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12.ダイエットしてたはずがガチムチになってしまった
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想像だけで鬱々としながら自分のデスクに戻ると、パソコンのマウスパッドの横に可愛らしいお菓子の包みが置かれている。何だ?
「それ、いつも色々貰ってるからお礼!」
隣の席の新田はそう言って片目を瞑った。なにそれ、怖っ!俺はありがとうございます、といいながら、お礼に今日もらった餡饅を手渡した。
「え、超いい匂い!ありがとう~!」
何だか新田の態度がおかしい。上目遣いで見つめられている気がするんだが、気のせいだろうか?俺が、貰い物なんで…と言っても新田の上目遣いは終わらない。
「お客様に好かれてるんだね~。すご~い!」
まじでどうした?!お前あの新田沙耶香か?!俺は目を見張った。
俺が戸惑っていると、また知らない女子が何処からか現れた。タイトなパンツスーツにふわふわブラウスを捩じ込んだ女子で、顔は可愛い系。俺の苦手な意識高い系かつ戦闘力が高そうな女子である。
「へぇー高木くんって、お客様にも人気あるんだね!」
お客様にも…って、あと誰?
「ねぇ、うちの部署の女子も高木くんと話してみたいって言ってて…!今度飲み会しよ?いつ空いてる?」
「あ、高木くんはもう予定入ってるから無理だよ!ほら、前約束したじゃない?高木がダイエット成功したら飲みに行くって!」
約束?そんな約束を新田とした覚えがない。それともアレか?一方的にダイエット成功したら社長室の美人を紹介するっていってたやつのことか?あれ有効だったのかよ、超めんどくせぇ。
しかし新田は一応上司なので、「そうでしたね」と相槌を打った。俺の相槌を聞いてもタイトなパンツスーツ女子は引き下がらない。「別の日はどう?」とキラキラの目をむけてきた。何で?!
俺が返答に詰まったのを察したかのように、内線が鳴った。まさに天の助け…!
俺はすぐに内線をとった。
「あ、高木くん?今ちょっと大丈夫?」
「牧さん?どうしました?」
内線の主は牧くんだった。
牧くんに呼ばれて大丈夫じゃない訳がない。俺は取るものとりあえず部屋の外に飛び出した。
牧くんは営業部の入り口の前で待っていた。手に綺麗な封筒を持っていて、おずおずと俺に差し出す。
「えーとこれ、さっきの餡饅の袋に入ってて、次長が開けちゃったんだ…。」
手渡された封筒の中身は…手紙だ。
――今度じっくり、相談したい事があるから、連絡下さい。他の人に聞かれたくない事だから、プライベートの番号にかけてね♡華子♡
と、書かれていた。何だよ、♡って?!
「華子さんて確か、CHAOFANの社長で親会社の社長の奥様だよね?次長が、担当変えてもらった方が良いんじゃないかって…。たぶん…うちの次長が面白がって、営業ニ課の部長に連絡してると思う。大ごとになっちゃうかもしれない。ごめん… 」
「牧さんが謝る事じゃないです 」
牧くんが申し訳なさそうに眉を寄せたので、俺は牧くんを抱きしめそうになった。そんな顔しないでくれ…。牧くんに何の責任もない。
思わず俺が牧くんに手を伸ばす……、既のところで営業二部第二課のパートさんが俺を呼びにきた。
俺はミーティングルームに呼び出された。営業二課、部長に次長、課長まで勢揃いだ。そこで”CHAOFAN”、及びその親会社"もえみ"の担当変更を告げられた。社長の華子さんは既婚者でしかも、親会社の社長夫人だ。不倫はご法度である。
「にしても…。最近お前、やたら女子にキャーキャー言われてるな?何でそんな、ムキムキになってんだよ?ちょっと前までデカいアンパンマンだったよなあ?」
部長に聞かれたので正直に「太り過ぎてダイエットしてて」と俺が言うと、次長が身を乗り出した。
「部長!筋肉を作るにはエネルギーが必要で、体重を増やしながら筋肉をつけるんですよ!こいつは既に太ってましたから、筋肉がつきやすい土壌があったのかもしれません!」
いや、そんなことある?!元々太っていた事が影響しているのかは分からないけど…。牧くんと一緒の生活ダイエットは継続しているものの、最近営業先や周囲から色々勧められて食べてしまい体重が落ちないと思っていたが、運動と筋トレによって食べたものが全て筋肉になっていたんだな。
部長は改めて俺を上から下まで見回した。
「いいなぁー。筋肉がムキムキでキモいって表向き女は言うけどさ、実際は好きだよな?最近女子がやたらお前に寄っていってるし。」
「筋肉はテストステロン…男性ホルモンの象徴ですからね。テストステロンが多いってことは、夜もプロレスラーな訳で…特に、人妻は食いついちゃったんでしょう。」
部長と次長は顔を見合わせてニヤニヤと笑っていたが、直ぐにセクハラ発言に気が付いたようだ。咳払いしたのち「後任は新田だから」と言うと席を立って行ってしまった。全く…、昭和はセクハラが過ぎる。
しかし、内容は大筋あっている気がする。なぜなら俺の性欲が爆発的に高まったのは筋トレを始めてからなのだ。
心頭滅却すれば火もまた涼し……作戦完全に裏目に出てる!俺の馬鹿!なんでフツーにダイエットしなかったんだ。性欲爆発で牧くんの部屋に居られなくなったばかりか、今まで必死に関係構築してきた営業先まで失ってしまい、今期の実績どうすんだ俺?!
