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11 触手自慰
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前回、夢の中で絵路井先生の古い知り合いだと豪語するアギトと出会った僕は悶々としながら絵路井先生と矢馬井先生の昔話に耳を傾けていた。
「今頃、クウガはどこで何をしてるんだろうなぁ?」
「クウガなら充分立派になったし、私たちが去った後も異世界の平和は守られ続けるよ」
アギト以外にもクウガという人物が絵路井先生らと共に異世界を冒険していたらしい。クウガも絵路井先生と特別な関係にあったのだろうか。
「矢馬井先生はクウガと大の仲良しだったからね。どうせなら向こうに残れば良かったのに」
「う~ん、たまにそう思う時がなくもないなぁ」
クウガとかいう謎の人物が矢馬井先生と仲良しだったことが分かり、ホッと一安心した。
「どこに行っても絵路井先生は超モテモテだったけど、ぼくは異世界ぶらり旅してた頃しか青春と呼べる時代はなかったよ」
「矢馬井先生は大学時代から変わり者だったからね。でも、裏では矢馬井先生のファンも結構いたよ」
今度は大学時代の話になり、ますます話題に入り辛くなった。
僕は大学をドロップアウトしているため、本来ならば絵路井先生たちと肩を並べられるだけの身分ではない。
話題は次々と移り変わり、やがて家族の話になると2人は昔話に花を咲かせる。
「昔は絵路井先生のお父さんに連れられて色んな所へ遊びに行ったよなぁ」
「あぁ、懐かしいね。オヤジのヤツ、相変わらず世界中を飛び回ってるよ。矢馬井先生のお兄さんは今もナンパに勤しんでるの?」
「それが今では所帯持ちでさ。異世界から帰還して実家に戻ったら親子3代で暮らしてて超ビックリしたよ」
「私も実家に帰ったら近所の人たちがワラワラ集まってきて、お見合いさせようと画策するから参ったよぉ~」
僕の知らなかった頃の絵路井先生のこと、僕と瓜二つであるアギトのこと。別に知らなくてもいいことなのに、どうしてこんなにも心が騒つくんだろうか。
絵路井先生と知り合って未だ数ヶ月。
僕が絵路井先生について知っていることなんてほんの僅かだ。精神科医でセックスが上手で僕のことを大事にしてくれていること以外何も知らない。
昔の絵路井先生、今の絵路井先生、そして何よりこれから先の絵路井先生全てを自分のものにしたくてたまらなかった。
結局、今日は絵路井先生とろくに話をすることはなかった。
家に帰っても僕の中で燻るモヤモヤは消えることなく、心の深くまで侵食していく。
やがて心が弱まり、消してはいけない大切な感情が消えかかる。
なくしてはいけない感情が僕の中から消えていくのに対抗するように、心の奥底で誰かが必死に訴えかけてきた。
『――迷った時は内なる自分の心の声に従って』
声が聞こえた瞬間、邪悪と欲望と快楽が入り混じった空気が僕を包む。
すると僕の身体には不安の触手が絡みついていた。僕の素肌に絡みつくペニス型の不安の触手はヌメヌメと濡れていた。
それは胸に絡みつき、乳首を吸引して妖しく蠢く。
ぱっくり開いた僕の中から、か細い喘ぎ声が漏れた。
不快感はなく、気持ちが良かった。
僕の快楽の隙をつくように、不安の触手は胸から腹部を滑り降りて、股間へと向かっていった。
「あッ、ああ……」
僕は愛撫を望んでいた。たとえ薄気味悪い触手の愛撫であろうと、気持ち良ければいい。快楽をくれるなら誰でも良かった。
不安の触手が、いきなり細分化した。細くなった無数の触手が僕の恥部に吸いつくと、コイル線ぐらいの細さの触手が一気に侵入する。
「あうう……ああうう~」
表面に取りついた細かい触手が意志を持って快楽の部位を探す。僕が一番感じる部分をサーチして一斉に触手が動く。
「あッ、そこは~⁉︎」
どくどくとした触手の動きと、僕の太腿の動きがシンクロした。
僕の腰がクネクネと動き、身体がかかえきれない快楽で爆発しそうになった。
「あぁ、もうダメぇ~ッ!!!」
僕の内部で不安の触手が暴れる。イカせることだけをインプットされた有機生物は僕の中で完璧な動きをした。流れ出る愛液が触手を更に活性化させる。もう触手のなすがままだった。勃起したところが吸われる。
「イクイクイク、イックぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
僕は不安を包蔵しながら悦楽に溺れた。
大きく開いた唇から涎を垂らしながら僕の脳味噌は卑猥な色でうねるのだった。
ーーー
ベッドの上にいた僕は勢いよく上半身を起こした。自分の部屋のベッドの上で寝ていたことを思い出すまでに数分かかった。
どうやら夢を見ていたらしい。
「迷った時は内なる自分の心の声に従えか……」
上京してから、あまり思い出したくない事が色々あって何か基本どうでもいいと思っていた。
けれど絵路井先生と出会ってから少しずつ少しずつ自分の中の何かが変わってきた。
