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48 息子を見送るアルファ喪女〜前編〜
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「ママ……オレ、今日が排卵日なんだ♡」
「ファッ⁉︎」
いきなり何の前触れもなく唐突に産機がモジモジと恥じらいながらそんなことを言ってきた。
「周期的にも体温的にもばっちりだし、今日なら絶対に卵子が子宮にあるはず!」
「ちょっと……産機ったら、落ち着きなさいよ! まさか私のこと誘ってるわけ?」
私がそう言うと、産機は白い頰をポッと桜色に染めて言葉に力を込めてくる。
「――今日すれば絶対妊娠できるんだよッ! こんなチャンス逃してたまるもんか~ッ!」
うちの男共はホントセックスに貪欲なんだから困ったものねwww
もちろん、種付けしてあげたいのは山々なんだけど……。
「産機には悪いんだけど、これ以上子供を作ったら家計がやり繰りできなくなるわ。でも、セックスだけならしてあげてもいいわよ。ほ~ら、避妊薬をしっかり飲んだらママをたっぷりと気持ち良くしてね~♡」
すると産機は上目使いでジッとこちらを見詰めてきた。
「避妊薬なんかダメだよ! オレの卵子が、喪女の子種を求めてるんだから!」
産機はそう言うと、自らの細くて薄い腹部を愛おしそうに撫でながら、ポッと頰を赤らめた。
どうやら今の産機は完全に発情期を迎えているみたいで私の説得にも全く応じる気配がなかった。
そういえばオメガと初めて出会った時もいきなり「子種をちょうだい」とか言われたのを思い出した。今思うと、あの日から私の人生は変わったのよねぇ。
「産機の気持ちはよく分かったわ。でも、子育てにはお金がかかるの。そのための費用を稼ぐだけの甲斐性が産機にはあるの?」
ジッとこちらを見詰めてくる産機に対し、私は負けじと言い返す。
「――養育費なら、あたしが払いますよ~♡」
「こ、この声はッ⁉︎」
どこから現れたのか、喪手奈井さんが知らない間に産機の腰に手を回していた。
「え~と、つまり私と産機の子の養育費を喪手奈井さんが払ってくれるってわけねwww」
「勘違いしないでください! あたしと産機くんとで子供を作って、家庭を築くってことですよぉ~♡」
はぁ~、こんな超絶グロデブ喪女と子作りしたら、生まれてくる子供が悲惨なことになるじゃないのwww
いくら私の産機が優秀な遺伝子を持っているからって、相手がこんなのじゃ末代まで呪われた人生を歩むことになるわよwww
「こら、喪手奈井さん。本人の気持ちを無視して勝手に話を進めるのはどうかと思うわよ。ほら、産機からも何か言ってやりなさいwww」
私がそう言うと、産機は半笑いでポツンと一言だけ言った。
「……孕ませてくれるなら喪手奈井さんでも良い♡」
「ほい、キタァァァァァァァ!!!」
アホみたいに喜ぶ喪手奈井さんを無視して、私は口元を隠すように手を添えながら産機の耳元で囁く。
「産機、本気なの⁉︎ こんなのと子作りできるわけ⁉︎」
「うん♡ それにママがいつも言ってるじゃない。男は美人と結婚するよりも喪女とした方が幸せになれるってさ♡」
思わず「やれやれ……」と首を左右に振って、はぁ、と小さく溜め息をついてしまった。
もしかしたら、産機のストライクゾーンは喪女限定なのかもしれない。そういえばオメガも喪女好きだったけど、うちの男共はブスフェチなのかしらwww
「貴腐寺院さん、息子というのはどんなに可愛がって育ててもいつかは他の女にNTRされる運命なんですよ。そこで涙をグッと堪えて息子の幸せのために背中を押してやるのが母親の務めなんじゃないかしら?」
う~ん、こんな女に正論言われてもピンとこないんだけどwww
こんなにも汚いニキビヅラの超絶デブで尚且つ激しい天パで虫歯も治療せずに放置したせいで歯並びはガタガタの根暗コミュ障モンスターに愛する息子を渡したくないというのが本音だ。
すると、そこへ――。
「喪女姉さん、結婚というのは親が決めることじゃなくて本人が決めるものだよ。愛する産機の気持ちを大切にしてあげよう♡」
「オメガ……」
オメガは産機と向かい合うと、ギュッと抱きしめて耳元で囁く。
「産機、ごめんね。ママと子作りさせてあげられなくて……。でも、どうしても妊娠したいと望むなら僕は喪手奈井さんとの結婚に反対はしないよ。どんな人と結ばれても僕は産機のことを愛しているからね♡」
「ありがとう♡ その言葉を聞いて、ようやく吹っ切れた。オレ、決心したよ――」
