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46 変態デート〜前編〜
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今日は僕とリョウとカスケの3人で遊びに出かけていた。
「アキラ、どうしてリョウも一緒なんだよ?」
「アキラ、デートはフツー2人でするもんだぞ。お邪魔虫を連れてきちゃダメだろ~」
「まあ、いいじゃない。お互い知らない仲じゃないんだしさ」
僕の言い訳にリョウとカスケは呆れつつ、気を鎮める。
「アキラは優しいから、リョウに気を遣ったんだろ? そんなの気にしなくていいのに」
「いや、むしろアキラはカスケの方に気を遣ったのさ。アキラは誰に対しても優しいからカスケを傷つけたくなかったんだろう。偉いぞ~、アキラ♡」
リョウもカスケも僕を責めることはせず、フォローまでしてくれた。
その後、リョウとカスケは僕の話題で和気藹々と盛り上がり始めた。2人の仲は決して悪くなく、一緒に買い物もできるし、僕のことで張り合っても、ギスギスするほど険悪にはならなかった。
この調子でケンカせずにいてくれたら、僕も楽でいいんだけどなぁ……。
あえてこちらから割り込まずにいると、リョウが僕のことをじろりと見据える。
「アキラ、今『このまま仲良くしててくれれば助かるのに』とか考えてたろ~?」
「えッ⁉︎ いや、別にそんなことはないよ! ハハハ……」
ストレートに図星を突かれ、つい声が裏返ってしまう。
白々しい態度の僕に、カスケもじとっと疑り深い視線を投げつけた。
「リョウと仲良くするのと、アキラのこととは別だからね。次のデートはぼくと2人っきりでしようねぇ~♡」
「寝言は寝て言え。アキラは昔から俺だけにメロメロなんだぜぇ~♡」
僕の事なかれ主義とは裏腹に、リョウとカスケとの間でバチバチと火花が散り出す。
また始まっちゃったよ……どうしよう?
「これから一時間ずつ、アキラと2人っきりになるっていうのはどうだ?」
「リョウにしてはなかなか面白い提案だね。デート対決、受けて立つよ!」
「ふぇぇ、デート対決だなんてホントにやる気⁉︎」
ライバル同士で話がまとまったところで、リョウが真っ先に僕の手を引っ張る。
「じゃあ行くぞ、アキラ♡」
「え? ここは公平にジャンケンで決めるべきだろ?」
カスケの手は出遅れ、空振りした。
「最初に提案したのは俺だからな。先攻は取らせてもらうぜ」
「カスケ、ごめんね! また後で……」
「今はカスケのことなんて気にするな。アキラは俺のことだけ見てればいい。もうデートは始まってるんだからな♡」
立ち回りの早いリョウのリードで、カスケのもとをあとにする。
ーーー
しかしリョウとデートとはいえ、数メートル背後には必ずカスケの気配があった。
僕かリョウのどちらかが振り向くと、一秒ほど遅れて、カスケが看板やら電信柱やらの陰に慌てて身を隠す。
隠れてるつもりなのかな、あれは……。
隠れる場所がなければ、紙袋で顔だけシュールに隠す。
ケータイも頻繁に鳴り、割り込んできた。
『アキラ、リョウとくっつき過ぎ! 最低でもリョウから5メートルは離れて歩かなきゃダメじゃないかッ!!!』
「ちゃんと次はカスケとまわるから安心してね。一旦切るから、またね~」
カスケの怨念めいたジェラシーが、通行人の疑惑を集めつつ、距離を取らせる。
「……まったく。一時間経ったら交代してやるって言ったのにしょうがねえなぁ、カスケは」
「やっぱりカスケも一緒の方が……リョウ?」
急に僕の手を引き、リョウが人混みを抜けるや早足になる。
「一気に巻くぞ。ちゃんと着いてこいよ!」
青信号が点滅しているうちに車道を渡り、赤信号で追跡者を足止め。
「リョウめッ! こんな方法で引き離すなんて卑怯じゃないか! 早く変われ~ッ!!!」
横断歩道の向こう側で、カスケは地団駄を踏んだ。
カスケのことは気になるけど、リョウの手は僕を簡単に離してくれそうにない。
リョウの目的地が見えてきた。今年の夏にできたばかりの水族館だ。
しかしながらカスケの追跡があるにもかかわらず、リョウはすぐに入場せず、わざわざ外の並木道を一周した。デートで人気の遊歩道らしく、カップルは多い。
「そろそろ入るか」
ゲートで2枚のチケットを切ってもらい、水族館の中へ。
薄暗い館内は、透明感のある青色でぼんやりと満たされており、おそらく水槽の方が明るい。鮮やかなパステルカラーの魚が群れを成し、水中で有機的な虹を描く。
