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308 変態ソング
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音楽の好みによって、その人の性格の傾向が分かるらしい。
ロックやヘヴィメタのような、うるさい音楽を嫌う人は神経症傾向が強いらしい。逆に外交的な人はロックやラップといったエネルギッシュな音楽を好む傾向があるそうだ。
ちなみに知的な人はクラシックやジャズを好むらしく、カスケなんかはBGM代わりに家でクラシックを流したり、ジャズを演奏したりしている。
アニソンばかり聴いてる僕にはクラシックやジャズは堅苦しく感じるし、ロックやヘヴィメタはDQN的なイメージがあって敬遠してしまう。
昔はリョウもギターを弾いたりしていたが、最近は仕事が忙しくなって演奏することはなくなっていた。
音楽自体も時代と共に変わっていくため、現代音楽はアニソン以外聴かなくなっていた。
なんとなく流行りの曲を聴いてみることもあるが、語感や語呂で無理やり繋いで韻を踏んだり繰り返してみたり、どこかで聞いたことがあるような歌詞が適当に並べられてるだけだったりして面白味が感じられない。
それでも流行に敏感なリョウは流行りの曲を懲りずに聴いていた。
「う~ん、これくらいの曲なら俺でも作れそうだなぁ」
今日は珍しくリョウがギター片手に作詞をしながら流行の音楽を流していた。
ミリオン達成の音楽らしいが、在り来たりなフレーズを並べただけの商業音楽全開のチープな曲だった。
「フォーエバーとかヘイとかラララとか意味もなく繰り返してるだけの曲なんか聴いて楽しいわけ~?」
やや棘のある言い方で話しかけると、リョウは笑って応えた。
「J-POPなんて、昔からそんなもんだ。やたら走り出したり、背中に翼が生えたり、優しい笑顔に心惹かれたりとか、まさに青春時代にドンピシャな曲って感じばかりだったろ? フォーエバー連呼するのも、きっと誰もが永遠を手に入れたいからさwww」
なんとなくリョウの言いたいことも分かるが、たまにはそうじゃない曲があってもいいんじゃないかと思う。
「アキラは昔からアニソン以外は聴かないから音楽性が偏ってんだよ~」
「はあ? 音楽性って何よwww」
「蓋然性合理主義の正論に揉まれて道具に成り下がらなかった音楽を知らないってことさ」
「ごめん……ちょっと何言ってるか分からないwww」
たまにリョウは音楽通ぶるところがあって面倒くさいが、音楽の知識は本物であり、もしかしたら正しいことを言っているのかもしれない。いや、実際のところは知らんけどwww
「アキラのようなオタク的感性の持ち主は今となっては多数派だから商業音楽もオタクに媚びまくりだろ? 我が国の音楽業界も今後ますます衰退の一途を辿っていくだろうなぁ~」
「う~ん、でもさ。アニソンがオリコン1位を獲得しまくってる現状なわけじゃん。つまり少なくとも我が国ではアニソンが1番いい曲なんじゃね?」
リョウは首を傾げつつも僕の発言に首肯する。
「まあ、『ハンバーガーとコーラが最も売れてるから世界で一番うまい』理論を正しいとするならば、そういうことになるなぁ。でも……」
「ハンバーガーとコーラが世界一うまいのは事実だからアニソンも世界で一番だよ、きっとwww」
完全論破されたリョウは呆れてしょんぼりしながら作詞を再開する。
「売れる曲かぁ~、そんな風に考えると一気にモチベーション下がるぜ……」
「そう? リョウほど才能があって音楽理論に精通してるならドカンと一発当たるような曲を作れそうだけどなぁ~」
僕がそう言うと、リョウに思いっきり溜息をつかれてしまった。
