づくと2人の手を掴むと、
「善は急げだ」
雷速で飛び立つ。そんなめちゃくちゃな速度であってもリュウガが無事なのはウェンが周囲に結界を張って風圧等から守っているからだ。それでも龍帝が移動の際に流れる電力はもろにリュウガに浴びせられている。これがリュウガではなく他の人間ならば即死である。魔力が高い者ならばその魔力で防御しても黒焦げになり死亡する。リュウガは天性の肉体で無事であるが全くの無傷とはいかず所々焦げているし痺れによる弱体化もしている。そんな中での移動であるが流石は雷速。あっという間に目的地である。龍脈谷にたどり着いた。
「なんつーか雰囲気あるな」
濃い霧に包まれた深い深い谷。何より土地からは力が溢れているのが分かる。
(死の気配で視るとより分かるな。これが龍脈ってやつか? これを殺すとなると相当脳に負担がかかるな)
なんて感想を抱く。リュウガや龍鬼は生物だけでなく現象にさえ死の気配を視てそれを壊して死を与える事が出来る。だが生物よりも視るのは難しく壊すとなるとより難しく脳に負担がかかり下手をすると死ぬのだ。そんな力を身につけたリュウガは改めて龍帝を視る。圧倒的な死の気配を感じる。
(下手に動けばあっという間に殺されるな)
出方を伺うか。色々と思考を張り巡らせる。
「それではお二人とも死力を尽くして下さい」
見届け人のウェンは自分に結界を張り2人から離れる。それを見届けると、
「先手は譲ってやる」
「お言葉に甘え・・・・てっ!!」
初手から全力の神凪を放つ。首を狙った一撃。それは龍皇クラスであってもただでは済まない一撃であったが、
「悪くはないがオレ様には届かない」
全く斬れない。しかも、
(あざもつかねぇとか終わってんだろ!!)
全力の一撃の結果があざもつかないという事態にキレる。そんなリュウガに雷撃が襲う。
「ガアァァ!!!!」
「オレ様に触れてるんだからそうなるわな」
そう言って思いっきり膝をついてるリュウガの事を殴り飛ばす。岩壁にぶつかり崩れた岩がリュウガを襲い駄目押しの雷撃もリュウガが襲う。
「流石に死なねぇだろ。頼むぜ。ウォーミングアップで死ぬのだけは」
そう言ってリュウガ目掛けて突っ込む龍帝に岩から出てきたリュウガはカウンターを仕掛ける。それに対して龍帝は真っ向から立ち向かう。ガキン! という音が鳴り響きリュウガの刀は龍帝の顔面を狙った一撃は無傷に終わってしまう。逆にリュウガには龍帝の蹴りが腹にもろに喰らい再び吹っ飛ぶ。
「上手いな。殴り飛ばされた時と違って今度は後方に飛んで威力を流そうとしたようだが無駄だ。その後方に飛ぼうとする力も利用すれば威力が上がる。自分で自分の首からを絞めただけだな」
そう言って天に向かって右手を掲げる。
『豪雷招雷』
無数の雷降り注ぐ。
「クッソ!」
死の気配が見えるところから急いで避難する。無数に降り注ぐとはいえ落ちる場所さえ分かれば問題はない。しかし、
「動きを制限するために使ったんだよこの技は」
一瞬でリュウガの前に迫り顔面に拳を撃ち込む龍帝に対してギリギリで応戦するが、
「いいのか? オレ様だけに構っててよ」
降り注ぐ雷がリュウガを龍帝共々襲う。
「がァァァァァァァ!!!!!!」
リュウガはボロボロであるが雷を司り雷そのものになれる龍帝は自分の技だろうと自然発生の雷だろうと雷ならば無効化出来るためノーダメージだ。それを利用して雷に打たれながらもリュウガを殴り飛ばす。おまけにまだ雷は降り注いでおりリュウガを襲う。煙が晴れて現れたのは黒焦げで衣服もボロボロになっているリュウガであった。そんなリュウガであっても龍帝は追撃を止めない。そんな龍帝の攻撃を『虚無』を発動して防ぐが龍帝の殴る、蹴るといった攻撃は防げるのだが追加攻撃の雷撃は防げない。雷撃も防ぐとなると死の気配を視て殺さないといけない。しかし、龍帝から目をはなす訳にはいかない。結果として雷撃によるダメージがどんどん蓄積していく。そんなリュウガは雷により痺れて動きがどんどん鈍くなる。ただでさえ龍帝の動きはリュウガが無理をしてようやく捌けているのだ。そんなリュウガの動きが鈍ったとなれば、
「限界だな」
その言葉と共に龍帝の一撃がリュウガの腹を貫こうとした瞬間、それはトドメの一撃であり今日一の威力と速度を持っていたがそれゆえに攻撃の軌道は読みやすくカウンターの格好の餌食となる・・・・はずだった。
「惜しかったな」
直前で腕を引き戻しその反動による蹴りをリュウガに叩き込んだ。
「がっは!!」
吹き飛んだリュウガが岩壁にぶつかる前に龍帝はリュウガに追いつき地面に叩きつける。
