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184 変態の息子は天才
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今日は温水プールを貸し切って、小学校の水泳大会が開催されていた。
1年に1日だけ、全校生徒がプールに集い、自分の記録を測定する。その記録は成績にも反映されるらしい。お祭りのような雰囲気の反面、どことなく緊張感も漂っている。
そんな雰囲気の中、保護者席にいるリョウは思いっきり犯したい衝動を必死に抑えながら僕を見つめていた。
「位置について、よ~いッ!」
パァンッと号砲が鳴り響き、レーンに並んだ僕たちが、水面に飛び込んでいく。距離は25メートル。要するにプールの端から端まで泳ぐだけだ。
だが、まだ小学生であるため、一度に2人くらいは泳げない子がいて歩きながらプールの端に向かっていく。中には飛び込み台で震えている子までいた。
歩いている子は当然アウトになる。泳げる子でも、途中で立ってしまったり、極端に遅いとタイムオーバーがすぐに来る。
「位置について、よ~い!」
また号砲が鳴り、次の子たちがプールの中に飛び込んでいく。
リョウはスタート地点を見ると、アオイが両手を振っているのに気がついた。
「リョウパパ~ッ! ボク、いくよぉ~♡」
リョウは小さく手を振り返しながら、アオイの姿をじっくりと見た。
「我が息子ながら完璧だなぁ~♡」
アオイの左右にはクラスメイトの男の子たちが並んでいる。もちろん、全員スク水を着ている。背が大きい子。腹部が出ている子。いずれと比べても、アオイは半端なく可愛かった。
リョウの肉棹は益々元気になってしまい、ズボンがテント状態になる。
「位置について、よ~いッ!」
飛び込み台の上に、へっぴり腰で立つアオイを見て、リョウは急に心配になってきた。
パ~ンッと音が響き、全員が見事に飛び込んだ。もちろんアオイも。しかも、実にうまい飛び込みを見せ、先頭に立っていた。
「おぉ! アオイ、いいぞぉ~♡」
思わずリョウはアオイの泳ぐ姿を見つめてしまう。一生懸命に両手足を動かし、水面を泳いでいく。
予想通りアオイは一番で対岸にたどり着いた。自分が一番だと知ってびっくりしたようで、左右を何度もキョロキョロしていた。
アオイはプールから上がると一目散に僕のところにやってくる。
「ボク、一番だったよぉ~! アキラパパが泳ぎを教えてくれたおかげだね♡」
「さすが、アオイ♡ 僕より早かったんじゃない?」
頭を『んッ』と差し出してきたアオイの頭を撫でてあげると、思いっきり笑顔を作り、僕に飛びついてきた。
その後も大会は続き、一斉にスク水の男子が水の中に飛び込んでいく。だいたいの子は飛び込みがヘタなので、豪快に水しぶきが上がり、中にはそのまま立ち上がってしまう者までいる。
水泳のレベルは低いが、参加者は皆真剣であり、周りで応援している生徒たちもかなりの盛り上がりだ。
結果が分かるごとに生徒たちの歓声と溜め息が交互に聞こえ、次々とクラスごとに得点が加算されていく。
「いけいけ~ッ! 抜ける! 抜けるよ~ッ!」
プールの両サイドには全学年がクラスごとにすし詰めに並び、歓声を上げている。しかも、屋根付きのプールなので声が反響してものすごい声援に聞こえた。
学校行事というカテゴリではあるものの、これはかなり派手で、一大イベントと呼ぶにふさわしい。
昼食休憩を挟んで、水泳大会は異様なテンションのまま進んでいった。
午後の最初の種目は『演劇』。
ダンスとシンクロもどきを組み合わせた、妙な水中演技でプールの中は実にシュールな光景が広がっていた。リョウは最前列に座って、僕のダンスを食い入るように撮影していた。
この『演劇』だけは来賓の採点が加算されるが、僕たちのクラスは100点満点中、90点を獲得という快挙を成し遂げた。ここまで点差が開けられていたが、この得点で一気に上位へと進出した。
――そして、競技は残すところ一つになった。
「400メートルリレーか」
リョウはプログラムの最後に書かれている種目を見て呟いた。
8レーンしかないので、全クラス同時に戦うことはできない。予選をする時間もないので、純粋にタイム勝負になる。
甘く見ていたわけではないが、いざ本番が近づくとさすがに身体が強ばる感じがした。
くじ引きで、僕のクラスは最終組ということになった。さすがに選ばれたメンバーだけにタイムもなかなか良い。
そして、ついに最終組のスタートがやってきた。
「位置について、よ~いッ!」
――パ~ンッ!
