男の子たちの変態的な日常

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331 変態食堂

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 皆は1日何食だろうか?
 僕は1日3食だが、夜はあまり食べないようにしている。
 一時期は1日2食で夜は全く食べていなかったが、肌荒れや朝起きられないことが多くなり、結局3食に戻したのだ。
 リョウも1日3食きっちり取っているが、朝だけ尋常じゃないほどの量を食べる。朝からステーキを食べる人なんてリョウ以外で見たことがない。


「朝はどんだけ食っても太らないゴールデンタイムだからなぁ♡ この時間帯に食わないヤツは人生損してるようなもんだぜwww」


 今日のリョウは朝だけでトンカツやハンバーグやカルビ丼など、これでもかというくらい肉食の限りを尽くすと、今度は山盛りのサラダと野菜炒めと手付かずの生野菜をブラックホールのような口に放り込んでいく。


「今日は大事な会議があるから力つけとかねえとなぁ。オッサンやジジイ共が機械オンチじゃなきゃ、リモートワークで済んだのによ。まったく、付き合わされる身にもなってほしいぜ」


 珍しくリョウは仕事の愚痴をこぼすと、再びブラックホールみたいに口から食物を吸い込んでいく。


「穢らわしいオッサンやミイラみたいなジジイと同じ空間にいると、妙な菌に侵されそうでホント嫌になるぜ。ただでさえ、バイオハザード状態に陥ってる魔の東京にこれから行くと思うだけで気が滅入りそうだってのによwww」
「大丈夫だよ。リョウなら感染しても、どうせ無症状だから」
「アキラにまで感染したら大変だろ。俺はアキラのことが心配でしょうがねえぜ」
「大丈夫だって。今は1日3食きっちり食べてるから栄養状態も心配ないよ」


 ウイルスに負けない強い身体を手に入れるためにも、いつも異常に気合いを入れて栄養を補給しなくてはいけない。
 僕はリョウが食べ終わった後の食器を片付けると、栄養バランスの良い献立を考える。


「どうしてもリョウってば、コンビニでサンドイッチや菓子パンなんかを大量に買い食いするから栄養が偏っちゃうんだよね。まあ、買い食いするなと言ったところでお腹が空いたら仕事にならないし、しょうがないんだけどさ……」


 愛するリョウのために栄養成分表を見て研究していると、久しぶりにカスケが訪ねてきた。


「いやあ、久しぶりだね! 会いたかったよ、アキラ♡ これ、少ないけどアキラにお小遣いね」


 そう言うと、カスケは僕に1億円が入ったアタッシュケースを手渡す。


「あ、うん……ありがとう。もらえるモノは一応もらっとくよwww」


 不景気の真っ只中だというのに相変わらずカスケは稼ぎまくっているらしい。今年もリョウはカスケの年収を超えることはなさそうだ。


「何してたの?」
「リョウのために栄養バランスの良い献立を考えてたんだ」
「へぇ、リョウなんかのためによくやるね。ぼくもアキラの手料理食べてみたいなぁ~♡」
「いいアイデアをくれたら作ってあげなくもないよ♡」


 そう言うと、カスケは何処からかホワイトボードを取り出してお得意の解説を始める。


「まずは基本の『主食・主菜・副菜』が揃えっているかが栄養バランスが整った食事の第一条件と言えるね。冷凍食品や缶詰などの日持ちする食品を組み合わせながら適当に皿に盛り合わせれば、それなりに料理っぽいのが出来るよ。後はチン飯があればリョウなんかは文句ないよwww」
「あ、うん、ごめん……それ、いつも僕がやってる調理法だわwww」


 野菜、果物、魚、肉などは鮮度が落ちやすく、すぐ腐るから冷凍食品と缶詰なんかは必須アイテムと化している。つか、それがなきゃ、もう料理なんか出来ないレベルなんだが……。


「なるほど。とっくの昔にアキラは料理を極めていたわけかwww」
「今、炎上してるファ◯マの『お◯さん食堂』にはいつもマジでお世話になってるよwww」
「あぁ、確かに美味しいね。あのまま家族に出しても文句なしのクォリティの高さには驚かされるよ♡」
「リョウなんか『アキラの作る飯は美味えぜ!』とか言いながら、お◯さん食堂の総菜をドカ食いしてて笑えるよwww」


 僕みたいな料理下手なニート……じゃなくて専業主夫も愛用してる『お◯さん食堂』の名称変更は果たしてどうなることやら?


「変に料理のことなんかで悩む必要はないさ。全国の料理が出来ない専業主ふの皆さんには『お◯さん食堂』のような総菜がスーパーやコンビニで大量に売られているからね♡」


 確かに育児や家事に大忙しな専業主ふの負担を大幅に減らしてくれる総菜はホントに助かる。


「よ~し、ぼくも可愛いアキラみたいな専業主ふを手助けできるような事業をやって稼ぐとするかなぁ♡」
「ふふふ、それは楽しみだね。なんか今から作ろうか? そろそろ昼時だし、お腹空いてるでしょ?」
「なら、ぼくが作るよ。アキラはゆっくりしてて。料理はモテる男の嗜みだからね♡」


 そう言うと、カスケは台所に立って冷蔵庫の残り物でレタスチャーハンを短時間で作ってしまう。味噌汁はインスタントでもツナ缶やカット野菜を使ってトッピングしまくることで物凄く豪華な感じに仕上がっていた。


「ほ~ら、野菜もたっぷりでツナからタンパク質も摂れる栄養満点の食事だよ♡」
「すごぉ~い、残り物から魔法みたいに美味しそうな料理になったね!」
「まあね♡ 料理ならリョウにも負ける気はしないかな」
「リョウもプロ級に美味いよ。ただ、カスケの料理の方が庶民的な感じで尚且つ僕にも何とか真似できそうだから好きかも♡ ホントにありがとぉ!」


 そう言うと、僕は対面座位の姿勢で椅子に座っているカスケの腰に跨った。


「リョウは僕の口に入れたのを口移しで食べるのが大好きなんだよ♡ カスケもして欲しい?」
「そりゃあ、もちろん! 是非、お願いするよ♡」


 僕は口を開けてチャーハンを口へ含むと、すぐカスケの唇へ重ねた。


「じゅるッ……んぐんぐッ、んふは!」


 カスケは誘われるまま口内へ舌を伸ばして、僕が口に含んだオカズを味わう。


「美味し過ぎる~ッ! アキラの甘い唾液の味が混ざって、何とも言えない官能的な味わい深さだよ♡ 毎日こんな風にアキラに奉仕してもらえるリョウが憎らしくなってくるなぁwww」


 唾液を交換し合いながら舌の根元までも愛撫してくるカスケは後に『変態食堂』という口移しで食べれば食べるほど美味しくなる総菜ブランドを立ち上げて大成功を収めるのであった。
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