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91 変態マッサージ〜後編〜
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リョウは僕の競泳パンツの股間に掌をあてがい、今度は手触りを確かめるようにしっかりと撫であげる。
優雅な手つきで腰紐をほどき、競泳パンツを流れるようにめくり取る。
別段、協力もしていないのにあっさり脱がされ、一気に膝までおろされてしまった。
「ああ、らめぇッ!」
僕は反射的に股間を両手で覆った。
「もう、僕は自主練するんだから戻るよ!」
「ちぇっ、わかったよ」
僕は急いで競泳パンツをはくとプールへ戻っていった。
ーーー
いつになく水は軽く、プールを独り占めしている開放感とリョウの視線に後押しされて、思った以上にペースはあがった。
「前から思ってたけど、アキラのフォームには少し癖があるな。しかも、疲れてくると、その癖がよりひどくなるみたいだ」
腕を組んで見ていたリョウは、そう言って水に入ってきた。
「逆を言うと、その癖さえ直せば、まだまだタイムは伸びるはず。やってみる価値は充分あるだろう」
そう言いながら背後にまわると、二人羽織みたいに覆いかぶさって手首をつかむ。
リョウはひとまわり身体が大きく、僕は胸の中にすっぽりと包み込まれてしまった。
「あ……」
背中にリョウの鼓動を感じながらフォームのレクチャーを受ける。
「アキラは水を掻き込む時、抵抗に負けて肘が外に逃げてるんだ。原因は筋力不足だから筋トレは必須課題だな。今はフォームをきちんと体で覚えるんだ」
手首をつかまれフォームを矯正されるものの、耳たぶにかかるリョウの吐息で無性に感じてしまう。
腕をストロークさせるたび、僕の背中に当たる胸板がリョウの体温を伝えていた。
さっきのサウナルームでの出来事が急に思い出された。手首をつかんだリョウの手がゆっくりと股間に伸び、競泳パンツの中に潜り込んでくるのを期待してしまう。
リョウに厳しい言葉と手つきで苛めて欲しい。
「あ……はぁ……ん……」
ほんのかすかではあったが、僕の唇から声がもれた。
淡い期待に胸を膨らませていると、リョウは身体を離してしまった。
「だいたいこんな感じだな。これでわかったろ? 教えた通りにやってみろ。横を泳いでチェックするからな」
そう言って隣りのコースに移ったリョウはゴーグルをおろす。
「ゆっくりでいいから、ちゃんとフォームを確認しながら泳いでちょうだい」
言われて泳ぎ出した僕は、半分聞き流していたレクチャーを一つ一つ懸命に思い出す。と、その時、今度はすぐ横を泳ぐリョウの姿が目に飛び込んできた。
結局、フォームの修正などすっかり忘れて、僕は最後まで泳ぎきってしまった。
「かなりよくなったな。教えてすぐに直るんだから、アキラは飲み込みが早い方だな」
「え?」
思いがけず誉められて驚いた。自分ではいつもと同じつもりでも、隣りを泳ぐリョウの姿を知らずしらずのうちに真似ていたらしい。理想的な手本をトレースしたことで、自然とフォームが改善されたようだった。
「今の感覚を忘れないように、距離を稼ぐぜ」
遠泳を示唆されて、僕はリョウと一緒に端のコースに移る。ターンのたびにコースを替え、プールの隅から隅まで泳ぎきる練習方法だ。
リョウと力較べするのは初めてなので、自分がどこまで通用するのか楽しみだった。
「俺が先導するから、離れず後についてこい。かなりハイスペースで泳ぐが、もし、俺の足にでも触れたらアキラにご褒美をやるよ♡」
言うなりリョウは水中に消えた。一瞬遅れて、僕も急いで追いかける。
後ろ姿は早くも小さくなり、全力で泳いでも差はなかなか縮まらない。
息継ぎを省略して筋力を水に叩きつける。今度はフォームをきちんと意識し、力が無駄にならないように気をつけた。すると、ようやく差はつまりはじめ、行程も終盤に差し掛かったところで、躍動するヒップが目の前に迫る。
