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90 変態マッサージ〜前編〜
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忘れている人もいるかもしれないが、僕は水泳部に在籍している。
リョウは美術部に在籍していたが、水泳部が冬になると公共の温水プールで練習することを知ると僕と一緒に泳ぎたくなったらしい。リョウは冬場についた脂肪は落としづらいから効率のいい全身運動の水泳で鍛え直したいようだ。
水泳部員たちは互いに一定の間隔を保ったまま往復を繰り返し、スピードと持久力を試されていた。
リョウは全身の筋肉に溜まっていく疲労と息苦しさをものともせず、必死に泳いでいた。
「はあ、はあ、はあ!……」
僕はレースを終えたばかりの競走馬みたいに忙しなく呼吸を繰り返す。終盤はほとんど息継ぎをしなかったため、酸欠で頭ががんがんした。
シャワーで全身の筋肉をクールダウンした後、僕はサウナルームに入って一息ついた。
「はあ……」
全力で何百メートルも泳いだのだから、疲れるのも当たり前で、筋肉という筋肉に乳酸が溜まって、体中がだるかった。
「アキラ、ちゃんとマッサージはしたか? あれだけ無理をしたんだから、あちこちかなりキテるだろ?」
いつの間にか開いていたドアの隙間から、急にリョウに話しかけられて少し驚いた。
「あ……まだやってなかったかな」
「ダメじゃないか。アキラはアイドルでもあるんだから体のメンテナンスはきちっとしておかないと。ついでだから俺が手伝ってやるよ。ここにうつ伏せになってごらん」
リョウに言われて、僕はうつ伏せになった。
「まずは下半身から始めるか~」
深く食い込む柔らかい指が、疲労した筋肉をしっかりと揉みほぐして、痛いような、くすぐったいような快感が背筋を這い上がってきた。
「ほら、やっぱりこんなに張ってる。アイドルなんだから大事な筋肉を痛めたら大変だろ?」
力を入れるたびに心地よいリョウの重量感と汗ですべる肌のぬめりに、腰の中心あたりがむずむずして落ちつかない。
「動くなよ。ちゃんとマッサージできないだろ。次は上半身だ」
「もう充分だよ~」
「なに言ってんだよ。肩や胸の筋肉もストレッチしておかなきゃまずいだろ。ほら、仰向けになって~♡」
僕の尻を撫でたリョウの手は、そのまま股間に滑り落ち、睾丸をおさめた皮袋の裏を、中指の先で軽やかに爪弾いた。
「リョウッ!!!」
思いがけない愛撫に目を見開き、僕はエビのように背中を丸めてひっくりかえってしまった。
リョウは僕の股間に水着の上からこともなげに触れた。その手つきはあまりに自然で声も出ない。感電でもしたように体を硬直させたまま、僕はただリョウを見つめるばかりだった。
股の間に膝をついてベンチにあがると、四つん這いになって圧しかかってくる。
鼻先まで近づいたリョウの唇から、ほんのりミントの匂いがする熱い吐息を吹きつけられ、僕は眩暈を覚えた。リョウの唇ばかり見てしまう。
リョウはにんまりほくそ笑み、僕の唇を舌先で一舐めした。
リョウは僕を見つめたまま、股間に添えた手をやんわりと圧しつけた。
揉むでもなく、さするでもなく。ただ上から押さえられているだけなのに、その柔らかな感触とぬくもりで、びりびりと電流が伝わってくる。
気がつくと、リョウの顔はすぐ目の前に近づいており、淡いミントの香りが胸に満ちて、頭の芯がとろりと蕩ける。
リョウは両手首をそっとつかんで、ゆっくりと圧しかかってきた。
「あああ……」
僕はどうすることもできず、声を震わせるばかりだった。
ぺろりと上唇を舐める仕種が、ひどく好色に見えた。飢えたライオンに組み敷かれ、今まさに蹂躙されようとしているガゼルの気分で、僕はきつくまぶたを閉じる。
片方の頰に汗ばんだ掌が添えられ、音もなく吸い付いた小さな唇は火のような情熱で僕の唇を貪った。
立て膝を崩し、リョウが遠慮なく体重をかけて圧しかかってくると、胸も腹も、股間もふとももも、全てが一つに重なって、互いの汗が混ざり合う。
唇の隙間を割って、差し込まれた小さな舌は、甘い唾液を滴らせて僕の舌を絡め取り、反射的に逃げようとするその先端を強く吸った。
魂を吸い出されるようなくちづけに固く息をつめたまま、僕は口伝いに流れ込むリョウの味を嚙みしめる。
「ふぁ……んん……」
透明な糸を引いて唇が離れると、思わず溜め息がもれてしまった。
頭の中にもやがかかり、いやらしいこと以外はなにも考えられない。
「ふふふ、目がとろんとしてきてるぜ。今日のアキラも最高に可愛いなぁ~♡」
僕の耳もとで囁いてずり下がり、リョウは乳首に舌を這わせた。
「あッ、はうぅッ!!! リョウ、そこは……」
舌先でちろちろと乳首を転がされ、堪らず喘ぎ声がもれる。恥ずかしくて口を塞ごうとしても、未だ手首は磔にされたままで動けなかった。
「相変わらずアキラはここが弱いなぁ~♡ ホントに変態だよな、アキラは。でも、安心しろ。俺はそんなアキラを愛してるぜッ!」
