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第4話 霊感少女、カンニングを自白す? 前編
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中間試験が始まると、クラスの雰囲気は一変する。
普段、勉強をしない奴も、直前だけはもがき、何とかそこそこの点を取ろうとするからだ。
だが、俺にそんなことは関係ない。
一夜漬けや徹夜での追い込みなんてものとは無縁に過ごし、正々堂々と自分の学力を示すつもりだ。
その結果が、たとえ赤点であっても、その方が潔いと思うのは、俺だけだろうか?
大体、何のために勉強するんだろう?
俺は、とりあえず高卒の肩書きがあれば、特に困らない人生設計を持っている。
剣道に打ち込み、一生を剣道に捧げるからだ。
剣道をやって生きて行くには、道は、警察か自衛隊、教師の三択となっている。
全日本選手権に出場している各県の代表を見てくれ。
必ず、この三択に当てはまるのだから……。
まあ、教員免許を取るのには大卒以上の経歴が必要なので無理として、警官や自衛官なら、贅沢を言わなきゃ普通になれる。
だから、俺は無駄な勉強はしない。
それに、剣道をやっていると、警官になるための試験で加点がもらえるんだぜ。
だったら、勉強より、とりあえず部活が大事だろう?
もし、警官がダメでも、試験なんてない自衛官って道が残されているし、万全の人生設計と言って過言でないのだ。
こんなに計画的に生きている俺なのに、思い通りにならないこともあったりする。
その中で一番重要なのが、大伴花の口を封じること……。
俺は席替えをしてからもう二週間が経つと言うのに、一向にミッションを完了出来ないでいる。
あいつ、一昨日も朝のHR前に、
「宏太の初恋は、幼稚園のときじゃったのう。ミオちゃんと言う、三つ編みの似合う子じゃったよ」
などと、いつも昼休みに弁当を食べているメンバーの前で言い出しやがった。
俺が、慌てて止めようとすると、
「ふむ……、近藤さん。あんたはミオちゃんに面影が似ておる。どうじゃ、宏太の嫁にならんか?」
なんて言うじゃないか。
……って言うか、こんなこと、本当に祖父ちゃんが言っているのか?
どうしてそんなことまで知ってるんだよ。
おまけに、散々暴露しておいて、最後には、
「……と、結城君のお祖父さんが仰っておられるわ」
で、すべて誤魔化すんだから始末が悪い。
ただ、妙なことを言われた近藤が怒っていないことだけは、不幸中の幸いだった。
近藤は大伴の発言に慣れているんだろうな。
それに、俺が一方的に被害者であるから、同情的に見てくれているのかも知れない。
こんな事件があったからには、俺が動揺しまくるのはいたしかたがないところだろう?
おかげで、一昨日の現国と数学の試験は、ボロボロだった。
精神統一して、気合い十分でのぞまなかったら、選択肢問題の的中率が落ちるじゃないか。
現国の藤木先生は、名前をしっかり漢字で書きさえすれば10点くれるから、どうやっても赤点にはならないけど、数学は担任の村上先生だからなあ……。
きっと、容赦なく赤点にされるに違いない。
まあ、良い……。
堂々と追試を受けるよ。
大伴が悪いんだが、俺は他人のせいになんかしない。
なあ……、祖父ちゃん。
何事も修行だよな?
そうそう……。
数学の試験で思い出したよ。
あいつ……。
大伴花が、ちょっと変だったんだ。
あっ、勘違いするなよ。
大伴が変なのはいつものことだからな。
俺が敢えて変って言っているのは、いつもの変さと違う変だったからだ。
数学の試験の間中、あいつ、やたらと鼻息が荒かったんだよ。
「ふんっ、はーっ……。ふんっ、はーっ……」
って、感じでさ。
大伴って、いつもは、いるのかいないのか分からない奴なんだ。
特に、授業中は生きてるのか死んでるのか分からないくらい静かでさ。
まあ、そう言う奴が突然、背中からナイフで刺すような発言をするから、ダメージが大きいんだけどさ。
俺、あまりにも鼻息が荒いんで、悪い病気にでもかかっているんじゃないかと思ったくらいなんだぞ。
だけど、帰りのHRのときにはいつも通りだったけどな。
「結城と牧田、赤点だ。明後日、数学の追試を受けに来るように」
村上先生の声が、クラス中に響いた。
……って言うか、普通、答案の返却は各教科のときにするもんじゃないのか?
いくら担任だからと言って、わざわざ帰りのHRで返すことはないじゃないか。
それに、嫌みったらしく点数の低い順に読み上げながら返すのもやめてくれよな。
まあ、俺はメンタルが強いから大丈夫だが、男のくせに気の弱い牧田なんか、可哀想に下を向いてるじゃないか。
牧田も赤点か。
だけど、気にすることなんてないぜ。
追試を受ければ良いだけなんだからな。
経験豊富な俺が、あとで心構えを教えてやるぜ。
悲喜交々……。
皆、返却された答案用紙を見て、思うところがあるようだな。
おっ、近藤は85点で、長谷川が87点か。
あいつら、カワイイ上に成績も良いなんて、どういうことなんだ?
