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309 変態漫画論
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近年のオタク界では鬱展開が嫌われる傾向にあるらしい。
無論、僕も好きではないけど、受け手側によって鬱展開に対する解釈が異なるため、扱いには十分注意が必要だ。なので具体的な作品名は出さず、今回は僕の嫌いな鬱展開についてリョウと話をしていきたいと思う。
「はぁ……この漫画、超絶鬱展開なのに何で人気あるんだろう?」
某少年誌で連載されている大人気漫画を途中まで読み終わったのだが、正直言って全然面白くない……。
実は初期の頃は本誌の方でリアルタイムで読んでいたのだが、絶対打ち切り確定だと連載当初は信じて疑っていなかった。冗談抜きで知らない間に消えてる漫画だと思ってたのだ。それが今では社会現象を巻き起こすほどの超絶人気漫画となっているのだから驚きを隠せない。
マジで自分にはクリエイティブな才能がないのではないかと葛藤してしまうほど、僕にはこの漫画の面白さが皮肉ではなく純粋に分からなかった。
「まあまあ、面白いと思うぜ。アキラには鬱耐性がないから仲間がバンバン死にまくる漫画はキツイんだろうなぁ」
リョウの言う通り、仲間どんだけ死ぬんだよってツッコミたくなるほど容赦なく死んでいく展開には付いていけない。
もう途中から、どうせコイツも死ぬんだろ的な感じで俯瞰して見ているwww
鬱展開は作品の方向性としてあっても構わないんだけど、「はい、死にましたぁ~、今ここ泣くところですよ~、また死にましたぁ~、悲しいっしょ~」といった感じの分かりやすいチープな御涙頂戴の繰り返しは物語を陳腐にするだけだから多用は禁忌だと思っている。特に不自然なレベルで強引に意味もなく登場人物たちがエグい死に様のオンパレード状態だと、そういう空気に持っていきたいんだろうなぁ~、うんうんといった感じで一気に醒めてしまう。
「主人公はあんまり強くないし、修行シーンがダラダラと長いし、絵柄は地味だし、ギャグセンスは微妙だし、ストーリーはストレス溜まるような展開ばかりだし……もうギブアップ!」
「まあ、そう言うなよ。最後まで読んでみろってwww」
「何巻まで発売されてるのかは知らないけど、22巻までは読んだよ」
「ボロカスに批判したわりにガッツリ読んでんじゃねえかwww」
どんなにつまらない漫画や映画であったとしても必ず見てから批判するのは僕のポリシーなのだ。
「アキラが言ってることも部分的には理解できるぜ。今の時代だと修行パートが長かったり、試験を受けたり、序盤からラスボスが登場したり、鬱展開が多かったり、主人公があんまり強くなかったりすると即打ち切り確定だもんなぁ。やっぱり、異世界チート俺tueeeは鉄板だぜ」
「まあ、異世界チート俺tueeeはラノベ三原則って感じだけどね。そうした売れる要素にこだわる必要はないけど、もっと楽しい娯楽作品を提供してもらいたいもんだよ。ただでさえ、暗いご時世なんだからさ」
僕が読み終わった漫画本をリョウは片付けてくれた。
「え~と、次は何を読む?」
「このマンガがすごい!で1位になったヤツとって」
「オトコ編1位? それともオンナ編1位?」
「え~と、休載中で新刊が当分の間は発売されそうにない方でwww」
僕の言ってることを瞬時に理解したリョウは本棚から取ってきてくれた。
「これ、面白いの? 少女漫画みたいだけど」
「うん! さっきまで読ませられてた漫画なんかより、ずっと面白いんだよ! 読んでみる?」
「どれどれ、ちょっくら拝見させてもらうとするかぁ~」
リョウは僕が大好きな漫画と聞いて、ルンルン気分でページをめくる。
ページをめくっていくたびに笑顔だったリョウの表情がどんどん無表情になっていく。読み終わった頃には完全に疲れた顔になっていたwww
「う~ん、これが1位になったのか……。なんだか俺は疲れたよ」
「そう? 僕は面白すぎてページをめくる手が止まらなかったよwww」
「鬱展開が嫌いとか言ってたわりに、こういうギスギスした漫画は見れるんだなぁ」
「別に登場人物がバンバン死ぬわけじゃないし、絵柄も可愛いしね♡ それになんか主人公に共感できるんだぁ~」
リョウは読み終わった本を片付けると、とびっきりマッチョな男が出てくるバイオレンス漫画を本棚から持ってきた。
「線の細いイケメンが出てくる少女漫画を読んでたら、筋肉ムキムキのマッチョが悪いヤツの首をはねまくるようなグロ漫画が読みたくなっちまったぜwww」
「リョウって、そういうの好きだよね。レイプシーンとかもある漫画は恐くて見れないなぁ~」
「おいおい、BLのレイプシーンはアキラの大好物だろうが。かまととぶるなよwww」
「あっれ~? そんなこと言ったかなぁwww」
結局、僕とリョウは受けの男の子が攻めのマッチョに犯されまくるようなページばかりを眺めてはニヤニヤする。
悪役の男共に受けの男の子が犯されそうになるシーンもそそるが、お約束のように主人公のマッチョに倒され、2人はいつも章のラストで身体を重ねる。まるで僕とリョウみたいに――。
「いやん、不健全な漫画だね♡」
