35 / 113
30話 バラしました
しおりを挟む
「おかしいでしょ」
「おかしいですね」
「おかしい」
「おかしいわね」
「おかしいところしかないですね」
冒険者達がおかしいと言ってるのはウェンの依頼をこなすペースの事だ。どんなに優秀な若手でも毎日1回の依頼をこなすというのは中々に骨が折れる事になのだがウェンはそれをやってのけるどころか毎日3回依頼をこなしているのでこれはありえない。
「サブマスと同じ出身って言ってましたけどワ国の人間はそんな人ばっかり何ですかね?」
「あり得るわね」
そんな予測を立てるソウとルイにうんうんと頷くラン。それに対して、
「いや、そもそもギルマスも最初に依頼に制限をかけたのに解除したのが怪しい」
「ですよね」
ゴウとハンザの大人組はギルドマスターであるマイが自身がウェンにかけた制限を解除したのを訝しんでいた。
そんな様子を気にも止めずウェンは今日も依頼をこなす。
「あっという間にCランクですね。この調子なら主様と同じSランクに昇るのも時間の問題ですね」
早いものでウェンがギルドに入ってわずか2週間でCランクに昇ってしまった。これには、
「あのギルマス、サブマス、ウェンは何者ですか?」
ゴウが流石に突っ込む。他の冒険者達も良く聞いてくれたと言わんばかりの顔をしている。
「え? 何で急に?」
明らかに突っ込まれて焦った表情になるマイ。
(顔に出過ぎたバカ)
リュウガは心の中で突っ込みを入れるが、
(まぁ、流石に2週間でCランクはやりすぎたな)
2週間でCランクまで昇ったのはレイ・カグラザカのみであり、最年少でSランクに昇ったルイですらCランクになったのは1月かかっているのだ。そんな偉業を成し遂げたウェンを冒険者達が気になるのも仕方ない。
(バラすか?)
誤魔化す事も出来るがどうせいつかはいけない事だ。問題としては信じて貰えるのかという事だ。
(俺が頼めばウェンは正体をバラすのをOKするだろ)
その点はマイにバラした時に分かっているので問題はない。
「ウェン、バラして良いか?」
どの依頼を受けるか掲示板とにらめっこしているウェンに問いかける。
「主様が必要とするなら構いません」
「分かった、全員集合!」
冒険者だけでなくヒカリ、受付嬢、料理人、錬金術師のアズサにも集合をかける。どうせバラすなら全員に言っておこうと思ったからだ。
「ウェンの事なんだが、
リュウガは語った。ウェンの正体が龍である事。自分の一族が龍神である事。ウェン以外の龍から命を狙われている事とマイにも言ってなかった事すら全部バラした。
そういう事だから確実に迷惑をかける。すまん」
そう言って頭を下げるリュウガ。それに対して、
「いやいや、情報量が多いです」
「ていうか、わたしも知らない情報あったんだけど!」
「悪いな、どうせバラすならと隠してた事全部言っちまおうと思ってな」
そう言ってはいるがその言葉には嘘がある。隠し事の1つである異世界の事やその世界で殺しを沢山行った事は隠してある。それにはマイも気づいているが、
(リュウガが喋らないならわたしからは何も言わないよ)
と、黙認してくれてる。それよりも大事なことがあるからだ。
「サブマスター、龍と殺し合いになるからギルドの迷惑になるから辞めるなんて言わないよね」
マイが真剣な表情でリュウガに問いかける。それに対して、
「前回も似たような事があったがあれよりもヤバい事だから辞める気ではあったな、何せ他のメンバーにも危害が加わるかもしれないからな」
そうなのである。前回あった殺し合い、あれはバルトがリュウガにしか興味がなかったので他のメンバーに危害がなかっただけで今度はいつ龍が襲って来るか分からないので他のメンバーにも危害が及ぶ可能性があるので辞める事も視野に入れていた。
「大丈夫ですよ」
「冒険者ギルドにいる以上危険があるのは仕方ないですからね」
「死ぬのはごめんですけどね」
皆笑って受け入れてくれた。
「結構深刻な問題だと思うんだが」
リュウガは突っ込むが、
「「「「勝つでしょ、サブマスは」」」」
皆信じているのだ。リュウガが勝つ事を、
「良い仲間達ですね」
ウェンが優しく語りかける。
ハーっと、息を吐いてから、
「勝つよ、勝って神になってやるから今の内に崇めておけよ」
と冗談を言って笑った。
「おかしいですね」
「おかしい」
「おかしいわね」
「おかしいところしかないですね」
冒険者達がおかしいと言ってるのはウェンの依頼をこなすペースの事だ。どんなに優秀な若手でも毎日1回の依頼をこなすというのは中々に骨が折れる事になのだがウェンはそれをやってのけるどころか毎日3回依頼をこなしているのでこれはありえない。
「サブマスと同じ出身って言ってましたけどワ国の人間はそんな人ばっかり何ですかね?」
「あり得るわね」
そんな予測を立てるソウとルイにうんうんと頷くラン。それに対して、
「いや、そもそもギルマスも最初に依頼に制限をかけたのに解除したのが怪しい」
「ですよね」
ゴウとハンザの大人組はギルドマスターであるマイが自身がウェンにかけた制限を解除したのを訝しんでいた。
そんな様子を気にも止めずウェンは今日も依頼をこなす。
「あっという間にCランクですね。この調子なら主様と同じSランクに昇るのも時間の問題ですね」
早いものでウェンがギルドに入ってわずか2週間でCランクに昇ってしまった。これには、
「あのギルマス、サブマス、ウェンは何者ですか?」
ゴウが流石に突っ込む。他の冒険者達も良く聞いてくれたと言わんばかりの顔をしている。
「え? 何で急に?」
明らかに突っ込まれて焦った表情になるマイ。
(顔に出過ぎたバカ)
リュウガは心の中で突っ込みを入れるが、
(まぁ、流石に2週間でCランクはやりすぎたな)
2週間でCランクまで昇ったのはレイ・カグラザカのみであり、最年少でSランクに昇ったルイですらCランクになったのは1月かかっているのだ。そんな偉業を成し遂げたウェンを冒険者達が気になるのも仕方ない。
(バラすか?)