1人目のタッチが行われた時、僕とアオイのクラスは6位と出遅れた。その次も挽回ができず、6位のまま。上位とのタイム差もかなり出てしまい、プールサイドのクラスメイトたちは意気消沈していた。
タッチを受けると、アオイは一直線に飛び込んだ。見事に距離とスピードを稼ぐ飛び込みだ。それだけで、前を行く選手を1人抜いてしまった。
潜水から頭が飛び出し、豪快なクロールが始まり、すさまじいスピードで前の選手に迫る。25メートルはあっという間に迫り、アオイは身体をクルッと水中に潜らせて回転し、壁を蹴ってターンする。
「ウォォォ~ッ! すげぇぜ、俺の息子は天才だ!!!」
保護者席でリョウが立ち上がり、アオイの泳ぎに心底感動する。
ついに200メートルのターン。残りは50メートルとなった。そして、このターンと同時に、アオイはついにトップへと躍り出た。
「うわぁぁぁぁぁ~い!!! 勝ったぁぁぁぁ!!!」
僕のクラスの子たちが全員立ち上がり抱き合って喜んでいた。
アオイのタイムは学校新記録。2位以下とは大差のぶっちぎり勝利だった。
そして、この勝利により得点が逆転。僕のクラスは大会優勝となった。
ワ~ッと歓声を上げたクラスのみんなからアオイは盛大に胴上げされ、その感動的な光景をリョウは一部始終撮影してくれたのだった。
1年に1日だけ、全校生徒がプールに集い、自分の記録を測定する。その記録は成績にも反映されるらしい。お祭りのような雰囲気の反面、どことなく緊張感も漂っている。
そんな雰囲気の中、保護者席にいるリョウは思いっきり犯したい衝動を必死に抑えながら僕を見つめていた。
「位置について、よ~いッ!」
パァンッと号砲が鳴り響き、レーンに並んだ僕たちが、水面に飛び込んでいく。距離は25メートル。要するにプールの端から端まで泳ぐだけだ。
だが、まだ小学生であるため、一度に2人くらいは泳げない子がいて歩きながらプールの端に向かっていく。中には飛び込み台で震えている子までいた。
歩いている子は当然アウトになる。泳げる子でも、途中で立ってしまったり、極端に遅いとタイムオーバーがすぐに来る。
「位置について、よ~い!」
また号砲が鳴り、次の子たちがプールの中に飛び込んでいく。
リョウはスタート地点を見ると、アオイが両手を振っているのに気がついた。
「リョウパパ~ッ! ボク、いくよぉ~♡」
リョウは小さく手を振り返しながら、アオイの姿をじっくりと見た。
「我が息子ながら完璧だなぁ~♡」
アオイの左右にはクラスメイトの男の子たちが並んでいる。もちろん、全員スク水を着ている。背が大きい子。腹部が出ている子。いずれと比べても、アオイは半端なく可愛かった。
リョウの肉棹は益々元気になってしまい、ズボンがテント状態になる。
「位置について、よ~いッ!」
飛び込み台の上に、へっぴり腰で立つアオイを見て、リョウは急に心配になってきた。
パ~ンッと音が響き、全員が見事に飛び込んだ。もちろんアオイも。しかも、実にうまい飛び込みを見せ、先頭に立っていた。
「おぉ! アオイ、いいぞぉ~♡」
思わずリョウはアオイの泳ぐ姿を見つめてしまう。一生懸命に両手足を動かし、水面を泳いでいく。
予想通りアオイは一番で対岸にたどり着いた。自分が一番だと知ってびっくりしたようで、左右を何度もキョロキョロしていた。
アオイはプールから上がると一目散に僕のところにやってくる。
「ボク、一番だったよぉ~! アキラパパが泳ぎを教えてくれたおかげだね♡」
