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335 変態厄年
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今年は僕にとって厄年なのかもしれない。
新年早々トラブルの連続で何一つ良いことがないのだ。
緊急事態宣言が出ている間は出来る限り、外出は控えたいのだが、周囲がそれを許してくれない。しかも、わざわざ遠出させられるのが苦痛で仕方がない。
「嫌だなぁ……外に出たくないなぁ……人に会いたくないなぁ……コ◯ナにかかりたくないなぁ……」
二度目の緊急事態宣言で慣れてしまったのか、外出自粛する人は減少傾向にあるらしいし、もはやどこで感染するかも分からない状況で呼び出される僕の身にもなってほしい。
誰か代わりにやってくれる人がいれば、話は別だが、そういうわけにもいかず、僕は相変わらず憂鬱な日々を過ごしていた。
「はぁ~、憂鬱で死にたくなってきた……。こういう時は寝るに限る」
憂鬱な時は何もする気が起こらない。ただ寝る以外に出来ることがないのだ。
「リョウもカスケも肝心な時に傍にいないんだからホント頼りにならないよ……」
こんな風に愚痴っても仕方がないが、愚痴らずにはいられない。もはや僕のメンタルは限界まですり減っていた。
何もかも投げ出してしまいたい。けれど、周囲がそれを許してくれない現状に激しく絶望させられる。
逃げ出したいけど、逃げ出せないジレンマに駆られながら自由を求めて奔走し続ける僕に光が差す日は来るのだろうか?
涙の渦に溺れる日とおさらば出来る日が来ることを願って、眠りにつこうと目を瞑る。だが、一向に眠気が襲ってくることはなかった。
「なんでこういう時に限って眠れないのかなぁ……」
強いストレスを抱え込んでいると、不眠症のような症状が現れ、なかなか寝付けないことがある。
ただでさえ、生きてるのが嫌になってる時に眠れないなんて生き地獄以外の何ものでもない。
昔、睡眠導入剤を大量服用して大変な目に遭ったことがあるため、今は自力で眠るよう努力しているのだが、それでも眠れないものは眠れない。
「はぁ……仕方ないから何か憂鬱な気分を紛らわす方法を考えようかなぁ」
と言っても、そんな方法があれば、とっくの昔にやっているのだが……。
「そういえば、カレーを食べるとセロトニン(幸せホルモン)がドバドバ出るとか聞いたことがあるなぁ。確かにカレーを食べた後は何か元気になったような気がしないでもないし……」
カレーを作ろうと思って起き上がろうとしたが、憂鬱すぎて身体が動かせない。もう完全にグロッキー状態だ。
「うぅ、カレーが食べたい…………あれ? 何かカレーの匂いがする。幻臭かな?」
いや、幻臭なんかじゃない。間違いなく家の中がカレーの匂いで充満していた。
「よぉ~、アキラ♡ 元気なさそうだったから、アキラの大好きなカレーを作ったぜ」
リョウは栄養のこともしっかり考えて、野菜カレーを僕に振る舞ってくれた。
「うわぁ~、美味しそう! いただきまぁ~す♡」
僕はキ◯ンジャーの如く盛大に勢いよくカレーを頬張る。
「うぅ、美味しすぎ! リョウは何作っても天才的だよね♡」
「そりゃあ、そうよ。俺の辞書に不可能の文字はないからなぁ♡」
あまりにも美味だったため、僕は数分でカレーを一皿平らげてしまう。
「ふぅ……少しは元気出たよ。ご馳走さまでした♡」
「おう、元気が出たみたいで何よりだぜ。ところで、さっきは何で落ち込んでたんだ?」
僕はリョウに今、抱えている問題ごとを洗いざらい話した。
「なるほど、市役所からもらった大量の書類の書き方が分からないからどうにかしたいわけだなぁ」
「うん……全く分からない。それに母子手帳もないし、マイナンバーカードも持ってないから書類の申請もできないの。冗談抜きでどうしよう?」
「んぅ~、そういう場合はどうすればいいのか役所に聞いたのか?」
「絶対必要なんだってさ。身分証明書なんかも障害者手帳くらいしか持ってないし……」
僕がそう言うと、リョウは代わりに書類の山を片付けてくれた。
「それにしても、こんな状況になっていたなら、何で今まで誰にも相談しなかったんだ?」
「相談したかったけど、どう話していいのか分からなかったの……」
今までの経緯を詳しく説明すると、リョウは同情しながら僕の話に耳を傾けてくれた。
「去年の今頃はツイてツイてツキまくっていたアキラが史上最高の不運に見舞われているわけか……」
「うん……世の中が不景気なせいか、今年は僕もアンラッキーマン状態だよ」
ラッキーだけが唯一の取り柄だったが、それさえもなくなった今の僕はもうダメかもしれない。
「とりあえず役所には俺の方から話を通しとくよ」
「ありがとう……でも、実は他にも多方面でトラブル起こしてて完全に首が回らない状況なんだよね……」
「おいおい、まだ他にも問題ごとがあるのかよwww」
「うん……2021年が終わるまでに全ての問題ごとを解決するのが僕の今年の抱負だよ……」
僕はリョウに支えられながらも一つ一つの問題ごとを確実にクリアしていくために奔走することを誓うのだった。
新年早々トラブルの連続で何一つ良いことがないのだ。
緊急事態宣言が出ている間は出来る限り、外出は控えたいのだが、周囲がそれを許してくれない。しかも、わざわざ遠出させられるのが苦痛で仕方がない。
「嫌だなぁ……外に出たくないなぁ……人に会いたくないなぁ……コ◯ナにかかりたくないなぁ……」
二度目の緊急事態宣言で慣れてしまったのか、外出自粛する人は減少傾向にあるらしいし、もはやどこで感染するかも分からない状況で呼び出される僕の身にもなってほしい。
誰か代わりにやってくれる人がいれば、話は別だが、そういうわけにもいかず、僕は相変わらず憂鬱な日々を過ごしていた。
「はぁ~、憂鬱で死にたくなってきた……。こういう時は寝るに限る」
憂鬱な時は何もする気が起こらない。ただ寝る以外に出来ることがないのだ。
「リョウもカスケも肝心な時に傍にいないんだからホント頼りにならないよ……」
こんな風に愚痴っても仕方がないが、愚痴らずにはいられない。もはや僕のメンタルは限界まですり減っていた。
何もかも投げ出してしまいたい。けれど、周囲がそれを許してくれない現状に激しく絶望させられる。
逃げ出したいけど、逃げ出せないジレンマに駆られながら自由を求めて奔走し続ける僕に光が差す日は来るのだろうか?
