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第6話 オレ、男に戻れそうにない模様
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「……ここは?」
オレは見慣れた天井を見上げながら思考する。
重たい瞼を擦りながら、もう一度辺りを確認した。
どうやら自宅に戻っていたようだった。
「……あれ、いつの間に帰ったんだろう?」
帰ってきた記憶が全くない。一体全体どうやって自宅まで戻って来れたのだろうか。
頭をフル稼働して自分の記憶を辿ってみる。
ブルセラショップで店員のキモオヤジに犯されそうになった後の記憶が完全に抜け落ちていた。
もしかして犯されたショックで気を失ったのだろうか。ぺたぺたと自分の身体を触ってみる。
痛みもなく手も脚も動かせる。
「……なんともない」
見た感じ、外傷はないようだった。
「気がついたようじゃなwww」
聞き覚えのある耳障りなダミ声がした方を振り向くと、いつの間にかベッドの傍らにデブ神がいた。
「うわぁ~、びっくりした⁉︎」
久々に会ったせいでデブ神と認識するまでは魑魅魍魎の類かと本気で勘違いしてしまい、思わず愕然としてしまった。
「こらこら、まるで妖怪でも見たような顔をするのはやめい!」
「いや、妖怪みたいなもんだろ……」
「まったく、女になっても口の減らんヤツじゃの。ワシが助けんかったら、今頃お前はキモオヤジの肉人形にされとったというのに……」
意外にもオレのピンチを救ってくれたのは世にも醜い妖怪……ではなくデブ神だったらしい。その事実に驚愕したオレは素直に感謝の意を伝える。
「助けてくれてありがとう……」
「ほほう、貴様がワシに礼を言うとは驚きじゃな。どうやら相当怖かったと見受けられるwww」
「あぁ、怖かったよ。女になってから一番……いや、男だった頃の人生を含めても、あそこまでの恐怖体験はなかったと思う……」
当初は数少ない女の特権を行使して人生をイージーに出来ればと考えていたが、結果的にはトラウマになるほど心に深い傷を負ってしまった。もう金輪際男とは関わらないように生きていこうとオレは固く心に誓う。
「女として生きることの大変さが身に染みて分かったことじゃろう。どうじゃ、反省して自分の人生をもう一度やり直す気になったか?」
「人生をやり直す? どゆこと?」
デブ神の真意が全く分かっていないオレは質問に質問で返した。
「御主、本当に頭悪いのう。ワシが何でお前を女にしたのか全く分かっとらんようじゃな」
「それは分かってるよ。女の大変さを理解することで女を尊ぶ精神を養うためだろ?」
「その通り。だが、それは通過点に過ぎん。女になった経験から学んだことを今後の人生に生かしてもらいたかったんじゃ」
「今後の人生?……よく分かんないけど男に戻してくれるの?」
壊滅的に理解力のないオレにデブ神は臭い溜息をつきながら呆れ果てる。
「今の貴様を男に戻しても全くもって成長の見込みはなさそうじゃな。やはり引き続き暫くは女として生きるがいいぞよwww」
「ちょっと、待って! 男に戻せとは言わないけど、せめて何かしらアドバイスをくれよ。オレはどうすれば許されるんだ?」
悪臭を漂わせるデブ神の肢体に縋り付くと、オレは必死に教えを請う。
「やれやれ、わざわざ口頭で説明しなければ理解できんとは知能が低いにも程があるのうwww」
「いやはや、知能が低いのは生まれつきでね。子供の頃から頭がすこぶる悪いと親や教師から言われて育ったもんだよ」
オレの自虐的な言に納得したデブ神は呆れながらも本心を語る。
「今のお前を男に戻しても女になった時の苦しみなど速攻で忘れて再び女に暴虐の限りを尽くすであろう。ワシは神として貴様の歪んだジェンダー観をとことん正し、薫陶する義務がある。自他共に認める聖人君子になるまで男には戻れぬと心得よ」
