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39話 誕生! リヴァイアサン
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「何かあれば俺に頼るのやめてくんねぇか。他のギルドの奴にも頼めよ。贔屓されてるみたいになるだろ」
「お主にしか頼めない案件ばかりだから仕方ないだろう」
リュウガはまた総本部に呼ばれている。さっきの発言のも理由の1つだか龍皇との戦いの傷が完璧に癒えたとはいえないため働きたくないのが本音だ。
「今回の依頼というのはリヴァイアサンの監視だな」
「あ? また現れたのか? つーか監視?」
リヴァイアサンは以前討伐したはずだがまたどこかの海域に現れたのだろうか。それに監視とはどういうことだろうか?
「お主が以前リヴァイアサンを討伐した時卵を回収しただろう。それがもうじき孵化しそうなんだが赤子とはいえリヴァイアサンは伝説のモンスター。それを収容出来る設備はない。しかし、研究はしたいのでお主に監視を任せたい」
「暴れたら殺してもいいか?」
正直殺してしまったほうが楽だからそうしたいのだ。
「この先リヴァイアサンを研究出来る機会が訪れるとは限らんからなるべく殺さずに済ませて欲しい」
(今の体調でそれは無理だな)
これは本音である。龍皇から受けた傷は未だに燃えるように痛い。というか実際急に身体が燃える事がある。これはウェン曰く、
「龍皇の炎によってついた火傷は相手を燃やし尽くそうと発火するのです。主様は龍神の血が入ってるのでその程度で済んでますが普通なら永遠に消えずに燃え続けますよ」
との事を以前燃えた時に消火するついでに教えてもらっていた。
「仕事を受けても良いが条件が2つある。1つはうちのギルドのウェンも参加させる。2つ目はそのウェンをSランクに上げろ」
「ウェンとは確か最近冒険者の間でも話題になってる女冒険者だな。実力は伝え聞いてるがいくらなんでもSランクに上げるのは無茶だな」
「ウェンは龍だ」
「はっ?」
ウェンの正体をバラす。これがとっとり早く納得させる方法だからだ。
「冗談だろ」
「冗談じゃねぇよ。そもそも、龍が現れてこの国が残ってるのに疑問はなかったか?」
「いや、お主が頑張って撃退したものと思っていたのだが」
「確かに戦ったのは俺だがこの国を守ったのはあいつだよ。じゃなきゃこの国は灰になってるよ」
ガンは頭を抱える。
(まぁ、いきなりこんな事言われりゃ頭を抱えるわな)
同情するが散々頼られてきたのだから意趣返ししても問題ないだろ。
「総本部の会議でウェンの正体をバラしても良いか?」
「構わねぇが上の連中で止めておけよ。後利用しようと思ってもあいつは言うこと聞かないから無駄だからな」
「何で龍がギルドにいるんだ?」
「複雑な事情があるんだよ」
「ふむ。Sランク昇格はともかく仕事の方はウェンの同行を許可する。とりあえず明日には向かってくれ」
そう言って書類を渡される。
「それを見せれば各地にあるモンスター研究所を出入り出来るようになる。無くすなよ」
こうして総本部から帰りウェンに事情を説明して同行してもらうようにお願いする。
「リヴァイアサンの孵化は珍しいですね。わたくしも1回しか見た事ありませんよ」
(それでも見た事はあるんだよな)
伝説のモンスターの孵化を1回でも見れれば充分だろうとリュウガは思いながら、
「正直今の俺じゃ伝説のモンスター以上はしんどい」
「でしょうね。殺す分には問題ないでしょうが万が一暴れた場合の制圧は今の主様には無理でしょうね。まぁワタクシがいますので問題ないでしょう」
「それにしても凄い事ですよ。研究所は総本部の人間でも上の人間しか入れない重要な機関ですよ」
ハンザが言うように研究所は存在自体は知られているが重要施設であるため出入りが厳しい。それだけ重要な機関に入れるのだから。やはりリュウガに対する信頼だろう。
「いいな~、俺も行きてぇな~」
ヒビキは羨ましそうにしている。伝説のモンスターに遭遇する事はそうそうないのだから当然だろう。
「書類はあるけど流石にあんまり他のメンバーを連れてくのは駄目だろ」