涙の渦に溺れる日とおさらば出来る日が来ることを願って、眠りにつこうと目を瞑る。だが、一向に眠気が襲ってくることはなかった。
「なんでこういう時に限って眠れないのかなぁ……」
強いストレスを抱え込んでいると、不眠症のような症状が現れ、なかなか寝付けないことがある。
ただでさえ、生きてるのが嫌になってる時に眠れないなんて生き地獄以外の何ものでもない。
昔、睡眠導入剤を大量服用して大変な目に遭ったことがあるため、今は自力で眠るよう努力しているのだが、それでも眠れないものは眠れない。
「はぁ……仕方ないから何か憂鬱な気分を紛らわす方法を考えようかなぁ」
と言っても、そんな方法があれば、とっくの昔にやっているのだが……。
「そういえば、カレーを食べるとセロトニン(幸せホルモン)がドバドバ出るとか聞いたことがあるなぁ。確かにカレーを食べた後は何か元気になったような気がしないでもないし……」
カレーを作ろうと思って起き上がろうとしたが、憂鬱すぎて身体が動かせない。もう完全にグロッキー状態だ。
「うぅ、カレーが食べたい…………あれ? 何かカレーの匂いがする。幻臭かな?」
いや、幻臭なんかじゃない。間違いなく家の中がカレーの匂いで充満していた。
「よぉ~、アキラ♡ 元気なさそうだったから、アキラの大好きなカレーを作ったぜ」
リョウは栄養のこともしっかり考えて、野菜カレーを僕に振る舞ってくれた。
「うわぁ~、美味しそう! いただきまぁ~す♡」
僕はキ◯ンジャーの如く盛大に勢いよくカレーを頬張る。
「うぅ、美味しすぎ! リョウは何作っても天才的だよね♡」
「そりゃあ、そうよ。俺の辞書に不可能の文字はないからなぁ♡」
あまりにも美味だったため、僕は数分でカレーを一皿平らげてしまう。
「ふぅ……少しは元気出たよ。ご馳走さまでした♡」
「おう、元気が出たみたいで何よりだぜ。ところで、さっきは何で落ち込んでたんだ?」
僕はリョウに今、抱えている問題ごとを洗いざらい話した。
「なるほど、市役所からもらった大量の書類の書き方が分からないからどうにかしたいわけだなぁ」
「うん……全く分からない。それに母子手帳もないし、マイナンバーカードも持ってないから書類の申請もできないの。冗談抜きでどうしよう?」
「んぅ~、そういう場合はどうすればいいのか役所に聞いたのか?」
「絶対必要なんだってさ。身分証明書なんかも障害者手帳くらいしか持ってないし……」
僕がそう言うと、リョウは代わりに書類の山を片付けてくれた。
「それにしても、こんな状況になっていたなら、何で今まで誰にも相談しなかったんだ?」
「相談したかったけど、どう話していいのか分からなかったの……」
今までの経緯を詳しく説明すると、リョウは同情しながら僕の話に耳を傾けてくれた。
「去年の今頃はツイてツイてツキまくっていたアキラが史上最高の不運に見舞われているわけか……」
「うん……世の中が不景気なせいか、今年は僕もアンラッキーマン状態だよ」
ラッキーだけが唯一の取り柄だったが、それさえもなくなった今の僕はもうダメかもしれない。
「とりあえず役所には俺の方から話を通しとくよ」
「ありがとう……でも、実は他にも多方面でトラブル起こしてて完全に首が回らない状況なんだよね……」
「おいおい、まだ他にも問題ごとがあるのかよwww」
「うん……2021年が終わるまでに全ての問題ごとを解決するのが僕の今年の抱負だよ……」
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