「いやいや、それじゃ男に一生戻れねえだろうがwww」
「ならば、せいぜい女らしく慎ましやかに生きることじゃな。女として生きておれば、そのうち自分が男であったことも忘れることじゃろうwww」
そう言うと、デブ神は高笑いしながらオレの許から瞬時に姿を消すのであった。
ーーー
実は女になってからオレは同性とのコミュニケーションにもかなり悪戦苦闘していた。
男だった頃から薄々思っていたことだが、やたらめったら女は男の話で盛り上がる。
ぶっちゃけ、中身は男のままのオレにとって女同士の会話は拷問だった。
彼氏じゃなくて彼女が欲しかったんだと声を大にして言いたいが、デブ神によって性別のみ過去改変されてしまったオレが少し前まで男だったことを知る者などこの世にいない。
「はぁ……どいつもこいつも彼氏やら男友達やら男の教師の話ばっかりでウンザリだよ……」
女になってから一つ分かったことがある。それは女という生き物が男以上に異性の『序列』や『階級』を注視していることだ。
男は異性の見た目や年齢、服や髪型などのファッションを重視するが、それ以外のことは気にも留めない。
極端な話、重度の知的障害を抱えていても上記の条件を満たした女ならば男から好意を得られる可能性があるということだ。逆に言えば、重度の知的障害を抱えた男はどう足掻こうと異性から恋愛対象にされることは未来永劫ない。何故なら死ぬまでアンダークラスからは逃れられない宿命にあるからだ。
「女って残酷だなぁ……」
一生を底辺の世界で過ごすしか道がないオレがモテなかったのは当然の帰結と言える。
放課後、男に戻っても何一つ人生いいことがないと悟ったオレは誰かに話しかけられる前にさっさと下校することにした。
「あら、童手井さん。どこへ行く気かしら?」
一瞬動揺したが、話しかけてきたのが女らしさゼロの男っ気のない貴腐寺院さんだと分かって安堵した。
「あぁ、ごめん。今日はもう帰るよ。なんだか疲れてて……」
「あら、そう。それなら一緒に帰りましょう♡」
そう言うと、貴腐寺院さんはオレの手を握って歩き始めた。
「ねえ、もしかして童手井さんって同性が苦手なタイプ?」
不意の質問に暫し狼狽したが、オレはありのままの本音を言うことにした。
「実は人間関係全般が苦手で同性同士でも上手く話せない時があるんだ。どうしようもないコミュ障で御免……」
「私だってコミュ障よ。男相手でも女同士でも人間関係って難しいわ……」
オレの言に心底共感してくれた貴腐寺院さんは耳元で囁くように言った。
「私たちって似た者同士ね。実は随分前から童手井さんのことが気になってたんだけど、自分から上手く切り出せなかったの。ようやく少しばかり仲良くなれたって感じで嬉しいわ♡」
顔を近づけて話す貴腐寺院さんの顔をまじまじと見つめてしまう。格好や髪型は微塵も女らしさを感じさせないが、その点を改善してダサい黒縁メガネを外せば美人の部類に入れるだけのポテンシャルがあると感じた。
「えっと……貴腐寺院さんも女の子らしくしたら凄くモテそうだよね。なんかドキドキしちゃったよ♡」
身体は女でも内面はバリバリの童貞であるオレにとって女子と手を繋いで歩くシチュエーションは脳内ファンタジーの世界でしかあり得ない夢物語だった。だが、今はそれが現実で起こっていることにオレは心底感動していた。
「あ~ら、童手井さんこそ女らしくしたらどうなの? つか、私の彼女になりなさいよ♡」
そう言うと、貴腐寺院さんはオレの耳朶を甘噛みする。
「――あぁ~ん♡」
突然の不意打ちを食らったオレは胸のときめきが爆発して思わず妙ちきりんな声を上げてしまう。
「あらあら、可愛い声なんか出したりして私を誘ってるのかしら♡」
