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第4話 女の人生、ハードすぎる模様
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僅か一日女として生活しただけで男からの性暴力や差別的な待遇に女がどれほど警戒して生きなければならないのか、オレは肌で理解した。
帰ったらデブ神をとっちめてやろうと意気込んでいると、帰りのホームルームが始まった。
「最近、学校付近で性犯罪が多発しているらしい。よって女子は当分の間、部活動を禁止とする。以上、解散」
放課後は貴腐寺院さんから護身術の手ほどきを受けるはずだったのに男共のせいで予定が潰れてしまった。
「そんな、あんまりです! もうすぐ大会が近い子だっているのに女子だけ部活動の機会を奪われるなんて不公平です!」
貴腐寺院さんの抗議に担任のハゲ教師は面倒くさそうに応答する。
「とは言ってもね、これは決定事項なんだよ。それに女子の部活動なんか誰も期待してないし、男子と違って大した成果も出せないでしょ。いいから、とっとと帰んなさい」
ハゲ教師は適当にその場を切り上げると、そそくさと教室を後にした。
「何よ、あの態度! ムカつく~、女だと思って下に見てるわね。そもそも性犯罪者の男共のせいで女の方が制限されるなんて男尊女卑にも程があるわ!」
貴腐寺院さんの言にオレは思わずハッとなる。今まで無自覚に女側が性被害に遭わないよう努力すべきだと思っていたが、本来ならば元凶である男側がどうにかすべき問題なのだ。こんな当たり前すぎることにさえ気づけないほど自分が男尊女卑を内面化していたことにオレは呆れ返った。
「やれやれ、男っていい御身分よね。いつだって都合の悪いことは女に押し付けて、自分さえ悠々自適に暮らせれば平気で女に我慢を強いるんだから。そんなヤツらが手綱を握ってる国なんて今すぐ滅んでなくなればいいのに……」
ぐうの音も出ない程の正論を言う貴腐寺院さんにオレは畏敬の念を抱いた。
貴腐寺院さんのような慧眼の持ち主が上に立てば今よりもっと社会は良くなるはずだが、残念ながら遺伝子レベルで男尊女卑が染み付いている我が国では所詮叶わぬ夢だろう。
ハゲ教師からの指示を無視することにした貴腐寺院さんはオレは連れて柔道場に向かった。
放課後の柔道場では、いつものように男子部員たちが激しい稽古を行なっていた。
「おいおい、女子は部活禁止のはずだろ。何しに来たんだ?」
厳つい体育会系ゴリマッチョの男子部員が怪訝そうな顔で貴腐寺院さんに詰め寄る。オレは目の前のゴリマッチョの威圧感にビビってしまい、思わず貴腐寺院さんの後ろに隠れた。
「別にいいでしょ。私らのことは気にせず練習を続けてちょうだい」
そう言って柔道場に入る貴腐寺院さんをバカマッチョが集団で制止する。
「そうはいかねえな。生憎、女に使わせるスペースはないんでねwww」
「そもそも女に柔道は向いてねえんだよ。女の分際で身の程を弁えろやwww」
「女は女らしく男子部のマネージャーでもやってろwww」
貴腐寺院さんのような女傑相手にもバカマッチョ達はナチュラルな上から目線でマウントを取る。
「あ~ら、ただ男に生まれたというだけで随分と偉そうな物言いですこと。男基準でしか物事を認識できないような視野の狭いバカマッチョ君は女を下に見ることでしか哀れな自尊心を保てないのね、かわいそうにwww」
貴腐寺院さんに嘲られ、男のプライドを打ち砕かれたブサマッチョは実力行使に出た。
「女が生意気な口たたくんじゃねえ! 女という生き物が何のために生まれてきたかを徹底的に教えてくれるわwww」
貴腐寺院さんは襲いかかるブサマッチョに基本的な押さえ込みから腕がらみ、腕ひしぎ十字固めなどの関節技を決める。さらには送り襟絞め、三角絞めなどの絞め技を次々と炸裂させる。
「こ、この俺様が女ごときに翻弄されるなんて⁉︎」
「あ~ら、女という生き物が何のために生まれてきたのかを教えてくれるんじゃなかったの? あぁ、分かった。女は男を足蹴にして支配するために生まれてきたってことを教えたかったのね♡ なるほど、確かに男よりも女が上に立った方が世界は平和かもwww」
見下していた女よりも自分が弱かった現実に心底絶望したブサマッチョの男としてのアイデンティティは粉々に崩壊するのであった。
「女相手に何てこずってやがる! おれが仇を取ってやらぁぁ!」
「あらあら、どんなに女より力が強くても頭が悪かったら全てが台無しよwww」
「うるせぇ、クソアマ!」
背後からゴリマッチョが飛び掛かるタイミングに合せて、貴腐寺院さんは振り向きざまに上段回し蹴りをカウンターで放つ。
貴腐寺院さんの蹴りがゴリマッチョの顔面にクリーンヒットし、そのまま糸の切れた操り人形のように倒れるのだった。
大の男が2人も再起不能になり、他の男子部員はおどおどと後ずさった。
「ふふふ、女に負けるのが怖いのね。男って無意識に自分が女よりも万能な生き物だと思ってるみたいだけど、あの自信はどこから来るのかしらwww」
男性優位な世界だからこそ男は女相手にイキることが出来たわけだが、男女平等な社会では殆どの男は立つ瀬がなくなるだろう。
何を隠そうオレも男だった頃は男性特権に胡座をかいていたゆえ、女の高学歴化や社会進出には激しく抵抗があった。だって、何の取り柄もないオレみたいな無能の男は淘汰されてしまうのだから。まあ、女になった今のオレにはどうでもいい話だけど……。
ーーー
「デブ神~ッ!!! いたら返事しろ~ッ!!!」
家に帰ったオレは大声でデブ神に何度も呼びかけたが、全く返事はなかった。
「もぉ~、家の中でギャンギャン喚くのはやめなさい!」
デブ神を呼ぶ声のボリュームが大き過ぎたため、ママがオレの部屋に入ってきた。
「いや、別に騒いでたわけではないけど……」
「女の子なんだから、もっと慎ましくお淑やかになさい。そんなんだから、アンタは男に相手にされないのよ」
オレが男だった頃と変わらないノリでママは叱り始める。
以前のママなら「女児向けアニメなんか見てニヤニヤ喜んでるから、アンタは女に相手にされないのよwww」とか言いながらオレのキモオタ趣味をdisり始めていただろう。
自分が女になったことで見えていた世界は様変わりしたが、親子関係だけは何一つ変わることがなくて安心した。
「別に男に相手にされなくたっていいよ。むしろ男に戻って……いや、男になって女にモテないくらいかなぁwww」
ありのままの本音を言うと、ママは腹を抱えて笑い始める。
「ギャハハ、アンタみたいな何の取り柄もないゴミクズが男になったら余計モテなくなるに決まってるでしょwww」
「ですよね~、どうせ女だろうが男だろうがゴミクズに変わりないもんね……」
良くも悪くも実の母親だけあって息子のオレを骨の髄まで知り尽くしていた。
男だった頃のオレのダメさ加減を見れば誰もが呆れ返るくらいにクソな人生を歩んでると思うことであろう。そんな人生なら最初からなかった方がいいと思えるほどに――。
「まあ、女であろうが男であろうが、己の人生を自分自身で切り開くことが出来ない人間は何も得ずに終わるだけよ。不平不満だけを言ってたら、あっという間にお婆ちゃんなんだからwww」
まるで自分に言い聞かせるかのようにママは感慨深い面持ちでオレを諭す。
「ママは自分の人生を切り開けたの?」
不意の問いにママは少しばかり間を置いて話し始めた。
「女の子は自分の運命を男に委ねた瞬間、人生が決まってしまう性なの。そして男は女という名のトロフィーを獲得するために競争することを宿命づけられた性なわけ。あんたはまだ若いんだからトロフィーとしてはママより上等よ。人生を自力で切り開けなかったママの分も幸せになりなさい♡」
そう言うと、ママは儚げな笑みを浮かべて部屋から立ち去ろうとする。
次の瞬間、何故か無性に涙が止まらなくなったオレは思わずママの肢体をギュッと抱きしめていた。
「オレにとってママはトロフィーなんかと比べ物にならないほどの宝物だよ。だから自分を卑下しないで。男基準の物差しで自分の人生を評価しないで。女に生まれたからって自分の全てを男に合わせる必要なんかないんだから……」
男だった頃はママに甘えっぱなしで何一つ親孝行することがなかったオレが言っても説得力などないだろう。でも、言わずにはいられなかったのだ。
我ながら最低の偽善者だと自己嫌悪に陥ってしまう。そんなオレの心理を察知したかのようにママは頭を撫でてくれた。
「ママが男なんぞに振り回されるような柔な女じゃないってことぐらい知ってるでしょ。男の支配下で搾取されるだけの人生が嫌だからママはシングルマザーになったんだからwww」
そういえばママは超がつくほど自由奔放な人で離婚時には元旦那の顔面を血に染め上げていた。ママみたいな強い人になりたいと心底リスペクトしたものだ。
「ママみたいにオレもなりたいなぁ……」
「あ~ら、ママみたいな淑女になりたいなら一人称は『オレ』じゃなくて『私』にしなさい。それと生きるために必要な女らしさを身につけるのよ♡」
女らしくしても身体や気遣いを一方的に差し出すだけで男を増長させるだけだと思うが……。
「う~ん、女らしさを身につけても男に都合よく扱われるだけだから損じゃない?」
「男に尽くすための女らしさと、自分らしく生きるための女らしさは違うのよ。前者は単なる男尊女卑だけど、後者は女の特権をフル活用して人生を少しばかりイージーにする魔法よ。女は誰もが素敵な魔法使いになれるんだから♡」
「どうせなら魔法使いじゃなくてプ◯キュア的な変身ヒロインになって男相手に無双してみたいかなぁwww」
「ふふふ、女としての魔法を学べば男相手に無双することも夢じゃないわwww」
こうしてオレは実の母親から女が強かに生きる術を徹底的に身につけさせられるのだった。
帰ったらデブ神をとっちめてやろうと意気込んでいると、帰りのホームルームが始まった。
「最近、学校付近で性犯罪が多発しているらしい。よって女子は当分の間、部活動を禁止とする。以上、解散」
放課後は貴腐寺院さんから護身術の手ほどきを受けるはずだったのに男共のせいで予定が潰れてしまった。
「そんな、あんまりです! もうすぐ大会が近い子だっているのに女子だけ部活動の機会を奪われるなんて不公平です!」
貴腐寺院さんの抗議に担任のハゲ教師は面倒くさそうに応答する。
「とは言ってもね、これは決定事項なんだよ。それに女子の部活動なんか誰も期待してないし、男子と違って大した成果も出せないでしょ。いいから、とっとと帰んなさい」
ハゲ教師は適当にその場を切り上げると、そそくさと教室を後にした。
「何よ、あの態度! ムカつく~、女だと思って下に見てるわね。そもそも性犯罪者の男共のせいで女の方が制限されるなんて男尊女卑にも程があるわ!」
貴腐寺院さんの言にオレは思わずハッとなる。今まで無自覚に女側が性被害に遭わないよう努力すべきだと思っていたが、本来ならば元凶である男側がどうにかすべき問題なのだ。こんな当たり前すぎることにさえ気づけないほど自分が男尊女卑を内面化していたことにオレは呆れ返った。
「やれやれ、男っていい御身分よね。いつだって都合の悪いことは女に押し付けて、自分さえ悠々自適に暮らせれば平気で女に我慢を強いるんだから。そんなヤツらが手綱を握ってる国なんて今すぐ滅んでなくなればいいのに……」
ぐうの音も出ない程の正論を言う貴腐寺院さんにオレは畏敬の念を抱いた。
貴腐寺院さんのような慧眼の持ち主が上に立てば今よりもっと社会は良くなるはずだが、残念ながら遺伝子レベルで男尊女卑が染み付いている我が国では所詮叶わぬ夢だろう。
ハゲ教師からの指示を無視することにした貴腐寺院さんはオレは連れて柔道場に向かった。
放課後の柔道場では、いつものように男子部員たちが激しい稽古を行なっていた。
「おいおい、女子は部活禁止のはずだろ。何しに来たんだ?」
厳つい体育会系ゴリマッチョの男子部員が怪訝そうな顔で貴腐寺院さんに詰め寄る。オレは目の前のゴリマッチョの威圧感にビビってしまい、思わず貴腐寺院さんの後ろに隠れた。
「別にいいでしょ。私らのことは気にせず練習を続けてちょうだい」
そう言って柔道場に入る貴腐寺院さんをバカマッチョが集団で制止する。
「そうはいかねえな。生憎、女に使わせるスペースはないんでねwww」
「そもそも女に柔道は向いてねえんだよ。女の分際で身の程を弁えろやwww」
「女は女らしく男子部のマネージャーでもやってろwww」
貴腐寺院さんのような女傑相手にもバカマッチョ達はナチュラルな上から目線でマウントを取る。
「あ~ら、ただ男に生まれたというだけで随分と偉そうな物言いですこと。男基準でしか物事を認識できないような視野の狭いバカマッチョ君は女を下に見ることでしか哀れな自尊心を保てないのね、かわいそうにwww」
貴腐寺院さんに嘲られ、男のプライドを打ち砕かれたブサマッチョは実力行使に出た。
「女が生意気な口たたくんじゃねえ! 女という生き物が何のために生まれてきたかを徹底的に教えてくれるわwww」
貴腐寺院さんは襲いかかるブサマッチョに基本的な押さえ込みから腕がらみ、腕ひしぎ十字固めなどの関節技を決める。さらには送り襟絞め、三角絞めなどの絞め技を次々と炸裂させる。
「こ、この俺様が女ごときに翻弄されるなんて⁉︎」
「あ~ら、女という生き物が何のために生まれてきたのかを教えてくれるんじゃなかったの? あぁ、分かった。女は男を足蹴にして支配するために生まれてきたってことを教えたかったのね♡ なるほど、確かに男よりも女が上に立った方が世界は平和かもwww」
見下していた女よりも自分が弱かった現実に心底絶望したブサマッチョの男としてのアイデンティティは粉々に崩壊するのであった。
「女相手に何てこずってやがる! おれが仇を取ってやらぁぁ!」
「あらあら、どんなに女より力が強くても頭が悪かったら全てが台無しよwww」
「うるせぇ、クソアマ!」
背後からゴリマッチョが飛び掛かるタイミングに合せて、貴腐寺院さんは振り向きざまに上段回し蹴りをカウンターで放つ。
貴腐寺院さんの蹴りがゴリマッチョの顔面にクリーンヒットし、そのまま糸の切れた操り人形のように倒れるのだった。
大の男が2人も再起不能になり、他の男子部員はおどおどと後ずさった。
「ふふふ、女に負けるのが怖いのね。男って無意識に自分が女よりも万能な生き物だと思ってるみたいだけど、あの自信はどこから来るのかしらwww」
男性優位な世界だからこそ男は女相手にイキることが出来たわけだが、男女平等な社会では殆どの男は立つ瀬がなくなるだろう。
何を隠そうオレも男だった頃は男性特権に胡座をかいていたゆえ、女の高学歴化や社会進出には激しく抵抗があった。だって、何の取り柄もないオレみたいな無能の男は淘汰されてしまうのだから。まあ、女になった今のオレにはどうでもいい話だけど……。
ーーー
「デブ神~ッ!!! いたら返事しろ~ッ!!!」
家に帰ったオレは大声でデブ神に何度も呼びかけたが、全く返事はなかった。
「もぉ~、家の中でギャンギャン喚くのはやめなさい!」
デブ神を呼ぶ声のボリュームが大き過ぎたため、ママがオレの部屋に入ってきた。
「いや、別に騒いでたわけではないけど……」
「女の子なんだから、もっと慎ましくお淑やかになさい。そんなんだから、アンタは男に相手にされないのよ」
オレが男だった頃と変わらないノリでママは叱り始める。