「さすが、アオイ♡ 僕より早かったんじゃない?」
頭を『んッ』と差し出してきたアオイの頭を撫でてあげると、思いっきり笑顔を作り、僕に飛びついてきた。
その後も大会は続き、一斉にスク水の男子が水の中に飛び込んでいく。だいたいの子は飛び込みがヘタなので、豪快に水しぶきが上がり、中にはそのまま立ち上がってしまう者までいる。
水泳のレベルは低いが、参加者は皆真剣であり、周りで応援している生徒たちもかなりの盛り上がりだ。
結果が分かるごとに生徒たちの歓声と溜め息が交互に聞こえ、次々とクラスごとに得点が加算されていく。
「いけいけ~ッ! 抜ける! 抜けるよ~ッ!」
プールの両サイドには全学年がクラスごとにすし詰めに並び、歓声を上げている。しかも、屋根付きのプールなので声が反響してものすごい声援に聞こえた。
学校行事というカテゴリではあるものの、これはかなり派手で、一大イベントと呼ぶにふさわしい。
昼食休憩を挟んで、水泳大会は異様なテンションのまま進んでいった。
午後の最初の種目は『演劇』。
ダンスとシンクロもどきを組み合わせた、妙な水中演技でプールの中は実にシュールな光景が広がっていた。リョウは最前列に座って、僕のダンスを食い入るように撮影していた。
この『演劇』だけは来賓の採点が加算されるが、僕たちのクラスは100点満点中、90点を獲得という快挙を成し遂げた。ここまで点差が開けられていたが、この得点で一気に上位へと進出した。
――そして、競技は残すところ一つになった。
「400メートルリレーか」
リョウはプログラムの最後に書かれている種目を見て呟いた。
8レーンしかないので、全クラス同時に戦うことはできない。予選をする時間もないので、純粋にタイム勝負になる。
甘く見ていたわけではないが、いざ本番が近づくとさすがに身体が強ばる感じがした。
くじ引きで、僕のクラスは最終組ということになった。さすがに選ばれたメンバーだけにタイムもなかなか良い。
そして、ついに最終組のスタートがやってきた。
「位置について、よ~いッ!」
――パ~ンッ!
1人目のタッチが行われた時、僕とアオイのクラスは6位と出遅れた。その次も挽回ができず、6位のまま。上位とのタイム差もかなり出てしまい、プールサイドのクラスメイトたちは意気消沈していた。
タッチを受けると、アオイは一直線に飛び込んだ。見事に距離とスピードを稼ぐ飛び込みだ。それだけで、前を行く選手を1人抜いてしまった。
潜水から頭が飛び出し、豪快なクロールが始まり、すさまじいスピードで前の選手に迫る。25メートルはあっという間に迫り、アオイは身体をクルッと水中に潜らせて回転し、壁を蹴ってターンする。
「ウォォォ~ッ! すげぇぜ、俺の息子は天才だ!!!」
保護者席でリョウが立ち上がり、アオイの泳ぎに心底感動する。
ついに200メートルのターン。残りは50メートルとなった。そして、このターンと同時に、アオイはついにトップへと躍り出た。
「うわぁぁぁぁぁ~い!!! 勝ったぁぁぁぁ!!!」
僕のクラスの子たちが全員立ち上がり抱き合って喜んでいた。
アオイのタイムは学校新記録。2位以下とは大差のぶっちぎり勝利だった。
そして、この勝利により得点が逆転。僕のクラスは大会優勝となった。
ワ~ッと歓声を上げたクラスのみんなからアオイは盛大に胴上げされ、その感動的な光景をリョウは一部始終撮影してくれたのだった。
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