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はじまり
5話 魔法の初歩
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さぁ、水魔法にチャレンジじゃ!って言われても...
「先生、杖がないです。僕今お金ないので杖が買えるまで、杖なしで習えますか?」
「おーそうじゃったな!忘れておったわ。杖というのは自分で素材を用意して、職人に加工してもらい、そして教会で祝福を受けて初めて使える様になるのじゃよ。
初心者の素材は一角ウサギの角や暴れ羊の角が一般的じゃな。強くなると鬼グマの角や一角マグロの角、迷いの森の泉にあるクリスタル、大イカの骨、捻くれムク鳥の羽の部分の骨などを使う。とりあえず自分で狩った材料を使うのが決まりじゃ。
杖の材料によって使える魔力量は違うからの、強くなったものは魔力量が大きいため杖を変えなければいけないのじゃ。しかし魔力量が小さいと、魔力量が大きい用の杖は反応せんから注意するのじゃぞ。
はじめは材料を用意できるまで、仮の杖を貸してやるから、魔法をある程度使える様になったら、試験として魔法を使って材料となる獣を狩る事にしようかの。
どれ、初心者用の杖はあったかのぉ...<異次元ポケット>」
先生の腕が空中で消えてる?!ってか今の呪文!
「せ、先生...あの...先生の腕が消えてるんですが...それにあの呪文は?」
「ん?なんじゃこれも知らんのか?これは異次元ポケットじゃ!」
え?その呼び名は?!
「これは便利でのぉ、今わしの腕に呪文が刻まれておるじゃろ?これは魔力を込めて刻んである呪文じゃ。その呪文に魔力を込めて<異次元ポケット>と唱えると、異次元にある自分のポケットに繋がるようになっておる。
基本生きたもの以外なら何でも入れられる。
呪文を唱えた後は、異次元ポケットの中の様子が自分には見える様になっておるから、出したいものが見つかったらそれを魔力で引き寄せるのじゃ。
腕に呪文を刻む時に込めた魔力量で、異次元ポケットのサイズが決まるからの。もちろん魔力で刻んだ文字だから消して、新しいのを刻み直したりも出来るんじゃよ。腕の呪文に魔力を込めてない時は、呪文も見えないようになっておる。
因みにポケットに入ってる物で、呪文の印を付けたもの3つまでなら、腕の呪文に魔力を通して思い浮かべるだけで、手元に出せるぞ。殆どの人が普段使う杖を登録しておる。
おっ!初心者用の杖があったぞ!これは一角ウサギでも、ちょっとレアな一角ビックウサギの角で出来た杖じゃ。普通の初心者用の杖より魔力を多く込められるが、少ない魔力にも反応するようになっておる。」
そう言って先生が渡してくれた一角ビックウサギの杖は、真っ白で少し透けていて、持ち手には滑らないように緑の紐が巻いてあった。すごい...綺麗だ。
「どれ、魔力を込めてみなさい。魔力を込められたら光るからの。」
そう言われて杖に集中するも、全く光らなかった。
「先生、全くわかりません。魔力を込めるってどうしたらいいんでしょうか?」
「うーん...では、わしが直接お前さんに魔力を送って動かしてやるから、魔力の動きを感じるんじゃぞ。」
「はい。お願いします!」
先生は俺の肩に手を置いた。なんだか温かい。
その温かい物が、グルグルと自分の周りを動いている。そしてその温かい物が、自分の持っていた杖に集まっていく。
「光った!!」
「いま光っておるのは、わしの魔力じゃよ。わしの魔力がナートを通って、杖に集まったのじゃ。魔力を感じることが出来たかの?」
「温かい物が身体の周りをグルグルと回って、杖に集まっていくのを感じました!」
「そうじゃ、それが魔力じゃ。自分の周りにある魔力を探してみなさい。」
意識を身体の周りに向けてみる...温かい物があるのを感じた。
「なんだか温かい物を感じました!」
「今度はそれを杖に集めるんじゃ。」
杖にこの温かい物を送り込む様に...
「光った!!!!」
凄い!本当に俺に魔力があったんだ!魔法使いになれるなんて信じられない!!
