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62話 vs世界魚
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「サブマスターとウェンさんにお手紙が来てます」
そう言って受付嬢からリュウガは手紙を受け取る。
「俺とウェン宛か。相当面倒な案件だろうな」
そう言って中身を確認すると、
「海底神殿へ来い。来なければガルド王国を水没させる」
と言った内容であった。
「何だこれ? 嫌がらせか?」
そう言って手紙をウェンに見せる。
「おそらくですが。世界魚ですね」
ウェンは手紙を受け取るとそこに染み付いてる魔力から送り主が世界魚と判断する。覇龍と同格とされるバケモノだ。そんな相手からのお誘いである。
「これ行かなかったらガチで水没するのか? この国が」
「海を操るという一点においてはこの世界最強ですから余裕です」
その言葉にため息をついて、
「行くしかないのか」
と覚悟を決める。そんなリュウガに、
「海底神殿に行くの? あたしも良い?」
アズサも行きたいと言い出した。
「観光じゃねぇぞ。それでもか?」
「そっちとは別行動でいいよ。海底神殿って王族や貴族とかの特権階級しか行けないんだよね~」
「だったら別行動だと入れないだろ。こっちは招待されてるから問題ないがお前は招待されてないんだし」
「問題ないよ。気配遮断マントがあるから2人にこっそりついていくよ」
そう言って以前にアストラに潜入した時に使ったマントを取り出したが、
「無駄ですよ。海底神殿は世界魚の腹の中みたいなものですからね。侵入者は速攻で見つかり殺されてしまいますよ」
ウェンからの言葉に、
「そっか~。無理か~。海底神殿特有の錬金技術が見れると思ったのにな~」
がっかりするアズサに、
「だったら正規ルートで行けばいいじゃない」
ルイが話に割って入る。
「それが出来れば苦労は・・・・あぁ、そっかお前って」
「そうよ。四大貴族のあたしの付き添いとしてならアズサも問題なく入国出来るのよ」
胸を張るルイに、
「やった~!! ルイ大好き~!!」
アズサは抱きつく。
「んじゃまぁ行くか。海底神殿」
こうして4人は海底神殿へと向かうのであった。
海底神殿はダイダラ海域の中心にある。海底の名前の通り海の中にあるが神殿にさえ入ってしまえばそこは結界で包まれており酸素も通っており観光出来るのだ。そこへリュウガたちは来ていた。
「俺とウェンは世界魚に会ってくるからお前らは自由にしてろ。用事が終わったら迎えに行くから」
「分かったわ/よ~」
ルイとアズサは返事をして観光に向かった。それを見送りリュウガたちは世界魚がいるという中心部へと向かう。
「それにしても結構人がいるな。伝説のモンスターを殺すようなバケモノが支配してるっていうのに」
「世界魚は金が好きなんですよ」
「だから王族と貴族だけしか呼ばないのか」
納得する。金を集めるなら王族、貴族を呼ぶのが手っ取り早いだろう。
「観光するために温泉やら食事処まであるのはどういうことだ?」
「世界魚が世界中の職人やら料理人を拉致って来た子孫たちが経営してるのですよ」
その発言に、
「連中から反感は無かったのか?」
「もちろんありましたが世界魚が張った結界に守られてるので反乱を起こそうものなら海底神殿は直ぐに海に飲み込まれて溺死もしくは水圧による圧死が待ってます」
「自分勝手だな」
そんな会話をしながら歩いてあっという間に中心部に着いた。そこには青髪の大柄な身長が2mはある男がいた。これが世界魚の人間形態だ。そんな世界魚はリュウガたちの姿を確認すると、
「良く来たな。要件は単純だ。龍神の末裔よ。俺と手を組んで龍帝を殺そう」
龍帝を殺す提案をされたが、
「断る。あいつは俺が一人で殺すから」
断った。確かに世界最高クラスの強さを持つ世界魚と手を組めば龍帝を殺せるだろうがあれほどまでに洗練された究極の暴力と一人で戦いたいのだ。そんなリュウガに、