「書類上はOKかもですが流石に勘弁して欲しいですね」
まぁしょうがないだろう。
「まぁ、行ってくるけど基本はウェンに任せるよ」
「龍が相手ではありませんし今回はわたくしに任せてください」
リュウガとウェンは海に面している研究所に来ている。建物の後ろに広がる海に養殖場のようにいくつもの綱が張り巡らされている。
「中々のデカさだがやっぱりリヴァイアサンを飼育するには物足りないよな」
「伝説のモンスターを相手にする訳ですからね。不可能でしょうね」
2人してマイナスな意見しか出てこない。そんな2人に建物から1人の女性が近づいてくる。
「良く起こしくださいました。所長のレイン・ラズルです」
「運命の宿木サブマスターのリュウガ・レンだ」
「ウェン・シロガネです」
挨拶を済ませて研究所に入る。
「赤子とはいえ伝説のモンスターなんだがそこのところちゃんと理解しているのか?」
「勿論です。確かに研究対象としてはこれ以上ないモンスターですが研究員の命が危険なようならお2人の判断で殺してもらって構いません」
(ジジイとは言ってる事が違うがこっちとしては助かるな)
話しながら歩いていると鉄の扉が現れる。
「ここはSランク以上のモンスターがいるエリアです」
(大人のリヴァイアサンなら壊せるよな)
(余裕でしょうね。何より大きさも足りません)
そんな2人の様子に気づかず所長は案内をする。
「卵は1番奥にて孵化させています」
すると奥から1人の研究員が走って来た。
「所長! 卵にヒビが入りました! 急いでください!」
「お2人も来てください」
後をついていくと、丁度孵化が始まっており頭が出ていた。
「まずは頭から出るのですね」
研究員達はノートにしっかりと記録を残そうと忙しそうにしている。
「生き物の誕生は胸が躍りますね」
ウェンも感動している。
(あ~、俺もペットを飼いてぇなぁ~)
リュウガは実は動物好きだったりする。
(主様が望むなら犬になりますよ)
(考えを読むな! そんでもって俺にそんな趣味はねぇって前に言ったよな!)
そんな2人に構わずリヴァイアサンは卵から全体を現した。
「ふむ、既に大人と同じ姿なのですね。違いは大きさ位ですね」
冷静に観察を続ける研究員達。そんな研究員達の視線を受けてリヴァイアサンの眼光が光る。
「ウェン、任せた」
「承知しました」
その言葉と同時に結界を張るウェン。直後にリヴァイアサンは水のブレスを放つ。それはドラゴンのブレスも数発は防ぐ頑丈なガラスを突き破る程だがウェンの結界は破れない。
「ウェン! 俺は研究員達連れて離脱するから任せる。好きにしろ」
そう言って研究員達と共に離脱するリュウガを見届けるウェン。その姿は無防備であったがリヴァイアサンは襲う事が出来ない。本能で分かるのだ。こいつには勝てないと、
「安心なさい。殺しはしませんよ」
優しく語りかける。1部のモンスターは喋れないだけで人語を理解する事は出来る。リヴァイアサンもその内の1体だ。
「月に1度この海岸に現れて人間の研究に協力しなさい。そうすればここから出して上げます」
その言葉を受けてブンブンと首を振るリヴァイアサンに笑顔を見せて、
「それでは行きましょうか」
そう言うとウェンは生まれたてのリヴァイアサンと共に研究所の裏手にある海へと向かうのであった。あっさりと全てを終わらしてしまったウェンはリュウガに合流する。
「で? どうした?」
「海に返しました。自然の環境で育った方がより良い研究になるでしょうからね」
「帰ってくるのか? わざわざ」
リュウガからの疑問に、
「わたくしを恐れている以上は帰って来ますよ。死なない限りは」
「まぁ、お前が言うならそうなんだろうな」
そんな会話をして2人は研究員達の見送りを受けてギルドに帰って行った。
「お主にしか頼めない案件ばかりだから仕方ないだろう」
リュウガはまた総本部に呼ばれている。さっきの発言のも理由の1つだか龍皇との戦いの傷が完璧に癒えたとはいえないため働きたくないのが本音だ。
「今回の依頼というのはリヴァイアサンの監視だな」
「あ? また現れたのか? つーか監視?」
リヴァイアサンは以前討伐したはずだがまたどこかの海域に現れたのだろうか。それに監視とはどういうことだろうか?
