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238 変態ママ男〜後編〜
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「ママ! 本当にママなの⁉︎」
カスケの屋敷まで光の速さで飛んでいった僕は愛するママと数十年ぶりの再会を果たした。
「アキラ! 再び会えるなんて夢みたい♡」
僕はママを思いっきり抱きしめると、同じくらいの力で向こうも抱きしめ返してくる。
「どうして今まで何も連絡してこなかったの? ずっと音沙汰なかったから、もう死んじゃったかと思ってたんだよ」
「ごめんね、アキラ。あの後、ママは病院で記憶喪失になっちゃったんだ。長い間、病室に閉じ込められていたんだけど、カスケちゃんと偶然再会したら、芋づる式にアキラのことも思い出せてね。本当にカスケちゃんには感謝してるよ。こうしてまた愛する我が子の顔を見れたのだから♡」
そう言うと、ママはカスケの方に目配せしてウインクする。
「ぼくは今、医療崩壊が起こりつつある病院に助成金を出してあげててね。それで各地の病院を巡っていたら、アキラのママを偶然発見して、すぐさま身柄を引き取ったんだ。いやはや、こうして3人でいると昔を思い出すなぁ♡」
そういえば子供の頃、ママの目の届く範囲でカスケと一緒に屋敷の敷地内でよく遊んだものだ(第113話参照)。
「カスケちゃんから聞いたよ。アキラ、結婚してるらしいじゃん♡ ねえねえ、相手はどんな人?」
「すごく素敵な人だよ。今は仕事で忙しいから会わせられないけど、いつか紹介したいなぁ♡」
「そうなんだ。アキラが素晴らしい人に巡り会えたみたいで本当に良かった……」
ママは僕が幸せな家庭を築けたことに心底安心したのか、少し涙ぐんでいた。
「ママみたいな悲惨な人生をアキラが送ってないと知ったら、安心して涙が出てきちゃった。世の中は恐ろしい男で溢れてるから、アキラみたいな可愛い子が無事に生きてるだけでも奇跡だよ。カスケちゃん、ママのアキラをいつも守ってくれて本当にありがとう。いつかアキラの旦那さんにも直接会って御礼しなきゃね♡」
その後も積もる話に花が咲き、ママは長々と僕たちに昔話を語って聞かせる。
「昔、ママが見世物小屋で飼われていたことは知ってるでしょ? そこでママは子供の頃から大勢の男たちに犯され、誰が父親なのかも分からないまま妊娠しちゃってね。それでも、まだ彼らを憎みはしなかった。犯したいという彼らの欲望は、それなりに理解することができたから。普通だったら手に入らない宝物が目の前に転がり落ちてきた時、誰もが欲望の虜にならずにはいられないでしょう。だけど、だけど彼らは……」
ママの声は怒りに震え、全身から憎しみが溢れ出していた。
「彼らは人間としての尊厳を奪っただけでは飽き足らず、ママを殺そうとした。自分たちの悪事の口封じのために……。犯されてボロボロになったママは命からがら逃げ延びた先でも、たちまち邪悪な男たちの餌食にされちゃってね。何百人、何千人……いえ、とても数えきれないほどの男たちに、ママは死ぬことさえ許されずに犯されつづけた。長い間、ママは地べたを這いずりまわり、悪魔のような男たちに捕らわれては彼らの欲望が満たされるまで、ときには数百回も犯され、全身の至るところに精液を注がれたの。ママの肉体と魂は穢し尽くされ、あらゆるものが永遠とも思える時の流れの中で失われていった。夢も、希望も消えていく中で、男に対する深い絶望だけがママの心を満たしていった。でも、深い絶望の中で渦巻くママの心を当時まだお腹の中にいたアキラが救ってくれたんだよ♡」
ママは僕のことを再度抱きしめると、顔中にキスの雨を降らせる。
「産む機械として生まれてきたことを苦痛と屈辱の中で何度も後悔してきたけれど、アキラが産まれてきたことがきっかけでママの人生にようやく光が射し始めた。精液の海の中を死ぬまで這いずりまわりながら慰み者にされるだけの運命に立ち向かおうと思えるくらいの勇気をアキラがくれたんだよ。生まれて初めてママに生きる喜びを与えてくれたのがアキラだったんだから♡」
ママの告白があまりにも壮絶すぎて、僕たちは知らないうちに引き込まれ、身体からは力が抜けていた。
「ママ……」
泣きそうな表情を浮かべながら、僕は声を絞り出した。
「クスクス、そんな顔しないで。ママはもう十分幸せだから♡」
「ママ……僕もすごく幸せだよ♡」
安堵が僕を包む。
やっとママに会えた、自分は天涯孤独じゃなかったんだ、という充足感が僕をほのぼのと舞いあがらせた。今日だけは僕やママを散々傷つけてきた男たちの醜い負の性欲も、全て優しく許すことができた。
僕やママだって人間なんだ、生きていてもいいんだ、と未来に希望を持つことができた。明日は素晴らしい日なんだ、と。