「馬鹿か? 人間があれに勝てるとでも思ってるのか」
「勝てるか分からないぐらいが丁度いいんだよ」
その言葉に世界魚は、
「そうか、死ね」
世界魚は海底神殿を海から守る結界を解除する。しかし、
「お前の仕業か? 龍姫よ」
「えぇ。私の結界で上書きしました。貴方から海底神殿への誘いがあった時からこういう事態を想定していましたから」
そうして安全は確保出来たので、
「それじゃあ殺ろうか」
リュウガは構える。
「ボロボロにして他の龍共への見せしめにしてやるよ」
構えるリュウガに向かって殺気を放ちそんな言葉を吐く世界魚の首を狙って、
『神凪』
抜刀したのだが、
「何だこれは? こんな攻撃で俺たちに勝てるとでも?」
刀は世界魚の首を斬る事はかなわず止められてしまった。
「何もこれ一本でやってる訳ではねぇよ(流石に強いな。今の俺なら龍皇クラス相手でも問題ないんだがな)」
そう思っているが流石に最強の龍と肩を並べるモンスターだ。一筋縄ではいかないらしい。
「避けてみろ」
そう言って手を振ると海水のカッターが飛ぶ。それをリュウガは避けると、
『神挿』
顔面に突きを放つが避けられる。そして回避した勢いのままに回転蹴りをしてくる世界魚にカウンターで右足を斬り落とそうとしたが、
「危ねぇ危ねぇ。海水のバリアがなかったら斬り落とされはしなくとも深手を負っていたかもな」
世界魚は斬られる寸前に海水で右足を包んで斬撃を止めた。しかし完璧には止められずにかすり傷が出来ていた。
(あのバリアはうぜぇが攻撃が届かない訳じゃない)
戦えてる事を嬉しくは思うがこのままでは決定力に欠ける。
(死閃なら有効打になるはず。問題は殺しきれるだろうがあの特殊な抜刀術の構えをとらせてくれるかだな)
そうした問題があるために今のところは隙を作ろうとしているが中々作れずにいた。おまけに、
「ほれほれもっと踊れよ」
世界魚は先程繰り出した海水のカッターや圧縮した海水レーザーなんかを乱れ撃ちしてくる。それを全て捌きながら前進して行くが、
「戻れ」
回避不能な極小の津波により世界魚と距離をひきはなされる。
(うぜぇ!!)
しかも引き離されて体勢が崩れた瞬間に追撃もしてくるせいで全く反撃のチャンスが来ないので、
「一か八かだ!」
若干体勢は崩れているがこのままでは埒があかないと判断したリュウガは、
『死閃』
を放った。そしてその斬撃は世界魚の右腕を斬り落とした。これに世界魚は、
「何だ!? 今の技は!?(速さだけなら龍帝と同等なのかこいつは)」
と判断して警戒度と本気度を上げる。リュウガをそれだけ脅威と認めたのだ。それによりリュウガは死閃を使ったのは早計だったと判断する。
(不味いな。もう死閃を喰らわせるのは難しいな)
ここからが本番だなと気合いを入れ直した瞬間に、
「お前を敵として本格的に認めてやる」
その言葉と共に先程までの攻撃が児戯に思えるレベルの攻撃が飛んできた。それらを捌く事は出来るが全く反撃に移れずにいた。
(一番最悪な展開だな)
圧倒的な物量によるゴリ押しが一番厄介だ。それでも防御に意識を全振りしたリュウガは全ての攻撃を捌ききっているのだが、
「流石に粘るな。だがそろそろ終わりにしよう」
そう言って自分とリュウガを海水で包んだ。
「ごぼっごぼっ!!??(不味い! 相手は世界魚! 水中なんて向こうの土俵じゃねぇか!)」
何とか脱出しようと全力で泳ぐが、
「逃げられる訳ねぇだろ」
流石は世界魚。圧倒的速度でリュウガに迫りタコ殴りにした。しかも一撃一撃が重い。
「ぶはっ!!」
血を吐き出す。しかもその際に空気も吐き出してしまう。
「このまま殴り殺されるのと溺死どっちがいい?・・・・そうか喋れないか」
そう言って再びタコ殴りにする。リュウガは完全に意識が失おうというところで、
(やばいな・・・・何か変な光が見えるし)
龍鬼に斬られた左目はもう光なんて見えないはずなのにリュウガには青白い光が見えているのだ。そんな光に手を伸ばして掴んでみると、
「ぎゃああぁぁ!!!!」