私の方に一瞬視線を向けた産機は涙をグッと堪えた顔に笑みを浮かべながら喪手奈井さんの手を取ると、さらわれるように去っていくのであった。
「ファッ⁉︎」
いきなり何の前触れもなく唐突に産機がモジモジと恥じらいながらそんなことを言ってきた。
「周期的にも体温的にもばっちりだし、今日なら絶対に卵子が子宮にあるはず!」
「ちょっと……産機ったら、落ち着きなさいよ! まさか私のこと誘ってるわけ?」
私がそう言うと、産機は白い頰をポッと桜色に染めて言葉に力を込めてくる。
「――今日すれば絶対妊娠できるんだよッ! こんなチャンス逃してたまるもんか~ッ!」
うちの男共はホントセックスに貪欲なんだから困ったものねwww
もちろん、種付けしてあげたいのは山々なんだけど……。
「産機には悪いんだけど、これ以上子供を作ったら家計がやり繰りできなくなるわ。でも、セックスだけならしてあげてもいいわよ。ほ~ら、避妊薬をしっかり飲んだらママをたっぷりと気持ち良くしてね~♡」
すると産機は上目使いでジッとこちらを見詰めてきた。
「避妊薬なんかダメだよ! オレの卵子が、喪女の子種を求めてるんだから!」
産機はそう言うと、自らの細くて薄い腹部を愛おしそうに撫でながら、ポッと頰を赤らめた。
どうやら今の産機は完全に発情期を迎えているみたいで私の説得にも全く応じる気配がなかった。
そういえばオメガと初めて出会った時もいきなり「子種をちょうだい」とか言われたのを思い出した。今思うと、あの日から私の人生は変わったのよねぇ。
「産機の気持ちはよく分かったわ。でも、子育てにはお金がかかるの。そのための費用を稼ぐだけの甲斐性が産機にはあるの?」
ジッとこちらを見詰めてくる産機に対し、私は負けじと言い返す。
「――養育費なら、あたしが払いますよ~♡」
「こ、この声はッ⁉︎」
どこから現れたのか、喪手奈井さんが知らない間に産機の腰に手を回していた。
「え~と、つまり私と産機の子の養育費を喪手奈井さんが払ってくれるってわけねwww」
「勘違いしないでください! あたしと産機くんとで子供を作って、家庭を築くってことですよぉ~♡」
はぁ~、こんな超絶グロデブ喪女と子作りしたら、生まれてくる子供が悲惨なことになるじゃないのwww
いくら私の産機が優秀な遺伝子を持っているからって、相手がこんなのじゃ末代まで呪われた人生を歩むことになるわよwww
「こら、喪手奈井さん。本人の気持ちを無視して勝手に話を進めるのはどうかと思うわよ。ほら、産機からも何か言ってやりなさいwww」
私がそう言うと、産機は半笑いでポツンと一言だけ言った。
「……孕ませてくれるなら喪手奈井さんでも良い♡」
「ほい、キタァァァァァァァ!!!」
アホみたいに喜ぶ喪手奈井さんを無視して、私は口元を隠すように手を添えながら産機の耳元で囁く。
「産機、本気なの⁉︎ こんなのと子作りできるわけ⁉︎」
「うん♡ それにママがいつも言ってるじゃない。男は美人と結婚するよりも喪女とした方が幸せになれるってさ♡」
思わず「やれやれ……」と首を左右に振って、はぁ、と小さく溜め息をついてしまった。
もしかしたら、産機のストライクゾーンは喪女限定なのかもしれない。そういえばオメガも喪女好きだったけど、うちの男共はブスフェチなのかしらwww
「貴腐寺院さん、息子というのはどんなに可愛がって育ててもいつかは他の女にNTRされる運命なんですよ。そこで涙をグッと堪えて息子の幸せのために背中を押してやるのが母親の務めなんじゃないかしら?」
う~ん、こんな女に正論言われてもピンとこないんだけどwww
こんなにも汚いニキビヅラの超絶デブで尚且つ激しい天パで虫歯も治療せずに放置したせいで歯並びはガタガタの根暗コミュ障モンスターに愛する息子を渡したくないというのが本音だ。
すると、そこへ――。
「喪女姉さん、結婚というのは親が決めることじゃなくて本人が決めるものだよ。愛する産機の気持ちを大切にしてあげよう♡」
「オメガ……」
オメガは産機と向かい合うと、ギュッと抱きしめて耳元で囁く。
「産機、ごめんね。ママと子作りさせてあげられなくて……。でも、どうしても妊娠したいと望むなら僕は喪手奈井さんとの結婚に反対はしないよ。どんな人と結ばれても僕は産機のことを愛しているからね♡」
「ありがとう♡ その言葉を聞いて、ようやく吹っ切れた。オレ、決心したよ――」
私の方に一瞬視線を向けた産機は涙をグッと堪えた顔に笑みを浮かべながら喪手奈井さんの手を取ると、さらわれるように去っていくのであった。
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