「お主が以前リヴァイアサンを討伐した時卵を回収しただろう。それがもうじき孵化しそうなんだが赤子とはいえリヴァイアサンは伝説のモンスター。それを収容出来る設備はない。しかし、研究はしたいのでお主に監視を任せたい」
「暴れたら殺してもいいか?」
正直殺してしまったほうが楽だからそうしたいのだ。
「この先リヴァイアサンを研究出来る機会が訪れるとは限らんからなるべく殺さずに済ませて欲しい」
(今の体調でそれは無理だな)
これは本音である。龍皇から受けた傷は未だに燃えるように痛い。というか実際急に身体が燃える事がある。これはウェン曰く、
「龍皇の炎によってついた火傷は相手を燃やし尽くそうと発火するのです。主様は龍神の血が入ってるのでその程度で済んでますが普通なら永遠に消えずに燃え続けますよ」
との事を以前燃えた時に消火するついでに教えてもらっていた。
「仕事を受けても良いが条件が2つある。1つはうちのギルドのウェンも参加させる。2つ目はそのウェンをSランクに上げろ」
「ウェンとは確か最近冒険者の間でも話題になってる女冒険者だな。実力は伝え聞いてるがいくらなんでもSランクに上げるのは無茶だな」
「ウェンは龍だ」
「はっ?」
ウェンの正体をバラす。これがとっとり早く納得させる方法だからだ。
「冗談だろ」
「冗談じゃねぇよ。そもそも、龍が現れてこの国が残ってるのに疑問はなかったか?」
「いや、お主が頑張って撃退したものと思っていたのだが」
「確かに戦ったのは俺だがこの国を守ったのはあいつだよ。じゃなきゃこの国は灰になってるよ」
ガンは頭を抱える。
(まぁ、いきなりこんな事言われりゃ頭を抱えるわな)
同情するが散々頼られてきたのだから意趣返ししても問題ないだろ。
「総本部の会議でウェンの正体をバラしても良いか?」
「構わねぇが上の連中で止めておけよ。後利用しようと思ってもあいつは言うこと聞かないから無駄だからな」
「何で龍がギルドにいるんだ?」
「複雑な事情があるんだよ」
「ふむ。Sランク昇格はともかく仕事の方はウェンの同行を許可する。とりあえず明日には向かってくれ」
そう言って書類を渡される。
「それを見せれば各地にあるモンスター研究所を出入り出来るようになる。無くすなよ」
こうして総本部から帰りウェンに事情を説明して同行してもらうようにお願いする。
「リヴァイアサンの孵化は珍しいですね。わたくしも1回しか見た事ありませんよ」
(それでも見た事はあるんだよな)
伝説のモンスターの孵化を1回でも見れれば充分だろうとリュウガは思いながら、
「正直今の俺じゃ伝説のモンスター以上はしんどい」
「でしょうね。殺す分には問題ないでしょうが万が一暴れた場合の制圧は今の主様には無理でしょうね。まぁワタクシがいますので問題ないでしょう」
「それにしても凄い事ですよ。研究所は総本部の人間でも上の人間しか入れない重要な機関ですよ」
ハンザが言うように研究所は存在自体は知られているが重要施設であるため出入りが厳しい。それだけ重要な機関に入れるのだから。やはりリュウガに対する信頼だろう。
「いいな~、俺も行きてぇな~」
ヒビキは羨ましそうにしている。伝説のモンスターに遭遇する事はそうそうないのだから当然だろう。
「書類はあるけど流石にあんまり他のメンバーを連れてくのは駄目だろ」
「書類上はOKかもですが流石に勘弁して欲しいですね」
まぁしょうがないだろう。
「まぁ、行ってくるけど基本はウェンに任せるよ」
「龍が相手ではありませんし今回はわたくしに任せてください」