世界魚の右耳が破壊されてその痛みにより2人を包んだ海水が消滅する。
「ぶっはぁ~!! はぁはぁ!! おえっ! し、死ぬかと思った。ゲホッ!」
バケモノみたいに強い連中に殺されるのは現実味がないが溺死はリアルにあり得るせいで余計にやばいと思う感情が増して精神的にも疲労が溜まった。そんなリュウガに、
「お前が何でその力を使える?!」
「何の事だよ。お前のせいで三途の川が見えてんだぞ。こっちは」
世界魚が言ってる事をリュウガは理解出来ない。
(無意識で骸龍や冥府の神と同じように死を与える力を使ったのか。流石は龍神の末裔ということか)
まだ力を制御出来ない今ののうちに殺すために最大出力の海水のレーザーを放つ。龍皇ですら一撃で殺すほどの威力を持ったそれに対してリュウガは、
『死閃』
を放った。今度は体勢も充分であり速度も威力も一発目とは比べものにならない死閃はレーザーごと世界魚を真っ二つにした。
「勝ったがあいつの言った力って何の事だ?」
勝ちはしたものの疑問が残る結果となった。何より、
(あいつが動揺してくれたから勝っただけだし何より向こうは本来の姿をとってないからマグレもいいことだな)
なんて思っていたら、
「勝ちは勝ちですよ」
心を読んだようにウェンに話かけられた。
「それもそうだな。つーかここの支配者である世界魚を殺したのってやばいか?」
観光名所の一つである海底神殿の支配者を殺したことに対する危機感を覚えるが、
「そこは貴族であるルイに任せておきましょう。海底神殿は私の結界があるので引き続き観光名所として存在出来ますし」
「はぁ~絶対に調子に乗るってあいつ」
ルイの勝ち誇ったような顔をするのが脳内で完璧に再現された。そして予想通りの結果となるのであった。その後、ルイ経由で貴族、王族に支配者である世界魚が死んだことが報告されて海底神殿は民間人も自由に行ける場所となった。問題としては海の中にある海底神殿の自治権をどこが手にするのかという事で国家間の会議があるようだがそればっかりはリュウガにはどうしようもないのでただ来たる龍帝との死合いのために力を蓄えるだけである。
そしてとうとう龍帝vs覇龍という最強の龍を決める戦いが始まろうとしていた。
そう言って受付嬢からリュウガは手紙を受け取る。
「俺とウェン宛か。相当面倒な案件だろうな」
そう言って中身を確認すると、
「海底神殿へ来い。来なければガルド王国を水没させる」
と言った内容であった。
「何だこれ? 嫌がらせか?」
そう言って手紙をウェンに見せる。
「おそらくですが。世界魚ですね」
ウェンは手紙を受け取るとそこに染み付いてる魔力から送り主が世界魚と判断する。覇龍と同格とされるバケモノだ。そんな相手からのお誘いである。
「これ行かなかったらガチで水没するのか? この国が」
「海を操るという一点においてはこの世界最強ですから余裕です」
その言葉にため息をついて、
「行くしかないのか」
と覚悟を決める。そんなリュウガに、
「海底神殿に行くの? あたしも良い?」
アズサも行きたいと言い出した。
「観光じゃねぇぞ。それでもか?」
「そっちとは別行動でいいよ。海底神殿って王族や貴族とかの特権階級しか行けないんだよね~」
「だったら別行動だと入れないだろ。こっちは招待されてるから問題ないがお前は招待されてないんだし」
「問題ないよ。気配遮断マントがあるから2人にこっそりついていくよ」
そう言って以前にアストラに潜入した時に使ったマントを取り出したが、
「無駄ですよ。海底神殿は世界魚の腹の中みたいなものですからね。侵入者は速攻で見つかり殺されてしまいますよ」
ウェンからの言葉に、
「そっか~。無理か~。海底神殿特有の錬金技術が見れると思ったのにな~」
がっかりするアズサに、
「だったら正規ルートで行けばいいじゃない」
ルイが話に割って入る。
「それが出来れば苦労は・・・・あぁ、そっかお前って」
「そうよ。四大貴族のあたしの付き添いとしてならアズサも問題なく入国出来るのよ」
胸を張るルイに、
