男の子たちの変態的な日常

M

文字の大きさ
上 下
326 / 348

325 変態ラブソング

しおりを挟む
 人間は歳を取ると、少しずつ価値観や考え方が変わっていく。
 僕は昔も今も然程変わっていないが、1つだけ変わったところがある。
 それは音楽の趣味だ。
 昔はラブソングを掃いて捨てるほど聞いては発情していたが、今はとてもじゃないけど聞く気になれない……。
 実は今ちょうど僕の隣でリョウがマニアックなラブソングを流しているのだ。
 感性が老化してしまったのか、純粋にイタイと感じてしまう。
 青春時代に『君が好きだあと叫びぃ~たい!』とか歌ってた頃の自分が恥ずかしてしょうがない。
 思わず溜息をつく僕を見たリョウはクリスマスケーキの残りを平らげながら話しかけてきた。


「どうしたんだ? 昔、アキラが散々歌ってた曲じゃねえか♡」
「まあ、そうなんだけどさ……」


 僕の微妙な反応に異変を感じたリョウは別のラブソングをかけ始める。しばらく聞いていたら、なんか鳥肌が立ってきた。


「あぁ~、もう! ロマンティックとかドラマティックとか、ティクティクうるさい! つか、なんで歌詞がメンヘラ女目線なんだよwww」


 僕の的確なツッコミにリョウは吹き出しそうになる。


「まあ、ラブソングって良くも悪くもメンヘラ的なのが多いからなぁ。それに今時の若者はメンヘラ的な感情を排除するどころか、身近なものとして受け入れてさえいる。その証拠に精神病院のお世話になる人たちは年々増加傾向にあってだなぁwww」


 確かにメンヘラ患者が身近に溢れ過ぎて、本来ならば頭おかしいレベルの人でも健常者として普通に生きている。


「メンヘラ系のラブソングなんかだと『殺したいほど愛してるぅ~♪』みたいな意味不明な歌詞が多いから、今になって聞くと正直引くわwww」
「そういう独特な世界観を持ったサブカル気質の人間は大体メンヘラだからなぁ。自己愛が強すぎて承認欲求の塊みたいな歌詞を書いちまうのさwww」


 邦ロックバンド界隈なんかを見てると、完全にDQNとメンヘラの巣窟と化してるのでリョウの推察は決して間違いではないと思う。
 痛々しいポエムや自己肯定を求めるだけの薄っぺらなラブソングに感動してた頃の自分が黒歴史だと思う日が来るとは当時の僕は夢にも思っていなかったろう。


「でもさ、たまには昔のラブソングを聞いて青春時代を思い出すのも悪くねえと思うんだ。大人になった今だからこそ、当時とはまた違った感覚で楽しめるんじゃないか?」
「う~ん……どうだろう? 当時の僕の恋愛観は幼すぎて話になんないレベルだから、今の自分とは比べ物にならないんだよね」


 昔の僕は恋愛という言葉の意味を漠然と理解していただけで、実際のところは何も分かっちゃいなかった。
 とりあえず恋愛という概念を良きモノだと信じて、恋に恋していただけの未熟な若者でしかなかったのだ。
 だが、厳しい現実が僕から恋する心を奪っていく。
 自分の中の自己評価と他者からの評価が一致せずに悪戦苦闘し続けた結果、僕は有りのままの自分を受け入れることを選んで恋を捨てた。
 そんな自分には、もうラブソングは必要ないのだ。
 きっと、これは僕が成長した証……なんだと思う。


「そうか? アキラは昔から何一つ変わっていないと思うけどなぁ」


 リョウに「何一つ変わっていない」と喝破され、僕は思わず狼狽してしまった。


「まあ、確かに見た目の方は身長とか顔とか全然変化はないかもしれないけどさ……」
「見た目だけじゃなく、中身の方もさ。単に今のアキラは厳しい現実を目の前にして虚勢を張ってるだけだ。もっと自分に素直になればいいのによ♡」


 図星を突かれてしまい、言葉を失った僕の身体をリョウはぎゅっと抱きしめる。


「もういい歳した大人だし、結婚もしてるんだから、恋だの愛だの言ってられないよ……。僕の青春時代は、とっくの昔に終わったんだから」
「そうか? 俺は今も青春してるぞ♡」