俺はデスクに戻り、顧客リストをひっくり返して作戦を練り直した。それに加えて引き継ぎ書の作成…。その日は久しぶりに寮の夕飯時間には間に合わないくらいの残業になってしまった。
「それ、いつも色々貰ってるからお礼!」
隣の席の新田はそう言って片目を瞑った。なにそれ、怖っ!俺はありがとうございます、といいながら、お礼に今日もらった餡饅を手渡した。
「え、超いい匂い!ありがとう~!」
何だか新田の態度がおかしい。上目遣いで見つめられている気がするんだが、気のせいだろうか?俺が、貰い物なんで…と言っても新田の上目遣いは終わらない。
「お客様に好かれてるんだね~。すご~い!」
まじでどうした?!お前あの新田沙耶香か?!俺は目を見張った。
俺が戸惑っていると、また知らない女子が何処からか現れた。タイトなパンツスーツにふわふわブラウスを捩じ込んだ女子で、顔は可愛い系。俺の苦手な意識高い系かつ戦闘力が高そうな女子である。
「へぇー高木くんって、お客様にも人気あるんだね!」
お客様にも…って、あと誰?
「ねぇ、うちの部署の女子も高木くんと話してみたいって言ってて…!今度飲み会しよ?いつ空いてる?」
「あ、高木くんはもう予定入ってるから無理だよ!ほら、前約束したじゃない?高木がダイエット成功したら飲みに行くって!」
約束?そんな約束を新田とした覚えがない。それともアレか?一方的にダイエット成功したら社長室の美人を紹介するっていってたやつのことか?あれ有効だったのかよ、超めんどくせぇ。
しかし新田は一応上司なので、「そうでしたね」と相槌を打った。俺の相槌を聞いてもタイトなパンツスーツ女子は引き下がらない。「別の日はどう?」とキラキラの目をむけてきた。何で?!
俺が返答に詰まったのを察したかのように、内線が鳴った。まさに天の助け…!
俺はすぐに内線をとった。
「あ、高木くん?今ちょっと大丈夫?」
「牧さん?どうしました?」
内線の主は牧くんだった。
牧くんに呼ばれて大丈夫じゃない訳がない。俺は取るものとりあえず部屋の外に飛び出した。
牧くんは営業部の入り口の前で待っていた。手に綺麗な封筒を持っていて、おずおずと俺に差し出す。
「えーとこれ、さっきの餡饅の袋に入ってて、次長が開けちゃったんだ…。」
手渡された封筒の中身は…手紙だ。
――今度じっくり、相談したい事があるから、連絡下さい。他の人に聞かれたくない事だから、プライベートの番号にかけてね♡華子♡
と、書かれていた。何だよ、♡って?!
「華子さんて確か、CHAOFANの社長で親会社の社長の奥様だよね?次長が、担当変えてもらった方が良いんじゃないかって…。たぶん…うちの次長が面白がって、営業ニ課の部長に連絡してると思う。大ごとになっちゃうかもしれない。ごめん… 」
「牧さんが謝る事じゃないです 」
牧くんが申し訳なさそうに眉を寄せたので、俺は牧くんを抱きしめそうになった。そんな顔しないでくれ…。牧くんに何の責任もない。
思わず俺が牧くんに手を伸ばす……、既のところで営業二部第二課のパートさんが俺を呼びにきた。
俺はミーティングルームに呼び出された。営業二課、部長に次長、課長まで勢揃いだ。そこで”CHAOFAN”、及びその親会社"もえみ"の担当変更を告げられた。社長の華子さんは既婚者でしかも、親会社の社長夫人だ。不倫はご法度である。
「にしても…。最近お前、やたら女子にキャーキャー言われてるな?何でそんな、ムキムキになってんだよ?ちょっと前までデカいアンパンマンだったよなあ?」
部長に聞かれたので正直に「太り過ぎてダイエットしてて」と俺が言うと、次長が身を乗り出した。
「部長!筋肉を作るにはエネルギーが必要で、体重を増やしながら筋肉をつけるんですよ!こいつは既に太ってましたから、筋肉がつきやすい土壌があったのかもしれません!」
いや、そんなことある?!元々太っていた事が影響しているのかは分からないけど…。牧くんと一緒の生活ダイエットは継続しているものの、最近営業先や周囲から色々勧められて食べてしまい体重が落ちないと思っていたが、運動と筋トレによって食べたものが全て筋肉になっていたんだな。
部長は改めて俺を上から下まで見回した。
「いいなぁー。筋肉がムキムキでキモいって表向き女は言うけどさ、実際は好きだよな?最近女子がやたらお前に寄っていってるし。」
「筋肉はテストステロン…男性ホルモンの象徴ですからね。テストステロンが多いってことは、夜もプロレスラーな訳で…特に、人妻は食いついちゃったんでしょう。」
部長と次長は顔を見合わせてニヤニヤと笑っていたが、直ぐにセクハラ発言に気が付いたようだ。咳払いしたのち「後任は新田だから」と言うと席を立って行ってしまった。全く…、昭和はセクハラが過ぎる。
しかし、内容は大筋あっている気がする。なぜなら俺の性欲が爆発的に高まったのは筋トレを始めてからなのだ。
心頭滅却すれば火もまた涼し……作戦完全に裏目に出てる!俺の馬鹿!なんでフツーにダイエットしなかったんだ。性欲爆発で牧くんの部屋に居られなくなったばかりか、今まで必死に関係構築してきた営業先まで失ってしまい、今期の実績どうすんだ俺?!
俺はデスクに戻り、顧客リストをひっくり返して作戦を練り直した。それに加えて引き継ぎ書の作成…。その日は久しぶりに寮の夕飯時間には間に合わないくらいの残業になってしまった。
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