「あのなぁ、アキラ。音楽理論なんか詳しくなったところで必ずしもいい曲が作れるわけじゃないんだぞ。むしろ在り来たりでつまらない曲が出来上がるに決まってるぜ……」
どうやらリョウは音楽への情熱が昔ほどないらしく、すっかり創作意欲を失ってしまったらしい。最近ギターを弾かなくなったのも、それが原因なのかもしれない。
「そう? ラノベの創作理論とかと一緒じゃない? ああいうの勉強して自分で小説を執筆するのって、すごく楽しいけどなぁ~♡」
僕が生き生きと語る姿を見て、リョウは微笑ましい表情を浮かべる。
「楽しいかぁ……。そうだ、その気持ちだよ! なんだかんだ言って、アキラにはクリエイティブな才能があるんだろうなぁ♡ 普通のクリエイターは創作理論なんか勉強したら、つまらなくなるのが普通なのにアキラは楽しいって感じちゃうわけだろ? それって、ある意味、スゲェ才能じゃんwww」
褒められてるのか、disられてんのか、よく分かんないけど、リョウが立ち直ってくれて嬉しい。
「よぉ~し、久しぶりに作詞してみるぜッ! おぉ~、天から俺の頭に神作詞が流れ込んでくるぅ~ッ!!!」
リョウが書いた神作詞を見せてもらうと、僕でさえドン引きしてしまうほどの黒歴史が綴られていた。
――たった1人のオナニーに疲れ果てて右手が痛い~♪
股を開いて、腰あげて、孤独なチンポ握ればいい~♪
フォーエバー、フォーエバー、Hey!
虚しさなんて感じない~♪
フォーエバー、フォーエバー、Hey!
現実なんかクソくらえ~♪
世界が終わるその日まで~、俺は妄想に浸るだろう♪
それこそ俺の救いだろう~、君への想いはフォーエバー♪
LaLaLaLaLaLaLaLaLaLaLaLa(延々と繰り返し)――
後日、僕はリョウが作詞・作曲した音楽CDをカスケにも聴かせに行くと、悪乗りしたカスケがコネを使ってレコード会社へ売り込んでしまった。
アホなネタ曲として巷で話題になってしまい、正気に戻ったリョウは狂気の雄叫びを上げながら人気のない山奥まで走り去っていくのだったwww
ロックやヘヴィメタのような、うるさい音楽を嫌う人は神経症傾向が強いらしい。逆に外交的な人はロックやラップといったエネルギッシュな音楽を好む傾向があるそうだ。
ちなみに知的な人はクラシックやジャズを好むらしく、カスケなんかはBGM代わりに家でクラシックを流したり、ジャズを演奏したりしている。
アニソンばかり聴いてる僕にはクラシックやジャズは堅苦しく感じるし、ロックやヘヴィメタはDQN的なイメージがあって敬遠してしまう。
昔はリョウもギターを弾いたりしていたが、最近は仕事が忙しくなって演奏することはなくなっていた。
音楽自体も時代と共に変わっていくため、現代音楽はアニソン以外聴かなくなっていた。
なんとなく流行りの曲を聴いてみることもあるが、語感や語呂で無理やり繋いで韻を踏んだり繰り返してみたり、どこかで聞いたことがあるような歌詞が適当に並べられてるだけだったりして面白味が感じられない。
それでも流行に敏感なリョウは流行りの曲を懲りずに聴いていた。
「う~ん、これくらいの曲なら俺でも作れそうだなぁ」
今日は珍しくリョウがギター片手に作詞をしながら流行の音楽を流していた。
ミリオン達成の音楽らしいが、在り来たりなフレーズを並べただけの商業音楽全開のチープな曲だった。
「フォーエバーとかヘイとかラララとか意味もなく繰り返してるだけの曲なんか聴いて楽しいわけ~?」
やや棘のある言い方で話しかけると、リョウは笑って応えた。
「J-POPなんて、昔からそんなもんだ。やたら走り出したり、背中に翼が生えたり、優しい笑顔に心惹かれたりとか、まさに青春時代にドンピシャな曲って感じばかりだったろ? フォーエバー連呼するのも、きっと誰もが永遠を手に入れたいからさwww」