 そう言うと、くいっと僕の顎を持ち上げてリョウはキスをする。


「アキラが俺の傍にいてくれる限り、俺の青春が終わることはないぜ♡」


 そう言われて、僕は理性で抑え込んでいた恋心が爆発して自分からリョウを貪欲に求めていく。
 もはやリョウへの恋心に言葉など必要ない。
 僕は慣れた手つきでリョウのズボンのファスナーを開け、赤黒い肉塊を取り出した。
 僕はためらいなく先端にキスをし、竿へと唾液をまぶしていく。
 早くもリョウのペニスは完全に勃起していた。
 跪いてペニスを深く咥え込むと、指もふんだんに使って、竿を根元からこねるように刺激する。
 深く咥え込んだペニスが、昂ぶり、震え、その欲を吐き出す。
 ペニスが脈打って、僕の口腔へと子種が流れ込んでくるのが分かった。
 僕はリョウの子種を口の中に含んだまま、ペニスから唇を離し、そして。


「んふぅ~♡ ん、れぅ……れろぉ……」


 僕はテーブルの上に置かれていた皿の上で口を開いた。
 舌先を伝い、どろりとした液体がケーキへとまぶされていく。
 僕の行為にリョウは一瞬で再び股間を勃起させながら、ケーキをフォークで一口サイズに切って、すくい上げる。
 こぼれ落ちそうになる精液を舐め取るように舌で特製の一品を迎え入れると、その独特な味を僕は存分に味わう。
 制御できない疼きと痺れが全身に広がっていく感覚を覚えながら僕は永遠に続く青春を謳歌するのであった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

恐怖体験や殺人事件都市伝説ほかの駄文

高見 梁川
エッセイ・ノンフィクション
管理人自身の恐怖体験や、ネット上や読書で知った大量殺人犯、謎の未解決事件や歴史ミステリーなどをまとめた忘備録。 個人的な記録用のブログが削除されてしまったので、データを転載します。

悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、自らを反省しました。BLゲームの世界で推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)

【完結】ええと?あなたはどなたでしたか?

ここ
恋愛
アリサの婚約者ミゲルは、婚約のときから、平凡なアリサが気に入らなかった。 アリサはそれに気づいていたが、政略結婚に逆らえない。 15歳と16歳になった2人。ミゲルには恋人ができていた。マーシャという綺麗な令嬢だ。邪魔なアリサにこわい思いをさせて、婚約解消をねらうが、事態は思わぬ方向に。

短い怖い話 (怖い話、ホラー、短編集)

本野汐梨 Honno Siori
ホラー
 あなたの身近にも訪れるかもしれない恐怖を集めました。 全て一話完結ですのでどこから読んでもらっても構いません。 短くて詳しい概要がよくわからないと思われるかもしれません。しかし、その分、なぜ本文の様な恐怖の事象が起こったのか、あなた自身で考えてみてください。 たくさんの短いお話の中から、是非お気に入りの恐怖を見つけてください。

【完結】立場を弁えぬモブ令嬢Aは、ヒロインをぶっ潰し、ついでに自分の恋も叶えちゃいます!

MEIKO
恋愛
最近まで死の病に冒されていたランドン伯爵家令嬢のアリシア。十六歳になったのを機に、胸をときめかせながら帝都学園にやって来た。「病も克服したし、今日からドキドキワクワクの学園生活が始まるんだわ!」そう思いながら一歩踏み入れた瞬間浮かれ過ぎてコケた。その時、突然奇妙な記憶が呼び醒まされる。見たこともない子爵家の令嬢ルーシーが、学園に通う見目麗しい男性達との恋模様を繰り広げる乙女ゲームの場面が、次から次へと思い浮かぶ。この記憶って、もしかして前世?かつての自分は、日本人の女子高生だったことを思い出す。そして目の前で転んでしまった私を心配そうに見つめる美しい令嬢キャロラインは、断罪される側の人間なのだと気付く…。「こんな見た目も心も綺麗な方が、そんな目に遭っていいいわけ!?」おまけに婚約者までもがヒロインに懸想していて、自分に見向きもしない。そう愕然としたアリシアは、自らキャロライン嬢の取り巻きAとなり、断罪を阻止し婚約者の目を覚まさせようと暗躍することを決める。ヒロインのヤロウ…赦すまじ!  笑って泣けるラブコメディです。この作品のアイデアが浮かんだ時、男女の恋愛以外には考えられず、BLじゃない物語は初挑戦です。貴族的表現を取り入れていますが、あくまで違う世界です。おかしいところもあるかと思いますが、ご了承下さいね。