「今度は上手くいった様じゃの。どれ次は、さっき見せた水の魔法を試してみなさい。」
まず自分の周りの魔力を意識して、それを杖に集める。杖で渦を描く様に水の素を空中からかき集めると段々白い霧のようになって来た。
「良い調子じゃの。ほれ、呪文を唱えるのじゃ。」
「<アグア>!」
呪文を唱えると白い霧の様なものが集まり小さな水の球が出来た。
「...!! で、出来た!? 凄い!!でも、小さい!」
「ホッホッホ、十分成功じゃよ。小さいのは水の素をかき集めるのに、杖の振りが小さかったからじゃろう。どれ、もう一度やってみなさい。コップ一杯の水を出す様に意識てやるんじゃよ。」
……
…
あの頃は中々魔法のコントロールが出来なくて大変だったな。まさかあんな小さなビー玉ぐらいの水球の後、お風呂の浴槽に溜まるぐらいの水球が出来てしまった上、維持できず先生にかけてしまうとは...笑顔で気にしないでいいと言ってくれたけど、その後暫くコントロールの訓練をイヤってほどさせられたな。
これまで一通り、水、風、火、雷、光、身体強化、異次元ポケット、治癒を覚えることが出来た。
治癒はまだ軽い傷を塞ぐ程度しか出来ない。身体や病気の事を知らないと難しい治癒は出来ないからだ。日本の医者並みとは言わないが、詳しく知らないと治癒魔法は逆に危ない魔法になってしまう。人に治癒魔法をかける治癒士は、許可証まで必要なのだ。
意外だったのは火の魔法だ。火の魔法のイメージでは炎を何もないところから出せるイメージだったけど、燃えるものが無いと火がつかないのだ。要は火の魔法は着火と炎の大きさをコントロールする魔法だった。
どの魔法も日本に居た時の知識が役立ったので、思ったより早く習得することが出来たのはラッキーだった。
今日の試験で自分の杖となる魔物を初めて狩る。絶対合格するぞ!そしてデアドさんに料理を作る許可を貰ってお菓子を作る!待ってろよ!スイーツ!!
「先生、杖がないです。僕今お金ないので杖が買えるまで、杖なしで習えますか?」
「おーそうじゃったな!忘れておったわ。杖というのは自分で素材を用意して、職人に加工してもらい、そして教会で祝福を受けて初めて使える様になるのじゃよ。
初心者の素材は一角ウサギの角や暴れ羊の角が一般的じゃな。強くなると鬼グマの角や一角マグロの角、迷いの森の泉にあるクリスタル、大イカの骨、捻くれムク鳥の羽の部分の骨などを使う。とりあえず自分で狩った材料を使うのが決まりじゃ。
杖の材料によって使える魔力量は違うからの、強くなったものは魔力量が大きいため杖を変えなければいけないのじゃ。しかし魔力量が小さいと、魔力量が大きい用の杖は反応せんから注意するのじゃぞ。
はじめは材料を用意できるまで、仮の杖を貸してやるから、魔法をある程度使える様になったら、試験として魔法を使って材料となる獣を狩る事にしようかの。
どれ、初心者用の杖はあったかのぉ...<異次元ポケット>」
先生の腕が空中で消えてる?!ってか今の呪文!
「せ、先生...あの...先生の腕が消えてるんですが...それにあの呪文は?」
「ん?なんじゃこれも知らんのか?これは異次元ポケットじゃ!」
え?その呼び名は?!