オレは貴腐寺院さんに手を引かれ、引き摺られるようにお持ち帰りされるのだった。
ーーー
「えっと……ゴミ捨て場かな?」
「失礼しちゃうわ! ここが私の住んでる家よwww」
目の前の悪臭を放つゴミ屋敷を見てオレは大層ドン引きしてしまった。
「何でこうなっちゃったの?」
「お、女にだって家事が苦手な人間はいくらでもいるんだからね!」
いや、さすがに男でも家を超弩級のゴミ屋敷にリフォームしてしまう程の物臭者はなかなかいないだろう。女子力皆無なんてレベルを軽く超え、もはや人間としてアウトな領域にまで足を踏み入れていることにオレは驚愕してしまう。
「貴腐寺院さん……もう少し女子力をつけようよ。オレ……いや、私も頑張るからさ」
「女子力(物理)なら同性の中でもトップクラスよwww」
だんだん貴腐寺院さんのことがよく分かってきたオレは喪女のリアルな生態を次々と目撃していくことになる。
「はぁ……どうしようかしら?」
人間の住処とは到底考えられないゴミ屋敷に足を踏み入れたオレたちの目の前には腰の辺りまで詰まれた洗濯物の山があった。
「明日の着る物にも困るレベルで参っちゃうわ。最近では家でも制服のままなのwww」
貴腐寺院さんは一人暮らしのようで誰も世話をしてくれる人がいないらしい。
「これだけ量があると、全然やる気が湧かなくてさ。母親がいれば、その辺に脱ぎ散らかしといても勝手に洗濯して干しといてもらえるんだけどwww」
貴腐寺院さんの言に開いた口が塞がらなくなった。オレでさえ洗濯物くらい自分で洗濯機に入れて洗い終わった後は自分で干して乾いたら自分で仕舞うというのに……。
「でも、自分のことは自分でやった方がいいよ。どれだけ気が進まなくても……」
「誰か私の代わりにやってくれる人がいれば有難いんだけどなぁ~♡」
貴腐寺院さんはチラチラと物欲しそうな顔でこちらを見やる。
「うん、手伝うから一緒に綺麗にしようか」
「わぁ~い、ありがとう♡」
こうして季節外れの大掃除が始まるのであった。
オレは見慣れた天井を見上げながら思考する。
重たい瞼を擦りながら、もう一度辺りを確認した。
どうやら自宅に戻っていたようだった。
「……あれ、いつの間に帰ったんだろう?」
帰ってきた記憶が全くない。一体全体どうやって自宅まで戻って来れたのだろうか。
頭をフル稼働して自分の記憶を辿ってみる。
ブルセラショップで店員のキモオヤジに犯されそうになった後の記憶が完全に抜け落ちていた。
もしかして犯されたショックで気を失ったのだろうか。ぺたぺたと自分の身体を触ってみる。
痛みもなく手も脚も動かせる。
「……なんともない」
見た感じ、外傷はないようだった。
「気がついたようじゃなwww」
聞き覚えのある耳障りなダミ声がした方を振り向くと、いつの間にかベッドの傍らにデブ神がいた。
「うわぁ~、びっくりした⁉︎」
久々に会ったせいでデブ神と認識するまでは魑魅魍魎の類かと本気で勘違いしてしまい、思わず愕然としてしまった。
「こらこら、まるで妖怪でも見たような顔をするのはやめい!」
「いや、妖怪みたいなもんだろ……」
「まったく、女になっても口の減らんヤツじゃの。ワシが助けんかったら、今頃お前はキモオヤジの肉人形にされとったというのに……」
意外にもオレのピンチを救ってくれたのは世にも醜い妖怪……ではなくデブ神だったらしい。その事実に驚愕したオレは素直に感謝の意を伝える。
「助けてくれてありがとう……」
「ほほう、貴様がワシに礼を言うとは驚きじゃな。どうやら相当怖かったと見受けられるwww」
「あぁ、怖かったよ。女になってから一番……いや、男だった頃の人生を含めても、あそこまでの恐怖体験はなかったと思う……」
