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18話 聖槍
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「ドラゴン討伐の依頼が総本部から出ましたが誰か受けますか?」
ドラゴン討伐依頼はSランクしか受けられないため自然とリュウガ、ルイ、ゴウの誰かになるがドラゴン討伐はSランク冒険者でも単独で行けば死ぬ。その事をゴウはブリザード大陸で仲間を失ったゴウが1番良く知っている。そうなってくるとこの依頼は、
「俺が殺る」
リュウガが受けるしかない。単独でリヴァイアサン、フェンリルと戦えるバケモノなのだから当然の流れなのだが、
「あたしに任せて」
ルイが横から口を挟んだ。その顔はやる気に満ちている。
「じゃあ任せる。行ってこい」
自分からやると言ったがあっさりと任せてくれたサブマスターに面食らってしまったが準備を済ませてドラゴン討伐へとルイは向かって行った。そんなルイの背中を不安そうに見ていたマイが、
「いいの? ルイに任せて?」
リュウガに問いかける。
「本人がやるって言ってんだ、その意思を尊重しようぜ」
「その通りだけど」
マイの不安な顔は消えない。そんなマイに、
「俺が彼女の様子を見てきますよ」
ゴウから提案が出された。
「うん! お願いするよ!」
ゴウはルイの後を追う。その背に、
「ゴウ! お前は手を出すなよ! ルイにやらせろ。あいつが死にそうになったらあいつを連れて離脱しろ。後で俺が殺るから」
リュウガからの命令に片手を挙げて了解の意を示して走り出した。
~ルイside~
最近、自分の弱さが嫌になる。リヴァイアサン、剣聖、暗殺者と負けてばかりいる。サブマスターは相手が悪いとは言っていたがそんな問題ではない。聖槍を持っていながらその性能を引き出せていない。聖剣と聖槍はどちらも過去の使い手がドラゴンを討伐した実績がある武器だ。性能に差があるはずがない。使い手の問題だ。だからこそ、自分を鍛え上げてきた。ギルドで他の冒険者との手合わせ、Aランクモンスターの討伐とやってきた。そんな時に来たのが今回のドラゴン討伐依頼。今の自分が討伐出来るかギリギリの相手。それを果たして自分は成長してみせる。そんな想いを胸にルイはドラゴン討伐に向かうのであった。そして、
「来たわね!」
グゥオオー!
そんな咆哮と共に大地に降り立つは今回の討伐対象のレッドドラゴン。紅い鱗がギラギラと光る炎を操るドラゴンだ。火山地帯に生息する筈なのだが最近住処を変えたのか国内に頻繁に現れる様になったらしい。
「喰らえ!」
ルイは聖槍に魔力を込めて突く。レッドドラゴンとはまだ距離があったが魔力を込めて放たれた突きはレッドドラゴンの翼を貫通する。翼に穴を空けられた怒りから火球が放たれるもそれを斬り払いで難なく凌ぐ。その様子に、
(順調そうだな)
少し離れた所からゴウがルイの様子を見守る。
(それでも相手はドラゴン。油断はするなよ、ルイ)
戦いはドンドンヒートアップしていく。ルイは聖槍による突きでもう片方の翼にも穴を空けて機動力を奪う事には成功したが、それ以外の部位は鱗が硬すぎて遠距離からでは傷を負わせれそうにない。だからといって接近を試みると炎のブレスで接近を許さない。仮に接近出来ても魔力を込めた本気の一撃を放つ前に爪による攻撃が邪魔をする。
(このままじゃキリがないわね)
一か八かで本気の一撃を放つか、そんな考えが頭に過るが、
(そんな特攻をかましたらまたあいつにバカ呼ばわりされるわよね)
いつも自分をバカ呼ばわりするサブマスターの顔が浮かび改めて状況を確認する。
(あたしも決定打を打てずにいるけど向こうもあたしを仕留める事が出来ずにいる。加えて翼には穴が空いて機動力は奪った。こっちが有利。後は本気の一撃を急所である首か心臓に叩き込めるかどうかが勝負を決めるわね)
レッドドラゴンの攻撃を躱しながら考えていると、いきなり攻撃が止んだため、ドラゴンを見ると様子が変だ。天を仰いでいる。
「チャンス!」
レッドドラゴンの首を狙える。そう判断して聖槍に魔力を込めながら走り出す。だがその行動はあまりにも迂闊だった。
「逃げろ! ルイ!」
ゴウが叫ぶ。その声は集中したルイには届かない。
(殺った!)
ルイが繰り出した突きはかつてリヴァイアサンに放った時よりも鋭く重い一撃だ。そんなルイに向けてレッドドラゴンは渾身のブレスを放つ。
(不味い!?)
そう思ったがもう止まらない。炎が身体を包む。それでも、
「負けてたまるかぁぁぁぁ!!」
身体が燃えている。熱い。それでも自分は運命の宿木所属のSランク冒険者にして聖槍使いだ、と奮起する。そのルイの気持ちに呼応するかの如く聖槍が黄金に輝き出す。その輝きはルイを炎から守る。そして、
ドォーン!!
