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209 変態特撮〜前編〜
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僕は特撮ヒーロー番組を見るのが趣味で昭和や平成など時代を問わず、ありとあらゆる特撮番組を見尽くすのが夢だ。
ネット配信されている懐かしの特撮番組を日々欠かさず視聴することで僕は特撮オタクとしての知識を蓄積していった。
「やっぱり、『変態刑事チンポン』は面白いなぁ♡」
僕は今、『変態刑事チンポン』という平成元年に放送された変態ヒーローシリーズの第8作目に当たる特撮テレビドラマをネットで視聴していた。
「おぉ~、チンポンじゃねえか! 懐かしいぜ~、チンポンのオモチャは今でも持ってるぜ」
リョウは懐かしさのあまりチンポンのオープニング主題歌を歌い始めた。
「チンポ~ン、チンポ~ン♪ 人は誰でも~♪ チンポ~ン、チンポ~ン♪ 一つのオチンポ~♪ 変態刑事チンポ~ン!!!」
直球ながら熱い想いを歌うオープニング主題歌は特撮オタクのソウルがシャウトしてしまうほどの燃える曲であり、個人的に好きな特撮ソングとしては五本の指に入る。
「いやはや、マジで昔の特撮は神ですわぁ~♡ 今時の特撮はイケメン俳優やら何やらと言って、美男美女を出しただけの低クオリティなCG全開の作品ばかりで飽き飽きしてたけど、昔の特撮を見てたら、やっぱり日本のヒーローこそ世界一なんだって改めて思ったよ」
僕が特撮懐古厨にありがちな批判意見を言うと、そこそこリョウも同調してくれた。
「今時の特撮番組そのものを全否定はしないけれど、子供でも分かるほど商業展開が鬼畜すぎるんだよな。全種コンプ困難なコレクション要素のある玩具展開のおかげで売上総額は年々増加していってるようだが、はっきり言ってコレクター泣かせだとは思うぜ。後、アキラが言うようにイケメン俳優などを起用するようになってからの特撮作品では不細工やデブがヒーロー、ヒロインを務めることがなくなったのは寂しいなwww」
リョウは画面に映し出された『変態刑事チンポン』に登場する重量感が半端ないヒロインを見ながら言った。
確かにリョウが言うように昔の特撮の方が明らかに俳優や女優の容姿に寛容だったことは認めざるを得ない事実だ。一昔前の特撮系評論においても同様のことが散々指摘されてきた。
「この子、重量感あるよな……」
「もはやデブという言葉では表現しきれないほどの重量感だね……」
僕たちはヒロインが画面いっぱいにデカデカと映るたびに、重量感のある大層立派な身体つきに圧倒される。
「よくイケメンや美人の定義は時代によって変わるとか言ってる人がいるけど、百貫デブがモテる時代があったとは到底思えないんだよね」
「アキラの言う通りだろうな。昔から不細工やデブは肩身の狭い思いをしてきたが、『変態刑事チンポン』が放送されていた当時までは容姿に対して比較的まだ寛容だった。それが近年になって、現実世界と同様にフィクションの世界でも不細工やデブは排除されるようになっていったわけだな」
なるほど、リョウの言う通りかもしれない。昔と違い、もはや不細工やデブには完全に基本的人権さえもない状況となってしまったのだろう。
僕とリョウは昔の特撮を通して寛容だった頃の古き良き日本の姿を懐かしみながら変わってしまった現代社会に何とも言えない複雑な心情を抱く。
「でも、何だかんだ批判しつつも現代の特撮作品もちゃんと見ているアキラは特撮オタクの鑑だぜ」
「自分で言うのも何だけど、僕は特撮の神に愛されし男だからね。この間もコンビニの一番くじでA賞のビッグソフビ人形を4回引いただけで当てちゃったもんねぇ~♡」
部屋の目立つ所に堂々と飾ってあるラ◯ダーのビッグソフビ人形を指差しながら僕は胸を張って言った。
「人生一度でいいから自分が監督、脚本を務めた特撮テレビドラマを作ってみたいもんだよ。特撮の知識なら結構自信があるんだけどなぁ~」
僕が冗談半分で言うと、リョウは思いついたように指を鳴らして提案した。
「仕事の関係で俺は西映株式会社にコネがあってな。良かったら、俺が西映に頼んで変態ヒーローシリーズの復活を要請してこようか? 実現できた暁にはアキラが制作総指揮で作ってくれ♡」
西映は映画や特撮テレビ番組の製作などが主な業務で、過去に変態ヒーローシリーズを手掛けた会社でもある。
変態ヒーローシリーズは今から21年前に『オチンポ探偵ロボチンチン』を最後にシリーズが打ち切られ、それ以来は単発の劇場版が新規に数回制作されたくらいであり、完全にオワコンとなっていた。
1982年に変態ヒーローシリーズが開始されてから全17作品が作られており、変身後の主人公が鎧のような金属のスーツを纏ったり、もしくはロボだったりするのがシリーズの特徴である。
そして何を隠そう変態ヒーローシリーズというだけあって、主人公のヒーローは例外なく特殊な性癖を持っているのだ。例えば、今さっきリョウと見ていた『変態刑事チンポン』の主人公は見た目が太っていればいるほど興奮する重度のデブ専であった。エンディング映像では毎週のようにウェディングドレスを着た重量感のあるヒロインと手を繋ぎながら爽やかな笑顔で駆けるチンポンの姿は実に微笑ましい。是非一度は見てもらいたいwww
「よ~し、決めた! 僕は『変態刑事チンポン』のリメイクを作るぞ♡ さっそく脚本を執筆しなきゃね」