当初は数少ない女の特権を行使して人生をイージーに出来ればと考えていたが、結果的にはトラウマになるほど心に深い傷を負ってしまった。もう金輪際男とは関わらないように生きていこうとオレは固く心に誓う。
「女として生きることの大変さが身に染みて分かったことじゃろう。どうじゃ、反省して自分の人生をもう一度やり直す気になったか?」
「人生をやり直す? どゆこと?」
デブ神の真意が全く分かっていないオレは質問に質問で返した。
「御主、本当に頭悪いのう。ワシが何でお前を女にしたのか全く分かっとらんようじゃな」
「それは分かってるよ。女の大変さを理解することで女を尊ぶ精神を養うためだろ?」
「その通り。だが、それは通過点に過ぎん。女になった経験から学んだことを今後の人生に生かしてもらいたかったんじゃ」
「今後の人生?……よく分かんないけど男に戻してくれるの?」
壊滅的に理解力のないオレにデブ神は臭い溜息をつきながら呆れ果てる。
「今の貴様を男に戻しても全くもって成長の見込みはなさそうじゃな。やはり引き続き暫くは女として生きるがいいぞよwww」
「ちょっと、待って! 男に戻せとは言わないけど、せめて何かしらアドバイスをくれよ。オレはどうすれば許されるんだ?」
悪臭を漂わせるデブ神の肢体に縋り付くと、オレは必死に教えを請う。
「やれやれ、わざわざ口頭で説明しなければ理解できんとは知能が低いにも程があるのうwww」
「いやはや、知能が低いのは生まれつきでね。子供の頃から頭がすこぶる悪いと親や教師から言われて育ったもんだよ」
オレの自虐的な言に納得したデブ神は呆れながらも本心を語る。
「今のお前を男に戻しても女になった時の苦しみなど速攻で忘れて再び女に暴虐の限りを尽くすであろう。ワシは神として貴様の歪んだジェンダー観をとことん正し、薫陶する義務がある。自他共に認める聖人君子になるまで男には戻れぬと心得よ」
「いやいや、それじゃ男に一生戻れねえだろうがwww」
「ならば、せいぜい女らしく慎ましやかに生きることじゃな。女として生きておれば、そのうち自分が男であったことも忘れることじゃろうwww」
そう言うと、デブ神は高笑いしながらオレの許から瞬時に姿を消すのであった。
ーーー
実は女になってからオレは同性とのコミュニケーションにもかなり悪戦苦闘していた。
男だった頃から薄々思っていたことだが、やたらめったら女は男の話で盛り上がる。
ぶっちゃけ、中身は男のままのオレにとって女同士の会話は拷問だった。
彼氏じゃなくて彼女が欲しかったんだと声を大にして言いたいが、デブ神によって性別のみ過去改変されてしまったオレが少し前まで男だったことを知る者などこの世にいない。
「はぁ……どいつもこいつも彼氏やら男友達やら男の教師の話ばっかりでウンザリだよ……」
女になってから一つ分かったことがある。それは女という生き物が男以上に異性の『序列』や『階級』を注視していることだ。
男は異性の見た目や年齢、服や髪型などのファッションを重視するが、それ以外のことは気にも留めない。
極端な話、重度の知的障害を抱えていても上記の条件を満たした女ならば男から好意を得られる可能性があるということだ。逆に言えば、重度の知的障害を抱えた男はどう足掻こうと異性から恋愛対象にされることは未来永劫ない。何故なら死ぬまでアンダークラスからは逃れられない宿命にあるからだ。
「女って残酷だなぁ……」
一生を底辺の世界で過ごすしか道がないオレがモテなかったのは当然の帰結と言える。
放課後、男に戻っても何一つ人生いいことがないと悟ったオレは誰かに話しかけられる前にさっさと下校することにした。
「あら、童手井さん。どこへ行く気かしら?」
一瞬動揺したが、話しかけてきたのが女らしさゼロの男っ気のない貴腐寺院さんだと分かって安堵した。
「あぁ、ごめん。今日はもう帰るよ。なんだか疲れてて……」
