男の子たちの変態的な日常

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277 変態水上ミュージカル〜前編〜

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 国がオリンピックのために多目的ドーム球場を作ったものの、オリンピックは中止になった結果、完全に誘致に失敗し競売に出されることとなった。それを買い取ったリョウの企業が、一年中泳げる室内プールや温泉施設にリニューアルした。
 ドームの中央にステージをしつらえた大きなプールがあり、これを使ってラスベガスを超える水上ミュージカルをやる予定らしい。


「ミュージカルか……」


 僕はリョウからプールでダンサーやスイマーに混じって演技を披露するように頼まれてしまった。
 プールの底を機械で上下させて、水深を自由に変えることができる大がかりな仕掛けが施されたセットで僕は演技の練習に明け暮れていた。
 水の上でのパフォーマンスなら、水泳の経験がある僕には打ってつけだ。リズム感も柔軟性も筋力もすべて、水中や水面で舞うために鍛えあげる。
 ショーはドーム内に新設されるテーマパークのアトラクションのひとつであり、出演者も数十人規模で、セットもワイヤーロープや、演技者をロケットのように、プールの底から水面まで一気に持ち上げるリフトなども準備でき、いよいよ本番がやって来た。
 ドームに完成したショーステージの前にひろがるプールで、僕は観客たちの視線を釘付けにしていた。
 ショーは人魚と人間の恋をテーマにしたミュージカルで、僕は主人公の人魚を演じる。
 人魚を彷彿とさせるブルーのワンピース水着で下半身を包み込んだ僕は、魚役のスイマーたちと共に水上で両脚を使って、様々な形を作っていく。
 長かった練習の日々を過ごしてきたため、演者たちの呼吸も合ってきていた。
 僕を含む10人のスイマーが、円形に広がり、頭を水中に沈め、逆立ちと同じ体勢で、両脚だけを水上に突き出す。水面から垂直に伸びた20本の脚が、形の整った円を作り、ゆっくりと回転を始めると、観客たちから喝采が上がる。
 ステージでのショーは、リョウの思惑どおり初日から大盛況で、客席のスタンドには立ち見が溢れ、入場しきれない客が次のショーを並んで待っている状態だった。
 客席が興奮に包まれるなか、ショーはいよいよクライマックスに入る。共に泳いでいる魚役のスイマーたちが、僕から離れていく。
 僕がゆっくりと水中に身を沈めると、プールの底にある円形の台が水面に向かってせり上がってくる。
 台は僕が上に着地するのと同時に、一気に加速し、水をかき分けて水面に向かう。
 僕は身体をかがめて水圧に耐える。
 水面が大きく盛り上がり、ブルーの水着が姿を現わす。台が水面に達するのと同時に、僕の身体が台の勢いを利用して、大きく宙に舞う。両腕を翼のように大きくひろげ、背中を弓なりに反らせながら、空中で後ろ向きに回転する。
 僕のジャンプに、観客たちは言葉を失って見とれていた。
 わずか数秒間の飛行のあと、僕の身体が再びプールに吸い込まれると、プールの中からたくさんの噴水が現れ、岩場のセットが組まれたステージから、火柱が上がる。
 ここでようやく観客たちが我に返り、会場が歓声と拍手に包まれた。
 水中から僕が顔を出して微笑むと、観客たちの拍手がさらに大きくなった。




ーーー




 僕はリョウが用意してくれたVIPルームにいた。ここで心と身体を休ませると、新たな気持ちで次のショーに向かえるような気がした。


「…………」


 しばらく休んでから帰宅するつもりだったが、1人掛けチェアのあまりの座り心地の良さに、僕はいつの間にか、寝息を立てていた。


「お~い……随分お疲れのようだなぁ♡」


 リョウの声で目を覚ました僕は真っ暗になっている窓の向こうを見て飛び起きた。


「あちゃ~……知らない間に寝ちゃったみたい」
「悪いなぁ、起こしちまって。でも、今日のショーは最高だったぞ~♡ やっぱり、アキラを起用して正解だったぜ。俺の目に狂いはなかった」


 VIPルームには水族館の水槽を思わせる、巨大なガラス水槽に半分ほど水があり、リョウはそこを指差して言った。


「アキラ、眠気覚ましに裸で泳いだらどうだ? きっと気持ちいいぞぉ~♡」
「単に僕の裸が見たいだけでしょ~? はっきりと、そう言えばいいのに♡」


 僕はパンツすら身につけていない丸裸になると、ガラス水槽にドボンと飛び込んで行った。
 僕は馴れた様子で立ち泳ぎをし、体を回転させて、水面に両腕を上げて大きく開く。そして、水の中に身体を沈めると股間が見えるように、水中で開脚する。
 水位が水槽の半分で抑えられているため、水上の動きも水中の動きも真横からはっきりとリョウに見られてしまう。
 リョウは興奮に鼻息を荒くすると、一緒になって水槽の中へと入ってきた。
 剥き出しになった股間に顔を近づけてきたリョウは鼻を鳴らして匂いを嗅ぐ。
 僕は耳まで真っ赤にし、ヒップを悩ましく振った。それを見たリョウも興奮に頰を高潮させる。
 リョウはとうに屹立していたイチモツを取り出すと、狙いを定め、先走りが滲む亀頭の先端をぬかるんでいるところへとあてがう。
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