まるで大砲でも放ったかのような音とともにレッドドラゴンの顔を貫通した。
「勝った」
フラフラになってはいるが確かにルイはレッドドラゴンを討伐した。これでドラゴンを単独討伐したのは国内で3人となった。
「サブマスターにこれで認められる」
そう言い倒れそうになるところをゴウが受け止める。
「サブマスターは前から認めていると思うよ」
気絶したルイにはその声は届いてない筈だがその顔はどこか嬉しそうにしている。
ドラゴン討伐依頼はSランクしか受けられないため自然とリュウガ、ルイ、ゴウの誰かになるがドラゴン討伐はSランク冒険者でも単独で行けば死ぬ。その事をゴウはブリザード大陸で仲間を失ったゴウが1番良く知っている。そうなってくるとこの依頼は、
「俺が殺る」
リュウガが受けるしかない。単独でリヴァイアサン、フェンリルと戦えるバケモノなのだから当然の流れなのだが、
「あたしに任せて」
ルイが横から口を挟んだ。その顔はやる気に満ちている。
「じゃあ任せる。行ってこい」
自分からやると言ったがあっさりと任せてくれたサブマスターに面食らってしまったが準備を済ませてドラゴン討伐へとルイは向かって行った。そんなルイの背中を不安そうに見ていたマイが、
「いいの? ルイに任せて?」
リュウガに問いかける。
「本人がやるって言ってんだ、その意思を尊重しようぜ」
「その通りだけど」
マイの不安な顔は消えない。そんなマイに、
「俺が彼女の様子を見てきますよ」
ゴウから提案が出された。
「うん! お願いするよ!」
ゴウはルイの後を追う。その背に、
「ゴウ! お前は手を出すなよ! ルイにやらせろ。あいつが死にそうになったらあいつを連れて離脱しろ。後で俺が殺るから」
リュウガからの命令に片手を挙げて了解の意を示して走り出した。
~ルイside~
最近、自分の弱さが嫌になる。リヴァイアサン、剣聖、暗殺者と負けてばかりいる。サブマスターは相手が悪いとは言っていたがそんな問題ではない。聖槍を持っていながらその性能を引き出せていない。聖剣と聖槍はどちらも過去の使い手がドラゴンを討伐した実績がある武器だ。性能に差があるはずがない。使い手の問題だ。だからこそ、自分を鍛え上げてきた。ギルドで他の冒険者との手合わせ、Aランクモンスターの討伐とやってきた。そんな時に来たのが今回のドラゴン討伐依頼。今の自分が討伐出来るかギリギリの相手。それを果たして自分は成長してみせる。そんな想いを胸にルイはドラゴン討伐に向かうのであった。そして、
「来たわね!」
グゥオオー!
そんな咆哮と共に大地に降り立つは今回の討伐対象のレッドドラゴン。紅い鱗がギラギラと光る炎を操るドラゴンだ。火山地帯に生息する筈なのだが最近住処を変えたのか国内に頻繁に現れる様になったらしい。
「喰らえ!」
ルイは聖槍に魔力を込めて突く。レッドドラゴンとはまだ距離があったが魔力を込めて放たれた突きはレッドドラゴンの翼を貫通する。翼に穴を空けられた怒りから火球が放たれるもそれを斬り払いで難なく凌ぐ。その様子に、
(順調そうだな)
少し離れた所からゴウがルイの様子を見守る。
(それでも相手はドラゴン。油断はするなよ、ルイ)
戦いはドンドンヒートアップしていく。ルイは聖槍による突きでもう片方の翼にも穴を空けて機動力を奪う事には成功したが、それ以外の部位は鱗が硬すぎて遠距離からでは傷を負わせれそうにない。だからといって接近を試みると炎のブレスで接近を許さない。仮に接近出来ても魔力を込めた本気の一撃を放つ前に爪による攻撃が邪魔をする。
(このままじゃキリがないわね)
一か八かで本気の一撃を放つか、そんな考えが頭に過るが、
(そんな特攻をかましたらまたあいつにバカ呼ばわりされるわよね)
いつも自分をバカ呼ばわりするサブマスターの顔が浮かび改めて状況を確認する。
(あたしも決定打を打てずにいるけど向こうもあたしを仕留める事が出来ずにいる。加えて翼には穴が空いて機動力は奪った。こっちが有利。後は本気の一撃を急所である首か心臓に叩き込めるかどうかが勝負を決めるわね)
レッドドラゴンの攻撃を躱しながら考えていると、いきなり攻撃が止んだため、ドラゴンを見ると様子が変だ。天を仰いでいる。
「チャンス!」
レッドドラゴンの首を狙える。そう判断して聖槍に魔力を込めながら走り出す。だがその行動はあまりにも迂闊だった。
「逃げろ! ルイ!」
ゴウが叫ぶ。その声は集中したルイには届かない。
(殺った!)
ルイが繰り出した突きはかつてリヴァイアサンに放った時よりも鋭く重い一撃だ。そんなルイに向けてレッドドラゴンは渾身のブレスを放つ。
(不味い!?)
そう思ったがもう止まらない。炎が身体を包む。それでも、
「負けてたまるかぁぁぁぁ!!」
身体が燃えている。熱い。それでも自分は運命の宿木所属のSランク冒険者にして聖槍使いだ、と奮起する。そのルイの気持ちに呼応するかの如く聖槍が黄金に輝き出す。その輝きはルイを炎から守る。そして、
ドォーン!!
まるで大砲でも放ったかのような音とともにレッドドラゴンの顔を貫通した。
「勝った」
フラフラになってはいるが確かにルイはレッドドラゴンを討伐した。これでドラゴンを単独討伐したのは国内で3人となった。
「サブマスターにこれで認められる」
そう言い倒れそうになるところをゴウが受け止める。
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