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284 変態ガリガリ至上主義
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僕は今、シンデレラ体重を目指していた。
シンデレラ体重とは細いけれどガリガリ過ぎない、身体が1番美しく見える体重のことだ。BMIで言うと18ぐらい。
僕は今日もヒヤヒヤしながら全裸で体重計に乗りながら背筋をピンと伸ばす。
「えぇ~、ここのところ夕食抜いたりしてたのに全然減ってないんだけどぉ⁉︎」
僕が愕然たる思いで体重計から下りると、後ろからリョウがやってきた。
「おいおい、朝からストリップショーかwww」
リョウはニヤニヤと笑いながら、こちらを凝視する。
「どうして僕の体重は全然減らないの?」
「何キロだったんだ?」
「……43キロ」
「十分痩せてんじゃねえかwww」
呆れたように苦笑いしながらリョウは言った。
「それ以上痩せたら栄養失調で死んじまうぞ」
「でも、僕のシンデレラ体重は39.4キロなんだよ……」
「シンデレラ体重に捉われるなよ。美容体重でいいじゃねえか」
美容体重とは美しさと健康をどちらも兼ねそろえた体重のことである。ちなみにBMIは20ぐらいだ。
「でも、美容体重よりもシンデレラ体重の方が美しいんだよ。最終的にはモデル体重を目指さなきゃ……」
「いや、モデル体重はやめとけ。マジで死ぬぞ」
モデル体重とは誰もが憧れるモデルのような細い体型のことだ。BMIは何と17……。プロじゃなければ、死ぬかもしれない危険な領域と言われている。
「僕、リョウと違って背が低いからモデル体重じゃないと見映えが悪くなっちゃうんだよ……」
「そんなこと気にすんなよ。アキラなら標準体型でも可愛いぜ♡」
「でも……リョウがモデルみたいな体型だから一緒に外を歩くと気後れしちゃって……」
リョウは今も背が伸び続けており、身長は189センチで体重は64キロ。190センチ近くあっても体重が60キロ前半であることに驚きが隠せない。
「リョウの隣にいても違和感ないように少なくとも後5キロぐらいは痩せないと……」
「アキラ、落ち着けって! 30キロ台になっちまったら完全にただの栄養失調患者だろうがwww」
「ふぇぇ……そうなの? でも、デブには人権ないし、やっぱり痩せた方がいいんじゃ……」
「むしろアキラは限りなくガリガリの部類だろ。もっと飯食って筋肉量を増やさないと引き締まった美しい体型にはならないぞ♡」
ガリガリ至上主義の我が国で普通より太ることは死を意味する。僕自身、デブを見ると同じ人間とは思えないほどの嫌悪感が湧く。それゆえに異常なまでに自分の体重管理に僕はこだわっているのだ。
「ありがとう、リョウ。でも、僕は減量に命をかけるよ。デブとは一生無縁であるために……」
僕はそう言うと、ダイエットのために外へランニングしに行った。
僕は空腹にも負けず、ひたすら無心に走り続けた。
痩せるために僕はデブを深く憎み、自分の中に潜む邪悪な食欲と決別しようと奮闘する。
「デュフフwww 久しぶりですなぁ、アキラ殿www」
思わず吐き気を催すほど耳障りな早言に僕は背筋がゾッとした。
「はぁ~、またあんたかよ……変質者め!」
「ドプフォwww 相変わらずの釣れない態度www まあ、そこが可愛いんでござるがwww」
変質者は前からデブだったが、余計膨張したらしく、百貫デブと化していた。もはや100キロを軽く超えているだろう。
内面の醜さが、そのまま外見に出たような面構えは見た人すべてを不快にさせるほど化け物じみていた。
「前よりも激痩せしましたなぁwww まさに襲ってくれと言わんばかりの体型に拙者の肉棒が荒れ狂うでござるwww」
変質者は股間にテントが張った状態で僕を追いかけまわす。
「いや~、こっち来んなッ!」
「来るなと言われて、行かない変質者はいないでござるwww」
日頃の無理なダイエットがたたったのか、僕の身体には変質者から逃れるだけの体力は残っていなかった。
息が切れて徐々に走る速度が遅くなっていく。
「デュフフwww アキラ殿の細~い身体を美味しくいただきすぞwww」
変質者の手が僕に触れそうになった次の瞬間、邪悪なデブの巨体が勢いよく上下にバウンドしながら吹っ飛んだ。そのまま変質者の肥満体は道路へと放り出され、たまたま通りかかった車に撥ねられると再び派手にバウンドし、着地したところを今度は別の車に撥ねられるという現象が延々と続く。
「危ないところだったなぁ。アキラが力尽きて倒れるんじゃないかと思ってついてきたら、キモデブな害虫に襲われそうになっててビックリしたぜ」
どうやらリョウが一撃で変質者を撃退してくれたらしい。さすがは僕の愛する夫だ。
「ありがとう、リョウ♡ もうランニングするのはやめて家に帰るよ……」
「そうした方がいいぜ。世の中には弱った獲物を狙って、襲いかかる悪いケモノがいっぱいいるからなぁ~」
「リョウも、その悪いケモノじゃないの~?」
「俺はケモノでも良いケモノさ! 弱ってるヤツは襲わねえよ♡」