僕が今、一番向き合わなきゃいけないのは自分自身なのかもしれない。
再び僕は新天地を求めて一歩前に進む決意をするのであった。
「今頃、クウガはどこで何をしてるんだろうなぁ?」
「クウガなら充分立派になったし、私たちが去った後も異世界の平和は守られ続けるよ」
アギト以外にもクウガという人物が絵路井先生らと共に異世界を冒険していたらしい。クウガも絵路井先生と特別な関係にあったのだろうか。
「矢馬井先生はクウガと大の仲良しだったからね。どうせなら向こうに残れば良かったのに」
「う~ん、たまにそう思う時がなくもないなぁ」
クウガとかいう謎の人物が矢馬井先生と仲良しだったことが分かり、ホッと一安心した。
「どこに行っても絵路井先生は超モテモテだったけど、ぼくは異世界ぶらり旅してた頃しか青春と呼べる時代はなかったよ」
「矢馬井先生は大学時代から変わり者だったからね。でも、裏では矢馬井先生のファンも結構いたよ」
今度は大学時代の話になり、ますます話題に入り辛くなった。
僕は大学をドロップアウトしているため、本来ならば絵路井先生たちと肩を並べられるだけの身分ではない。
話題は次々と移り変わり、やがて家族の話になると2人は昔話に花を咲かせる。
「昔は絵路井先生のお父さんに連れられて色んな所へ遊びに行ったよなぁ」
「あぁ、懐かしいね。オヤジのヤツ、相変わらず世界中を飛び回ってるよ。矢馬井先生のお兄さんは今もナンパに勤しんでるの?」
「それが今では所帯持ちでさ。異世界から帰還して実家に戻ったら親子3代で暮らしてて超ビックリしたよ」
「私も実家に帰ったら近所の人たちがワラワラ集まってきて、お見合いさせようと画策するから参ったよぉ~」
僕の知らなかった頃の絵路井先生のこと、僕と瓜二つであるアギトのこと。別に知らなくてもいいことなのに、どうしてこんなにも心が騒つくんだろうか。
絵路井先生と知り合って未だ数ヶ月。
僕が絵路井先生について知っていることなんてほんの僅かだ。精神科医でセックスが上手で僕のことを大事にしてくれていること以外何も知らない。
昔の絵路井先生、今の絵路井先生、そして何よりこれから先の絵路井先生全てを自分のものにしたくてたまらなかった。
結局、今日は絵路井先生とろくに話をすることはなかった。
家に帰っても僕の中で燻るモヤモヤは消えることなく、心の深くまで侵食していく。
やがて心が弱まり、消してはいけない大切な感情が消えかかる。
なくしてはいけない感情が僕の中から消えていくのに対抗するように、心の奥底で誰かが必死に訴えかけてきた。
『――迷った時は内なる自分の心の声に従って』
声が聞こえた瞬間、邪悪と欲望と快楽が入り混じった空気が僕を包む。
すると僕の身体には不安の触手が絡みついていた。僕の素肌に絡みつくペニス型の不安の触手はヌメヌメと濡れていた。
それは胸に絡みつき、乳首を吸引して妖しく蠢く。
ぱっくり開いた僕の中から、か細い喘ぎ声が漏れた。
不快感はなく、気持ちが良かった。
僕の快楽の隙をつくように、不安の触手は胸から腹部を滑り降りて、股間へと向かっていった。
「あッ、ああ……」
僕は愛撫を望んでいた。たとえ薄気味悪い触手の愛撫であろうと、気持ち良ければいい。快楽をくれるなら誰でも良かった。
不安の触手が、いきなり細分化した。細くなった無数の触手が僕の恥部に吸いつくと、コイル線ぐらいの細さの触手が一気に侵入する。
「あうう……ああうう~」
表面に取りついた細かい触手が意志を持って快楽の部位を探す。僕が一番感じる部分をサーチして一斉に触手が動く。
「あッ、そこは~⁉︎」
どくどくとした触手の動きと、僕の太腿の動きがシンクロした。
僕の腰がクネクネと動き、身体がかかえきれない快楽で爆発しそうになった。
「あぁ、もうダメぇ~ッ!!!」
僕の内部で不安の触手が暴れる。イカせることだけをインプットされた有機生物は僕の中で完璧な動きをした。流れ出る愛液が触手を更に活性化させる。もう触手のなすがままだった。勃起したところが吸われる。
「イクイクイク、イックぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
僕は不安を包蔵しながら悦楽に溺れた。
大きく開いた唇から涎を垂らしながら僕の脳味噌は卑猥な色でうねるのだった。
ーーー
ベッドの上にいた僕は勢いよく上半身を起こした。自分の部屋のベッドの上で寝ていたことを思い出すまでに数分かかった。
どうやら夢を見ていたらしい。
「迷った時は内なる自分の心の声に従えか……」
上京してから、あまり思い出したくない事が色々あって何か基本どうでもいいと思っていた。
けれど絵路井先生と出会ってから少しずつ少しずつ自分の中の何かが変わってきた。
僕が今、一番向き合わなきゃいけないのは自分自身なのかもしれない。
再び僕は新天地を求めて一歩前に進む決意をするのであった。
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