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第22話 プライバシーを侵害された件〜前編〜
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僕は駅前のコンビニに寄って漫画雑誌を買った。お釣りを受け取って出ようとした僕の目に、カウンターに平積みになったアダルト雑誌がとまった。表紙に堂々と僕が載っているからだ。
「ふぇぇ⁉︎」
そのアダルト雑誌の表紙を見た途端、僕は困惑した。
表紙の写真の周囲には、赤や黄色のド派手な文字で、『進化するセックス・テクニック』だとか『AVアナルセックス大特集』だとか『首都圏ナンパの名所』だとか『レイプしても罪に問われない方法とは⁉︎』とかいった見出しが躍っていて、この雑誌がひたすらΩの性を売り物にした雑誌であることを語っていた。
慌てて雑誌を手に取って、表紙をめくる。
僕は嫌な予感に捕らわれながら、おそるおそるページを開いていくと、そこに写っているのは紛れもなく僕だった。
自分の写真を目にした瞬間、僕は恥ずかしさと恐怖のあまり、急いでパタッと雑誌を閉じて周囲を見回してしまった。
それはオールヌードの写真だった。
僕の親が業界屈指のカメラマンを雇って、娼夫のカタログ写真を撮った時の写真が何故こんな雑誌に載っているのか全然わからない。
胸をドキドキさせながら、もう一度ページを開いて、残りの写真を見てみる。
そこに写っている僕はベッドに横たわって脚を大きく開き、股間を堂々と見せつけていたり、床に膝をついて、四つん這いになってお尻を向け、カメラに変態的なまなざしを投げかけていたりした。
僕は、とてもこれが自分自身だとは思いたくなかった。そこにいるのは、大胆に、男たちを誘惑している淫乱なΩだ。被写体は自分なのだから、確かにカメラの前でこういうポーズを取ったはずなのだが、あの日、いつ自分がこんな格好をしたのか、はっきりした記憶がなかった。
だが、それも仕方ない。親の有無を言わせぬ強引なやり方に翻弄されて、僕は無我夢中で要求に従っていただけなのだから。
数ページにわたる写真の中には、一護くんとセックスする前に撮ったものだけでなく、セックスの後に撮られたと思われる、寝乱れて、しどけない格好でベッドに横たわっているものもあった。
もちろん、読者は、それが本当にセックスした後の姿だとは思わないだろうけれど、僕にしてみれば、そんな写真を不特定多数の人の目に晒すというのは、顔から火が出るほど恥ずかしく、できることなら、今からでも、こんな雑誌なんか全部回収してしまいたいくらいだった。
次のページには、僕のデータが細大もらさず載っている。住所はもちろん、趣味やら通っている学校まで書いてある。まるで芸能人扱いだ。
「あの毒親にはプライバシーという概念がないんじゃなかろうか……」
そう呟く僕の背筋に寒いモノが走った。
ーーー
次の日、学校に登校したら正門前がとんでもないことになっていた。
僕の身体目当ての男たちやカメラ小僧の群れに、登校してきた生徒が加わり、パニックになっていた。
校舎の方から教師が十数人、群れに突撃していった。
「どうやら始まったようだぜ! こりゃあ、面白くなってきたぞwww」
完全に他人事感が半端ない野次馬たちはこの状況を見事なまでに楽しんでいた。
乱入した教師が、自校の生徒たちを正門の中に引きずり込んで、鉄の門を閉めようとする。しかし、男たちが叫びながら正門に殺到する。
「アオイくんとヤラせろ!」
「Ωなんかレイプされるうちが花だろ~ッ!」
「アオイくんとセックスするためだけにオナ禁してきたんだぞ!」
「あうあうあ~ッ!」
目を血走らせた男たちに押され、鉄の門がギシギシときしんだ次の瞬間、学校の正門が倒れてしまった。
「さあ、同士たちよ! レイプショータイムだwww」
のちに今回の事件は僕の名前を取って『アオイショック』と呼称されることになる――。
一護くんのオートバイの後ろに乗りながら僕は遠目から暴徒と化した男たちをただ呆然と見ていた。
「こりゃあ、いったん引き返した方が良さそうだなぁ~」
一護くんは僕に再度ヘルメットを差し出す。
渡されたヘルメットを被り直すと、僕は両腕で一護くんの体を力いっぱい抱き締める。
「うへへ、アオイの体温が直に伝わってくるぜ♡ そんじゃ、しっかりつかまってろよ~」
ブオオオオオ~!!!