「アキラ、 ここでキスしないか?」
「え? ここでは、さすがに……って、リョウ⁉︎」
だんだん瞳の奥まで覗き込める距離になり、吐息が混ざった。言葉はなくなり、2人の間の静寂を埋めるように唇同士が近づく。
ン、と差し出されるような唇に、自然と僕も向かい合っていた。
「お~い、2人とも! ぼくを差し置いて何してるのかなぁ~?」
寸前でカスケの邪魔が入り、キスを止めた。むしろ僕とリョウ以外のカップルが慌てて身体を離し、目を白黒させる。
追いついてきたばかりのカスケは、わなわなと肩を震わせていた。
「やっと見つけたぞ、リョウ! 抜け駆けは許さんッ!!!」
「ルールを破ったのはカスケの方だろ? まだ1時間経ってないだ。もう少し我慢してろ」
リョウにしれっと返されると、ぶんぶんと両手を振りまわす。
「じゃあ30分交代にルール変更だ! 今から30分間アキラはぼくの好きにさしてもらうからね! さあ、アキラこっちへおいで♡」
静かな水族館に飛び込んできた修羅場を、客たちは迷惑がるどころか、興味本位で見守っていた。カスケもリョウも注目されることに慣れていて、後退の文字はない。
まずいなぁ、変な騒ぎになる前にどうにかしないと……。
「えっと……僕、ちょっと」
土壇場に立たされて余裕がなくなった僕は結局その場から一目散に逃げ出してしまった。
「待つんだ、アキラ!!! どこに行く気だ⁉︎」
「アキラ、ぼくとのデートはまだこれからだよ!!!」
2人の追跡から逃れるべく、僕はトイレに隠れた。
「確かこっちに……アキラ~! リョウなんか放っといて、ぼくとデートしよ~♡」
猪突猛進のカスケはトイレの前をひょこひょこと素通りしていく。
勘の良いリョウはトイレを入り口だけ確認する。
「アキラめ、どこへ行ったんだ。さてはこっちへ逃げると見せかけて、一周して出口の方に……」
さすがに中まで入っては来ず、ほかの場所に目処をつけて立ち去ってくれた。
僕はほっと胸を撫で下ろしつつ、我ながら情けない性分に嘆息する。
「た、助かった……いや、全然助かってないんだけどね」
問題を悪化させたうえで先送りにしてしまったわけで、次に合流した時のことを考えると恐ろしい。それでも、ひとりになれる時間を少しは稼げた。
緊張感から開放され、場所がトイレということもあり、自然と催す。
「ふう。とりあえず落ち着いてからっと……」
一服すべく、僕はピュアホワイトが輝かしい便器に向かってジッパーを降ろした。排泄器官に意識的に熱を込め、余分な水分を尿道へと流し込んでいく。
「俺を放っておいて何をしてるかと思えば……アキラは放尿プレイが大好きだなぁ~♡」
リョウの気配に背後を取られ、オチンチンまで金縛りに掛かってしまう。
「アキラ、どうしてリョウも一緒なんだよ?」
「アキラ、デートはフツー2人でするもんだぞ。お邪魔虫を連れてきちゃダメだろ~」
「まあ、いいじゃない。お互い知らない仲じゃないんだしさ」
僕の言い訳にリョウとカスケは呆れつつ、気を鎮める。
「アキラは優しいから、リョウに気を遣ったんだろ? そんなの気にしなくていいのに」
「いや、むしろアキラはカスケの方に気を遣ったのさ。アキラは誰に対しても優しいからカスケを傷つけたくなかったんだろう。偉いぞ~、アキラ♡」
リョウもカスケも僕を責めることはせず、フォローまでしてくれた。
その後、リョウとカスケは僕の話題で和気藹々と盛り上がり始めた。2人の仲は決して悪くなく、一緒に買い物もできるし、僕のことで張り合っても、ギスギスするほど険悪にはならなかった。
この調子でケンカせずにいてくれたら、僕も楽でいいんだけどなぁ……。
あえてこちらから割り込まずにいると、リョウが僕のことをじろりと見据える。
「アキラ、今『このまま仲良くしててくれれば助かるのに』とか考えてたろ~?」
「えッ⁉︎ いや、別にそんなことはないよ! ハハハ……」
ストレートに図星を突かれ、つい声が裏返ってしまう。
白々しい態度の僕に、カスケもじとっと疑り深い視線を投げつけた。
「リョウと仲良くするのと、アキラのこととは別だからね。次のデートはぼくと2人っきりでしようねぇ~♡」
「寝言は寝て言え。アキラは昔から俺だけにメロメロなんだぜぇ~♡」
僕の事なかれ主義とは裏腹に、リョウとカスケとの間でバチバチと火花が散り出す。
また始まっちゃったよ……どうしよう?