誤魔化す事も出来るがどうせいつかはいけない事だ。問題としては信じて貰えるのかという事だ。
(俺が頼めばウェンは正体をバラすのをOKするだろ)
その点はマイにバラした時に分かっているので問題はない。
「ウェン、バラして良いか?」
どの依頼を受けるか掲示板とにらめっこしているウェンに問いかける。
「主様が必要とするなら構いません」
「分かった、全員集合!」
冒険者だけでなくヒカリ、受付嬢、料理人、錬金術師のアズサにも集合をかける。どうせバラすなら全員に言っておこうと思ったからだ。
「ウェンの事なんだが、
リュウガは語った。ウェンの正体が龍である事。自分の一族が龍神である事。ウェン以外の龍から命を狙われている事とマイにも言ってなかった事すら全部バラした。
そういう事だから確実に迷惑をかける。すまん」
そう言って頭を下げるリュウガ。それに対して、
「いやいや、情報量が多いです」
「ていうか、わたしも知らない情報あったんだけど!」
「悪いな、どうせバラすならと隠してた事全部言っちまおうと思ってな」
そう言ってはいるがその言葉には嘘がある。隠し事の1つである異世界の事やその世界で殺しを沢山行った事は隠してある。それにはマイも気づいているが、
(リュウガが喋らないならわたしからは何も言わないよ)
と、黙認してくれてる。それよりも大事なことがあるからだ。
「サブマスター、龍と殺し合いになるからギルドの迷惑になるから辞めるなんて言わないよね」
マイが真剣な表情でリュウガに問いかける。それに対して、
「前回も似たような事があったがあれよりもヤバい事だから辞める気ではあったな、何せ他のメンバーにも危害が加わるかもしれないからな」
そうなのである。前回あった殺し合い、あれはバルトがリュウガにしか興味がなかったので他のメンバーに危害がなかっただけで今度はいつ龍が襲って来るか分からないので他のメンバーにも危害が及ぶ可能性があるので辞める事も視野に入れていた。
「大丈夫ですよ」
「冒険者ギルドにいる以上危険があるのは仕方ないですからね」
「死ぬのはごめんですけどね」
皆笑って受け入れてくれた。
「結構深刻な問題だと思うんだが」
リュウガは突っ込むが、
「「「「勝つでしょ、サブマスは」」」」
皆信じているのだ。リュウガが勝つ事を、
「良い仲間達ですね」
ウェンが優しく語りかける。
ハーっと、息を吐いてから、
「勝つよ、勝って神になってやるから今の内に崇めておけよ」
と冗談を言って笑った。
1
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
最底辺の落ちこぼれ、実は彼がハイスペックであることを知っている元幼馴染のヤンデレ義妹が入学してきたせいで真の実力が発覚してしまう!
電脳ピエロ
恋愛
時野 玲二はとある事情から真の実力を隠しており、常に退学ギリギリの成績をとっていたことから最底辺の落ちこぼれとバカにされていた。
しかし玲二が2年生になった頃、時を同じくして義理の妹になった人気モデルの神堂 朱音が入学してきたことにより、彼の実力隠しは終わりを迎えようとしていた。
「わたしは大好きなお義兄様の真の実力を、全校生徒に知らしめたいんです♡ そして、全校生徒から羨望の眼差しを向けられているお兄様をわたしだけのものにすることに興奮するんです……あぁんっ♡ お義兄様ぁ♡」
朱音は玲二が実力隠しを始めるよりも前、幼少期からの幼馴染だった。
そして義理の兄妹として再開した現在、玲二に対して変質的な愛情を抱くヤンデレなブラコン義妹に変貌していた朱音は、あの手この手を使って彼の真の実力を発覚させようとしてくる!