ああ……、田中はさすがだな。
93点を取るとは、やっぱいつもガリ勉してる奴は違うぜ。
ほら、見ろ。
珍しく、田中が笑ってるぜ。
「大伴……。よく頑張ったな、100点だ」
「……、……」
「大伴は他の教科はいつも満点なのに、数学だけは苦手だったな。しっかり苦手教科を克服するなんて、偉いぞ」
「……、……」
ひゃ、100点……。
お、大伴……。
おまえ、どっかおかしいんじゃないか?
他の教科が出来るのは知っていたけど、苦手も克服しちまうって、凄過ぎだろ。
こりゃあ、村上先生が褒めるのも無理ないな。
だけど、おまえ、なんでそんなに寂しそうな顔をしてるんだ?
俺、今まで一度もそんな顔見たことないぞ。
……って、おい、目が潤んでるじゃないか。
どうした、目にゴミでも入ったのか?
「起立っ……。礼」
「明日で試験も終わりだからな。寄り道せず、家でしっかり勉強するんだぞ」
HRが終わっちまった。
だけど、まだ大伴は答案用紙を見ながら、うつむいてる。
ま、マジでどうしたんだ?
腹でも痛いのか?
それとも、100点取った喜びを、おまえなりに表現しているだけか?
「大伴……、どうした? 100点取って、嬉しくないのか?」
「……、……」
村上先生も異変に気づいたのか、近寄って大伴に話しかけてる。
だけど、大伴はまったく反応しないで、うつむいたままだ。
「勉強法を変えたのか? それにしても、よく頑張ったな。先生、大伴が一生懸命やっているのは知っていた。だけど、なかなか数学だけは結果が出てなかったから心配してたんだ」
「……、……」
「80点を取るのと、100点を取るのでは、倍以上の努力が必要だしな」
「先生……」
「んっ? 何だ」
「私も数学の追試を受けます」
「追試? どうして100点の大伴が受けるんだ? 最近、仲が良い結城が可哀想だと思うのなら筋違いだぞ。結城には結城のやるべきことが……」
「私……。数学の試験でカンニングをしましたので……」
「な、何ぃっ?」
「……、……」
どっひゃーーーっ!
大伴、そりゃあ、まずいぜ。
いくら試験で良い点が取りたかったからって、そいつは人の道に外れてるぞっ!
そう言うの、祖父ちゃんが超嫌いなことだから、こっぴどく説教されたのか?
普段、勉強をしない奴も、直前だけはもがき、何とかそこそこの点を取ろうとするからだ。
だが、俺にそんなことは関係ない。
一夜漬けや徹夜での追い込みなんてものとは無縁に過ごし、正々堂々と自分の学力を示すつもりだ。
その結果が、たとえ赤点であっても、その方が潔いと思うのは、俺だけだろうか?
大体、何のために勉強するんだろう?
俺は、とりあえず高卒の肩書きがあれば、特に困らない人生設計を持っている。
剣道に打ち込み、一生を剣道に捧げるからだ。
剣道をやって生きて行くには、道は、警察か自衛隊、教師の三択となっている。
全日本選手権に出場している各県の代表を見てくれ。
必ず、この三択に当てはまるのだから……。
まあ、教員免許を取るのには大卒以上の経歴が必要なので無理として、警官や自衛官なら、贅沢を言わなきゃ普通になれる。
だから、俺は無駄な勉強はしない。
それに、剣道をやっていると、警官になるための試験で加点がもらえるんだぜ。
だったら、勉強より、とりあえず部活が大事だろう?
もし、警官がダメでも、試験なんてない自衛官って道が残されているし、万全の人生設計と言って過言でないのだ。
こんなに計画的に生きている俺なのに、思い通りにならないこともあったりする。
その中で一番重要なのが、大伴花の口を封じること……。
俺は席替えをしてからもう二週間が経つと言うのに、一向にミッションを完了出来ないでいる。
あいつ、一昨日も朝のHR前に、
「宏太の初恋は、幼稚園のときじゃったのう。ミオちゃんと言う、三つ編みの似合う子じゃったよ」
などと、いつも昼休みに弁当を食べているメンバーの前で言い出しやがった。
俺が、慌てて止めようとすると、
「ふむ……、近藤さん。あんたはミオちゃんに面影が似ておる。どうじゃ、宏太の嫁にならんか?」
なんて言うじゃないか。
……って言うか、こんなこと、本当に祖父ちゃんが言っているのか?