「動きは悪くない。名持ちの龍とも渡り合う実力はある。だが足りないな。オレ様は他の龍と違って人型であっても龍の姿と変わらない出力で戦う事が出来るんだよ。だからお前が今まで戦った連中よりも圧倒的に実力差があるんだよ」
そう言って頭を掴まれたリュウガは勢い良く投げ飛ばされる。そこへ、
『龍雷撃』
雷を模した龍がリュウガを襲い。岩壁を消し飛ばす。それでも、
「防いだか。死にかけなのに良くやる」
「はぁー、はぁー」
死の気配さえ視てそれを壊せば死を与える力により雷撃を殺すことで生き延びる。
「それだけボロボロなのにも関わらずにそれだけの技量を見せたお前に敬意を表して全力で殺してやる」
そう言って龍帝は、
『モード・雷神龍』
覇龍を殺した時に使った姿。雷そのものであり神の領域に踏み込んだ姿だ。
「一撃くらいは凌いでくれよ」
バチンという音共に龍帝は姿を消す。それでもリュウガは反応して背後に回った龍帝に斬りかかる。しかし、死の気配を視ることは出来ず普通の斬撃となり雷となった龍帝には効かずに攻撃を腹に喰らい風穴が空く。
「ぶはぁ!!」
ボタボタと血が流れる。意識が飛びそうになるリュウガに、
「雷である以上オレ様が移動する際には電荷誘導が走る。それでオレ様の出現位置を予測しての反撃とは中々の対応力だ」
心の底からリュウガを褒める。それだけに、
「残念だ。お前の敗因はスロースターターである事だ」
2代目当主である練龍鬼も言っていた弱点を龍帝にも指摘される。それでも普通の人間よりは強いし龍帝ここまで戦えるなら充分過ぎる。そんなリュウガに、
「まだ息があるな。このままトドメを刺してもいいがそれじゃつまんねぇ。最期にあの技を使って華々しく散れ」
龍帝が言う技とは『死閃』の事である。
「あの技が唯一オレ様と対等になれる技だ。死ぬ前に使って死ねよ。オレ様としても全力のお前の技を叩き潰した上で殺したいんだからよ」
そう言って距離を取る。
「だいたいこれくらいか? あの技が最大威力と速度を発揮する距離は?」
確認を取るが返事がない。
「立てよ。立てってオレ様を殺してみろよ!!!!」
龍帝の怒りに反応するように周囲に雷が落ちる。それに対して、
(やはり無茶なんですよ。龍帝に挑むなんていうのは)
ウェンが心配そうにしていた。龍神である練龍鬼に止められているためこの戦いに入り込めない。仮に入り込んでも太刀打ち出来ないがそれでも主人であるリュウガを守る事は出来る。しかし、それすら許されない。そんな自分に対して悔しさを滲ませていると、
「少しくらい待てよ、こちとら腹に穴が空いてんだからよ」
ふらふらになりながらもリュウガは立つ。その目はまだ死んでいなかった。まだ勝つ気でいる。
「お望み通り使ってやるよ。練家最強の技を!」
刀を地面に這わせるような独特な抜刀術の構えを取る。そして深呼吸をして覚悟を決めて、全神経を龍帝を殺す事だけに集中させる。そんなリュウガに満足そうに笑い、
「それで良い! そんなお前を殺してオレ様が龍神になる!!(全魔力を右手に集中させる!!)」
龍帝の右手が刀へと変化する。
「雷刀・天裂」
雷のような形状をした刀となった右手の鞘代わりに左手を添える。龍帝の最強の技にして覇龍を両断した一撃『豪来一閃』の構えだ。
「さぁ、決着をつけるぞ」
勝つのはリュウガか龍帝か。決着は一瞬であった。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
最底辺の落ちこぼれ、実は彼がハイスペックであることを知っている元幼馴染のヤンデレ義妹が入学してきたせいで真の実力が発覚してしまう!
電脳ピエロ
恋愛
時野 玲二はとある事情から真の実力を隠しており、常に退学ギリギリの成績をとっていたことから最底辺の落ちこぼれとバカにされていた。
しかし玲二が2年生になった頃、時を同じくして義理の妹になった人気モデルの神堂 朱音が入学してきたことにより、彼の実力隠しは終わりを迎えようとしていた。
「わたしは大好きなお義兄様の真の実力を、全校生徒に知らしめたいんです♡ そして、全校生徒から羨望の眼差しを向けられているお兄様をわたしだけのものにすることに興奮するんです……あぁんっ♡ お義兄様ぁ♡」
朱音は玲二が実力隠しを始めるよりも前、幼少期からの幼馴染だった。
そして義理の兄妹として再開した現在、玲二に対して変質的な愛情を抱くヤンデレなブラコン義妹に変貌していた朱音は、あの手この手を使って彼の真の実力を発覚させようとしてくる!
