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49話 国家間プロジェクト
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「約束の魔石ですよ」
「ありがとう、ウェン」
前日にお願いした魔石の採取からウェンはフェンリルのハクと一緒にやってきてくれた。これにより遠距離通信装置の発明に力を入れられる。
「それじゃあ、アズサ! 一緒に頑張ろ!!」
「お~!!」
といった事があったのが1週間前の出来事であった。しかし、びっくりするほどに難しく最初は500m程度なら通信が出来て2人も、
「この調子なら3日以内には出来るね」
などと話していたのだがその後は進展がないのだ。そのため2人はずっと工房に籠り続けていたのだ。
「やっばいね~。これ・・完成するの?」
「しないかもね。いや・・出来るかもだけどかなりデカい通信装置になりそうなんだよね」
「もうそれで良くな~い? 充分最先端の技術だよ? それ~」
なんて会話をしていた。マイとしては小型の誰でもどこでもいつでも会話が出来る装置を作りたかったがそれをするには魔法知識があまりにも足りない。装置に組み込む魔法陣の量が多すぎるのだ。装置に組み込む魔法陣の量的に馬鹿デカい装置じゃないと出来そうにないのだ。
「せっかくなら個人間でやりとりしたいじゃん? それに大型装置だと国に一個あれば良い代物になって上流階級の人しか使えなくなるじゃん」
「そうなんだけどさ~、出来なかったら~それこそ意味ないじゃ~ん」
完璧に暗礁に乗り上げた2人に、
「ギルドマスター、御手紙が届きましたよ」
「誰から?」
「魔法学院の学院長からです」
そう言ってウェンが届けられた手紙をマイに手渡す。ついでにコーヒーも淹れて貰った。
「頑張るのは良いですがたまには息抜きでもしてください。ヒカリが寂しがってますからね」
そう言ってウェンは工房から出て行った。
「学院長は何だって?」
手紙を読むマイにアズサが尋ねる。
「空間魔法に関する記述だね。とっても参考になる」
これならイケるのでは? と思い再び作業に入るが、
「駄目だ~」
「これで無理ならやっぱり大型装置を国に用意してもらうのが確実かもね」
学院長からの助言により1kmまでに通信距離を伸ばせた。充分すぎる成果ではあるが、
「国家間の通信手段として確立してかつ個人間でもやりとりがしたいな~」
「目標を高くし過ぎたかもね」
それでも、
「諦める気は?」
「ない」
そう言って魔法の天才と錬金術の天才2人は寝ずの研究を続けた。結果として、
「これならイケる!!」
「だね!! 問題があるとするなら金も時間もかかる事だね」
2人は研究の末にある理論を叩き出した。それは、中継地点となる場所にも通信装置を設置するというものだ。これならイケるのだが問題は、
「材料費がヤバいね。ギルドの総資産はいるんじゃない?」
「おまけに設置するのにも国家間の問題もあるから交渉やら何やらで時間はかかるよ~」
おまけに、
「「中継地点の安全管理だよね~」」
2人は同時喋る。中継地点の安全管理の問題。当たり前だがこの世界には様々なモンスターが存在する。そんな中で中継地点が襲われない訳がないのだ。
「マイが結界張れば~?」
「無理、いずれ結界の魔力は消えるからその度に張りなおさないといけない」
「なら、ウェンは~?」
「ウェンなら出来そうだけど、どうだろう? ギルドの問題じゃなくて国の問題になるなら龍であるウェンはやらないんじゃない?」
あれ? もしかして詰んだ? と思う2人ではあったが、
「いや、まぁ理論は出来たんだしね!!」
「そうだよね~。後は国のお偉いさんに研究資料渡して任せちゃおうよ」
善は急げということで研究資料をまずは学院長に提出した。学院長は王族、貴族とも関わりがあるから当然の判断だ。
そうして提出した後日に、
「また御手紙ですよ。今度は・・ギルドマスターだけでなくアズサ宛ですね。明日の昼に魔法学院と錬金術学院の共同研究室に来るようにとの事です」
「早くない?」
「だね~。これ国のお偉方は見てないんじゃないの?」
