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264 変態BL道
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「さ~てと……今日の分の小説のネタを忘れないうちにノートにメモっとこう♡」
僕は取り出した一冊のノートをパラパラと捲って、無地のページに書き記しだす。
――至近距離からボーガンの矢が僕の乳首と下半身を射抜く。ボーガンの矢はバイブ機能付きで、乳首と下半身に電流でも流されたかのような刺激が襲う。全身から塗れた汗を飛び散らせて、肉を喘ぎ躍らせる。卑猥な尻振りは止めることができず、乳首と下半身に刺さった矢を大きく揺らす――
う~ん、と僕は唸った。
「思いついた時には、いいと思ったんだけど……さすがにボーガンの矢はキツイかなぁwww」
さすがに時事ネタは不謹慎だと思い直し、今さっき書いた部分を消しゴムで全て消す。
そして外を眺めながら、僕は物思いに耽るような表情で変態妄想をノートにぶつける。
「チーズ牛丼顔の陰キャ臭いキモオタがバイブ機能付きのモミアゲを使って、主人公を脅迫し、レイプしようとするところをやっつけられる展開なんて面白そうwww」
またもや時事ネタに走りそうになり、僕は改めて自分を戒める。
「いやいや、バイブ機能付きのモミアゲって無理ありすぎwww」
僕は両膝を擦り合わせながら、めくるめく被虐と甘美の官能の世界に、登場人物と自分を重ね、愛する男に弄ばれる妄想に耽る。
ふと僕は昔、BL系の本で初めて買った人生のバイブルとも言えるSM系小説を机の引き出しから取り出した。
露に濡れたページを捲った途端に衝撃を感じる。卑猥に大きく股間を開かれて縛られた男の子のイラストに惹かれてしまい、文章を読みだす。
どろどろと劣情に塗れた利己主義的な性欲の世界。でも、それはとても甘美な毒で僕を蝕んでくる。
今日に至るまで文学的な巨匠の作品から同人誌まで、万人受けするものからマニアックなものまで、あらゆる作品に触れたが、ぐっとくるのを本格的な陵辱モノであった。
BL作品の登場人物は脳内で、いつも自分に変換される。
犯されるのは僕、縛られるのも僕、恥ずかしい姿を晒すのも僕。
普通を装いながらも昼間から変態妄想してしまう自分に呆れてしまうが、やめられない止まらない。
心と身体、表層と本性、そのバランスがとれなくなりそうで怖い。そして既存のものだけでは満足できなくなったその時、筆を執った。
BLさえあれば、毎日が薔薇色だ。
「またBL小説書いてんのか。変態妄想することにかけては、アキラの右に出る者はいないからなぁwww」
「まあ、確かにそうかも……」
リョウにそう言われても否定できない自分が情けないような、誇らしいような。
「でも、今日はネタ選びに迷走しちゃってて……何、書いたら読者の方たちに喜んでもらえるかなぁ~?」
「ネタ選びに迷走してるって、どんなネタだ?」
僕はリョウに先ほど考えていたネタの数々を披露した。
「なるほど……確かに迷走とかいうレベルじゃねえなぁwww」
リョウは呆れたような表情でネタ帳を閉じた。
「正直、最近マンネリ気味で僕の妄想力も変な方向に向かって行っちゃうんだよねぇ~」
「なるほど、スランプってヤツか。三度の飯よりもBL妄想が好きなアキラにも珍しいことがあるもんだぁ。そういう時は初心にかえってみたらいいんじゃないか? あるいはBL以外のジャンルにも手を出してみるとかさ」
リョウの言葉に僕は迷うことなく、瞬時に返答する。
「BL以外のジャンルに手を出すつもりはないし、BL以外のジャンルで僕が書けるものなんかないよ。僕からBLを取ったら何も残らない。僕はBLに生かされていると言っても過言じゃないんだ。BLに生き、BLに死す! 人生はBLだ~ッ!」
僕の言葉にリョウは拍手をしながら称賛した。
「それでこそ、BL作家だ。何度も挫折しようが、何度もブクマ数が落ちようが、決して諦めない心さえあればBLの神が見捨てることはない。BL作家は、そうやって独自のBL道を極め、成長していくのさ♡」
「BLの神って何だよwww」とツッコミたくもなったが、そう思うと同時に僕の中でリョウの熱い言葉が胸に響いた。
感動の涙を流す僕の視界をリョウの顔が覆いつくす。
自然と瞳を細めて、あとはもう、なるようにしかならなかった。
ちゅ……ッ、重なる唇が、とても熱く感じて、一気に逆上せてしまいそうだ。
今すぐにでも、いやらしくて感じやすい部分をどこかに擦り付けたくなった。僕の下腹部に近い場所にはリョウの肉棒がある。
ちゅちゅ……ッ。どれくらいの時間、唇を合わせていたのかも分からないほど、僕はリョウの口付けに夢中になっていた。
リョウの滑る舌が僕の口内に入り込み、BL妄想している時以上にいやらしく感じ、蕩けそうになってしまう。
濡れた粘膜同士の接触音が脳内に直接響いてくる。頭の中が甘く溶かされるような気分になって、僕はお尻をくねくねと揺らしてしまう。