――俺はもう、人に期待されるのはごめんなんだ。
そんな玲二の願いは叶うことなく、ヤンデレ義妹の暴走によって彼がハイスペックであるという噂は徐々に学校中へと広まっていく。
やがて玲二の真の実力に危機感を覚えた生徒会までもが動き始めてしまい……。
義兄の実力を全校生徒に知らしめたい、ブラコンにしてヤンデレの人気モデル VS 真の実力を絶対に隠し通したい、実は最強な最底辺の陰キャぼっち。
二人の心理戦は、やがて学校全体を巻き込むほどの大きな戦いへと発展していく。
ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
【完結】婚約破棄されて修道院へ送られたので、今後は自分のために頑張ります!
猫石
ファンタジー
「ミズリーシャ・ザナスリー。 公爵の家門を盾に他者を蹂躙し、悪逆非道を尽くしたお前の所業! 決して許してはおけない! よって我がの名の元にお前にはここで婚約破棄を言い渡す! 今後は修道女としてその身を神を捧げ、生涯後悔しながら生きていくがいい!」
無実の罪を着せられた私は、その瞬間に前世の記憶を取り戻した。
色々と足りない王太子殿下と婚約破棄でき、その後の自由も確約されると踏んだ私は、意気揚々と王都のはずれにある小さな修道院へ向かったのだった。
注意⚠️このお話には、妊娠出産、新生児育児のお話がバリバリ出てきます。(訳ありもあります)お嫌いな方は自衛をお願いします!
2023/10/12 作者の気持ち的に、断罪部分を最後の番外にしました。
2023/10/31第16回ファンタジー小説大賞奨励賞頂きました。応援・投票ありがとうございました!
☆このお話は完全フィクションです、創作です、妄想の作り話です。現実世界と混同せず、あぁ、ファンタジーだもんな、と、念頭に置いてお読みください。
☆作者の趣味嗜好作品です。イラッとしたり、ムカッとしたりした時には、そっと別の素敵な作家さんの作品を検索してお読みください。(自己防衛大事!)
☆誤字脱字、誤変換が多いのは、作者のせいです。頑張って音読してチェックして!頑張ってますが、ごめんなさい、許してください。
★小説家になろう様でも公開しています。
僻地に追放されたうつけ領主、鑑定スキルで最強武将と共に超大国を創る
瀬戸夏樹
ファンタジー
時は乱世。
ユーベル大公国領主フリードには4人の息子がいた。
長男アルベルトは武勇に優れ、次男イアンは学識豊か、3男ルドルフは才覚持ち。
4男ノアのみ何の取り柄もなく奇矯な行動ばかり起こす「うつけ」として名が通っていた。
3人の優秀な息子達はそれぞれその評判に見合う当たりギフトを授かるが、ノアはギフト判定においてもハズレギフト【鑑定士】を授かってしまう。
「このうつけが!」
そう言ってノアに失望した大公は、ノアを僻地へと追放する。
しかし、人々は知らない。
ノアがうつけではなく王の器であることを。
ノアには自身の戦闘能力は無くとも、鑑定スキルによって他者の才を見出し活かす力があったのである。
ノアは女騎士オフィーリアをはじめ、大公領で埋もれていた才や僻地に眠る才を掘り起こし富国強兵の道を歩む。
有能な武将達を率いる彼は、やがて大陸を席巻する超大国を創り出す。
なろう、カクヨムにも掲載中。
保健室の先生に召使にされた僕はお悩み解決を通して学校中の女子たちと仲良くなっていた
結城 刹那
恋愛
最上 文也(もがみ ふみや)は睡眠に難を抱えていた。
高校の入学式。文也は眠気に勝てず保健室で休むことになる。
保健室に来たが誰もいなかったため、無断でベッドを使わせてもらった。寝転がっている最中、保健室の先生である四宮 悠(しのみや ゆう)がやって来た。彼女は誰もいないと分かると人知れずエロゲを始めたのだった。
文也は美女である四宮先生の秘密を知った。本来なら秘密を知って卑猥なことをする展開だが、それが仇となって彼女の召使にされることとなる。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
クズな少年は新しい世界で元魔獣の美少女たちを従えて、聖者と呼ばれるようになる。
くろねこ教授
ファンタジー
翔馬に言わせるとこうなる。
「ぼくは引きこもりじゃないよ
だって週に一回コンビニに出かけてる
自分で決めたんだ。火曜の深夜コンビニに行くって。
スケジュールを決めて、実行するってスゴイ事だと思わない?
まさに偉業だよね」
さて彼の物語はどんな物語になるのか。
男の願望 多めでお送りします。
イラスト:イラスト:illustACより沢音千尋様の画を利用させて戴きました
『なろう』様で12万PV、『カクヨム』様で4万PV獲得した作品です。
『アルファポリス』様に向けて、多少アレンジして転載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる