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23話 薔薇の花園 レオナ・ドルド
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リュウガはギルド総本部にまた呼び出しを食らった。知らない人からすれば総本部所属の冒険者に間違われてもおかしくない頻度だ。
(別に良いけど、限度ってものがあるだろ)
全てのギルドを纏める総本部のトップであるグランドマスターに恩を売れるのは良いが、
(何だかなぁ)
と思いつつもこれもギルドをNo. 1にするための長い道のりなのだろうと自分を納得させて総本部へと歩を進める。
◇
「今度は何の討伐ですか? それとも撃退?」
グランドマスターの部屋に着いて直ぐに今回の要件を聞きにかかるリュウガに対して、
「いや、お主。少し世間話をしたりせんか? こういう時はそうしてから要件を聞くだろ」
ガンが苦言を呈するが特にする世間話もないのだから仕方ないだろう。フーッとため息を吐いてガンは今回の要件を切り出す。
「薔薇の花園というギルドを知ってるか?」
「勿論。女性だけで構成されている冒険者ギルドでしょ。現在No.2ギルドの」
リュウガは答える。No. 1ギルドを目指す上でライバルとなるギルドや有名な冒険者はしっかりと勉強している。
「その薔薇の花園がどうしたんですか?」
今回はモンスター関連の要件ではないらしくリュウガは疑問をぶつける。
「薔薇の花園、そこのエースであるレオナ・ドルドにとある問題があってな」
「とある問題?」
続きを促すと、
「大の男性嫌いなんだよ」
「いやそれは噂で聞いた事があるけど何が問題なんだ?」
「彼女はAランクとして活躍していてSランク昇級目前なんだが流石にその問題を抱えたままで上げてもいいものかと総本部でも議題になっていてな」
Sランク冒険者ともなると様々な依頼を受ける事が多々あるが男性嫌いでは問題が起こるかもしれない。そんな訳でどうしたものかと考えているらしい。
「そんな男嫌いの彼女をなんとかしてほしい」
その依頼をリュウガは、
「無理、俺は神様でも何でもねぇ。ただの人間なんでな」
ばっさり切り捨てた。
◇
「どんな内容だったの? グランドマスターからの依頼は?」
ギルドに帰って来たリュウガにマイは尋ねる。
「断ってきた。何でも薔薇の花園のエース様の男嫌いをどうにかしてくれだと」
無理に決まってんだろと、悪態を吐きながらビールを飲むリュウガに対して、
「あ~聞いた事あるな~、レオナの男性嫌い」
アズサが割って入る。やはり有名人の噂は皆に知られているのだろう。
「勿体ないなぁ~、その依頼達成出来るかもしれないのに」
「はぁ?」
今とんでもない事を言わなかったか、アズサは。
「だから~、達成出来るよ~。その依頼」
どうやら聞き間違いではないらしい。
「惚れ薬~。最近錬成したんだけど丁度実験体が欲しかったんだよね~」
ニコニコしながらもとんでもない発言をしている。惚れ薬。名前の通りなのだろうが人間の感情を操作しているようなものだ。そんな物を錬成出来てしまうとは錬金術師は凄い。いや、アズサが凄いのか?
「いや、惚れさせる相手どうするんだよ? 根本的解決にはならないだろ」
「いやいや~、恋人が出来れば自然と他の男も大丈夫になるでしょう」
アズサの言うとおりかもしれない。確かにそれならいずれは男性嫌いを克服するかもしれないがやはり問題となるのは相手の男性を誰にするかだ。
「男性嫌いだと好みとかの噂を聞けないし。結局無理だろ」
断って正解だろ。そんな感じで話は終わりかと思っていたら、
「話は聞かせてもらったわ!」
2階からルイが声高々に降りてきた。
「レオナさんはわたしがフリーの時にお世話になった人だからあたしに任せなさい」
そう言って胸を叩くルイに、
「それじゃ、任せる。頼りにしてるぞ。ルイ」
◇
カフェでコーヒーを飲みながらレオナを待つルイの前に1人の女性が来た。
「お忙しい中お時間いただき、ありがとうございます」
ルイの前に現れた相手こそ、レオナ・ドルドである。紫髪のロングにスレンダー体型のカッコイイ系の美人だ。年齢はリュウガと同い年位だろうか。
「いや、気にするな。ギルドは違うとはいえ君の事は今でも可愛い後輩だとおもっているのだから」
優しく微笑む。
(こんな優しい笑顔が女性相手なら出来るのに何で男性が相手になると厳しい顔になるのかなぁ?)
ルイがお世話になっていた頃、レオナが男性相手に話してるのを見ると普段とはかけ離れた冷たい目をしていたのだ。あれには心底肝が冷えた。
「それで? 話というのは何だ?」
今回の要件であるレオナの異性の好みを聞くには流石に段階を踏まえなければ怪しまれる。それに今の関係を壊したくもない。ルイは予め用意していた言葉を吐き出す。
「実は、お父様から婚約の話を毎日聞かされてうんざりしているのですがどうすれば良いですかね?」
嘘ではない。これはガチの話である。自分の話をしつつこの後レオナの恋愛事情を聞く、これがルイの作戦である。
「ほう? 確かに四大貴族のご令嬢ともなるとその手の話は尽きないだろう。だが良いのか? ワタシが相談相手で?」
「当たり前じゃないですか。あなたにとってわたしが後輩であるようにあなたはわたしの尊敬する先輩なんですから」
そう言って微笑む。
「そうか、君にそう言って貰えて嬉しいよ。なら期待には応えてあげないとね」
そう言ってレオナは考えを口にした。
「2つかな? ワタシの考えは。それだけでも良いかい?」
「充分です。お願いします」
身を乗り出して聞く。
「1つ目は好きな人がいるといって適当な男の名前を上げる。例えばギルドのメンバーとかな。2つ目、自分より強い男を連れてくるように言う。君の実力なら生半可な男では歯が立たないだろうからね」
成程と、納得する。今度そうしよう。そう決意していよいよ本題へと移る。
「ご意見ありがとうございます。わたしの婚約の話をしてふと思ったのですがレオナさんは恋人はやはり作らないんですか。美人なのに勿体ない」
煽てながらも少し緊張する。
(流れを作ったとはいえ男性嫌いのレオナさんにこの手の話をするのは不味いよね)
そんな内心を知ってか知らずかレオナは、
「フフッ、君もギルドのメンバー達のようにワタシの恋バナを聞きたがるとはね」
どうやら大丈夫らしい。笑ってくれてはいる、が声に若干の苛立ちがある。
「知ってのとおりワタシは男性が嫌いでね。こればかりはどうしようもないのさ。だからワタシに恋バナは無理だよ」
それじゃあね、そう言ってカフェから出て行こうとする。会計の伝票を持って。
「支払いは済ませておくよ」
そのカッコいい姿勢に自然とカフェにいた、客達は男女問わず顔を赤くしていた。ルイも例外でない。
(は~、あたしもあぁなりたい)
結局レオナから異性の好みを聞き出す事は出来なかったが放心していたルイはギルドに帰るまでその事を忘れていた。
◇
「ただいま、皆」
「「「「おかえりなさい、レオナお姉様」」」」
薔薇の花園へと帰って来たレオナに黄色い返事が返ってくる。レオナがいるといつもこうなる。薔薇の花園の日常風景。そんな歓声にも似た返事を受けレオナは、
(はぁ~♡ 本っ当に皆可愛いな~♡)
カッコいい微笑みからは想像もつかないほどにデレデレしていた。ルイと話していた時も実はずっとである。そう、この女レオナ・ドルドは女性が大好きなのである。likeではなくloveの方で。つまりは同性愛者なのである。薔薇の花園に所属しているのもこのハーレムを味わうためなのである。
(久しぶりに会ったけどルイちゃんは相変わらず活発な感じで可愛いかったな~♡)
この内心を隠し続けてもう数十年にもなるのだから本当に凄い。いやここまでくると恐ろしい。
(本当はルイちゃんの事連れて来たかったけど流石に他のギルドの子だからな~)
なんて事を考えていたらしい。そんな彼女の胸中を知る者はギルドマスターと彼女に性的に喰われた女性メンバー達だけである。
◇
「結局何も聞けなかったのかよ。俺の期待を返せこのバカ!」
「うっさい! レオナさんは男嫌いだからこそ良いのよ!」
そして今日も運命の宿木では騒がしい夜を迎えていた。