「なんだかんだ言って、変態漫画が一番面白いのさ♡」
こうして不健全な変態漫画に影響にされた僕たちは今日も背徳的なエッチに朝まで興ずるのだった。
無論、僕も好きではないけど、受け手側によって鬱展開に対する解釈が異なるため、扱いには十分注意が必要だ。なので具体的な作品名は出さず、今回は僕の嫌いな鬱展開についてリョウと話をしていきたいと思う。
「はぁ……この漫画、超絶鬱展開なのに何で人気あるんだろう?」
某少年誌で連載されている大人気漫画を途中まで読み終わったのだが、正直言って全然面白くない……。
実は初期の頃は本誌の方でリアルタイムで読んでいたのだが、絶対打ち切り確定だと連載当初は信じて疑っていなかった。冗談抜きで知らない間に消えてる漫画だと思ってたのだ。それが今では社会現象を巻き起こすほどの超絶人気漫画となっているのだから驚きを隠せない。
マジで自分にはクリエイティブな才能がないのではないかと葛藤してしまうほど、僕にはこの漫画の面白さが皮肉ではなく純粋に分からなかった。
「まあまあ、面白いと思うぜ。アキラには鬱耐性がないから仲間がバンバン死にまくる漫画はキツイんだろうなぁ」
リョウの言う通り、仲間どんだけ死ぬんだよってツッコミたくなるほど容赦なく死んでいく展開には付いていけない。
もう途中から、どうせコイツも死ぬんだろ的な感じで俯瞰して見ているwww
鬱展開は作品の方向性としてあっても構わないんだけど、「はい、死にましたぁ~、今ここ泣くところですよ~、また死にましたぁ~、悲しいっしょ~」といった感じの分かりやすいチープな御涙頂戴の繰り返しは物語を陳腐にするだけだから多用は禁忌だと思っている。特に不自然なレベルで強引に意味もなく登場人物たちがエグい死に様のオンパレード状態だと、そういう空気に持っていきたいんだろうなぁ~、うんうんといった感じで一気に醒めてしまう。
「主人公はあんまり強くないし、修行シーンがダラダラと長いし、絵柄は地味だし、ギャグセンスは微妙だし、ストーリーはストレス溜まるような展開ばかりだし……もうギブアップ!」
「まあ、そう言うなよ。最後まで読んでみろってwww」
「何巻まで発売されてるのかは知らないけど、22巻までは読んだよ」
「ボロカスに批判したわりにガッツリ読んでんじゃねえかwww」
どんなにつまらない漫画や映画であったとしても必ず見てから批判するのは僕のポリシーなのだ。
「アキラが言ってることも部分的には理解できるぜ。今の時代だと修行パートが長かったり、試験を受けたり、序盤からラスボスが登場したり、鬱展開が多かったり、主人公があんまり強くなかったりすると即打ち切り確定だもんなぁ。やっぱり、異世界チート俺tueeeは鉄板だぜ」
「まあ、異世界チート俺tueeeはラノベ三原則って感じだけどね。そうした売れる要素にこだわる必要はないけど、もっと楽しい娯楽作品を提供してもらいたいもんだよ。ただでさえ、暗いご時世なんだからさ」
僕が読み終わった漫画本をリョウは片付けてくれた。
「え~と、次は何を読む?」
「このマンガがすごい!で1位になったヤツとって」
「オトコ編1位? それともオンナ編1位?」
「え~と、休載中で新刊が当分の間は発売されそうにない方でwww」
僕の言ってることを瞬時に理解したリョウは本棚から取ってきてくれた。
「これ、面白いの? 少女漫画みたいだけど」
「うん! さっきまで読ませられてた漫画なんかより、ずっと面白いんだよ! 読んでみる?」
「どれどれ、ちょっくら拝見させてもらうとするかぁ~」
リョウは僕が大好きな漫画と聞いて、ルンルン気分でページをめくる。
ページをめくっていくたびに笑顔だったリョウの表情がどんどん無表情になっていく。読み終わった頃には完全に疲れた顔になっていたwww
「う~ん、これが1位になったのか……。なんだか俺は疲れたよ」
「そう? 僕は面白すぎてページをめくる手が止まらなかったよwww」
「鬱展開が嫌いとか言ってたわりに、こういうギスギスした漫画は見れるんだなぁ」
「別に登場人物がバンバン死ぬわけじゃないし、絵柄も可愛いしね♡ それになんか主人公に共感できるんだぁ~」
リョウは読み終わった本を片付けると、とびっきりマッチョな男が出てくるバイオレンス漫画を本棚から持ってきた。
「線の細いイケメンが出てくる少女漫画を読んでたら、筋肉ムキムキのマッチョが悪いヤツの首をはねまくるようなグロ漫画が読みたくなっちまったぜwww」
「リョウって、そういうの好きだよね。レイプシーンとかもある漫画は恐くて見れないなぁ~」
「おいおい、BLのレイプシーンはアキラの大好物だろうが。かまととぶるなよwww」
「あっれ~? そんなこと言ったかなぁwww」
結局、僕とリョウは受けの男の子が攻めのマッチョに犯されまくるようなページばかりを眺めてはニヤニヤする。
悪役の男共に受けの男の子が犯されそうになるシーンもそそるが、お約束のように主人公のマッチョに倒され、2人はいつも章のラストで身体を重ねる。まるで僕とリョウみたいに――。
「いやん、不健全な漫画だね♡」
「なんだかんだ言って、変態漫画が一番面白いのさ♡」
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