妄想と現実の境界が曖昧になるほど、僕は小説よりも奇な官能の世界へと昇りつめていくのだった。
僕は取り出した一冊のノートをパラパラと捲って、無地のページに書き記しだす。
――至近距離からボーガンの矢が僕の乳首と下半身を射抜く。ボーガンの矢はバイブ機能付きで、乳首と下半身に電流でも流されたかのような刺激が襲う。全身から塗れた汗を飛び散らせて、肉を喘ぎ躍らせる。卑猥な尻振りは止めることができず、乳首と下半身に刺さった矢を大きく揺らす――
う~ん、と僕は唸った。
「思いついた時には、いいと思ったんだけど……さすがにボーガンの矢はキツイかなぁwww」
さすがに時事ネタは不謹慎だと思い直し、今さっき書いた部分を消しゴムで全て消す。
そして外を眺めながら、僕は物思いに耽るような表情で変態妄想をノートにぶつける。
「チーズ牛丼顔の陰キャ臭いキモオタがバイブ機能付きのモミアゲを使って、主人公を脅迫し、レイプしようとするところをやっつけられる展開なんて面白そうwww」
またもや時事ネタに走りそうになり、僕は改めて自分を戒める。
「いやいや、バイブ機能付きのモミアゲって無理ありすぎwww」
僕は両膝を擦り合わせながら、めくるめく被虐と甘美の官能の世界に、登場人物と自分を重ね、愛する男に弄ばれる妄想に耽る。
ふと僕は昔、BL系の本で初めて買った人生のバイブルとも言えるSM系小説を机の引き出しから取り出した。
露に濡れたページを捲った途端に衝撃を感じる。卑猥に大きく股間を開かれて縛られた男の子のイラストに惹かれてしまい、文章を読みだす。
どろどろと劣情に塗れた利己主義的な性欲の世界。でも、それはとても甘美な毒で僕を蝕んでくる。
今日に至るまで文学的な巨匠の作品から同人誌まで、万人受けするものからマニアックなものまで、あらゆる作品に触れたが、ぐっとくるのを本格的な陵辱モノであった。
BL作品の登場人物は脳内で、いつも自分に変換される。
犯されるのは僕、縛られるのも僕、恥ずかしい姿を晒すのも僕。
普通を装いながらも昼間から変態妄想してしまう自分に呆れてしまうが、やめられない止まらない。
心と身体、表層と本性、そのバランスがとれなくなりそうで怖い。そして既存のものだけでは満足できなくなったその時、筆を執った。
BLさえあれば、毎日が薔薇色だ。
「またBL小説書いてんのか。変態妄想することにかけては、アキラの右に出る者はいないからなぁwww」
「まあ、確かにそうかも……」
リョウにそう言われても否定できない自分が情けないような、誇らしいような。
「でも、今日はネタ選びに迷走しちゃってて……何、書いたら読者の方たちに喜んでもらえるかなぁ~?」
「ネタ選びに迷走してるって、どんなネタだ?」
僕はリョウに先ほど考えていたネタの数々を披露した。
「なるほど……確かに迷走とかいうレベルじゃねえなぁwww」
リョウは呆れたような表情でネタ帳を閉じた。
「正直、最近マンネリ気味で僕の妄想力も変な方向に向かって行っちゃうんだよねぇ~」
「なるほど、スランプってヤツか。三度の飯よりもBL妄想が好きなアキラにも珍しいことがあるもんだぁ。そういう時は初心にかえってみたらいいんじゃないか? あるいはBL以外のジャンルにも手を出してみるとかさ」
リョウの言葉に僕は迷うことなく、瞬時に返答する。
「BL以外のジャンルに手を出すつもりはないし、BL以外のジャンルで僕が書けるものなんかないよ。僕からBLを取ったら何も残らない。僕はBLに生かされていると言っても過言じゃないんだ。BLに生き、BLに死す! 人生はBLだ~ッ!」
僕の言葉にリョウは拍手をしながら称賛した。
「それでこそ、BL作家だ。何度も挫折しようが、何度もブクマ数が落ちようが、決して諦めない心さえあればBLの神が見捨てることはない。BL作家は、そうやって独自のBL道を極め、成長していくのさ♡」
「BLの神って何だよwww」とツッコミたくもなったが、そう思うと同時に僕の中でリョウの熱い言葉が胸に響いた。
感動の涙を流す僕の視界をリョウの顔が覆いつくす。
自然と瞳を細めて、あとはもう、なるようにしかならなかった。
ちゅ……ッ、重なる唇が、とても熱く感じて、一気に逆上せてしまいそうだ。
今すぐにでも、いやらしくて感じやすい部分をどこかに擦り付けたくなった。僕の下腹部に近い場所にはリョウの肉棒がある。
ちゅちゅ……ッ。どれくらいの時間、唇を合わせていたのかも分からないほど、僕はリョウの口付けに夢中になっていた。
リョウの滑る舌が僕の口内に入り込み、BL妄想している時以上にいやらしく感じ、蕩けそうになってしまう。
濡れた粘膜同士の接触音が脳内に直接響いてくる。頭の中が甘く溶かされるような気分になって、僕はお尻をくねくねと揺らしてしまう。
妄想と現実の境界が曖昧になるほど、僕は小説よりも奇な官能の世界へと昇りつめていくのだった。
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