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19.内示
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「高木くんの載った雑誌、結構反響があったのよ。女性が沢山買いに来てくれて…!それでね、ウチの娘も高木くんのことかっこいいって言ってて。直接、会社に書類を届けに行ったりしてねえ~。いじらしい子なのよ?」
「はぁ…… 」
華子さんの娘?ああ、確か経理をしていた気がする。勝気そうで、苦手なタイプだったはずだ。そういえばどこかの事務の子が俺宛に来たっていってたけど、華子さんの娘だったの?
「夫も高木くんのことすごく気に入ってるし、ウチの娘の婿にどうかって。それでね、駅の近くにホテルが新しく出来たでしょう?そこのラウンジに今週日曜の三時に来て?紹介するから 」
「えぇ?!」
展開早っ!ひょっとして、先日のプライベートな話というのはその事だったのだろうか?だとすると、すごい誤解してた!いやでも、華子さんの娘でも十分気まずいんだが…。
「あ、ありがたいお話ですが…その… 」
「やっぱり、彼女がいる?」
「えーと、付き合っては無いんですけど… 」
「好きなのね?やだー!デカい図体して赤くなっちゃってかわいい!でもさ高木くん、関西に転勤しちゃうんでしょ?これを機に告白して、連れて行くの?」
ちょ…、なんでまだ内示も受けていないのに部外者がそんなこと知ってんだ?!誰だ、社内情報を漏洩させた犯人は?!
「高木くんがうちの娘と付き合ったら、関西の支店立ち上げもあるし丁度いいかなーと思ったの。でも好きな人がいるんじゃあ仕方がないわね~ 」
全く…突然会社まで来たと思ったら、こんな話なんて…。会社の応接室を使ってする話じゃない!俺は笑いながらやんわり話を終わらせようとしたのだが。
「高木くんの好きな人って新田さん?」
「ち、違います!」
首を振ってきっぱりと否定したつもりだったが、華子さんはニヤニヤと笑っている…。いや、マジで違うから!絶対ない、それは!
俺が好きなのは一人だけ。牧くんだけだから。
それなのに…。
俺は翌日の昼休み、昨日総務の長谷川さんと来たカフェにまた来ていた。先日飲み会をした社長室の女子二人に呼び出されたのだ。
「高木くん、関西支店に転勤に合わせて新田さんと結婚するって本当?私たち、高木くん狙ってたのに、いつの間に?!」
「そうそう、それで新田さんそれに合わせて寿退社するって本当?わたしも仕事辛いから寿退社狙ってたのにー!」
「いやいや、結婚しません!てゆーか内示もまだのに、何ですかそれ?!」
俺は驚愕した。俺が新田と付き合うわけがないし、まだ転勤の内示も出ていない。なのになんでそんな話になっているのか理解に苦しむ…!
「それって一体、誰情報なんです?!」
俺は頭に来て、二人にずい、と詰め寄った。犯人を突き止めて懲らしめてやる!そんな気持ちだった。
二人は顔を見合わせると、言いにくそうに犯人の名前を言った。
「久世次長から聞いたの。」
あんにゃロー!
急いで会社に戻り、俺は怒りに任せて久世の野郎に内線をかけた。やつは悪びれるでもなく言った。
「え?お前たち、あの飲み会の後から付き合ってんだろ?痴漢から守ってやって、それきっかけで付き合ってるんだろ?」
「付き合ってません!何なんですかその妄想は?!」
「マジかよ?!あんなことがあったのに?!でも別に悪い話じゃないからいいだろ?」
「良くありません!」
「何だよ~!奥手だなぁ、お前!童貞じゃあるまいし… 」
「………!」
そうだよ、童貞だよ!悪かったな!
俺が言い返そうとした時……、ついにその時は来た。営業二部第二課部長に、肩を叩かれたのだ。
予想通り、関西支店への転勤の内示だった。
この会社に入った新入社員の時は、全国転勤も楽しそうだ、なんて思っていた。でも、今は違う……。
痩せてる人と一緒の生活ダイエット…、せめて…三十になるまで独身寮で牧くんと一緒に生活したかった。
その日は仕事が手に付かず、早めに切り上げた。会社を出るとスマートフォンの、モンスターを捕まえるゲームアプリを立ち上げて、歩きながらモンスターを探す。そうやって暇を潰しながら、寮までの道をゆっくり歩いて帰った。
「はぁ…… 」
華子さんの娘?ああ、確か経理をしていた気がする。勝気そうで、苦手なタイプだったはずだ。そういえばどこかの事務の子が俺宛に来たっていってたけど、華子さんの娘だったの?
「夫も高木くんのことすごく気に入ってるし、ウチの娘の婿にどうかって。それでね、駅の近くにホテルが新しく出来たでしょう?そこのラウンジに今週日曜の三時に来て?紹介するから 」
「えぇ?!」
展開早っ!ひょっとして、先日のプライベートな話というのはその事だったのだろうか?だとすると、すごい誤解してた!いやでも、華子さんの娘でも十分気まずいんだが…。
「あ、ありがたいお話ですが…その… 」
「やっぱり、彼女がいる?」
「えーと、付き合っては無いんですけど… 」
「好きなのね?やだー!デカい図体して赤くなっちゃってかわいい!でもさ高木くん、関西に転勤しちゃうんでしょ?これを機に告白して、連れて行くの?」
ちょ…、なんでまだ内示も受けていないのに部外者がそんなこと知ってんだ?!誰だ、社内情報を漏洩させた犯人は?!
「高木くんがうちの娘と付き合ったら、関西の支店立ち上げもあるし丁度いいかなーと思ったの。でも好きな人がいるんじゃあ仕方がないわね~ 」
全く…突然会社まで来たと思ったら、こんな話なんて…。会社の応接室を使ってする話じゃない!俺は笑いながらやんわり話を終わらせようとしたのだが。
「高木くんの好きな人って新田さん?」
「ち、違います!」
首を振ってきっぱりと否定したつもりだったが、華子さんはニヤニヤと笑っている…。いや、マジで違うから!絶対ない、それは!
俺が好きなのは一人だけ。牧くんだけだから。
それなのに…。
俺は翌日の昼休み、昨日総務の長谷川さんと来たカフェにまた来ていた。先日飲み会をした社長室の女子二人に呼び出されたのだ。
「高木くん、関西支店に転勤に合わせて新田さんと結婚するって本当?私たち、高木くん狙ってたのに、いつの間に?!」
「そうそう、それで新田さんそれに合わせて寿退社するって本当?わたしも仕事辛いから寿退社狙ってたのにー!」
「いやいや、結婚しません!てゆーか内示もまだのに、何ですかそれ?!」
俺は驚愕した。俺が新田と付き合うわけがないし、まだ転勤の内示も出ていない。なのになんでそんな話になっているのか理解に苦しむ…!
「それって一体、誰情報なんです?!」
俺は頭に来て、二人にずい、と詰め寄った。犯人を突き止めて懲らしめてやる!そんな気持ちだった。
二人は顔を見合わせると、言いにくそうに犯人の名前を言った。
「久世次長から聞いたの。」
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急いで会社に戻り、俺は怒りに任せて久世の野郎に内線をかけた。やつは悪びれるでもなく言った。
「え?お前たち、あの飲み会の後から付き合ってんだろ?痴漢から守ってやって、それきっかけで付き合ってるんだろ?」
「付き合ってません!何なんですかその妄想は?!」
「マジかよ?!あんなことがあったのに?!でも別に悪い話じゃないからいいだろ?」
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「………!」
そうだよ、童貞だよ!悪かったな!
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