普段はフツーに見えるリョウの尻も、繰り返すキックで表面をむきむきに張り、まるで筋肉の塊みたいに見えた。鞭のように振られた長い脚が水を勢いよく蹴飛ばして、強烈な水流が顔を打ち据える。
きしむ筋肉の痛みなど、もはや気にする余裕もない。コースエンドに近づき、最終ターンのためにリョウは減速をかけるが、僕はかまわず突っ込んでいく。
リョウのヒップが予想以上のスピードで急接近し、一瞬、歓喜が沸き起こるも、あまりの速度差に危ない、と思った時にはすでに衝突していた。
「ぐッ!!!」
リョウのくぐもった呻き声が水中に響く。前転を利用したフリップターンの最中、突き出されたヒップの中心に僕の顔面がめり込んだのだ。
僕の鼻先や唇が生々しい感触に包まれる。
一刻も早く離れなければならないのに、少しでも長く温もりを感じていたくて、気の遠くなるような恍惚に浸っていると、かかとで僕を蹴飛ばさないように、リョウは大きく開脚して一回転し、2人はほとんど同時に浮上した。
「大丈夫か?」
「ご、ごめん! ターンで少しでも追いつこうと思ったら、ぶつかっちゃって……」
「謝る必要なんてないさ。ここまで俺を追いつめたんだからな。正直、追いつかれるなんて思ってなかったぞ」
自分に追いついた実力を、リョウは我がことのように喜んでくれた。
「間違いなくアキラは速くなってるぞ。きっとフォームがよくなったからだな。約束通り、ご褒美だ」
言うなり唇を重ねて、僕の舌を強く吸った。僕の体にリョウの体温がじんわりと染み込んでいく。滴る唾液に酔いながら僕を押し倒し、乳首を揉む。
「ん……くうぅん……」
きつく舌を絡めたまま、リョウが呻く。鼻息が頰にかかってくすぐったい。
リョウはゆっくり舌を引き抜くと、首筋をなぞって耳たぶを食む。
「さっきのマッサージの続きを楽しもうか?」
「もう、リョウったら♡」
その日、僕は朝まで体のあちこちを揉みほぐされて延々と続く快楽から逃れることは出来なかった。
優雅な手つきで腰紐をほどき、競泳パンツを流れるようにめくり取る。
別段、協力もしていないのにあっさり脱がされ、一気に膝までおろされてしまった。
「ああ、らめぇッ!」
僕は反射的に股間を両手で覆った。
「もう、僕は自主練するんだから戻るよ!」
「ちぇっ、わかったよ」
僕は急いで競泳パンツをはくとプールへ戻っていった。
ーーー
いつになく水は軽く、プールを独り占めしている開放感とリョウの視線に後押しされて、思った以上にペースはあがった。
「前から思ってたけど、アキラのフォームには少し癖があるな。しかも、疲れてくると、その癖がよりひどくなるみたいだ」
腕を組んで見ていたリョウは、そう言って水に入ってきた。
「逆を言うと、その癖さえ直せば、まだまだタイムは伸びるはず。やってみる価値は充分あるだろう」
そう言いながら背後にまわると、二人羽織みたいに覆いかぶさって手首をつかむ。
リョウはひとまわり身体が大きく、僕は胸の中にすっぽりと包み込まれてしまった。
「あ……」
背中にリョウの鼓動を感じながらフォームのレクチャーを受ける。
「アキラは水を掻き込む時、抵抗に負けて肘が外に逃げてるんだ。原因は筋力不足だから筋トレは必須課題だな。今はフォームをきちんと体で覚えるんだ」
手首をつかまれフォームを矯正されるものの、耳たぶにかかるリョウの吐息で無性に感じてしまう。
腕をストロークさせるたび、僕の背中に当たる胸板がリョウの体温を伝えていた。
さっきのサウナルームでの出来事が急に思い出された。手首をつかんだリョウの手がゆっくりと股間に伸び、競泳パンツの中に潜り込んでくるのを期待してしまう。
リョウに厳しい言葉と手つきで苛めて欲しい。
「あ……はぁ……ん……」
ほんのかすかではあったが、僕の唇から声がもれた。
淡い期待に胸を膨らませていると、リョウは身体を離してしまった。
「だいたいこんな感じだな。これでわかったろ? 教えた通りにやってみろ。横を泳いでチェックするからな」
そう言って隣りのコースに移ったリョウはゴーグルをおろす。
「ゆっくりでいいから、ちゃんとフォームを確認しながら泳いでちょうだい」
言われて泳ぎ出した僕は、半分聞き流していたレクチャーを一つ一つ懸命に思い出す。と、その時、今度はすぐ横を泳ぐリョウの姿が目に飛び込んできた。
結局、フォームの修正などすっかり忘れて、僕は最後まで泳ぎきってしまった。
「かなりよくなったな。教えてすぐに直るんだから、アキラは飲み込みが早い方だな」
「え?」
思いがけず誉められて驚いた。自分ではいつもと同じつもりでも、隣りを泳ぐリョウの姿を知らずしらずのうちに真似ていたらしい。理想的な手本をトレースしたことで、自然とフォームが改善されたようだった。
「今の感覚を忘れないように、距離を稼ぐぜ」
遠泳を示唆されて、僕はリョウと一緒に端のコースに移る。ターンのたびにコースを替え、プールの隅から隅まで泳ぎきる練習方法だ。
リョウと力較べするのは初めてなので、自分がどこまで通用するのか楽しみだった。
「俺が先導するから、離れず後についてこい。かなりハイスペースで泳ぐが、もし、俺の足にでも触れたらアキラにご褒美をやるよ♡」
言うなりリョウは水中に消えた。一瞬遅れて、僕も急いで追いかける。
後ろ姿は早くも小さくなり、全力で泳いでも差はなかなか縮まらない。
息継ぎを省略して筋力を水に叩きつける。今度はフォームをきちんと意識し、力が無駄にならないように気をつけた。すると、ようやく差はつまりはじめ、行程も終盤に差し掛かったところで、躍動するヒップが目の前に迫る。
普段はフツーに見えるリョウの尻も、繰り返すキックで表面をむきむきに張り、まるで筋肉の塊みたいに見えた。鞭のように振られた長い脚が水を勢いよく蹴飛ばして、強烈な水流が顔を打ち据える。
きしむ筋肉の痛みなど、もはや気にする余裕もない。コースエンドに近づき、最終ターンのためにリョウは減速をかけるが、僕はかまわず突っ込んでいく。
リョウのヒップが予想以上のスピードで急接近し、一瞬、歓喜が沸き起こるも、あまりの速度差に危ない、と思った時にはすでに衝突していた。
「ぐッ!!!」
リョウのくぐもった呻き声が水中に響く。前転を利用したフリップターンの最中、突き出されたヒップの中心に僕の顔面がめり込んだのだ。
僕の鼻先や唇が生々しい感触に包まれる。
一刻も早く離れなければならないのに、少しでも長く温もりを感じていたくて、気の遠くなるような恍惚に浸っていると、かかとで僕を蹴飛ばさないように、リョウは大きく開脚して一回転し、2人はほとんど同時に浮上した。
「大丈夫か?」
「ご、ごめん! ターンで少しでも追いつこうと思ったら、ぶつかっちゃって……」
「謝る必要なんてないさ。ここまで俺を追いつめたんだからな。正直、追いつかれるなんて思ってなかったぞ」
自分に追いついた実力を、リョウは我がことのように喜んでくれた。
「間違いなくアキラは速くなってるぞ。きっとフォームがよくなったからだな。約束通り、ご褒美だ」
言うなり唇を重ねて、僕の舌を強く吸った。僕の体にリョウの体温がじんわりと染み込んでいく。滴る唾液に酔いながら僕を押し倒し、乳首を揉む。
「ん……くうぅん……」
きつく舌を絡めたまま、リョウが呻く。鼻息が頰にかかってくすぐったい。
リョウはゆっくり舌を引き抜くと、首筋をなぞって耳たぶを食む。
「さっきのマッサージの続きを楽しもうか?」
「もう、リョウったら♡」
その日、僕は朝まで体のあちこちを揉みほぐされて延々と続く快楽から逃れることは出来なかった。
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