いっそう舌の勢いを増しながら、もう一方の乳首を指先で弾く。左右同時に与えられる丹念な愛撫は鋭い性感となって下半身を刺激する。
リョウは美術部に在籍していたが、水泳部が冬になると公共の温水プールで練習することを知ると僕と一緒に泳ぎたくなったらしい。リョウは冬場についた脂肪は落としづらいから効率のいい全身運動の水泳で鍛え直したいようだ。
水泳部員たちは互いに一定の間隔を保ったまま往復を繰り返し、スピードと持久力を試されていた。
リョウは全身の筋肉に溜まっていく疲労と息苦しさをものともせず、必死に泳いでいた。
「はあ、はあ、はあ!……」
僕はレースを終えたばかりの競走馬みたいに忙しなく呼吸を繰り返す。終盤はほとんど息継ぎをしなかったため、酸欠で頭ががんがんした。
シャワーで全身の筋肉をクールダウンした後、僕はサウナルームに入って一息ついた。
「はあ……」
全力で何百メートルも泳いだのだから、疲れるのも当たり前で、筋肉という筋肉に乳酸が溜まって、体中がだるかった。
「アキラ、ちゃんとマッサージはしたか? あれだけ無理をしたんだから、あちこちかなりキテるだろ?」
いつの間にか開いていたドアの隙間から、急にリョウに話しかけられて少し驚いた。
「あ……まだやってなかったかな」
「ダメじゃないか。アキラはアイドルでもあるんだから体のメンテナンスはきちっとしておかないと。ついでだから俺が手伝ってやるよ。ここにうつ伏せになってごらん」
リョウに言われて、僕はうつ伏せになった。
「まずは下半身から始めるか~」
深く食い込む柔らかい指が、疲労した筋肉をしっかりと揉みほぐして、痛いような、くすぐったいような快感が背筋を這い上がってきた。
「ほら、やっぱりこんなに張ってる。アイドルなんだから大事な筋肉を痛めたら大変だろ?」
力を入れるたびに心地よいリョウの重量感と汗ですべる肌のぬめりに、腰の中心あたりがむずむずして落ちつかない。
「動くなよ。ちゃんとマッサージできないだろ。次は上半身だ」
「もう充分だよ~」
「なに言ってんだよ。肩や胸の筋肉もストレッチしておかなきゃまずいだろ。ほら、仰向けになって~♡」
僕の尻を撫でたリョウの手は、そのまま股間に滑り落ち、睾丸をおさめた皮袋の裏を、中指の先で軽やかに爪弾いた。
「リョウッ!!!」
思いがけない愛撫に目を見開き、僕はエビのように背中を丸めてひっくりかえってしまった。
リョウは僕の股間に水着の上からこともなげに触れた。その手つきはあまりに自然で声も出ない。感電でもしたように体を硬直させたまま、僕はただリョウを見つめるばかりだった。
股の間に膝をついてベンチにあがると、四つん這いになって圧しかかってくる。
鼻先まで近づいたリョウの唇から、ほんのりミントの匂いがする熱い吐息を吹きつけられ、僕は眩暈を覚えた。リョウの唇ばかり見てしまう。
リョウはにんまりほくそ笑み、僕の唇を舌先で一舐めした。
リョウは僕を見つめたまま、股間に添えた手をやんわりと圧しつけた。
揉むでもなく、さするでもなく。ただ上から押さえられているだけなのに、その柔らかな感触とぬくもりで、びりびりと電流が伝わってくる。
気がつくと、リョウの顔はすぐ目の前に近づいており、淡いミントの香りが胸に満ちて、頭の芯がとろりと蕩ける。
リョウは両手首をそっとつかんで、ゆっくりと圧しかかってきた。
「あああ……」
僕はどうすることもできず、声を震わせるばかりだった。
ぺろりと上唇を舐める仕種が、ひどく好色に見えた。飢えたライオンに組み敷かれ、今まさに蹂躙されようとしているガゼルの気分で、僕はきつくまぶたを閉じる。
片方の頰に汗ばんだ掌が添えられ、音もなく吸い付いた小さな唇は火のような情熱で僕の唇を貪った。
立て膝を崩し、リョウが遠慮なく体重をかけて圧しかかってくると、胸も腹も、股間もふとももも、全てが一つに重なって、互いの汗が混ざり合う。
唇の隙間を割って、差し込まれた小さな舌は、甘い唾液を滴らせて僕の舌を絡め取り、反射的に逃げようとするその先端を強く吸った。
魂を吸い出されるようなくちづけに固く息をつめたまま、僕は口伝いに流れ込むリョウの味を嚙みしめる。
「ふぁ……んん……」
透明な糸を引いて唇が離れると、思わず溜め息がもれてしまった。
頭の中にもやがかかり、いやらしいこと以外はなにも考えられない。
「ふふふ、目がとろんとしてきてるぜ。今日のアキラも最高に可愛いなぁ~♡」
僕の耳もとで囁いてずり下がり、リョウは乳首に舌を這わせた。
「あッ、はうぅッ!!! リョウ、そこは……」
舌先でちろちろと乳首を転がされ、堪らず喘ぎ声がもれる。恥ずかしくて口を塞ごうとしても、未だ手首は磔にされたままで動けなかった。
「相変わらずアキラはここが弱いなぁ~♡ ホントに変態だよな、アキラは。でも、安心しろ。俺はそんなアキラを愛してるぜッ!」
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