「これは便利でのぉ、今わしの腕に呪文が刻まれておるじゃろ?これは魔力を込めて刻んである呪文じゃ。その呪文に魔力を込めて<異次元ポケット>と唱えると、異次元にある自分のポケットに繋がるようになっておる。
基本生きたもの以外なら何でも入れられる。
呪文を唱えた後は、異次元ポケットの中の様子が自分には見える様になっておるから、出したいものが見つかったらそれを魔力で引き寄せるのじゃ。
腕に呪文を刻む時に込めた魔力量で、異次元ポケットのサイズが決まるからの。もちろん魔力で刻んだ文字だから消して、新しいのを刻み直したりも出来るんじゃよ。腕の呪文に魔力を込めてない時は、呪文も見えないようになっておる。
因みにポケットに入ってる物で、呪文の印を付けたもの3つまでなら、腕の呪文に魔力を通して思い浮かべるだけで、手元に出せるぞ。殆どの人が普段使う杖を登録しておる。
おっ!初心者用の杖があったぞ!これは一角ウサギでも、ちょっとレアな一角ビックウサギの角で出来た杖じゃ。普通の初心者用の杖より魔力を多く込められるが、少ない魔力にも反応するようになっておる。」
そう言って先生が渡してくれた一角ビックウサギの杖は、真っ白で少し透けていて、持ち手には滑らないように緑の紐が巻いてあった。すごい...綺麗だ。
「どれ、魔力を込めてみなさい。魔力を込められたら光るからの。」
そう言われて杖に集中するも、全く光らなかった。
「先生、全くわかりません。魔力を込めるってどうしたらいいんでしょうか?」
「うーん...では、わしが直接お前さんに魔力を送って動かしてやるから、魔力の動きを感じるんじゃぞ。」
「はい。お願いします!」
先生は俺の肩に手を置いた。なんだか温かい。
その温かい物が、グルグルと自分の周りを動いている。そしてその温かい物が、自分の持っていた杖に集まっていく。
「光った!!」
「いま光っておるのは、わしの魔力じゃよ。わしの魔力がナートを通って、杖に集まったのじゃ。魔力を感じることが出来たかの?」
「温かい物が身体の周りをグルグルと回って、杖に集まっていくのを感じました!」
「そうじゃ、それが魔力じゃ。自分の周りにある魔力を探してみなさい。」
意識を身体の周りに向けてみる...温かい物があるのを感じた。
「なんだか温かい物を感じました!」
「今度はそれを杖に集めるんじゃ。」
杖にこの温かい物を送り込む様に...
「光った!!!!」
凄い!本当に俺に魔力があったんだ!魔法使いになれるなんて信じられない!!
「今度は上手くいった様じゃの。どれ次は、さっき見せた水の魔法を試してみなさい。」
まず自分の周りの魔力を意識して、それを杖に集める。杖で渦を描く様に水の素を空中からかき集めると段々白い霧のようになって来た。
「良い調子じゃの。ほれ、呪文を唱えるのじゃ。」
「<アグア>!」
呪文を唱えると白い霧の様なものが集まり小さな水の球が出来た。
「...!! で、出来た!? 凄い!!でも、小さい!」
「ホッホッホ、十分成功じゃよ。小さいのは水の素をかき集めるのに、杖の振りが小さかったからじゃろう。どれ、もう一度やってみなさい。コップ一杯の水を出す様に意識てやるんじゃよ。」
……
…
あの頃は中々魔法のコントロールが出来なくて大変だったな。まさかあんな小さなビー玉ぐらいの水球の後、お風呂の浴槽に溜まるぐらいの水球が出来てしまった上、維持できず先生にかけてしまうとは...笑顔で気にしないでいいと言ってくれたけど、その後暫くコントロールの訓練をイヤってほどさせられたな。
これまで一通り、水、風、火、雷、光、身体強化、異次元ポケット、治癒を覚えることが出来た。
治癒はまだ軽い傷を塞ぐ程度しか出来ない。身体や病気の事を知らないと難しい治癒は出来ないからだ。日本の医者並みとは言わないが、詳しく知らないと治癒魔法は逆に危ない魔法になってしまう。人に治癒魔法をかける治癒士は、許可証まで必要なのだ。
意外だったのは火の魔法だ。火の魔法のイメージでは炎を何もないところから出せるイメージだったけど、燃えるものが無いと火がつかないのだ。要は火の魔法は着火と炎の大きさをコントロールする魔法だった。
どの魔法も日本に居た時の知識が役立ったので、思ったより早く習得することが出来たのはラッキーだった。
今日の試験で自分の杖となる魔物を初めて狩る。絶対合格するぞ!そしてデアドさんに料理を作る許可を貰ってお菓子を作る!待ってろよ!スイーツ!!
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