ぽっちゃり童貞の俺、ガチムチスパダリに変身してかわいい上司(男)をお嫁さんにする〜一緒に生活するダイエットから目指す新婚生活〜

あさ田ぱん

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25.【その後の二人・最終話】自信

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 朝、俺の腕の中で目を覚ました牧くんはかわいかった。昨夜の余韻が残る身体を俺はまた好き放題……した。
 
 だって寮だと、壁が薄いし…。
 早く引っ越そう!俺は密かに決意した。
 
 牧くんはちょっと赤い顔でぼんやり俺を見ていた。疲れさせてしまったらしい…。

「ごめん、疲れたよね…?」
「ん……、でも… 」
「でも?」
「高木くんにぎゅってされるの好きだから…」

 ふぁッ?!ちょ……なに言ってんの?!俺は思わず二回戦を開始しそうになったのだが。

「あ、高木くんこの後用事ある?買いたいものがあるんだけど… 」
 俺に、買い物に付き合ってほしいらしい…。そんなデートみたいなお願い、断るわけがない。
 二回戦は諦めて、俺たちは出掛けることにした。


 ホテルを出て、繁華街の駅近く。チェーン展開している眼鏡屋に俺たちは向かった。

「最近度が合わなくなってきちゃって… 」

 牧くんは『軽い』が売りのフレームコーナーで何個かサンプルを手に取った。掛けていた眼鏡を俺に渡すと、試着して「どう?」と恥ずかしそうに尋ねる。

「目が悪いから、眼鏡を取ると、試着してどんな感じかわかんないんだよ!」
「なるほど!」
 それで、眼鏡を選んで欲しかったってことか…。俺は今流行ってるおしゃれなボストン型のフレームを掛けた牧くんをまじまじと見つめた。

「…変かな?じゃあ、こっちは?」

 変じゃない。似合ってるんだ、すごく…。でも、おしゃれな眼鏡に変えてかっこかわいくなっちゃうと、ろくでもない奴が近付いてくるかもしれないと思って返事ができなかったのだ。

 やっぱり『SEXできれいになる』って本当だな?昨日より今日の方が、牧くんがかわいい…。やっぱり二回戦、してくるんだった…。
 俺はその興奮を牧くんに伝えたくなった。

「いや、すごく似合ってる!でもあんまりオシャレすると心配だから… 」
「たしかに、銀行だもんね…」
 勤め先の銀行は保守王国だから、あまりオシャレするとよくないもんね、と牧くんは笑った。いや、そういう意味じゃないんだけど…。
 牧くんは結局、真面目そうなフレームと俺が褒めたフレーム二つを購入した。

「高木くん、このあと用事ある?」
「全然。牧くんは?」
「俺もない。だったらさ、高木くん、服買わない?」
「服?」
  なんで?俺が聞くと、牧くんはまた少し赤くなる。
「高木くん、ほら、ダイエットして筋肉がすごいから……。ワイシャツとか、サイズが合わなくなってるのかも…目のやり場に困るっていうか。ほら、コンプライアンス研修でもあった、『見せハラ』みたいな状態で 」
「見せハラ?!」
 俺は思わず大きな声を出してしまった。何だよ見せハラって!俺の存在自体がセクハラってこと?!
 俺が怒ったと思ったらしい、牧くんは見るからに慌てて、ポケットからスマートフォンを取り出す。

「見せハラって、女性なら胸の谷間が見えちゃうってやつで……。ほら、高木くんはその…… 」

 牧くんはスマートフォンで何やらポチポチ入力している。そして「送った」とスマートフォンを指した。

 メッセージを送った……?
 俺が自分のスマートフォンを取り出して画面を見ると思った通り、牧くんからメッセージが来ている。

 牧くんは耳を赤くして俺の反対を向いてしまった。一体どんな内容、送ったんだよ…?

 メッセージには『高木くんの筋肉がすごくて、色んなこと思い出して恥ずかしい』と書かれている。
 しばらく画面に釘付けになっていると追加で『かっこいいってことだよ』と送られてきた。

 送り主はまだ、反対側を向いている。
 どんな顔してるのか気になって、俺は名前を呼んだ。

「篤人!…一緒に暮らそう! 」

 ついでに、結婚前提の同棲を申し込んだ。
 振り向いた牧くんは俺の好きな、優しい笑顔をしている。

 俺は牧くんの新しい眼鏡に写る、少し胸を張ってる自分の姿を見つけた。

 BMIなんかたいして変わっていないのに、好きな人と愛し合えたことが自信になって俺は、数値以上に変化した気がする。
 デカいアンパンマンだった時の卑屈な俺はもういない。

 あまり痩せてはいないけど…俺はダイエットの成功を確信した。

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