男だらけの変態異世界冒険譚

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日常編part④

最終回 輝く未来を抱きしめて

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「いつまで寝ているつもりだ。いい加減に起きろッ!」
「んぐッ⁉︎ うぅぅ……」


 頰に痛みを感じ、僕はとっさに頰を押さえようとした。
 だが、手が動かない。
 何か強烈な違和感を感じ、僕は急速に意識を覚醒させた。
 そこは僕の知らない場所だった。
 地下牢のような狭く造られた調教部屋のような所だった。
 僕は裸に剥かれ、股間を高く突き上げる格好で拘束されていた。
 手足をガッチリと固定されていて、どれだけ力を込めても枷はビクともしない。
 僕の下半身には漏斗が刺さっていた。そして、そこから僕の中に精液のようなものが注ぎ込まれている。
 僕の近くに置いてある大きな樽。そこから漂う、精臭というにはあまりに生臭すぎる牡汁の臭い。
 それは低級モンスターたちのブレンド精液だった。


「やあ、ミライくん。久しぶりだなぁwww」


 僕の目の前にはヒビキの父親が仁王立ちしていた。


「あんた、生きてたのか⁉︎」
「ああ、おかげでさまで両手両足は義手と義足になったがな。この恨みを貴様で晴らしてくれるわ! 今、お前の中に注入しているのはモンスターの精液だ。人間にとってモンスターの精液が猛毒であることは知っているな? つまり、我が息子は愛する者を失う絶望感に再び苛まれるのだwww」


 僕の子宮に猛毒であるモンスターの精液が直接送られているのだ。
 何度目の精液を注がれた時だろうか。ついに僕の中が汚濁汁で満たし尽くされ、ゴポッと音を立てて漏斗から溢れ出した。
 ドロドロの粘液と化した牡汁が、股間から下腹部、胸元にまで伝い流れてくる。
 肌を伝うおぞましさに身震いすれば、さらに漏斗の縁から精液が溢れてきてしまう。


「ふむ……こんなものかwww」
「あぐッ、はぅぅッ……!」


 ヒビキの父親が柄杓で、コンコンと漏斗の縁を叩く。その振動が僕の中に満たされた精液を揺らせる。
 コプッと音が鳴り、ほんのわずか精液が僕の中に注がれる。
 下半身に感じる生温かさに怖気を感じた瞬間、上からヒビキの父親に向かって紅蓮が駆け降りた。