(別に良いけど、限度ってものがあるだろ)
全てのギルドを纏める総本部のトップであるグランドマスターに恩を売れるのは良いが、
(何だかなぁ)
と思いつつもこれもギルドをNo. 1にするための長い道のりなのだろうと自分を納得させて総本部へと歩を進める。
◇
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「勿論。女性だけで構成されている冒険者ギルドでしょ。現在No.2ギルドの」
リュウガは答える。No. 1ギルドを目指す上でライバルとなるギルドや有名な冒険者はしっかりと勉強している。
「その薔薇の花園がどうしたんですか?」
今回はモンスター関連の要件ではないらしくリュウガは疑問をぶつける。
「薔薇の花園、そこのエースであるレオナ・ドルドにとある問題があってな」
「とある問題?」
続きを促すと、
「大の男性嫌いなんだよ」
「いやそれは噂で聞いた事があるけど何が問題なんだ?」
「彼女はAランクとして活躍していてSランク昇級目前なんだが流石にその問題を抱えたままで上げてもいいものかと総本部でも議題になっていてな」
Sランク冒険者ともなると様々な依頼を受ける事が多々あるが男性嫌いでは問題が起こるかもしれない。そんな訳でどうしたものかと考えているらしい。
「そんな男嫌いの彼女をなんとかしてほしい」
その依頼をリュウガは、
「無理、俺は神様でも何でもねぇ。ただの人間なんでな」
ばっさり切り捨てた。
◇
「どんな内容だったの? グランドマスターからの依頼は?」
ギルドに帰って来たリュウガにマイは尋ねる。
「断ってきた。何でも薔薇の花園のエース様の男嫌いをどうにかしてくれだと」
無理に決まってんだろと、悪態を吐きながらビールを飲むリュウガに対して、
「あ~聞いた事あるな~、レオナの男性嫌い」
アズサが割って入る。やはり有名人の噂は皆に知られているのだろう。
「勿体ないなぁ~、その依頼達成出来るかもしれないのに」
「はぁ?」
今とんでもない事を言わなかったか、アズサは。
「だから~、達成出来るよ~。その依頼」
どうやら聞き間違いではないらしい。
「惚れ薬~。最近錬成したんだけど丁度実験体が欲しかったんだよね~」
ニコニコしながらもとんでもない発言をしている。惚れ薬。名前の通りなのだろうが人間の感情を操作しているようなものだ。そんな物を錬成出来てしまうとは錬金術師は凄い。いや、アズサが凄いのか?
「いや、惚れさせる相手どうするんだよ? 根本的解決にはならないだろ」
「いやいや~、恋人が出来れば自然と他の男も大丈夫になるでしょう」
アズサの言うとおりかもしれない。確かにそれならいずれは男性嫌いを克服するかもしれないがやはり問題となるのは相手の男性を誰にするかだ。
「男性嫌いだと好みとかの噂を聞けないし。結局無理だろ」
断って正解だろ。そんな感じで話は終わりかと思っていたら、
「話は聞かせてもらったわ!」
2階からルイが声高々に降りてきた。
「レオナさんはわたしがフリーの時にお世話になった人だからあたしに任せなさい」
そう言って胸を叩くルイに、
「それじゃ、任せる。頼りにしてるぞ。ルイ」
◇
カフェでコーヒーを飲みながらレオナを待つルイの前に1人の女性が来た。
「お忙しい中お時間いただき、ありがとうございます」
ルイの前に現れた相手こそ、レオナ・ドルドである。紫髪のロングにスレンダー体型のカッコイイ系の美人だ。年齢はリュウガと同い年位だろうか。
「いや、気にするな。ギルドは違うとはいえ君の事は今でも可愛い後輩だとおもっているのだから」
優しく微笑む。
(こんな優しい笑顔が女性相手なら出来るのに何で男性が相手になると厳しい顔になるのかなぁ?)
ルイがお世話になっていた頃、レオナが男性相手に話してるのを見ると普段とはかけ離れた冷たい目をしていたのだ。あれには心底肝が冷えた。
「それで? 話というのは何だ?」
今回の要件であるレオナの異性の好みを聞くには流石に段階を踏まえなければ怪しまれる。それに今の関係を壊したくもない。ルイは予め用意していた言葉を吐き出す。
「実は、お父様から婚約の話を毎日聞かされてうんざりしているのですがどうすれば良いですかね?」
嘘ではない。これはガチの話である。自分の話をしつつこの後レオナの恋愛事情を聞く、これがルイの作戦である。
「ほう? 確かに四大貴族のご令嬢ともなるとその手の話は尽きないだろう。だが良いのか? ワタシが相談相手で?」
「当たり前じゃないですか。あなたにとってわたしが後輩であるようにあなたはわたしの尊敬する先輩なんですから」
そう言って微笑む。
「そうか、君にそう言って貰えて嬉しいよ。なら期待には応えてあげないとね」
そう言ってレオナは考えを口にした。
「2つかな? ワタシの考えは。それだけでも良いかい?」
「充分です。お願いします」
身を乗り出して聞く。
「1つ目は好きな人がいるといって適当な男の名前を上げる。例えばギルドのメンバーとかな。2つ目、自分より強い男を連れてくるように言う。君の実力なら生半可な男では歯が立たないだろうからね」
成程と、納得する。今度そうしよう。そう決意していよいよ本題へと移る。
「ご意見ありがとうございます。わたしの婚約の話をしてふと思ったのですがレオナさんは恋人はやはり作らないんですか。美人なのに勿体ない」
煽てながらも少し緊張する。
(流れを作ったとはいえ男性嫌いのレオナさんにこの手の話をするのは不味いよね)
そんな内心を知ってか知らずかレオナは、
「フフッ、君もギルドのメンバー達のようにワタシの恋バナを聞きたがるとはね」
どうやら大丈夫らしい。笑ってくれてはいる、が声に若干の苛立ちがある。
「知ってのとおりワタシは男性が嫌いでね。こればかりはどうしようもないのさ。だからワタシに恋バナは無理だよ」
それじゃあね、そう言ってカフェから出て行こうとする。会計の伝票を持って。
「支払いは済ませておくよ」
そのカッコいい姿勢に自然とカフェにいた、客達は男女問わず顔を赤くしていた。ルイも例外でない。
(は~、あたしもあぁなりたい)
結局レオナから異性の好みを聞き出す事は出来なかったが放心していたルイはギルドに帰るまでその事を忘れていた。
◇
「ただいま、皆」
「「「「おかえりなさい、レオナお姉様」」」」
薔薇の花園へと帰って来たレオナに黄色い返事が返ってくる。レオナがいるといつもこうなる。薔薇の花園の日常風景。そんな歓声にも似た返事を受けレオナは、
(はぁ~♡ 本っ当に皆可愛いな~♡)
カッコいい微笑みからは想像もつかないほどにデレデレしていた。ルイと話していた時も実はずっとである。そう、この女レオナ・ドルドは女性が大好きなのである。likeではなくloveの方で。つまりは同性愛者なのである。薔薇の花園に所属しているのもこのハーレムを味わうためなのである。
(久しぶりに会ったけどルイちゃんは相変わらず活発な感じで可愛いかったな~♡)
この内心を隠し続けてもう数十年にもなるのだから本当に凄い。いやここまでくると恐ろしい。
(本当はルイちゃんの事連れて来たかったけど流石に他のギルドの子だからな~)
なんて事を考えていたらしい。そんな彼女の胸中を知る者はギルドマスターと彼女に性的に喰われた女性メンバー達だけである。
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