「やった~!! ルイ大好き~!!」
アズサは抱きつく。
「んじゃまぁ行くか。海底神殿」
こうして4人は海底神殿へと向かうのであった。
海底神殿はダイダラ海域の中心にある。海底の名前の通り海の中にあるが神殿にさえ入ってしまえばそこは結界で包まれており酸素も通っており観光出来るのだ。そこへリュウガたちは来ていた。
「俺とウェンは世界魚に会ってくるからお前らは自由にしてろ。用事が終わったら迎えに行くから」
「分かったわ/よ~」
ルイとアズサは返事をして観光に向かった。それを見送りリュウガたちは世界魚がいるという中心部へと向かう。
「それにしても結構人がいるな。伝説のモンスターを殺すようなバケモノが支配してるっていうのに」
「世界魚は金が好きなんですよ」
「だから王族と貴族だけしか呼ばないのか」
納得する。金を集めるなら王族、貴族を呼ぶのが手っ取り早いだろう。
「観光するために温泉やら食事処まであるのはどういうことだ?」
「世界魚が世界中の職人やら料理人を拉致って来た子孫たちが経営してるのですよ」
その発言に、
「連中から反感は無かったのか?」
「もちろんありましたが世界魚が張った結界に守られてるので反乱を起こそうものなら海底神殿は直ぐに海に飲み込まれて溺死もしくは水圧による圧死が待ってます」
「自分勝手だな」
そんな会話をしながら歩いてあっという間に中心部に着いた。そこには青髪の大柄な身長が2mはある男がいた。これが世界魚の人間形態だ。そんな世界魚はリュウガたちの姿を確認すると、
「良く来たな。要件は単純だ。龍神の末裔よ。俺と手を組んで龍帝を殺そう」
龍帝を殺す提案をされたが、
「断る。あいつは俺が一人で殺すから」
断った。確かに世界最高クラスの強さを持つ世界魚と手を組めば龍帝を殺せるだろうがあれほどまでに洗練された究極の暴力と一人で戦いたいのだ。そんなリュウガに、
「馬鹿か? 人間があれに勝てるとでも思ってるのか」
「勝てるか分からないぐらいが丁度いいんだよ」
その言葉に世界魚は、
「そうか、死ね」
世界魚は海底神殿を海から守る結界を解除する。しかし、
「お前の仕業か? 龍姫よ」
「えぇ。私の結界で上書きしました。貴方から海底神殿への誘いがあった時からこういう事態を想定していましたから」
そうして安全は確保出来たので、
「それじゃあ殺ろうか」
リュウガは構える。
「ボロボロにして他の龍共への見せしめにしてやるよ」
構えるリュウガに向かって殺気を放ちそんな言葉を吐く世界魚の首を狙って、
『神凪』
抜刀したのだが、
「何だこれは? こんな攻撃で俺たちに勝てるとでも?」
刀は世界魚の首を斬る事はかなわず止められてしまった。
「何もこれ一本でやってる訳ではねぇよ(流石に強いな。今の俺なら龍皇クラス相手でも問題ないんだがな)」
そう思っているが流石に最強の龍と肩を並べるモンスターだ。一筋縄ではいかないらしい。
「避けてみろ」
そう言って手を振ると海水のカッターが飛ぶ。それをリュウガは避けると、
『神挿』
顔面に突きを放つが避けられる。そして回避した勢いのままに回転蹴りをしてくる世界魚にカウンターで右足を斬り落とそうとしたが、
「危ねぇ危ねぇ。海水のバリアがなかったら斬り落とされはしなくとも深手を負っていたかもな」
世界魚は斬られる寸前に海水で右足を包んで斬撃を止めた。しかし完璧には止められずにかすり傷が出来ていた。
(あのバリアはうぜぇが攻撃が届かない訳じゃない)
戦えてる事を嬉しくは思うがこのままでは決定力に欠ける。
(死閃なら有効打になるはず。問題は殺しきれるだろうがあの特殊な抜刀術の構えをとらせてくれるかだな)
そうした問題があるために今のところは隙を作ろうとしているが中々作れずにいた。おまけに、
「ほれほれもっと踊れよ」
世界魚は先程繰り出した海水のカッターや圧縮した海水レーザーなんかを乱れ撃ちしてくる。それを全て捌きながら前進して行くが、
「戻れ」
回避不能な極小の津波により世界魚と距離をひきはなされる。
(うぜぇ!!)