お人好し底辺テイマーがSSSランク聖獣たちともふもふ無双する

大福金
ファンタジー
次世代ファンタジーカップ【ユニークキャラクター賞】受賞作 《あらすじ》 この世界では12歳になると、自分に合ったジョブが決まる。これは神からのギフトとされこの時に人生が決まる。 皆、華やかなジョブを希望するが何に成るかは神次第なのだ。 そんな中俺はジョブを決める12歳の洗礼式で【魔物使い】テイマーになった。 花形のジョブではないが動物は好きだし俺は魔物使いと言うジョブを気にいっていた。 ジョブが決まれば12歳から修行にでる。15歳になるとこのジョブでお金を稼ぐ事もできるし。冒険者登録をして世界を旅しながらお金を稼ぐ事もできる。 この時俺はまだ見ぬ未来に期待していた。 だが俺は……一年たっても二年たっても一匹もテイム出来なかった。 犬や猫、底辺魔物のスライムやゴブリンでさえテイム出来ない。 俺のジョブは本当に魔物使いなのか疑うほどに。 こんな俺でも同郷のデュークが冒険者パーティー【深緑の牙】に仲間に入れてくれた。 俺はメンバーの為に必死に頑張った。 なのに……あんな形で俺を追放なんて‼︎ そんな無能な俺が後に…… SSSランクのフェンリルをテイム(使役)し無双する 主人公ティーゴの活躍とは裏腹に 深緑の牙はどんどん転落して行く…… 基本ほのぼのです。可愛いもふもふフェンリルを愛でます。 たまに人の為にもふもふ無双します。 ざまぁ後は可愛いもふもふ達とのんびり旅をして行きます。 もふもふ仲間はどんどん増えて行きます。可愛いもふもふ仲間達をティーゴはドンドン無自覚にタラシこんでいきます。

侯爵夫人の手紙

桃井すもも
恋愛
侯爵夫人ルイーザは、王都の邸を離れて湖畔の別荘にいた。 別荘は夫の祖父が終の棲家にしていた邸宅で、森と湖畔があるだけの静かな場所だった。 ルイーザは庭のブランコを揺らしながら、これといって考えることが何もないことに気が付いた。 今まで只管忙しなく暮らしてきた。家の為に領地の為に、夫の為に。 ついつい自分の事は後回しになって、鏡を見る暇も無かった。 それが今は森と湖畔以外は何もないこの場所で、なんにもしない暮らしをしている。 何故ならルイーザは、家政も執務も社交も投げ出して、王都の暮らしから飛び出して来た。 そうして夫からも、逃げ出して来たのであった。 ❇後半部分に出産に関わるセンシティブな内容がございます。関連話冒頭に注意書きにて表記をさせて頂きます。苦手な方は読み飛ばして下さいませ。 ❇例の如く、鬼の誤字脱字を修復すべく公開後に激しい修正が入ります。 「間を置いて二度美味しい」とご笑覧下さい。 ❇登場人物のお名前が他作品とダダ被りしておりますが、皆様別人でございます。 ❇相変わらずの100%妄想の産物です。妄想なので史実とは異なっております。 ❇妄想遠泳の果てに波打ち際に打ち上げられた妄想スイマーによる寝物語です。 疲れたお心とお身体を妄想で癒やして頂けますと泳ぎ甲斐があります。 ❇座右の銘は「知らないことは書けない」「嘘をつくなら最後まで」

元婚約者は戻らない

基本二度寝
恋愛
侯爵家の子息カルバンは実行した。 人前で伯爵令嬢ナユリーナに、婚約破棄を告げてやった。 カルバンから破棄した婚約は、ナユリーナに瑕疵がつく。 そうなれば、彼女はもうまともな縁談は望めない。 見目は良いが気の強いナユリーナ。 彼女を愛人として拾ってやれば、カルバンに感謝して大人しい女になるはずだと考えた。 二話完結+余談

処理中です...