なんて疑問は持ったものの当日の昼に2人は共同研究室に来ていた。この研究室は魔法学院と錬金術学院の共同授業の際に使われるものであるが普段は滅多に使われることはない。
「良く来たね。2人共」
そう言って迎えてくれたのは魔法学院長と錬金術学院長の2人であった。
「呼び出した件はやっぱり通信装置の事ですよね?」
「まぁな。あれは凄い代物ではあるがやはり手間が大きいのもそうだが金がかかりすぎるって事で一旦国には報告してねぇ」
マイの疑問に答えたの錬金術学院長のアルト・クリエトだ。若き天才錬金術師として知られている。年齢は45才だ。
「中継地点の数が問題でね。あれではモンスターの襲撃や大移動があった場合に守り切れない。せいぜい3地点までには減らしたい」
「お言葉ですけど~、3は無理ですよ~」
アズサが文句を言う。
「アズサ! 文句言うな! と学生の頃なら怒鳴るが今回は相当難しい発明だから多めに見てやる」
一瞬怒鳴ってるよね~、なんて軽口を叩こうとするアズサの口を塞ぐマイは疑問を口にする。
「3地点にしたとしても相当にモンスターの対処は難しいのでは?」
「そこは大丈夫のはずだ。国としても国家間の通信手段の最適化は嬉しいから騎士団を派遣するだろうからね」
学院長は丁寧に答えてくれた。更に、
「このデッカい発明のために魔法大国と錬金術大国から精鋭を呼ぶ事になった」
「と言っても、今は返事待ちだかね」
情報を追加した。
「えっ?! 錬金術大国って事はミステリル? この世界で最も繁栄してると言われてるあの国の精鋭が来るの?」
アズサは大盛り上がりしている。
「あの~、ミステリルって?」
「この国の南のアストラより更に美波にある。錬金術が最も発展していてその技術により最も繁栄している国だよ。あの国では通信装置は国家間は無理でも国内でなら使える通信装置を量産しているからね。今回の助っ人としてなくてはならない人材だ」
マイの質問にアルトは答えてくれた。
「もし今回の発明が成功したらこの国は2つの国との通信手段を手に入れる事が出来る。勿論、2人にも手伝って貰うよ」
の言葉に2人は、
「「はいっ!!」」
元気よく返事をするのであった。
(頑張るよ、リュウ!! だから、そっちも頑張ってね)
そう思いを届けるマイであった。
「ありがとう、ウェン」
前日にお願いした魔石の採取からウェンはフェンリルのハクと一緒にやってきてくれた。これにより遠距離通信装置の発明に力を入れられる。
「それじゃあ、アズサ! 一緒に頑張ろ!!」
「お~!!」
といった事があったのが1週間前の出来事であった。しかし、びっくりするほどに難しく最初は500m程度なら通信が出来て2人も、
「この調子なら3日以内には出来るね」
などと話していたのだがその後は進展がないのだ。そのため2人はずっと工房に籠り続けていたのだ。
「やっばいね~。これ・・完成するの?」
「しないかもね。いや・・出来るかもだけどかなりデカい通信装置になりそうなんだよね」
「もうそれで良くな~い? 充分最先端の技術だよ? それ~」
なんて会話をしていた。マイとしては小型の誰でもどこでもいつでも会話が出来る装置を作りたかったがそれをするには魔法知識があまりにも足りない。装置に組み込む魔法陣の量が多すぎるのだ。装置に組み込む魔法陣の量的に馬鹿デカい装置じゃないと出来そうにないのだ。
「せっかくなら個人間でやりとりしたいじゃん? それに大型装置だと国に一個あれば良い代物になって上流階級の人しか使えなくなるじゃん」
「そうなんだけどさ~、出来なかったら~それこそ意味ないじゃ~ん」
完璧に暗礁に乗り上げた2人に、
「ギルドマスター、御手紙が届きましたよ」
「誰から?」
「魔法学院の学院長からです」
そう言ってウェンが届けられた手紙をマイに手渡す。ついでにコーヒーも淹れて貰った。
「頑張るのは良いですがたまには息抜きでもしてください。ヒカリが寂しがってますからね」
そう言ってウェンは工房から出て行った。
「学院長は何だって?」
手紙を読むマイにアズサが尋ねる。
「空間魔法に関する記述だね。とっても参考になる」
これならイケるのでは? と思い再び作業に入るが、
「駄目だ~」
「これで無理ならやっぱり大型装置を国に用意してもらうのが確実かもね」