なんとなくリョウの言いたいことも分かるが、たまにはそうじゃない曲があってもいいんじゃないかと思う。
「アキラは昔からアニソン以外は聴かないから音楽性が偏ってんだよ~」
「はあ? 音楽性って何よwww」
「蓋然性合理主義の正論に揉まれて道具に成り下がらなかった音楽を知らないってことさ」
「ごめん……ちょっと何言ってるか分からないwww」
たまにリョウは音楽通ぶるところがあって面倒くさいが、音楽の知識は本物であり、もしかしたら正しいことを言っているのかもしれない。いや、実際のところは知らんけどwww
「アキラのようなオタク的感性の持ち主は今となっては多数派だから商業音楽もオタクに媚びまくりだろ? 我が国の音楽業界も今後ますます衰退の一途を辿っていくだろうなぁ~」
「う~ん、でもさ。アニソンがオリコン1位を獲得しまくってる現状なわけじゃん。つまり少なくとも我が国ではアニソンが1番いい曲なんじゃね?」
リョウは首を傾げつつも僕の発言に首肯する。
「まあ、『ハンバーガーとコーラが最も売れてるから世界で一番うまい』理論を正しいとするならば、そういうことになるなぁ。でも……」
「ハンバーガーとコーラが世界一うまいのは事実だからアニソンも世界で一番だよ、きっとwww」
完全論破されたリョウは呆れてしょんぼりしながら作詞を再開する。
「売れる曲かぁ~、そんな風に考えると一気にモチベーション下がるぜ……」
「そう? リョウほど才能があって音楽理論に精通してるならドカンと一発当たるような曲を作れそうだけどなぁ~」
僕がそう言うと、リョウに思いっきり溜息をつかれてしまった。
「あのなぁ、アキラ。音楽理論なんか詳しくなったところで必ずしもいい曲が作れるわけじゃないんだぞ。むしろ在り来たりでつまらない曲が出来上がるに決まってるぜ……」
どうやらリョウは音楽への情熱が昔ほどないらしく、すっかり創作意欲を失ってしまったらしい。最近ギターを弾かなくなったのも、それが原因なのかもしれない。
「そう? ラノベの創作理論とかと一緒じゃない? ああいうの勉強して自分で小説を執筆するのって、すごく楽しいけどなぁ~♡」
僕が生き生きと語る姿を見て、リョウは微笑ましい表情を浮かべる。
「楽しいかぁ……。そうだ、その気持ちだよ! なんだかんだ言って、アキラにはクリエイティブな才能があるんだろうなぁ♡ 普通のクリエイターは創作理論なんか勉強したら、つまらなくなるのが普通なのにアキラは楽しいって感じちゃうわけだろ? それって、ある意味、スゲェ才能じゃんwww」
褒められてるのか、disられてんのか、よく分かんないけど、リョウが立ち直ってくれて嬉しい。
「よぉ~し、久しぶりに作詞してみるぜッ! おぉ~、天から俺の頭に神作詞が流れ込んでくるぅ~ッ!!!」
リョウが書いた神作詞を見せてもらうと、僕でさえドン引きしてしまうほどの黒歴史が綴られていた。
――たった1人のオナニーに疲れ果てて右手が痛い~♪
股を開いて、腰あげて、孤独なチンポ握ればいい~♪
フォーエバー、フォーエバー、Hey!
虚しさなんて感じない~♪
フォーエバー、フォーエバー、Hey!
現実なんかクソくらえ~♪
世界が終わるその日まで~、俺は妄想に浸るだろう♪
それこそ俺の救いだろう~、君への想いはフォーエバー♪
LaLaLaLaLaLaLaLaLaLaLaLa(延々と繰り返し)――
後日、僕はリョウが作詞・作曲した音楽CDをカスケにも聴かせに行くと、悪乗りしたカスケがコネを使ってレコード会社へ売り込んでしまった。
アホなネタ曲として巷で話題になってしまい、正気に戻ったリョウは狂気の雄叫びを上げながら人気のない山奥まで走り去っていくのだったwww
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