――俺はもう、人に期待されるのはごめんなんだ。
そんな玲二の願いは叶うことなく、ヤンデレ義妹の暴走によって彼がハイスペックであるという噂は徐々に学校中へと広まっていく。
やがて玲二の真の実力に危機感を覚えた生徒会までもが動き始めてしまい……。
義兄の実力を全校生徒に知らしめたい、ブラコンにしてヤンデレの人気モデル VS 真の実力を絶対に隠し通したい、実は最強な最底辺の陰キャぼっち。
二人の心理戦は、やがて学校全体を巻き込むほどの大きな戦いへと発展していく。
ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
【完結】婚約破棄されて修道院へ送られたので、今後は自分のために頑張ります!
猫石
ファンタジー
「ミズリーシャ・ザナスリー。 公爵の家門を盾に他者を蹂躙し、悪逆非道を尽くしたお前の所業! 決して許してはおけない! よって我がの名の元にお前にはここで婚約破棄を言い渡す! 今後は修道女としてその身を神を捧げ、生涯後悔しながら生きていくがいい!」
無実の罪を着せられた私は、その瞬間に前世の記憶を取り戻した。
色々と足りない王太子殿下と婚約破棄でき、その後の自由も確約されると踏んだ私は、意気揚々と王都のはずれにある小さな修道院へ向かったのだった。
注意⚠️このお話には、妊娠出産、新生児育児のお話がバリバリ出てきます。(訳ありもあります)お嫌いな方は自衛をお願いします!
2023/10/12 作者の気持ち的に、断罪部分を最後の番外にしました。
2023/10/31第16回ファンタジー小説大賞奨励賞頂きました。応援・投票ありがとうございました!
☆このお話は完全フィクションです、創作です、妄想の作り話です。現実世界と混同せず、あぁ、ファンタジーだもんな、と、念頭に置いてお読みください。
☆作者の趣味嗜好作品です。イラッとしたり、ムカッとしたりした時には、そっと別の素敵な作家さんの作品を検索してお読みください。(自己防衛大事!)
☆誤字脱字、誤変換が多いのは、作者のせいです。頑張って音読してチェックして!頑張ってますが、ごめんなさい、許してください。
★小説家になろう様でも公開しています。
ちょっとエッチな執事の体調管理
mm
ファンタジー
私は小川優。大学生になり上京して来て1ヶ月。今はバイトをしながら一人暮らしをしている。
住んでいるのはそこらへんのマンション。
変わりばえない生活に飽き飽きしている今日この頃である。
「はぁ…疲れた」
連勤のバイトを終え、独り言を呟きながらいつものようにマンションへ向かった。
(エレベーターのあるマンションに引っ越したい)
そう思いながらやっとの思いで階段を上りきり、自分の部屋の方へ目を向けると、そこには見知らぬ男がいた。
「優様、おかえりなさいませ。本日付けで雇われた、優様の執事でございます。」
「はい?どちら様で…?」
「私、優様の執事の佐川と申します。この度はお嬢様体験プランご当選おめでとうございます」
(あぁ…!)
今の今まで忘れていたが、2ヶ月ほど前に「お嬢様体験プラン」というのに応募していた。それは無料で自分だけの執事がつき、身の回りの世話をしてくれるという画期的なプランだった。執事を雇用する会社はまだ新米の執事に実際にお嬢様をつけ、3ヶ月無料でご奉仕しながら執事業を学ばせるのが目的のようだった。
「え、私当たったの?この私が?」
「さようでございます。本日から3ヶ月間よろしくお願い致します。」
尿・便表現あり
アダルトな表現あり
保健室の先生に召使にされた僕はお悩み解決を通して学校中の女子たちと仲良くなっていた
結城 刹那
恋愛
最上 文也(もがみ ふみや)は睡眠に難を抱えていた。
高校の入学式。文也は眠気に勝てず保健室で休むことになる。
保健室に来たが誰もいなかったため、無断でベッドを使わせてもらった。寝転がっている最中、保健室の先生である四宮 悠(しのみや ゆう)がやって来た。彼女は誰もいないと分かると人知れずエロゲを始めたのだった。
文也は美女である四宮先生の秘密を知った。本来なら秘密を知って卑猥なことをする展開だが、それが仇となって彼女の召使にされることとなる。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
クズな少年は新しい世界で元魔獣の美少女たちを従えて、聖者と呼ばれるようになる。
くろねこ教授
ファンタジー
翔馬に言わせるとこうなる。
「ぼくは引きこもりじゃないよ
だって週に一回コンビニに出かけてる
自分で決めたんだ。火曜の深夜コンビニに行くって。
スケジュールを決めて、実行するってスゴイ事だと思わない?
まさに偉業だよね」
さて彼の物語はどんな物語になるのか。
男の願望 多めでお送りします。
イラスト:イラスト:illustACより沢音千尋様の画を利用させて戴きました
『なろう』様で12万PV、『カクヨム』様で4万PV獲得した作品です。
『アルファポリス』様に向けて、多少アレンジして転載しています。
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる