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177 変態ショタ化〜後編〜
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朝、起きると僕の視界に最初に入ったのは見知った部屋の天井だった。
僕は掌を開閉し腕を回す。身体にこれといった異常はない。
カスケが僕の家まで運んでくれたのだろうか? でも、とりあえず生きているようで本当に良かった。一時はどうなることかと思ったけれど、どうやら僕は賭けに勝ったらしい。
朝食の前に顔を洗おうと、洗面所に向かう。すると、ある異変に気が付いた。
いつもより、視界が低いのだ。
洗面所に着くと、洗面台がいつもより高い。一体どういうことだ?
蛇口をひねって顔を上げると、鏡の中に一糸まとわぬショタがいた。
パイパンであることから判断して年はアオイと同じくらい。不思議と懐かしさを覚えるショタの顔つきは、すっと通った鼻梁に日本人らしからぬ白い肌で、きりっと引き締まった唇はプルプルしている。何となくアオイに似た雰囲気を持つ男の子だ。
だが、一つだけ気になる点があった。
目の前のショタの表情は、なんだか戸惑っているように見えたのだ。
戸惑っているのは当たり前かもしれない。なにしろ僕だって驚いているのだから。
それにしても、鏡越しで謎の男の子と接近遭遇である。これは一体どういう現象なのか?
「……何が起こったんだろう?」
目が覚めたばかりで頭の動きは鈍い。目の前のショタが現実のものとは未だ信じられなかった。
「鏡の世界って実在するのかな? そういえば昔テレビで見た特撮ヒーロー番組で、鏡の世界にいるモンスターと契約した主人公が変身して戦うのがあったなぁ。まさか、僕も鏡の世界に入って変身したりとかしちゃったりしてぇ~♡」
僕はぼんやりと、そんなことを考えた。疑わしいことは確かだが、どうも実在するらしい。でなければいきなり鏡越しにショタが現れるなんてことないはずだ。
ショタは何も喋ろうとしない。日本語が話せないというわけでもなさそうだ。無口というか今の状況に驚いているといった感じだ。さっきから目を丸くしている。
無理もない。鏡の世界にいるのだから驚きもするだろう。しかもショタは現在裸だ。ちょっぴり同情しながら、僕はなんとか落ち着こうと、水流に手を伸ばした。顔を濡らして冷静になるつもりだった。
すると、鏡の向こうでも同じ動作をしていた。
「ファッ⁉︎」
なんだこの子は? 僕と同じ動作で顔を洗おうとした……。
ただの偶然なのだろうか?
鏡を見つめ、僕はさらに驚いた。鏡の中のショタも口を「ファッ」の形に開けていたのである。
僕はじっとしたまま、恐る恐る頬に手を伸ばした。
ショタも、頬に手を伸ばしている。
パニックになりそうな心臓を抑えながら、今度は右手で頬をつまむ。
やはりショタもつまんでいた。
予感は黒雲となって、心を覆いつくした。ま、まさか……。本当にそのまさかなのか?
気を落ち着かせようと、顔を万力みたいにつまんだまま、大きく深呼吸をした。1回、2回。とりあえず、激しくステップを踏んでいた僕の心臓は、酔っ払いの千鳥足くらいまでにはなった。
今度は気合いを入れるために息を止める。そして力一杯、右の人差し指と親指を回転させた。
頬にとんでもない激痛が走った。
「いてててて!」
絶叫して転がり回る。鏡の向こうのショタも、同じように転がっていた。
もう間違いない。僕は起きあがって、鏡ではなく自分の身体を見下ろした。
そこにはツンと上を向いて綺麗な肌の上にある子供の乳首。小さく綺麗なピンク色をした子供の乳輪。股間には未だ小さくて可愛らしい子供のオチンチンが存在していた。
「若返り過ぎだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ~ッ!!!」
僕は恐らく、生涯最大の絶叫をあげた。
鏡の中の自分も、やはり同じことを叫んでいた。
冷静に、冷静になろう。僕はひたすら自分に言い聞かせる。
再び、鏡をのぞき込む。鏡の向こうのショタこと自分自身は、実に不安げな顔をしていた。
「……そんな顔をしちゃあダメ、かわいい顔が台無しだぞ♡」
直後に深くいたたまれない気持ちになった。僕は自分に何を言ってるんだろう……。
「それにしても可愛いなあ。子供の頃の僕って、こんなにも可愛かったんだぁ~♡ あながち悪い結果ではないかも……」
鏡を見ながら、そんなことを呟いてしまった。
子供の頃、リョウやカスケが僕に一目惚れしたのも分かるような気がする。我ながら自画自賛ばかりで申し訳ないが。
でも、こんなにも可愛いかったわりに子供の頃の僕にはあまり友達が出来なかったんだよねぇ~、どうしてだろう? 性格や趣味が変わってたせい?
あまりの結果に驚きつつ、僕はとりあえずリビングに行く。
「おお~ッ、目が覚めたんだなぁ! アキラ……俺は今、猛烈に感動しているッ!!!」
いつも以上にリョウは僕の姿に興奮しながら手を叩いて近づいてきた。
「リョウ、実は昨日カスケの家で……」
「みなまで言うな。詳しい話はカスケから聞いた。せっかく若返ったんだし、可愛い子供服をいっぱい買ってやるからなぁ~♡」
「この歳で子供服を着るなんて何か恥ずかしい……」
「でも、今のアキラには子供服しかサイズが合わないぞ。子供服が嫌なら普段の生活は裸で過ごすつもりかぁ~? まあ、俺はそれでも構わないが……というか、もっとアキラの裸を見せろぉ~♡」
リョウは僕に飛びつくと、全身をペロペロ舐めまわしながら縫いぐるみを抱きかかえるように四六時中離してはくれなかった。
子供の姿になったと知った時は愕然としたが、こんなにも愛するリョウに可愛がってもらえるなら2度目の子供時代を過ごしてみるのも一興かもしれない。
僕は掌を開閉し腕を回す。身体にこれといった異常はない。
カスケが僕の家まで運んでくれたのだろうか? でも、とりあえず生きているようで本当に良かった。一時はどうなることかと思ったけれど、どうやら僕は賭けに勝ったらしい。
朝食の前に顔を洗おうと、洗面所に向かう。すると、ある異変に気が付いた。
いつもより、視界が低いのだ。
洗面所に着くと、洗面台がいつもより高い。一体どういうことだ?
蛇口をひねって顔を上げると、鏡の中に一糸まとわぬショタがいた。
パイパンであることから判断して年はアオイと同じくらい。不思議と懐かしさを覚えるショタの顔つきは、すっと通った鼻梁に日本人らしからぬ白い肌で、きりっと引き締まった唇はプルプルしている。何となくアオイに似た雰囲気を持つ男の子だ。
だが、一つだけ気になる点があった。
目の前のショタの表情は、なんだか戸惑っているように見えたのだ。
戸惑っているのは当たり前かもしれない。なにしろ僕だって驚いているのだから。
それにしても、鏡越しで謎の男の子と接近遭遇である。これは一体どういう現象なのか?
「……何が起こったんだろう?」
目が覚めたばかりで頭の動きは鈍い。目の前のショタが現実のものとは未だ信じられなかった。
「鏡の世界って実在するのかな? そういえば昔テレビで見た特撮ヒーロー番組で、鏡の世界にいるモンスターと契約した主人公が変身して戦うのがあったなぁ。まさか、僕も鏡の世界に入って変身したりとかしちゃったりしてぇ~♡」
僕はぼんやりと、そんなことを考えた。疑わしいことは確かだが、どうも実在するらしい。でなければいきなり鏡越しにショタが現れるなんてことないはずだ。
ショタは何も喋ろうとしない。日本語が話せないというわけでもなさそうだ。無口というか今の状況に驚いているといった感じだ。さっきから目を丸くしている。
無理もない。鏡の世界にいるのだから驚きもするだろう。しかもショタは現在裸だ。ちょっぴり同情しながら、僕はなんとか落ち着こうと、水流に手を伸ばした。顔を濡らして冷静になるつもりだった。
すると、鏡の向こうでも同じ動作をしていた。
「ファッ⁉︎」
なんだこの子は? 僕と同じ動作で顔を洗おうとした……。
ただの偶然なのだろうか?
鏡を見つめ、僕はさらに驚いた。鏡の中のショタも口を「ファッ」の形に開けていたのである。
僕はじっとしたまま、恐る恐る頬に手を伸ばした。
ショタも、頬に手を伸ばしている。
パニックになりそうな心臓を抑えながら、今度は右手で頬をつまむ。
やはりショタもつまんでいた。
予感は黒雲となって、心を覆いつくした。ま、まさか……。本当にそのまさかなのか?
気を落ち着かせようと、顔を万力みたいにつまんだまま、大きく深呼吸をした。1回、2回。とりあえず、激しくステップを踏んでいた僕の心臓は、酔っ払いの千鳥足くらいまでにはなった。
今度は気合いを入れるために息を止める。そして力一杯、右の人差し指と親指を回転させた。
頬にとんでもない激痛が走った。
「いてててて!」
絶叫して転がり回る。鏡の向こうのショタも、同じように転がっていた。
もう間違いない。僕は起きあがって、鏡ではなく自分の身体を見下ろした。
そこにはツンと上を向いて綺麗な肌の上にある子供の乳首。小さく綺麗なピンク色をした子供の乳輪。股間には未だ小さくて可愛らしい子供のオチンチンが存在していた。
「若返り過ぎだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ~ッ!!!」
僕は恐らく、生涯最大の絶叫をあげた。
鏡の中の自分も、やはり同じことを叫んでいた。
冷静に、冷静になろう。僕はひたすら自分に言い聞かせる。
再び、鏡をのぞき込む。鏡の向こうのショタこと自分自身は、実に不安げな顔をしていた。
「……そんな顔をしちゃあダメ、かわいい顔が台無しだぞ♡」
直後に深くいたたまれない気持ちになった。僕は自分に何を言ってるんだろう……。
「それにしても可愛いなあ。子供の頃の僕って、こんなにも可愛かったんだぁ~♡ あながち悪い結果ではないかも……」
鏡を見ながら、そんなことを呟いてしまった。
子供の頃、リョウやカスケが僕に一目惚れしたのも分かるような気がする。我ながら自画自賛ばかりで申し訳ないが。
でも、こんなにも可愛いかったわりに子供の頃の僕にはあまり友達が出来なかったんだよねぇ~、どうしてだろう? 性格や趣味が変わってたせい?
あまりの結果に驚きつつ、僕はとりあえずリビングに行く。
「おお~ッ、目が覚めたんだなぁ! アキラ……俺は今、猛烈に感動しているッ!!!」
いつも以上にリョウは僕の姿に興奮しながら手を叩いて近づいてきた。
「リョウ、実は昨日カスケの家で……」
「みなまで言うな。詳しい話はカスケから聞いた。せっかく若返ったんだし、可愛い子供服をいっぱい買ってやるからなぁ~♡」
「この歳で子供服を着るなんて何か恥ずかしい……」
「でも、今のアキラには子供服しかサイズが合わないぞ。子供服が嫌なら普段の生活は裸で過ごすつもりかぁ~? まあ、俺はそれでも構わないが……というか、もっとアキラの裸を見せろぉ~♡」
リョウは僕に飛びつくと、全身をペロペロ舐めまわしながら縫いぐるみを抱きかかえるように四六時中離してはくれなかった。
子供の姿になったと知った時は愕然としたが、こんなにも愛するリョウに可愛がってもらえるなら2度目の子供時代を過ごしてみるのも一興かもしれない。
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