そう言うと、リョウは激痩せした僕の肢体をお姫様抱っこして、自宅まで送ってくれるのだった。
シンデレラ体重とは細いけれどガリガリ過ぎない、身体が1番美しく見える体重のことだ。BMIで言うと18ぐらい。
僕は今日もヒヤヒヤしながら全裸で体重計に乗りながら背筋をピンと伸ばす。
「えぇ~、ここのところ夕食抜いたりしてたのに全然減ってないんだけどぉ⁉︎」
僕が愕然たる思いで体重計から下りると、後ろからリョウがやってきた。
「おいおい、朝からストリップショーかwww」
リョウはニヤニヤと笑いながら、こちらを凝視する。
「どうして僕の体重は全然減らないの?」
「何キロだったんだ?」
「……43キロ」
「十分痩せてんじゃねえかwww」
呆れたように苦笑いしながらリョウは言った。
「それ以上痩せたら栄養失調で死んじまうぞ」
「でも、僕のシンデレラ体重は39.4キロなんだよ……」
「シンデレラ体重に捉われるなよ。美容体重でいいじゃねえか」
美容体重とは美しさと健康をどちらも兼ねそろえた体重のことである。ちなみにBMIは20ぐらいだ。
「でも、美容体重よりもシンデレラ体重の方が美しいんだよ。最終的にはモデル体重を目指さなきゃ……」
「いや、モデル体重はやめとけ。マジで死ぬぞ」
モデル体重とは誰もが憧れるモデルのような細い体型のことだ。BMIは何と17……。プロじゃなければ、死ぬかもしれない危険な領域と言われている。
「僕、リョウと違って背が低いからモデル体重じゃないと見映えが悪くなっちゃうんだよ……」
「そんなこと気にすんなよ。アキラなら標準体型でも可愛いぜ♡」
「でも……リョウがモデルみたいな体型だから一緒に外を歩くと気後れしちゃって……」
リョウは今も背が伸び続けており、身長は189センチで体重は64キロ。190センチ近くあっても体重が60キロ前半であることに驚きが隠せない。
「リョウの隣にいても違和感ないように少なくとも後5キロぐらいは痩せないと……」
「アキラ、落ち着けって! 30キロ台になっちまったら完全にただの栄養失調患者だろうがwww」
「ふぇぇ……そうなの? でも、デブには人権ないし、やっぱり痩せた方がいいんじゃ……」
「むしろアキラは限りなくガリガリの部類だろ。もっと飯食って筋肉量を増やさないと引き締まった美しい体型にはならないぞ♡」
ガリガリ至上主義の我が国で普通より太ることは死を意味する。僕自身、デブを見ると同じ人間とは思えないほどの嫌悪感が湧く。それゆえに異常なまでに自分の体重管理に僕はこだわっているのだ。
「ありがとう、リョウ。でも、僕は減量に命をかけるよ。デブとは一生無縁であるために……」
僕はそう言うと、ダイエットのために外へランニングしに行った。
僕は空腹にも負けず、ひたすら無心に走り続けた。
痩せるために僕はデブを深く憎み、自分の中に潜む邪悪な食欲と決別しようと奮闘する。
「デュフフwww 久しぶりですなぁ、アキラ殿www」
思わず吐き気を催すほど耳障りな早言に僕は背筋がゾッとした。
「はぁ~、またあんたかよ……変質者め!」
「ドプフォwww 相変わらずの釣れない態度www まあ、そこが可愛いんでござるがwww」
変質者は前からデブだったが、余計膨張したらしく、百貫デブと化していた。もはや100キロを軽く超えているだろう。
内面の醜さが、そのまま外見に出たような面構えは見た人すべてを不快にさせるほど化け物じみていた。
「前よりも激痩せしましたなぁwww まさに襲ってくれと言わんばかりの体型に拙者の肉棒が荒れ狂うでござるwww」
変質者は股間にテントが張った状態で僕を追いかけまわす。
「いや~、こっち来んなッ!」
「来るなと言われて、行かない変質者はいないでござるwww」
日頃の無理なダイエットがたたったのか、僕の身体には変質者から逃れるだけの体力は残っていなかった。
息が切れて徐々に走る速度が遅くなっていく。
「デュフフwww アキラ殿の細~い身体を美味しくいただきすぞwww」
変質者の手が僕に触れそうになった次の瞬間、邪悪なデブの巨体が勢いよく上下にバウンドしながら吹っ飛んだ。そのまま変質者の肥満体は道路へと放り出され、たまたま通りかかった車に撥ねられると再び派手にバウンドし、着地したところを今度は別の車に撥ねられるという現象が延々と続く。
「危ないところだったなぁ。アキラが力尽きて倒れるんじゃないかと思ってついてきたら、キモデブな害虫に襲われそうになっててビックリしたぜ」
どうやらリョウが一撃で変質者を撃退してくれたらしい。さすがは僕の愛する夫だ。
「ありがとう、リョウ♡ もうランニングするのはやめて家に帰るよ……」
「そうした方がいいぜ。世の中には弱った獲物を狙って、襲いかかる悪いケモノがいっぱいいるからなぁ~」
「リョウも、その悪いケモノじゃないの~?」
「俺はケモノでも良いケモノさ! 弱ってるヤツは襲わねえよ♡」
そう言うと、リョウは激痩せした僕の肢体をお姫様抱っこして、自宅まで送ってくれるのだった。
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