学院長からの助言により1kmまでに通信距離を伸ばせた。充分すぎる成果ではあるが、
「国家間の通信手段として確立してかつ個人間でもやりとりがしたいな~」
「目標を高くし過ぎたかもね」
それでも、
「諦める気は?」
「ない」
そう言って魔法の天才と錬金術の天才2人は寝ずの研究を続けた。結果として、
「これならイケる!!」
「だね!! 問題があるとするなら金も時間もかかる事だね」
2人は研究の末にある理論を叩き出した。それは、中継地点となる場所にも通信装置を設置するというものだ。これならイケるのだが問題は、
「材料費がヤバいね。ギルドの総資産はいるんじゃない?」
「おまけに設置するのにも国家間の問題もあるから交渉やら何やらで時間はかかるよ~」
おまけに、
「「中継地点の安全管理だよね~」」
2人は同時喋る。中継地点の安全管理の問題。当たり前だがこの世界には様々なモンスターが存在する。そんな中で中継地点が襲われない訳がないのだ。
「マイが結界張れば~?」
「無理、いずれ結界の魔力は消えるからその度に張りなおさないといけない」
「なら、ウェンは~?」
「ウェンなら出来そうだけど、どうだろう? ギルドの問題じゃなくて国の問題になるなら龍であるウェンはやらないんじゃない?」
あれ? もしかして詰んだ? と思う2人ではあったが、
「いや、まぁ理論は出来たんだしね!!」
「そうだよね~。後は国のお偉いさんに研究資料渡して任せちゃおうよ」
善は急げということで研究資料をまずは学院長に提出した。学院長は王族、貴族とも関わりがあるから当然の判断だ。
そうして提出した後日に、
「また御手紙ですよ。今度は・・ギルドマスターだけでなくアズサ宛ですね。明日の昼に魔法学院と錬金術学院の共同研究室に来るようにとの事です」
「早くない?」
「だね~。これ国のお偉方は見てないんじゃないの?」
なんて疑問は持ったものの当日の昼に2人は共同研究室に来ていた。この研究室は魔法学院と錬金術学院の共同授業の際に使われるものであるが普段は滅多に使われることはない。
「良く来たね。2人共」
そう言って迎えてくれたのは魔法学院長と錬金術学院長の2人であった。
「呼び出した件はやっぱり通信装置の事ですよね?」
「まぁな。あれは凄い代物ではあるがやはり手間が大きいのもそうだが金がかかりすぎるって事で一旦国には報告してねぇ」
マイの疑問に答えたの錬金術学院長のアルト・クリエトだ。若き天才錬金術師として知られている。年齢は45才だ。
「中継地点の数が問題でね。あれではモンスターの襲撃や大移動があった場合に守り切れない。せいぜい3地点までには減らしたい」
「お言葉ですけど~、3は無理ですよ~」
アズサが文句を言う。
「アズサ! 文句言うな! と学生の頃なら怒鳴るが今回は相当難しい発明だから多めに見てやる」
一瞬怒鳴ってるよね~、なんて軽口を叩こうとするアズサの口を塞ぐマイは疑問を口にする。
「3地点にしたとしても相当にモンスターの対処は難しいのでは?」
「そこは大丈夫のはずだ。国としても国家間の通信手段の最適化は嬉しいから騎士団を派遣するだろうからね」
学院長は丁寧に答えてくれた。更に、
「このデッカい発明のために魔法大国と錬金術大国から精鋭を呼ぶ事になった」
「と言っても、今は返事待ちだかね」
情報を追加した。
「えっ?! 錬金術大国って事はミステリル? この世界で最も繁栄してると言われてるあの国の精鋭が来るの?」
アズサは大盛り上がりしている。
「あの~、ミステリルって?」
「この国の南のアストラより更に美波にある。錬金術が最も発展していてその技術により最も繁栄している国だよ。あの国では通信装置は国家間は無理でも国内でなら使える通信装置を量産しているからね。今回の助っ人としてなくてはならない人材だ」
マイの質問にアルトは答えてくれた。
「もし今回の発明が成功したらこの国は2つの国との通信手段を手に入れる事が出来る。勿論、2人にも手伝って貰うよ」
の言葉に2人は、
「「はいっ!!」」
元気よく返事をするのであった。
(頑張るよ、リュウ!! だから、そっちも頑張ってね)
そう思いを届けるマイであった。
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