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「ねえ、もしかして童手井さんって同性が苦手なタイプ?」
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「実は人間関係全般が苦手で同性同士でも上手く話せない時があるんだ。どうしようもないコミュ障で御免……」
「私だってコミュ障よ。男相手でも女同士でも人間関係って難しいわ……」
オレの言に心底共感してくれた貴腐寺院さんは耳元で囁くように言った。
「私たちって似た者同士ね。実は随分前から童手井さんのことが気になってたんだけど、自分から上手く切り出せなかったの。ようやく少しばかり仲良くなれたって感じで嬉しいわ♡」
顔を近づけて話す貴腐寺院さんの顔をまじまじと見つめてしまう。格好や髪型は微塵も女らしさを感じさせないが、その点を改善してダサい黒縁メガネを外せば美人の部類に入れるだけのポテンシャルがあると感じた。
「えっと……貴腐寺院さんも女の子らしくしたら凄くモテそうだよね。なんかドキドキしちゃったよ♡」
身体は女でも内面はバリバリの童貞であるオレにとって女子と手を繋いで歩くシチュエーションは脳内ファンタジーの世界でしかあり得ない夢物語だった。だが、今はそれが現実で起こっていることにオレは心底感動していた。
「あ~ら、童手井さんこそ女らしくしたらどうなの? つか、私の彼女になりなさいよ♡」
そう言うと、貴腐寺院さんはオレの耳朶を甘噛みする。
「――あぁ~ん♡」
突然の不意打ちを食らったオレは胸のときめきが爆発して思わず妙ちきりんな声を上げてしまう。
「あらあら、可愛い声なんか出したりして私を誘ってるのかしら♡」
オレは貴腐寺院さんに手を引かれ、引き摺られるようにお持ち帰りされるのだった。
ーーー
「えっと……ゴミ捨て場かな?」
「失礼しちゃうわ! ここが私の住んでる家よwww」
目の前の悪臭を放つゴミ屋敷を見てオレは大層ドン引きしてしまった。
「何でこうなっちゃったの?」
「お、女にだって家事が苦手な人間はいくらでもいるんだからね!」
いや、さすがに男でも家を超弩級のゴミ屋敷にリフォームしてしまう程の物臭者はなかなかいないだろう。女子力皆無なんてレベルを軽く超え、もはや人間としてアウトな領域にまで足を踏み入れていることにオレは驚愕してしまう。
「貴腐寺院さん……もう少し女子力をつけようよ。オレ……いや、私も頑張るからさ」
「女子力(物理)なら同性の中でもトップクラスよwww」
だんだん貴腐寺院さんのことがよく分かってきたオレは喪女のリアルな生態を次々と目撃していくことになる。
「はぁ……どうしようかしら?」
人間の住処とは到底考えられないゴミ屋敷に足を踏み入れたオレたちの目の前には腰の辺りまで詰まれた洗濯物の山があった。
「明日の着る物にも困るレベルで参っちゃうわ。最近では家でも制服のままなのwww」
貴腐寺院さんは一人暮らしのようで誰も世話をしてくれる人がいないらしい。
「これだけ量があると、全然やる気が湧かなくてさ。母親がいれば、その辺に脱ぎ散らかしといても勝手に洗濯して干しといてもらえるんだけどwww」
貴腐寺院さんの言に開いた口が塞がらなくなった。オレでさえ洗濯物くらい自分で洗濯機に入れて洗い終わった後は自分で干して乾いたら自分で仕舞うというのに……。
「でも、自分のことは自分でやった方がいいよ。どれだけ気が進まなくても……」
「誰か私の代わりにやってくれる人がいれば有難いんだけどなぁ~♡」
貴腐寺院さんはチラチラと物欲しそうな顔でこちらを見やる。
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