その日、僕とママはベッドの上で抱き合ったまま眠りに落ちるまで奇跡の再会を心から祝福し合うのであった。
カスケの屋敷まで光の速さで飛んでいった僕は愛するママと数十年ぶりの再会を果たした。
「アキラ! 再び会えるなんて夢みたい♡」
僕はママを思いっきり抱きしめると、同じくらいの力で向こうも抱きしめ返してくる。
「どうして今まで何も連絡してこなかったの? ずっと音沙汰なかったから、もう死んじゃったかと思ってたんだよ」
「ごめんね、アキラ。あの後、ママは病院で記憶喪失になっちゃったんだ。長い間、病室に閉じ込められていたんだけど、カスケちゃんと偶然再会したら、芋づる式にアキラのことも思い出せてね。本当にカスケちゃんには感謝してるよ。こうしてまた愛する我が子の顔を見れたのだから♡」
そう言うと、ママはカスケの方に目配せしてウインクする。
「ぼくは今、医療崩壊が起こりつつある病院に助成金を出してあげててね。それで各地の病院を巡っていたら、アキラのママを偶然発見して、すぐさま身柄を引き取ったんだ。いやはや、こうして3人でいると昔を思い出すなぁ♡」
そういえば子供の頃、ママの目の届く範囲でカスケと一緒に屋敷の敷地内でよく遊んだものだ(第113話参照)。
「カスケちゃんから聞いたよ。アキラ、結婚してるらしいじゃん♡ ねえねえ、相手はどんな人?」
「すごく素敵な人だよ。今は仕事で忙しいから会わせられないけど、いつか紹介したいなぁ♡」
「そうなんだ。アキラが素晴らしい人に巡り会えたみたいで本当に良かった……」
ママは僕が幸せな家庭を築けたことに心底安心したのか、少し涙ぐんでいた。
「ママみたいな悲惨な人生をアキラが送ってないと知ったら、安心して涙が出てきちゃった。世の中は恐ろしい男で溢れてるから、アキラみたいな可愛い子が無事に生きてるだけでも奇跡だよ。カスケちゃん、ママのアキラをいつも守ってくれて本当にありがとう。いつかアキラの旦那さんにも直接会って御礼しなきゃね♡」
その後も積もる話に花が咲き、ママは長々と僕たちに昔話を語って聞かせる。
「昔、ママが見世物小屋で飼われていたことは知ってるでしょ? そこでママは子供の頃から大勢の男たちに犯され、誰が父親なのかも分からないまま妊娠しちゃってね。それでも、まだ彼らを憎みはしなかった。犯したいという彼らの欲望は、それなりに理解することができたから。普通だったら手に入らない宝物が目の前に転がり落ちてきた時、誰もが欲望の虜にならずにはいられないでしょう。だけど、だけど彼らは……」
ママの声は怒りに震え、全身から憎しみが溢れ出していた。
「彼らは人間としての尊厳を奪っただけでは飽き足らず、ママを殺そうとした。自分たちの悪事の口封じのために……。犯されてボロボロになったママは命からがら逃げ延びた先でも、たちまち邪悪な男たちの餌食にされちゃってね。何百人、何千人……いえ、とても数えきれないほどの男たちに、ママは死ぬことさえ許されずに犯されつづけた。長い間、ママは地べたを這いずりまわり、悪魔のような男たちに捕らわれては彼らの欲望が満たされるまで、ときには数百回も犯され、全身の至るところに精液を注がれたの。ママの肉体と魂は穢し尽くされ、あらゆるものが永遠とも思える時の流れの中で失われていった。夢も、希望も消えていく中で、男に対する深い絶望だけがママの心を満たしていった。でも、深い絶望の中で渦巻くママの心を当時まだお腹の中にいたアキラが救ってくれたんだよ♡」
ママは僕のことを再度抱きしめると、顔中にキスの雨を降らせる。
「産む機械として生まれてきたことを苦痛と屈辱の中で何度も後悔してきたけれど、アキラが産まれてきたことがきっかけでママの人生にようやく光が射し始めた。精液の海の中を死ぬまで這いずりまわりながら慰み者にされるだけの運命に立ち向かおうと思えるくらいの勇気をアキラがくれたんだよ。生まれて初めてママに生きる喜びを与えてくれたのがアキラだったんだから♡」
ママの告白があまりにも壮絶すぎて、僕たちは知らないうちに引き込まれ、身体からは力が抜けていた。
「ママ……」
泣きそうな表情を浮かべながら、僕は声を絞り出した。
「クスクス、そんな顔しないで。ママはもう十分幸せだから♡」
「ママ……僕もすごく幸せだよ♡」
安堵が僕を包む。
やっとママに会えた、自分は天涯孤独じゃなかったんだ、という充足感が僕をほのぼのと舞いあがらせた。今日だけは僕やママを散々傷つけてきた男たちの醜い負の性欲も、全て優しく許すことができた。
僕やママだって人間なんだ、生きていてもいいんだ、と未来に希望を持つことができた。明日は素晴らしい日なんだ、と。
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