「ぎゃあああああああ~ッ!!!」


 紅蓮の炎が断末魔の叫びをあげるヒビキの父親を一瞬にして蒸発させた。


「ミライ、大丈夫か⁉︎」


 助けに来てくれたヒビキの顔を見て安心した瞬間、僕は完全に意識を失った。




ーーー




「ミライの様子はどうだ?」


 寝室から出てきたミントに、ヒビキは深刻な面持ちで問いかける。


「ダメだね、少しも回復する見込みがないよ」


 治療薬もなく、できうる限りの措置としてヒビキとミントが交替で看病をしたが、まる2日経っても回復の兆しが見えなかった。


「すまない、ミント。後は俺で何とかするから、ミントは帰って休んでくれ」
「うん、分かった」


 軽くノックしたヒビキが寝室の扉を開けると、ベッドには僕とナギサが抱き合いながら横たわっていた。


「ヒビキパパ……」


 添い寝に没頭していたためか、ヒビキが部屋に入ったのに気づかなかったナギサは毛布の中で揺すっていた身体の動きを止めて頰を赤く染めた。


「どうやら思った以上に重症のようだなぁ。もう夜も遅いからナギサは休んでくれ。後は俺が見とくから」
「うん……」


 ナギサは少し躊躇いつつも全裸のままベッドから降りると、そそくさと寝室を出ていった。


「ミライ、俺の声が聞こえるか?」


 ナギサが寝室から出ていったあと、ヒビキはベッドの傍らにひざまずき、僕の耳もとに呼びかけた。


「……ああ、身体中が凍りそうなくらい寒いよ。ねぇ、ヒビキ。僕はこのまま死んじゃうのかなぁ?」


 白く、血の気を失ってひび割れた唇から、僕は微かな声を絞り出した。


「きっと俺が助けてみせるぜ! 今までだって何度も一緒に困難を乗り越えてきたじゃないか。大丈夫、今回も絶対何とかなるさ♡」


 そう言ってウインクしてみせるヒビキに、毛布から顔を出した僕は弱々しく微笑んだ。




ーーー




 やはり心配でならないのか、ミントは寝室の前の廊下をうろうろと歩きまわっていた。看病を交替してから、もうずいぶんと時間がすぎている。やがて、寝室の中から聞こえてきた僕の悲鳴と喘ぎ声に、ミントの焦慮はますます募った。


「ああ、ボクの愛するミライがあんなにも悲鳴をあげている……」


 思わずミントは扉を開きかけたが、すんでのところで思い止まった。2人の時間を邪魔してはいけないと、ミントなりに気を利かせたのである。


「あ、ゼノン」


 いても立ってもいられないといった様子でゼノンは寝室の前まで駆け寄っていく。


「おい、ミント! ミライの容態はどうなんだ⁉︎」
「それが分からないんだ。今ヒビキが最後の治療を施してるところみたいだけど……」
「そうか……」


 ゼノンは明らかに消沈した様子だったが、無理に駄々をこねたりはしなかった。
 ミントとゼノンは帰る気にもなれず、扉の前に立ち尽くしていた。取りたてて下心があったわけでもないが、扉に耳をそばだて、少しでも中の様子を知ろうと試みる。


「――ああ、ヒビキ! 愛してるよぉ~♡ だから、もっと愛して――あぁ~んッ!」


 まるで強力なバリアーに弾かれたかのように、ミントとゼノンは扉から飛び退くと、そそくさと立ち去っていった。


「今こそ俺のチンポに秘められし大いなる浄化の精液を解き放て~ッ!!!」


 そう言ったヒビキの身体が黄金の輝きに包まれた瞬間、今までにないほど夥しい量の精液が注ぎ込まれ、僕の意識は飛んでいった。




ーーー




「僕は……」


 目の前の景色は満ち溢れる光だけで、自分がどこにいて、何をしているのかさえ分からない。
 心の中で僕は助けを呼んだ。無限の空白を埋める何かを得なければ、目覚めたばかりの意識さえも闇の中に消えてしまいそうだった。


「ミライ」


 静かな、落ち着いたヒビキの声が、たった一言で僕の求めていたすべてをもたらした。


「ヒビキ……いつから羽根が生えたの?」


 ヒビキの身体には12枚の神々しい翼が生えており、光り輝く美しい天使のようだった。


「ミライの中に射精した瞬間、生えてきたんだ。なんだか神様になった気分だぜ」
「ヒビキ……すごく綺麗だよ♡」
「俺の中ではミライが一番綺麗だがなぁ~♡」


 ヒビキの手が伸びて、僕の髪を優しく撫でる。心地よい感触の中で、僕の身体に巣くっていた病魔は春の日差しにさらされた雪のごとく解けていった。


「ヒビキ、あれ……」


 僕の声に、ヒビキは振り返った。


「神様――」


 そこに現れたのは、僕たちを異世界に導いた張本人である神様だった。


「おめでとう、ヒビキくん! 君は、ついに人間の領域を超え、神の次元へと到達した。これからは私の後継者として、ヒビキくんが次世代の神になるんだ♡」


 あまりに意外な展開に、僕たちは言葉を失った。だが、すぐにお互いの顔を見て微笑み合う。そうしていると、何も心配するようなことなどないように思えてくる。


「ヒビキ、神様になっても僕を一番愛してくれる?」
「当然さ♡ むしろミライに仇なす世界なら、いつでも滅ぼしてやるぜwww」


 ヒビキは優しい笑顔で僕に手を差し伸べる。


「これからも永遠に一緒にいようなぁ♡」
「うん、どこまでもヒビキについて行くからね♡」


 僕はヒビキの手を受け取ると、永劫に続く光の世界へと旅立っていくのであった。
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