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13.モテ期到来
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寮に帰ると、牧くんが待っていた。
「高木くん遅くまでお疲れ様。良かったらこれ…。」
牧くんは俺に、ラップで巻いたおにぎりとゆで卵を差し出した。寮の夕飯に間に合わなかった俺のために、おにぎりを握っておいてくれたらしい。
「高木くん、寮のご飯好きでしょ?いっつも美味しそうに食べてるから。食堂のおばちゃんも高木くん用って言ったら本当はダメだけど作らせてもらえたんだ 」
食堂のおばちゃんまで…。俺には謎のモテ期が到来しているようだ。
しかし本当にモテたい相手にはどうも誤解されている。寮のご飯が好きなんじゃなくて、牧くんと食べるご飯が好きなんだ。
「ありがとうございます。めちゃくちゃ嬉しい… 」
俺がお礼を言うと、牧くんは微笑んだ。
「おにぎりも喜んでると思う 」
と牧くんは謎の感想を口にすると「おやすみ」、と言って部屋に戻ってしまった。
一緒に生活するダイエット…すっかり別居になってしまった。俺の性欲が落ち着いたらまた、同居できる?牧くんと一緒に食べて一緒に眠りたいんだ。前みたいに…。
翌日、俺は”CHAOFAN”と親会社である食品加工会社”もえみ”の引き継ぎ書を新田に手渡した。新田は早速、次長と課長を伴って挨拶に向かった。
俺は行かない方がいい、という判断になったらしい。「なんとなく理由察しろ」という作戦である。しかしそれが裏目に出てしまったようだ。
「いや~社長が怒っちゃってさ。新田君は悪くない。悪くないんだよ…!?」
まあ、それはそうだ。だって新田は俺から引き継がされただけなのだから。
「ただ"もえみ"の社長がさ、こっちが思ってたより高木のことを買ってたみたいで…。なんでだ、ってもうしつこくて!でも本当のことは言えないしさあ。とりあえず、いったん持ち帰るってことになっちゃったんだよ。困ったなー、ホント 」
次長は項垂れていたが、俺はちょっと嬉しかった。俺がいつも社長の好きな、俺は全く興味がない野球ニュースを届け続けた…地道な努力のおかげで好かれていたのだ!しかしやっぱり奥さんからあんな手紙をもらって、そのままと言うわけにはいかない。ということでその件は、いったん部長と次長預かりになった。
現場で社長ともめて落ち込んでいるのかと思いきや、新田は元気だった。
「高木くん、社長にも好かれてたなんてすごいじゃん!尊敬したよ、ほんと!」
新田に尊敬されてもそんなに嬉しくはなかったのだが俺は「ありがとうございます…」と控えめに微笑んだ。ああ、社会人ってめんどくせえな。その微笑みが、新田にいらぬ勘違いをさせたようだ。気を良くした新田は更に元気になった。
「高木くん、この間言ってた飲み会だけど、今週末でよろしく。社長室から二人くるって。高木くん以外の男子は牧くんと、あともう一人呼んだから 」
え?!あの飲み会、ほんとにやるつもりか…?!誰得?!しかも牧くんを巻き込みやがって…!俺は行きたくなかったが、牧くんが行くというのに行かない訳にはいかない…。牧くんが誰かを好きになってしまったらどうしてくれるんだ…。今はどうか分からないが、そもそも牧くんは新田が好きだったのだ。それなのに二人にしたりできないだろ、絶対…!
行くしかない。
俺は不本意ながら飲み会参加を了承した。
「高木くん遅くまでお疲れ様。良かったらこれ…。」
牧くんは俺に、ラップで巻いたおにぎりとゆで卵を差し出した。寮の夕飯に間に合わなかった俺のために、おにぎりを握っておいてくれたらしい。
「高木くん、寮のご飯好きでしょ?いっつも美味しそうに食べてるから。食堂のおばちゃんも高木くん用って言ったら本当はダメだけど作らせてもらえたんだ 」
食堂のおばちゃんまで…。俺には謎のモテ期が到来しているようだ。
しかし本当にモテたい相手にはどうも誤解されている。寮のご飯が好きなんじゃなくて、牧くんと食べるご飯が好きなんだ。
「ありがとうございます。めちゃくちゃ嬉しい… 」
俺がお礼を言うと、牧くんは微笑んだ。
「おにぎりも喜んでると思う 」
と牧くんは謎の感想を口にすると「おやすみ」、と言って部屋に戻ってしまった。
一緒に生活するダイエット…すっかり別居になってしまった。俺の性欲が落ち着いたらまた、同居できる?牧くんと一緒に食べて一緒に眠りたいんだ。前みたいに…。
翌日、俺は”CHAOFAN”と親会社である食品加工会社”もえみ”の引き継ぎ書を新田に手渡した。新田は早速、次長と課長を伴って挨拶に向かった。
俺は行かない方がいい、という判断になったらしい。「なんとなく理由察しろ」という作戦である。しかしそれが裏目に出てしまったようだ。
「いや~社長が怒っちゃってさ。新田君は悪くない。悪くないんだよ…!?」
まあ、それはそうだ。だって新田は俺から引き継がされただけなのだから。
「ただ"もえみ"の社長がさ、こっちが思ってたより高木のことを買ってたみたいで…。なんでだ、ってもうしつこくて!でも本当のことは言えないしさあ。とりあえず、いったん持ち帰るってことになっちゃったんだよ。困ったなー、ホント 」
次長は項垂れていたが、俺はちょっと嬉しかった。俺がいつも社長の好きな、俺は全く興味がない野球ニュースを届け続けた…地道な努力のおかげで好かれていたのだ!しかしやっぱり奥さんからあんな手紙をもらって、そのままと言うわけにはいかない。ということでその件は、いったん部長と次長預かりになった。
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「高木くん、この間言ってた飲み会だけど、今週末でよろしく。社長室から二人くるって。高木くん以外の男子は牧くんと、あともう一人呼んだから 」
え?!あの飲み会、ほんとにやるつもりか…?!誰得?!しかも牧くんを巻き込みやがって…!俺は行きたくなかったが、牧くんが行くというのに行かない訳にはいかない…。牧くんが誰かを好きになってしまったらどうしてくれるんだ…。今はどうか分からないが、そもそも牧くんは新田が好きだったのだ。それなのに二人にしたりできないだろ、絶対…!
行くしかない。
俺は不本意ながら飲み会参加を了承した。
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