男の子たちの変態的な日常

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96 変態インフルエンザ〜前編〜

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 今年は例年以上にインフルエンザが大流行している。
 しかも今年のインフルエンザはA型、B型、C型以外の全く新しいH型と呼ばれるインフルエンザウイルスが発見され、猛威を振るっていた。
 僕は新種のH型インフルエンザウイルスに感染してしまい、激しい症状に見舞われていた。
 H型の主な特徴は通常のインフルエンザの症状に加え、感染者の精神状態をマゾヒスティックにし、誰かに調教されない状況が数十分続くと、激しい欲求不満にさらされてしまう。

「リョウ……苦しいよ。僕、もう耐えられない……しよ♡」
「アキラは病人なんだぞ。病人に対して、こんなことをするなんて、さすがの俺も気が引けるなぁ……」

 リョウは思わず、ぞくっと震える。

「さあ……行くよ。ご・主・人・様~♡」

 僕は全裸になっていた。それだけではなく、頭にはウサギの耳を模したヘアバンドを着けており、さらにアナルには同種の尻尾を挿入している。
 バニー姿の僕はリョウの足元で跪き、挑発的な上目使いで見上げた。

「は、早く連れて行ってくれないと死んじゃうよぉ~♡」

 僕の顔はほの赤く染まっており、気恥ずかしいムードを漂わせる。ウサギのお耳もふるふるとして、リョウの保護欲を掻き立てる。
 僕は太腿をもじもじと擦り合わせていた。

「ちゃんとリード持って~♡」

 僕は革製の首輪をしていた。そこから1メートルほどの長さのリードが垂れている。
 飼い主であるリョウがリードを引くと、僕は姿勢を正し、身体を反らせた。ふさふさの尻尾を振り、「前足」を床へと伸ばす。

「んくぅ、いきなり引っ張らないでったら~♡ もっとゆっくり」
「おっと、ワリイな」

 僕だって、行為の異常さに自覚はある。インフルエンザのせいで腰は完全に引けており、ただでさえみっともない四つん這いはバランスが危なっかしい。
 リョウはリードを引いて、ゆっくりと歩き出した。すぐ後ろを、僕が屈辱姿勢で追う。

「んはぁ、い……いい感じ」

 校舎の中は意外に物音が反響する。遠くで騒いでいる生徒たちの声が、近づいてくる気がして、びくっと肩で驚く。
 それでも僕はやめようとはしない。

「このスリルがいいんだよねぇ~♡」

 僕は低い位置で頻繁に周囲を見渡しつつ、笑みを浮かべる。
 インフルエンザのせいで今日の僕は若干壊れているのかもしれない。
 リョウと一緒に職員室の前に差し掛かると、心臓がばくばくと暴れ、口から飛び出そうになった。リョウも背中にべったりと冷や汗をかいて、ピークに達する緊迫感に息を乱した。

「ちょっと急ぐぞ、アキラ!」
「あッ、焦らせないで。すぐだから……んくふう!」

 この時間帯は職員会議のため教員がいない、とはいえ、ここがレッドゾーンであることに変わりはない。職員室すぐ隣の階段で、リョウは僕を急かす。
 僕は両膝とも浮かせて蹲り、もどかしそうに腰を捻った。

「リョウ、はあ、誰もいないか見てて~」

 華奢な作りの肩を上下させては、湿った息を吐く。
 職員室がすぐ隣にある階段で、誰もいないうちに、朝から溜まった分の用を足すつもりだ。
 僕は片足だけしなやかに持ち上げて、野良犬と変わらないポーズを取った。

「もうちょっと……くふッ、らめぇ……チカラ、入りきらない……あいぃッ!」

 けれども、そう簡単にはいくはずもない。人が通るような場所でお漏らしなど、意図的であってもブレーキが働くもので、一回の排泄に三分ほど掛かる。
 顔を赤らめ、唇を弱気に噛む。火照った肉体は不安定の姿勢で股間を、くだりの階段へと突き出していた。

「んんんッ、んくぅううう……あはぁああああああああああああああああッ!!!」

 腰をバネみたいにたわめること4回目にして、僕は甲高い鳴き声をあげた。張り詰めていた表情からみるみる力が抜け、瞳も涙混じりに蕩けていく。
 チョロッ! ヂョロヂョロヂョロヂョロヂョロヂョロヂョロ!!!
 最初の水音が尿道口を開通させた途端、後続のオシッコが階段へと散り始めた。ホースを挟めたみたいに勢いのある噴射で、僕はまったく制御できていない。

「らめぇええええッ!!! すごい出へるぅッ!」

 呂律のまわらない声を出し、一定間隔で腰と尻尾を振るだけ。その姿は快楽に酔いしれている。
 アクセサリにすぎないはずの耳まで垂れていた。
 そんな僕を間近で目撃するリョウのパンツの中で不謹慎な生き物が脈打っていた。僕のはしたない顔つきや、舌足らずな台詞を、可愛い、と衝動的に感じてしまったのだろう。
 チョロロロロ……。
 十数秒も続いてようやく、放水が止まる。
 階段は上の段から水浸しになっており、尿に特有の刺激臭が立ち込めていた。とはいえトイレのように空気がこもっていないせいか、噎せるほど臭くはない。

「んはあッ、はぁ……サイコー♡」

 まだ呼吸は落ち着いておらず、顔など真っ赤だ。
 リョウは無意識に生唾を呑みくだした。オシッコのにおいが妙に新鮮で、勝手に鼻が疼くようだ。
 思い出したようにリョウはリードを握り、人の気配があってはならない廊下を進む。
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