どうしてそんなことまで知ってるんだよ。
おまけに、散々暴露しておいて、最後には、
「……と、結城君のお祖父さんが仰っておられるわ」
で、すべて誤魔化すんだから始末が悪い。
ただ、妙なことを言われた近藤が怒っていないことだけは、不幸中の幸いだった。
近藤は大伴の発言に慣れているんだろうな。
それに、俺が一方的に被害者であるから、同情的に見てくれているのかも知れない。
こんな事件があったからには、俺が動揺しまくるのはいたしかたがないところだろう?
おかげで、一昨日の現国と数学の試験は、ボロボロだった。
精神統一して、気合い十分でのぞまなかったら、選択肢問題の的中率が落ちるじゃないか。
現国の藤木先生は、名前をしっかり漢字で書きさえすれば10点くれるから、どうやっても赤点にはならないけど、数学は担任の村上先生だからなあ……。
きっと、容赦なく赤点にされるに違いない。
まあ、良い……。
堂々と追試を受けるよ。
大伴が悪いんだが、俺は他人のせいになんかしない。
なあ……、祖父ちゃん。
何事も修行だよな?
そうそう……。
数学の試験で思い出したよ。
あいつ……。
大伴花が、ちょっと変だったんだ。
あっ、勘違いするなよ。
大伴が変なのはいつものことだからな。
俺が敢えて変って言っているのは、いつもの変さと違う変だったからだ。
数学の試験の間中、あいつ、やたらと鼻息が荒かったんだよ。
「ふんっ、はーっ……。ふんっ、はーっ……」
って、感じでさ。
大伴って、いつもは、いるのかいないのか分からない奴なんだ。
特に、授業中は生きてるのか死んでるのか分からないくらい静かでさ。
まあ、そう言う奴が突然、背中からナイフで刺すような発言をするから、ダメージが大きいんだけどさ。
俺、あまりにも鼻息が荒いんで、悪い病気にでもかかっているんじゃないかと思ったくらいなんだぞ。
だけど、帰りのHRのときにはいつも通りだったけどな。
「結城と牧田、赤点だ。明後日、数学の追試を受けに来るように」
村上先生の声が、クラス中に響いた。
……って言うか、普通、答案の返却は各教科のときにするもんじゃないのか?
いくら担任だからと言って、わざわざ帰りのHRで返すことはないじゃないか。
それに、嫌みったらしく点数の低い順に読み上げながら返すのもやめてくれよな。
まあ、俺はメンタルが強いから大丈夫だが、男のくせに気の弱い牧田なんか、可哀想に下を向いてるじゃないか。
牧田も赤点か。
だけど、気にすることなんてないぜ。
追試を受ければ良いだけなんだからな。
経験豊富な俺が、あとで心構えを教えてやるぜ。
悲喜交々……。
皆、返却された答案用紙を見て、思うところがあるようだな。
おっ、近藤は85点で、長谷川が87点か。
あいつら、カワイイ上に成績も良いなんて、どういうことなんだ?
ああ……、田中はさすがだな。
93点を取るとは、やっぱいつもガリ勉してる奴は違うぜ。
ほら、見ろ。
珍しく、田中が笑ってるぜ。
「大伴……。よく頑張ったな、100点だ」
「……、……」
「大伴は他の教科はいつも満点なのに、数学だけは苦手だったな。しっかり苦手教科を克服するなんて、偉いぞ」
「……、……」
ひゃ、100点……。
お、大伴……。
おまえ、どっかおかしいんじゃないか?
他の教科が出来るのは知っていたけど、苦手も克服しちまうって、凄過ぎだろ。
こりゃあ、村上先生が褒めるのも無理ないな。
だけど、おまえ、なんでそんなに寂しそうな顔をしてるんだ?
俺、今まで一度もそんな顔見たことないぞ。
……って、おい、目が潤んでるじゃないか。
どうした、目にゴミでも入ったのか?
「起立っ……。礼」
「明日で試験も終わりだからな。寄り道せず、家でしっかり勉強するんだぞ」
HRが終わっちまった。
だけど、まだ大伴は答案用紙を見ながら、うつむいてる。
ま、マジでどうしたんだ?
腹でも痛いのか?
それとも、100点取った喜びを、おまえなりに表現しているだけか?
「大伴……、どうした? 100点取って、嬉しくないのか?」
「……、……」
村上先生も異変に気づいたのか、近寄って大伴に話しかけてる。
だけど、大伴はまったく反応しないで、うつむいたままだ。
「勉強法を変えたのか? それにしても、よく頑張ったな。先生、大伴が一生懸命やっているのは知っていた。だけど、なかなか数学だけは結果が出てなかったから心配してたんだ」
「……、……」
「80点を取るのと、100点を取るのでは、倍以上の努力が必要だしな」
「先生……」
「んっ? 何だ」
「私も数学の追試を受けます」
「追試? どうして100点の大伴が受けるんだ? 最近、仲が良い結城が可哀想だと思うのなら筋違いだぞ。結城には結城のやるべきことが……」
「私……。数学の試験でカンニングをしましたので……」
「な、何ぃっ?」
「……、……」
どっひゃーーーっ!
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