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117 変態ストーカー
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僕は下校中に野良犬に追いまわされていた。
「ひええええ~ッ!!!」
辺りに僕の甲高い悲鳴がこだまする。
「ああッ、僕なんか食べたって美味しくないよぉ~ッ!」
犬に興奮気味に眼を血走らせ、ひどく怒った様子だった。
「ワン、ワンワンッ!」
「ひいッ! だ、だから尻尾を踏んだことは何度も誤ってるじゃんか!!!」
僕の弁明と逃げ惑う仕草に挑発されたらしい野良犬がうるさく吼える。
「……犬に日本語なんか通じるわけないかぁ~」
でも、きっと大丈夫。ピンチの時は必ず駆けつけてくれる王子様が僕にはいるのだから。
「そろそろリョウが僕をカッコよく助けて、それから蕩けるような甘~いセックスをする、いつもの流れだ、たぶん。早くリョウが助けに来ないかなぁ~♡」
僕がリョウの助けを今か今かと待っていると、さっそく誰かがやって来た。
「デュフフwwwアキラ殿、久しぶりですなwww今、助けるでござるwww」
こ、この声は……確か、88話目で再登場してから長らく出番がなかった変質者だ。
「な、何でリョウやカスケとかじゃなくて変質者が助けに来るの⁉︎」
「ドプフォwwwまあまあ、そう言わずにwww拙者の大活躍をご堪能あれwww」
変質者は野良犬の尻を軽く蹴って注意をこちらに向ける。
すると血の気の多い野良犬は牙を剥いて振り向いたものの、変質者のキモさに竦み上がり、脱兎のごとく逃げ出した。
まさか犬にまでキモがられるキモさとは……。
僕は電信柱を背に身を小さくしたまま、その光景を見ていた。
「こんな犬っころ相手にテンパるところも可愛いですぞwww」
僕は恐る恐るといった調子で視線の角度を上げ、変質者の顔を見た。
「……はあ、もうこんな時間だ。もう僕は帰るから、じゃあ」
僕が歩き出すと、変質者は間隔を空けて後を追ってきた。
「なんなの、ついてこないでよ。もう関わらないで」
「オウフwww残念なことに拙者の家もこっちなんでござるwww」
絶対に嘘だ。前に脅されて変質者が住んでいるボロアパートに行ったことがあるが、わざわざ電車に乗って秋葉原まで僕は遠出させられたのだ。
僕の地元からはかなり遠い秋葉原に住んでいるくせに、わざわざここまで来たということは何か企んでいるに違いない。
相手にしないのが1番だ。しかし変質者は後ろから早口でベラベラと話しかけてくる。
「幼子のようなあどけなさをそのまま残していながら、決して幼稚ではなく、線の整った清純な小顔。すべやかで雪のように白い肌。艶やかな桜色の唇はむしゃぶりつきたいほどに愛らしく、透き通った瞳を困惑気味に左右に転がしては、二重瞼を伏せ、小首を傾げると、髪質の細い髪がサラリと流れて美しく、髪色は色素薄めの鮮やかなマロンブラウンで、若者が粋がって茶髪に染めたものとは一線を画する自然さを感じさせる美少年。褒め言葉をいくら並べても言い足りないほどにアキラ殿は神でござ~るwww」
どんなに変質者が褒めちぎってきても僕は無視を決め込んでいた。まあ、決して悪い気分ではなかったが……。
変質者が競歩のように追跡してくることに僕はいい加減イライラしてきた。
「小柄なうえに華奢で、目測は身長150センチないくらいで、筋肉の浅く細い腕などは引っ張れば壊れてしまいそうなほどに繊細で思わず守りたくなるような……」
僕は変質者が話しているのを無理やり遮って、横顔で短く注文だけ済ませる。
「キモいから、もう喋んないで」
変質者のマシンガントークにドッと疲れた僕はあさっての方向に進路を変え、帰宅よりも変質者からの離脱を優先する。
「フォカヌポウwwwキモいとは酷いでござるwwwこんな風にキモオタをすぐ馬鹿にする人間ばかりでまったく寂しい世の中ですぞwww」
僕は疲労を両肩に背負ったまま、足を引きずるように帰宅するのだった。
ーーー
家に帰ると、僕はすぐに風呂に入った。浴槽に身体を沈めた僕は湯の中でゆっくりのびをした。
ほんのりと肌をピンクに染めて、僕は浴槽からあがった。
裸身を伝って、水滴がこぼれ落ちる。
石鹸を含ませたタオルで僕は身体を洗い始めた。
僕の首筋から腰まわり、脚までを純白の泡が包み込んでいく。
ふと僕は風呂場の窓が開いていることに気がついた。
「あれ? おかしいな、ちゃんと閉めておいたはずなのに……ぎゃあああああああああああああああああッ!!!」
僕は悲鳴をあげると、しゃがみ込んで窓の方を指さして言った。
「こら~ッ! 何勝手に風呂場を覗いてるんだよ、変質者め! もう許さんッ、通報してやる!!!」
頭にきた僕は変質者めがけて泡だらけの石鹸を投げつけた。
「あ~ん、痛いでござるwwwこうなったら通報される前にアキラ殿を美味しくいただくでござ~るwww」
すると変質者は誰かに背後から肩をトントンと叩かれ、振り向くと顔面に右ストレートを食らわされる。変質者をKOしたのは言うまでもなく、僕が愛してやまない男だった。
「リョウッ!!!」
「よぉ、アキラ♡ アキラの風呂を覗こうと思ったら、先客がいてビックリだぜ~」
リョウは裸の僕にガウンをかけると、そのまま部屋まで連れてゆき、朝になるまでベッドの中から解放してはくれかった。
「ひええええ~ッ!!!」
辺りに僕の甲高い悲鳴がこだまする。
「ああッ、僕なんか食べたって美味しくないよぉ~ッ!」
犬に興奮気味に眼を血走らせ、ひどく怒った様子だった。
「ワン、ワンワンッ!」
「ひいッ! だ、だから尻尾を踏んだことは何度も誤ってるじゃんか!!!」
僕の弁明と逃げ惑う仕草に挑発されたらしい野良犬がうるさく吼える。
「……犬に日本語なんか通じるわけないかぁ~」
でも、きっと大丈夫。ピンチの時は必ず駆けつけてくれる王子様が僕にはいるのだから。
「そろそろリョウが僕をカッコよく助けて、それから蕩けるような甘~いセックスをする、いつもの流れだ、たぶん。早くリョウが助けに来ないかなぁ~♡」
僕がリョウの助けを今か今かと待っていると、さっそく誰かがやって来た。
「デュフフwwwアキラ殿、久しぶりですなwww今、助けるでござるwww」
こ、この声は……確か、88話目で再登場してから長らく出番がなかった変質者だ。
「な、何でリョウやカスケとかじゃなくて変質者が助けに来るの⁉︎」
「ドプフォwwwまあまあ、そう言わずにwww拙者の大活躍をご堪能あれwww」
変質者は野良犬の尻を軽く蹴って注意をこちらに向ける。
すると血の気の多い野良犬は牙を剥いて振り向いたものの、変質者のキモさに竦み上がり、脱兎のごとく逃げ出した。
まさか犬にまでキモがられるキモさとは……。
僕は電信柱を背に身を小さくしたまま、その光景を見ていた。
「こんな犬っころ相手にテンパるところも可愛いですぞwww」
僕は恐る恐るといった調子で視線の角度を上げ、変質者の顔を見た。
「……はあ、もうこんな時間だ。もう僕は帰るから、じゃあ」
僕が歩き出すと、変質者は間隔を空けて後を追ってきた。
「なんなの、ついてこないでよ。もう関わらないで」
「オウフwww残念なことに拙者の家もこっちなんでござるwww」
絶対に嘘だ。前に脅されて変質者が住んでいるボロアパートに行ったことがあるが、わざわざ電車に乗って秋葉原まで僕は遠出させられたのだ。
僕の地元からはかなり遠い秋葉原に住んでいるくせに、わざわざここまで来たということは何か企んでいるに違いない。
相手にしないのが1番だ。しかし変質者は後ろから早口でベラベラと話しかけてくる。
「幼子のようなあどけなさをそのまま残していながら、決して幼稚ではなく、線の整った清純な小顔。すべやかで雪のように白い肌。艶やかな桜色の唇はむしゃぶりつきたいほどに愛らしく、透き通った瞳を困惑気味に左右に転がしては、二重瞼を伏せ、小首を傾げると、髪質の細い髪がサラリと流れて美しく、髪色は色素薄めの鮮やかなマロンブラウンで、若者が粋がって茶髪に染めたものとは一線を画する自然さを感じさせる美少年。褒め言葉をいくら並べても言い足りないほどにアキラ殿は神でござ~るwww」
どんなに変質者が褒めちぎってきても僕は無視を決め込んでいた。まあ、決して悪い気分ではなかったが……。
変質者が競歩のように追跡してくることに僕はいい加減イライラしてきた。
「小柄なうえに華奢で、目測は身長150センチないくらいで、筋肉の浅く細い腕などは引っ張れば壊れてしまいそうなほどに繊細で思わず守りたくなるような……」
僕は変質者が話しているのを無理やり遮って、横顔で短く注文だけ済ませる。
「キモいから、もう喋んないで」
変質者のマシンガントークにドッと疲れた僕はあさっての方向に進路を変え、帰宅よりも変質者からの離脱を優先する。
「フォカヌポウwwwキモいとは酷いでござるwwwこんな風にキモオタをすぐ馬鹿にする人間ばかりでまったく寂しい世の中ですぞwww」
僕は疲労を両肩に背負ったまま、足を引きずるように帰宅するのだった。
ーーー
家に帰ると、僕はすぐに風呂に入った。浴槽に身体を沈めた僕は湯の中でゆっくりのびをした。
ほんのりと肌をピンクに染めて、僕は浴槽からあがった。
裸身を伝って、水滴がこぼれ落ちる。
石鹸を含ませたタオルで僕は身体を洗い始めた。
僕の首筋から腰まわり、脚までを純白の泡が包み込んでいく。
ふと僕は風呂場の窓が開いていることに気がついた。
「あれ? おかしいな、ちゃんと閉めておいたはずなのに……ぎゃあああああああああああああああああッ!!!」
僕は悲鳴をあげると、しゃがみ込んで窓の方を指さして言った。
「こら~ッ! 何勝手に風呂場を覗いてるんだよ、変質者め! もう許さんッ、通報してやる!!!」
頭にきた僕は変質者めがけて泡だらけの石鹸を投げつけた。
「あ~ん、痛いでござるwwwこうなったら通報される前にアキラ殿を美味しくいただくでござ~るwww」
すると変質者は誰かに背後から肩をトントンと叩かれ、振り向くと顔面に右ストレートを食らわされる。変質者をKOしたのは言うまでもなく、僕が愛してやまない男だった。
「リョウッ!!!」
「よぉ、アキラ♡ アキラの風呂を覗こうと思ったら、先客がいてビックリだぜ~」
リョウは裸の僕にガウンをかけると、そのまま部屋まで連れてゆき、朝になるまでベッドの中から解放してはくれかった。
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