しかも引き離されて体勢が崩れた瞬間に追撃もしてくるせいで全く反撃のチャンスが来ないので、
「一か八かだ!」
若干体勢は崩れているがこのままでは埒があかないと判断したリュウガは、
『死閃』
を放った。そしてその斬撃は世界魚の右腕を斬り落とした。これに世界魚は、
「何だ!? 今の技は!?(速さだけなら龍帝と同等なのかこいつは)」
と判断して警戒度と本気度を上げる。リュウガをそれだけ脅威と認めたのだ。それによりリュウガは死閃を使ったのは早計だったと判断する。
(不味いな。もう死閃を喰らわせるのは難しいな)
ここからが本番だなと気合いを入れ直した瞬間に、
「お前を敵として本格的に認めてやる」
その言葉と共に先程までの攻撃が児戯に思えるレベルの攻撃が飛んできた。それらを捌く事は出来るが全く反撃に移れずにいた。
(一番最悪な展開だな)
圧倒的な物量によるゴリ押しが一番厄介だ。それでも防御に意識を全振りしたリュウガは全ての攻撃を捌ききっているのだが、
「流石に粘るな。だがそろそろ終わりにしよう」
そう言って自分とリュウガを海水で包んだ。
「ごぼっごぼっ!!??(不味い! 相手は世界魚! 水中なんて向こうの土俵じゃねぇか!)」
何とか脱出しようと全力で泳ぐが、
「逃げられる訳ねぇだろ」
流石は世界魚。圧倒的速度でリュウガに迫りタコ殴りにした。しかも一撃一撃が重い。
「ぶはっ!!」
血を吐き出す。しかもその際に空気も吐き出してしまう。
「このまま殴り殺されるのと溺死どっちがいい?・・・・そうか喋れないか」
そう言って再びタコ殴りにする。リュウガは完全に意識が失おうというところで、
(やばいな・・・・何か変な光が見えるし)
龍鬼に斬られた左目はもう光なんて見えないはずなのにリュウガには青白い光が見えているのだ。そんな光に手を伸ばして掴んでみると、
「ぎゃああぁぁ!!!!」
世界魚の右耳が破壊されてその痛みにより2人を包んだ海水が消滅する。
「ぶっはぁ~!! はぁはぁ!! おえっ! し、死ぬかと思った。ゲホッ!」
バケモノみたいに強い連中に殺されるのは現実味がないが溺死はリアルにあり得るせいで余計にやばいと思う感情が増して精神的にも疲労が溜まった。そんなリュウガに、
「お前が何でその力を使える?!」
「何の事だよ。お前のせいで三途の川が見えてんだぞ。こっちは」
世界魚が言ってる事をリュウガは理解出来ない。
(無意識で骸龍や冥府の神と同じように死を与える力を使ったのか。流石は龍神の末裔ということか)
まだ力を制御出来ない今ののうちに殺すために最大出力の海水のレーザーを放つ。龍皇ですら一撃で殺すほどの威力を持ったそれに対してリュウガは、
『死閃』
を放った。今度は体勢も充分であり速度も威力も一発目とは比べものにならない死閃はレーザーごと世界魚を真っ二つにした。
「勝ったがあいつの言った力って何の事だ?」
勝ちはしたものの疑問が残る結果となった。何より、
(あいつが動揺してくれたから勝っただけだし何より向こうは本来の姿をとってないからマグレもいいことだな)
なんて思っていたら、
「勝ちは勝ちですよ」
心を読んだようにウェンに話かけられた。
「それもそうだな。つーかここの支配者である世界魚を殺したのってやばいか?」
観光名所の一つである海底神殿の支配者を殺したことに対する危機感を覚えるが、
「そこは貴族であるルイに任せておきましょう。海底神殿は私の結界があるので引き続き観光名所として存在出来ますし」
「はぁ~絶対に調子に乗るってあいつ」
ルイの勝ち誇ったような顔をするのが脳内で完璧に再現された。そして予想通りの結果となるのであった。その後、ルイ経由で貴族、王族に支配者である世界魚が死んだことが報告されて海底神殿は民間人も自由に行ける場所となった。問題としては海の中にある海底神殿の自治権をどこが手にするのかという事で国家間の会議があるようだがそればっかりはリュウガにはどうしようもないのでただ来たる龍帝との死合いのために力を蓄えるだけである。
そしてとうとう龍帝vs覇龍という最強の龍を決める戦いが始まろうとしていた。
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