以前のママなら「女児向けアニメなんか見てニヤニヤ喜んでるから、アンタは女に相手にされないのよwww」とか言いながらオレのキモオタ趣味をdisり始めていただろう。
自分が女になったことで見えていた世界は様変わりしたが、親子関係だけは何一つ変わることがなくて安心した。
「別に男に相手にされなくたっていいよ。むしろ男に戻って……いや、男になって女にモテないくらいかなぁwww」
ありのままの本音を言うと、ママは腹を抱えて笑い始める。
「ギャハハ、アンタみたいな何の取り柄もないゴミクズが男になったら余計モテなくなるに決まってるでしょwww」
「ですよね~、どうせ女だろうが男だろうがゴミクズに変わりないもんね……」
良くも悪くも実の母親だけあって息子のオレを骨の髄まで知り尽くしていた。
男だった頃のオレのダメさ加減を見れば誰もが呆れ返るくらいにクソな人生を歩んでると思うことであろう。そんな人生なら最初からなかった方がいいと思えるほどに――。
「まあ、女であろうが男であろうが、己の人生を自分自身で切り開くことが出来ない人間は何も得ずに終わるだけよ。不平不満だけを言ってたら、あっという間にお婆ちゃんなんだからwww」
まるで自分に言い聞かせるかのようにママは感慨深い面持ちでオレを諭す。
「ママは自分の人生を切り開けたの?」
不意の問いにママは少しばかり間を置いて話し始めた。
「女の子は自分の運命を男に委ねた瞬間、人生が決まってしまう性なの。そして男は女という名のトロフィーを獲得するために競争することを宿命づけられた性なわけ。あんたはまだ若いんだからトロフィーとしてはママより上等よ。人生を自力で切り開けなかったママの分も幸せになりなさい♡」
そう言うと、ママは儚げな笑みを浮かべて部屋から立ち去ろうとする。
次の瞬間、何故か無性に涙が止まらなくなったオレは思わずママの肢体をギュッと抱きしめていた。
「オレにとってママはトロフィーなんかと比べ物にならないほどの宝物だよ。だから自分を卑下しないで。男基準の物差しで自分の人生を評価しないで。女に生まれたからって自分の全てを男に合わせる必要なんかないんだから……」
男だった頃はママに甘えっぱなしで何一つ親孝行することがなかったオレが言っても説得力などないだろう。でも、言わずにはいられなかったのだ。
我ながら最低の偽善者だと自己嫌悪に陥ってしまう。そんなオレの心理を察知したかのようにママは頭を撫でてくれた。
「ママが男なんぞに振り回されるような柔な女じゃないってことぐらい知ってるでしょ。男の支配下で搾取されるだけの人生が嫌だからママはシングルマザーになったんだからwww」
そういえばママは超がつくほど自由奔放な人で離婚時には元旦那の顔面を血に染め上げていた。ママみたいな強い人になりたいと心底リスペクトしたものだ。
「ママみたいにオレもなりたいなぁ……」
「あ~ら、ママみたいな淑女になりたいなら一人称は『オレ』じゃなくて『私』にしなさい。それと生きるために必要な女らしさを身につけるのよ♡」
女らしくしても身体や気遣いを一方的に差し出すだけで男を増長させるだけだと思うが……。
「う~ん、女らしさを身につけても男に都合よく扱われるだけだから損じゃない?」
「男に尽くすための女らしさと、自分らしく生きるための女らしさは違うのよ。前者は単なる男尊女卑だけど、後者は女の特権をフル活用して人生を少しばかりイージーにする魔法よ。女は誰もが素敵な魔法使いになれるんだから♡」
「どうせなら魔法使いじゃなくてプ◯キュア的な変身ヒロインになって男相手に無双してみたいかなぁwww」
「ふふふ、女としての魔法を学べば男相手に無双することも夢じゃないわwww」
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