「これから一時間ずつ、アキラと2人っきりになるっていうのはどうだ?」
「リョウにしてはなかなか面白い提案だね。デート対決、受けて立つよ!」
「ふぇぇ、デート対決だなんてホントにやる気⁉︎」
ライバル同士で話がまとまったところで、リョウが真っ先に僕の手を引っ張る。
「じゃあ行くぞ、アキラ♡」
「え? ここは公平にジャンケンで決めるべきだろ?」
カスケの手は出遅れ、空振りした。
「最初に提案したのは俺だからな。先攻は取らせてもらうぜ」
「カスケ、ごめんね! また後で……」
「今はカスケのことなんて気にするな。アキラは俺のことだけ見てればいい。もうデートは始まってるんだからな♡」
立ち回りの早いリョウのリードで、カスケのもとをあとにする。
ーーー
しかしリョウとデートとはいえ、数メートル背後には必ずカスケの気配があった。
僕かリョウのどちらかが振り向くと、一秒ほど遅れて、カスケが看板やら電信柱やらの陰に慌てて身を隠す。
隠れてるつもりなのかな、あれは……。
隠れる場所がなければ、紙袋で顔だけシュールに隠す。
ケータイも頻繁に鳴り、割り込んできた。
『アキラ、リョウとくっつき過ぎ! 最低でもリョウから5メートルは離れて歩かなきゃダメじゃないかッ!!!』
「ちゃんと次はカスケとまわるから安心してね。一旦切るから、またね~」
カスケの怨念めいたジェラシーが、通行人の疑惑を集めつつ、距離を取らせる。
「……まったく。一時間経ったら交代してやるって言ったのにしょうがねえなぁ、カスケは」
「やっぱりカスケも一緒の方が……リョウ?」
急に僕の手を引き、リョウが人混みを抜けるや早足になる。
「一気に巻くぞ。ちゃんと着いてこいよ!」
青信号が点滅しているうちに車道を渡り、赤信号で追跡者を足止め。
「リョウめッ! こんな方法で引き離すなんて卑怯じゃないか! 早く変われ~ッ!!!」
横断歩道の向こう側で、カスケは地団駄を踏んだ。
カスケのことは気になるけど、リョウの手は僕を簡単に離してくれそうにない。
リョウの目的地が見えてきた。今年の夏にできたばかりの水族館だ。
しかしながらカスケの追跡があるにもかかわらず、リョウはすぐに入場せず、わざわざ外の並木道を一周した。デートで人気の遊歩道らしく、カップルは多い。
「そろそろ入るか」
ゲートで2枚のチケットを切ってもらい、水族館の中へ。
薄暗い館内は、透明感のある青色でぼんやりと満たされており、おそらく水槽の方が明るい。鮮やかなパステルカラーの魚が群れを成し、水中で有機的な虹を描く。
「アキラ、 ここでキスしないか?」
「え? ここでは、さすがに……って、リョウ⁉︎」
だんだん瞳の奥まで覗き込める距離になり、吐息が混ざった。言葉はなくなり、2人の間の静寂を埋めるように唇同士が近づく。
ン、と差し出されるような唇に、自然と僕も向かい合っていた。
「お~い、2人とも! ぼくを差し置いて何してるのかなぁ~?」
寸前でカスケの邪魔が入り、キスを止めた。むしろ僕とリョウ以外のカップルが慌てて身体を離し、目を白黒させる。
追いついてきたばかりのカスケは、わなわなと肩を震わせていた。
「やっと見つけたぞ、リョウ! 抜け駆けは許さんッ!!!」
「ルールを破ったのはカスケの方だろ? まだ1時間経ってないだ。もう少し我慢してろ」
リョウにしれっと返されると、ぶんぶんと両手を振りまわす。
「じゃあ30分交代にルール変更だ! 今から30分間アキラはぼくの好きにさしてもらうからね! さあ、アキラこっちへおいで♡」
静かな水族館に飛び込んできた修羅場を、客たちは迷惑がるどころか、興味本位で見守っていた。カスケもリョウも注目されることに慣れていて、後退の文字はない。
まずいなぁ、変な騒ぎになる前にどうにかしないと……。
「えっと……僕、ちょっと」
土壇場に立たされて余裕がなくなった僕は結局その場から一目散に逃げ出してしまった。
「待つんだ、アキラ!!! どこに行く気だ⁉︎」
「アキラ、ぼくとのデートはまだこれからだよ!!!」
2人の追跡から逃れるべく、僕はトイレに隠れた。
「確かこっちに……アキラ~! リョウなんか放っといて、ぼくとデートしよ~♡」
猪突猛進のカスケはトイレの前をひょこひょこと素通りしていく。
勘の良いリョウはトイレを入り口だけ確認する。
「アキラめ、どこへ行ったんだ。さてはこっちへ逃げると見せかけて、一周して出口の方に……」
さすがに中まで入っては来ず、ほかの場所に目処をつけて立ち去ってくれた。
僕はほっと胸を撫で下ろしつつ、我ながら情けない性分に嘆息する。
「た、助かった……いや、全然助かってないんだけどね」
問題を悪化させたうえで先送りにしてしまったわけで、次に合流した時のことを考えると恐ろしい。それでも、ひとりになれる時間を少しは稼げた。
緊張感から開放され、場所がトイレということもあり、自然と催す。
「ふう。とりあえず落ち着いてからっと……」
一服すべく、僕はピュアホワイトが輝かしい便器に向かってジッパーを降ろした。排泄器官に意識的に熱を込め、余分な水分を尿道へと流し込んでいく。
「俺を放っておいて何をしてるかと思えば……アキラは放尿プレイが大好きだなぁ~♡」
リョウの気配に背後を取られ、オチンチンまで金縛りに掛かってしまう。
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