一瞬の加速とかすかなGが僕の身体にかかる。そして左右の風景が、色の帯になって後ろに流れていく。
ーーー
海からくる潮風を、僕は深く吸い込む。
「学校、行けなくなっちゃったね」
僕は喜びと不安が混じり合った不思議な気持ちで海岸の堤防の上に立っていた。
「一体ありゃ、何の騒ぎだったんだ?」
一護くんが問いかける。
僕は自分が表紙に載っている雑誌を差し出す。
「こりゃ……アオイじゃねえか! ここに載ってる写真は確か娼館でカタログ写真を撮った時のやつだなぁ。なるほど、これを見て俺のアオイに欲情した連中がハイエナのようにうじゃうじゃ来たってわけか」
一護くんが驚きの声をあげながら雑誌を開く。そこには淫靡な僕の写真やデータが載っていた。
「ふぇぇ⁉︎」
そのアダルト雑誌の表紙を見た途端、僕は困惑した。
表紙の写真の周囲には、赤や黄色のド派手な文字で、『進化するセックス・テクニック』だとか『AVアナルセックス大特集』だとか『首都圏ナンパの名所』だとか『レイプしても罪に問われない方法とは⁉︎』とかいった見出しが躍っていて、この雑誌がひたすらΩの性を売り物にした雑誌であることを語っていた。
慌てて雑誌を手に取って、表紙をめくる。
僕は嫌な予感に捕らわれながら、おそるおそるページを開いていくと、そこに写っているのは紛れもなく僕だった。
自分の写真を目にした瞬間、僕は恥ずかしさと恐怖のあまり、急いでパタッと雑誌を閉じて周囲を見回してしまった。
それはオールヌードの写真だった。
僕の親が業界屈指のカメラマンを雇って、娼夫のカタログ写真を撮った時の写真が何故こんな雑誌に載っているのか全然わからない。
胸をドキドキさせながら、もう一度ページを開いて、残りの写真を見てみる。
そこに写っている僕はベッドに横たわって脚を大きく開き、股間を堂々と見せつけていたり、床に膝をついて、四つん這いになってお尻を向け、カメラに変態的なまなざしを投げかけていたりした。
僕は、とてもこれが自分自身だとは思いたくなかった。そこにいるのは、大胆に、男たちを誘惑している淫乱なΩだ。被写体は自分なのだから、確かにカメラの前でこういうポーズを取ったはずなのだが、あの日、いつ自分がこんな格好をしたのか、はっきりした記憶がなかった。
だが、それも仕方ない。親の有無を言わせぬ強引なやり方に翻弄されて、僕は無我夢中で要求に従っていただけなのだから。
数ページにわたる写真の中には、一護くんとセックスする前に撮ったものだけでなく、セックスの後に撮られたと思われる、寝乱れて、しどけない格好でベッドに横たわっているものもあった。
もちろん、読者は、それが本当にセックスした後の姿だとは思わないだろうけれど、僕にしてみれば、そんな写真を不特定多数の人の目に晒すというのは、顔から火が出るほど恥ずかしく、できることなら、今からでも、こんな雑誌なんか全部回収してしまいたいくらいだった。
次のページには、僕のデータが細大もらさず載っている。住所はもちろん、趣味やら通っている学校まで書いてある。まるで芸能人扱いだ。
「あの毒親にはプライバシーという概念がないんじゃなかろうか……」
そう呟く僕の背筋に寒いモノが走った。
ーーー
次の日、学校に登校したら正門前がとんでもないことになっていた。
僕の身体目当ての男たちやカメラ小僧の群れに、登校してきた生徒が加わり、パニックになっていた。
校舎の方から教師が十数人、群れに突撃していった。
「どうやら始まったようだぜ! こりゃあ、面白くなってきたぞwww」
完全に他人事感が半端ない野次馬たちはこの状況を見事なまでに楽しんでいた。
乱入した教師が、自校の生徒たちを正門の中に引きずり込んで、鉄の門を閉めようとする。しかし、男たちが叫びながら正門に殺到する。
「アオイくんとヤラせろ!」
「Ωなんかレイプされるうちが花だろ~ッ!」
「アオイくんとセックスするためだけにオナ禁してきたんだぞ!」
「あうあうあ~ッ!」
目を血走らせた男たちに押され、鉄の門がギシギシときしんだ次の瞬間、学校の正門が倒れてしまった。
「さあ、同士たちよ! レイプショータイムだwww」
のちに今回の事件は僕の名前を取って『アオイショック』と呼称されることになる――。
一護くんのオートバイの後ろに乗りながら僕は遠目から暴徒と化した男たちをただ呆然と見ていた。
「こりゃあ、いったん引き返した方が良さそうだなぁ~」
一護くんは僕に再度ヘルメットを差し出す。
渡されたヘルメットを被り直すと、僕は両腕で一護くんの体を力いっぱい抱き締める。
「うへへ、アオイの体温が直に伝わってくるぜ♡ そんじゃ、しっかりつかまってろよ~」
ブオオオオオ~!!!
一瞬の加速とかすかなGが僕の身体にかかる。そして左右の風景が、色の帯になって後ろに流れていく。
ーーー
海からくる潮風を、僕は深く吸い込む。
「学校、行けなくなっちゃったね」
僕は喜びと不安が混じり合った不思議な気持ちで海岸の堤防の上に立っていた。
「一体ありゃ、何の騒ぎだったんだ?」
一護くんが問いかける。
僕は自分が表紙に載っている雑誌を差し出す。
「こりゃ……アオイじゃねえか! ここに載ってる写真は確か娼館でカタログ写真を撮った時のやつだなぁ。なるほど、これを見て俺のアオイに欲情した連中がハイエナのようにうじゃうじゃ来たってわけか」
一護くんが驚きの声をあげながら雑誌を開く。そこには淫靡な僕の写真やデータが載っていた。
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