男の子たちの変態的な日常

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115 変態職場体験〜前編〜

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 僕は学校の授業の一環として実社会を知るための職場体験学習をしに来ていた。
 今回、僕が職場体験させてもらう会社では社員の職種による区分けがはっきりとしていて、それは社員章にも表れている。
 丸い社章に色のついた縁取りがあり、総合職は赤、一般職はピンク色だ。職場体験をしている僕もピンク色をつけるように言われている。
 僕はガードマンの案内で奥に進み、会議室にたどり着いた。
 広さは学校の教室程度と言ったところだが、内装や調度品も行き届いている。

「こんなところに連れてきて、僕に何をさせるつもりなのかな?」

 イスに座ると僕は少し不安げに言った。
 すぐに着席したのは、会議室に置かれたホワイトボードに、着席して待つようにと書かれてあったからだ。

「おはよう、アキラ♡」

 会議室のドアが勢いよく開いて、リョウが入ってきた。

「ええ、リョウ⁉︎……おはよう」

 驚いた僕は思わず立ち上がって挨拶を返す。

「いい挨拶だ♡ 挨拶は社会人にとって基本中の基本だからなぁ。仕事ができないヤツでも元気な挨拶ができるだけで上司からの印象はいいんだぞ~」

 スーツ姿のリョウはにっこりと微笑んで言った。
 長身でスタイルがいいリョウにはスーツ姿がよく似合っていた。

「この会社は俺の王国が出資している会社でな。つまりは俺の支配下にあるわけだ。だからアキラの職場体験は俺が担当することになった。アキラに社会の厳しさを徹底的に叩き込んでやるから覚悟しとけよ~」

 僕を着席させると、リョウはホワイトボードの前に立った。
 リョウはマジックで、「第3秘書課」と書き込んだ。

「この会社には役員や取締役に同行し、スケジュール調整などを担当する第1秘書課、その秘書をバックアップする事務職である第2秘書課があるんだ」

 ホワイトボードに文字を書きながらリョウは説明していく。

「そして第3秘書課だが、こちらは先の部署とは関わりなく、特別な大口取引先との交渉がうまくいくための接待や、一部の社員の福利厚生が業務となっている」

 秘書の仕事にしては意外な業務の内容に僕は驚いた。
 役員付の秘書が接待に同行するというのはまだ理解できるが、一部社員の福利厚生と言われると正直何が何だかさっぱり分からない。

「そうだな、口で説明するより、見てもらった方がいいかもな。こっちへ来てくれ」

 そう言うと、リョウは入口のドアとは別の、会議室の壁にある扉に向かっていく。
 その扉は入口よりも重厚で、さらには電子鍵まで着けられていた。

「中に入って……」

 リョウは首からさげたカードを通し、パスワードを入力して扉を開く。
 中に入ると、そこは赤い絨毯が敷かれた薄暗い部屋で、せいぜい10畳ほどの広さだった。
 正面はなぜか大きなカーテンになっていて、光が差していないから窓というわけではなさそうだ。

「じゃあ、正面をちゃんと見ているように」

 リョウはそのカーテンの端に立つと、壁に埋め込まれたボタンを押した。
 同時に、上でモーター音が響いて、カーテンが2つに割れた。

「えッ」

 カーテンの向こうは大きなガラス窓になっている。向こう側は外ではなく、かなり広めの部屋になっていた。

「な、何じゃこりゃあ~ッ⁉︎」

 僕は口を塞いで悲鳴をあげた。
 そうなるのも仕方がなかった。ガラス板1枚向こうでは、全裸の若い男性がテーブルに手をついてお尻を突き出し、後ろから男に貫かれているのだ。

「これはマジックミラーになっていてな。こちらからは窓でも、向こうからは鏡になっている。じゃあ、声も聞いてもらおうか」

 さっきのボタンの上についたダイヤルをリョウは操作し始める。

『あ、ああッ、ああん、常務様……ああん、すごくいい♡』

 すぐに天井にあるスピーカーから男の妙な声が響き始めた。

『オレもいいぞ、お前のケツ穴は最高だ!』

 まるでゲイビデオの一場面のようだが、目の前の現実であることはモザイクなどが一切かかっていないことからも分かる。

『いいぞ……お前、オレの愛人にならないか?』

 激しく腰を使いながら常務が男の耳元で言う。

『ああん、ダメですぅ。ボクの身体は秘書3課に捧げているんですから……はあん……それに、常務様なら……ここに来ればいつでもボクを抱けるじゃありませんか……』

 ときおり、こみ上げてくる喘ぎ声に息を詰まらせながら、男は返事をした。

『くく、それもそうだな。まったくこれだから、この会社との取引はやめられん』
『ああん、これからも弊社をよろしくお願いします。あッ、そこ、ああん、気持ちいいところに当たってるうう、ああん♡』

 男の絶叫がだんだん激しさを増していった。
 ガラスの向こうの情事が佳境にさしかかったとき、リョウは僕を見下ろして笑った。

「今、見てもらった通りだ。秘書3課の仕事は、身体を使って重要な取引先や、会社の中核を担うエリート社員の接待をすること。今回アキラに職場体験してもらう仕事だ♡」

 舌なめずりをするようにリョウは口元を緩ませながら僕を見据えて言う。
 らんらんと輝く切れ長のリョウの瞳が、まるで獲物を見つけた肉食獣を思わせた。
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