リュウガとウェンは海に面している研究所に来ている。建物の後ろに広がる海に養殖場のようにいくつもの綱が張り巡らされている。
「中々のデカさだがやっぱりリヴァイアサンを飼育するには物足りないよな」
「伝説のモンスターを相手にする訳ですからね。不可能でしょうね」
2人してマイナスな意見しか出てこない。そんな2人に建物から1人の女性が近づいてくる。
「良く起こしくださいました。所長のレイン・ラズルです」
「運命の宿木サブマスターのリュウガ・レンだ」
「ウェン・シロガネです」
挨拶を済ませて研究所に入る。
「赤子とはいえ伝説のモンスターなんだがそこのところちゃんと理解しているのか?」
「勿論です。確かに研究対象としてはこれ以上ないモンスターですが研究員の命が危険なようならお2人の判断で殺してもらって構いません」
(ジジイとは言ってる事が違うがこっちとしては助かるな)
話しながら歩いていると鉄の扉が現れる。
「ここはSランク以上のモンスターがいるエリアです」
(大人のリヴァイアサンなら壊せるよな)
(余裕でしょうね。何より大きさも足りません)
そんな2人の様子に気づかず所長は案内をする。
「卵は1番奥にて孵化させています」
すると奥から1人の研究員が走って来た。
「所長! 卵にヒビが入りました! 急いでください!」
「お2人も来てください」
後をついていくと、丁度孵化が始まっており頭が出ていた。
「まずは頭から出るのですね」
研究員達はノートにしっかりと記録を残そうと忙しそうにしている。
「生き物の誕生は胸が躍りますね」
ウェンも感動している。
(あ~、俺もペットを飼いてぇなぁ~)
リュウガは実は動物好きだったりする。
(主様が望むなら犬になりますよ)
(考えを読むな! そんでもって俺にそんな趣味はねぇって前に言ったよな!)
そんな2人に構わずリヴァイアサンは卵から全体を現した。
「ふむ、既に大人と同じ姿なのですね。違いは大きさ位ですね」
冷静に観察を続ける研究員達。そんな研究員達の視線を受けてリヴァイアサンの眼光が光る。
「ウェン、任せた」
「承知しました」
その言葉と同時に結界を張るウェン。直後にリヴァイアサンは水のブレスを放つ。それはドラゴンのブレスも数発は防ぐ頑丈なガラスを突き破る程だがウェンの結界は破れない。
「ウェン! 俺は研究員達連れて離脱するから任せる。好きにしろ」
そう言って研究員達と共に離脱するリュウガを見届けるウェン。その姿は無防備であったがリヴァイアサンは襲う事が出来ない。本能で分かるのだ。こいつには勝てないと、
「安心なさい。殺しはしませんよ」
優しく語りかける。1部のモンスターは喋れないだけで人語を理解する事は出来る。リヴァイアサンもその内の1体だ。
「月に1度この海岸に現れて人間の研究に協力しなさい。そうすればここから出して上げます」
その言葉を受けてブンブンと首を振るリヴァイアサンに笑顔を見せて、
「それでは行きましょうか」
そう言うとウェンは生まれたてのリヴァイアサンと共に研究所の裏手にある海へと向かうのであった。あっさりと全てを終わらしてしまったウェンはリュウガに合流する。
「で? どうした?」
「海に返しました。自然の環境で育った方がより良い研究になるでしょうからね」
「帰ってくるのか? わざわざ」
リュウガからの疑問に、
「わたくしを恐れている以上は帰って来ますよ。死なない限りは」
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