大好きなチンポンの姿を再び見てみたくなった僕は自分の手で一から再構築することにした。
僕は具体的なストーリー展開やキャラ設定に関して入念に練りながら、西映に交渉しに行ったリョウから良い返事がもらえることを期待するのだった。
ネット配信されている懐かしの特撮番組を日々欠かさず視聴することで僕は特撮オタクとしての知識を蓄積していった。
「やっぱり、『変態刑事チンポン』は面白いなぁ♡」
僕は今、『変態刑事チンポン』という平成元年に放送された変態ヒーローシリーズの第8作目に当たる特撮テレビドラマをネットで視聴していた。
「おぉ~、チンポンじゃねえか! 懐かしいぜ~、チンポンのオモチャは今でも持ってるぜ」
リョウは懐かしさのあまりチンポンのオープニング主題歌を歌い始めた。
「チンポ~ン、チンポ~ン♪ 人は誰でも~♪ チンポ~ン、チンポ~ン♪ 一つのオチンポ~♪ 変態刑事チンポ~ン!!!」
直球ながら熱い想いを歌うオープニング主題歌は特撮オタクのソウルがシャウトしてしまうほどの燃える曲であり、個人的に好きな特撮ソングとしては五本の指に入る。
「いやはや、マジで昔の特撮は神ですわぁ~♡ 今時の特撮はイケメン俳優やら何やらと言って、美男美女を出しただけの低クオリティなCG全開の作品ばかりで飽き飽きしてたけど、昔の特撮を見てたら、やっぱり日本のヒーローこそ世界一なんだって改めて思ったよ」
僕が特撮懐古厨にありがちな批判意見を言うと、そこそこリョウも同調してくれた。
「今時の特撮番組そのものを全否定はしないけれど、子供でも分かるほど商業展開が鬼畜すぎるんだよな。全種コンプ困難なコレクション要素のある玩具展開のおかげで売上総額は年々増加していってるようだが、はっきり言ってコレクター泣かせだとは思うぜ。後、アキラが言うようにイケメン俳優などを起用するようになってからの特撮作品では不細工やデブがヒーロー、ヒロインを務めることがなくなったのは寂しいなwww」
リョウは画面に映し出された『変態刑事チンポン』に登場する重量感が半端ないヒロインを見ながら言った。
確かにリョウが言うように昔の特撮の方が明らかに俳優や女優の容姿に寛容だったことは認めざるを得ない事実だ。一昔前の特撮系評論においても同様のことが散々指摘されてきた。
「この子、重量感あるよな……」
「もはやデブという言葉では表現しきれないほどの重量感だね……」
僕たちはヒロインが画面いっぱいにデカデカと映るたびに、重量感のある大層立派な身体つきに圧倒される。
「よくイケメンや美人の定義は時代によって変わるとか言ってる人がいるけど、百貫デブがモテる時代があったとは到底思えないんだよね」
「アキラの言う通りだろうな。昔から不細工やデブは肩身の狭い思いをしてきたが、『変態刑事チンポン』が放送されていた当時までは容姿に対して比較的まだ寛容だった。それが近年になって、現実世界と同様にフィクションの世界でも不細工やデブは排除されるようになっていったわけだな」
なるほど、リョウの言う通りかもしれない。昔と違い、もはや不細工やデブには完全に基本的人権さえもない状況となってしまったのだろう。
僕とリョウは昔の特撮を通して寛容だった頃の古き良き日本の姿を懐かしみながら変わってしまった現代社会に何とも言えない複雑な心情を抱く。
「でも、何だかんだ批判しつつも現代の特撮作品もちゃんと見ているアキラは特撮オタクの鑑だぜ」
「自分で言うのも何だけど、僕は特撮の神に愛されし男だからね。この間もコンビニの一番くじでA賞のビッグソフビ人形を4回引いただけで当てちゃったもんねぇ~♡」
部屋の目立つ所に堂々と飾ってあるラ◯ダーのビッグソフビ人形を指差しながら僕は胸を張って言った。
「人生一度でいいから自分が監督、脚本を務めた特撮テレビドラマを作ってみたいもんだよ。特撮の知識なら結構自信があるんだけどなぁ~」
僕が冗談半分で言うと、リョウは思いついたように指を鳴らして提案した。
「仕事の関係で俺は西映株式会社にコネがあってな。良かったら、俺が西映に頼んで変態ヒーローシリーズの復活を要請してこようか? 実現できた暁にはアキラが制作総指揮で作ってくれ♡」
西映は映画や特撮テレビ番組の製作などが主な業務で、過去に変態ヒーローシリーズを手掛けた会社でもある。
変態ヒーローシリーズは今から21年前に『オチンポ探偵ロボチンチン』を最後にシリーズが打ち切られ、それ以来は単発の劇場版が新規に数回制作されたくらいであり、完全にオワコンとなっていた。
1982年に変態ヒーローシリーズが開始されてから全17作品が作られており、変身後の主人公が鎧のような金属のスーツを纏ったり、もしくはロボだったりするのがシリーズの特徴である。
そして何を隠そう変態ヒーローシリーズというだけあって、主人公のヒーローは例外なく特殊な性癖を持っているのだ。例えば、今さっきリョウと見ていた『変態刑事チンポン』の主人公は見た目が太っていればいるほど興奮する重度のデブ専であった。エンディング映像では毎週のようにウェディングドレスを着た重量感のあるヒロインと手を繋ぎながら爽やかな笑顔で駆けるチンポンの姿は実に微笑ましい。是非一度は見てもらいたいwww
「よ~し、決めた! 僕は『変態刑事チンポン』のリメイクを作るぞ♡ さっそく脚本を執筆しなきゃね」
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