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11.ダイエット戦線異常あり!
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それから、三ヶ月。俺は若干痩せて百キロを割り込んだのだが、それ以降はなかなか体重が落ちない。いわゆる停滞期と言うやつだろう。ランニングも、牧くんの生活真似するダイエットも継続中にもかかわらず…。その原因に俺は心当たりがあった。
「高木くん、これどうかしら?新作なんだけど…。」
俺はまた、肉まん専門店子豚の花ちゃんを訪れていた。子豚の花ちゃんはじめとする外食グループ”CHAOFAN”社長である華子さんは俺に大きな饅頭を差し出した。
それは白くて大きい、一見すると肉まんのように見える。だってここは「肉まん専門店」のはずだろ?
「POSデータを分析したら店もECサイトも女性客が少なすぎることに気がついたのよ。対策として、これ!作ってみたんだけど高木くんの率直な意見が聞きたいなぁーって!」
頬を染めたそのおば…いや、華子さんから差し出された肉まんのような何かを俺は受け取り、中身を確認するため半分に割った。
「うわー!」
俺は思わず声を上げた。中にはずっしりぎっちり、餡子が詰まっている。
なんと、肉まんと見せかけて巨大な餡饅だったのだ!コレ、絶対太るやつぅ!
「いいわー、その高木くんの反応!」
キャハハ、と華子さんは笑った。
なにそれ、俺が嫌がってるのが良いってこと?あんたどSか?…ここ最近、どSの華子さんの試食&お土産攻撃には本当に参っている。確実にこれで太ってる気がするんだ!
でも、この人はお客様…しかもグロース企業の社長である。めっちゃ偉い。俺は仕方なしに餡饅を頬張った。ふわふわの肉まん生地に滑らかにすり潰されてぎちぎちに詰まった餡子の食感、恐ろしいまでの甘み…まさに餡饅の真骨頂!いや、美味しいけど、百パー太るッ!
「ねえ高木くん、これ、商品名何がいいと思う?」
「餡饅じゃないんですか?」
「もっとキャッチーなやつをつけたいのよ!みんながSNSとかで言いやすいやつ!」
「はぁ。何ですかねー?罪悪感の極み、糖質百パーセント餡饅…ですかね?」
「採用!」
採用すんのかよ?!驚いている俺に、華子はさん試作品だと言う餡饅を大きい紙袋二つも手渡した。帰り際、また来てね!と謎のウインクに見送られて、俺は肉まん専門店子豚の花ちゃんを後にした。
出先から戻ると、正午過ぎ。俺は会社のビルの入り口で、後ろから声をかけられた。
「おーい!たしか…高木くんだろ!?」
「あ、え~と。」
名前は分からないけど、先日肉まんを渡した牧くんの上司だ。一万円をくれたファイナンス部の次長ってこの人だな、多分。しまった、あの時のお礼を言っていなかった!
俺は慌てた。
「声掛けるの一瞬躊躇したわ!噂には聞いてたけど、なんかすげぇ人相変わってんね?」
お礼を言おうとしたのだが、次長は俺に近づき勝手に肩に手を乗せてきた。かなりスキンシップの激しい人のようだ。令和男子に嫌われる昭和のおじさんだな、この人!
「お前身長何センチ?体重は何キロあんの?プロレスラーでほら、写真集出したイケメンいたろ?アレみたいになっちゃってんじゃん!」
プロレスラー?!俺は平成男子だからプロレスはあまり知らないんだけど…ダイエットしてるつもりが俺、筋トレやり過ぎてガチムチのプロレスラーみたいになってるってこと?!確かに筋肉が付いてきた自覚はあったが、自分の全身を鏡で見る習慣がないから、体重はそこまで落ちないしまだ太ってると思っていた。
俺が、こんな弱いプロレスラー居ませんよ、と言うと次長は豪快に笑った。
「うちの女子達も騒いでたぞ。牧に紹介して、って言ってる奴もいたなぁー。女ってゲンキンだよな。牧から聞いてる?」
「いえ、何も… 」
「あいつ、言ってねーのかよ!モテない男の嫉妬だな、それは!じゃあ俺から言っとくから、うちの女子と飲み会しろ!いいな!?」
次長はそういうと、俺の尻を揉んだ上に餡饅を一袋奪って去っていった。
ちょっとあんた、牧くんにもセクハラしてるんじゃないだろうなぁ?!ていうかお前か?!牧くんのことオカマって言った昭和のオヤジは!許せねーな!第一なんだ、飲み会しろって…。牧くんに女を紹介されるなんて、想像だけでやけ食いしそうだ!
「高木くん、これどうかしら?新作なんだけど…。」
俺はまた、肉まん専門店子豚の花ちゃんを訪れていた。子豚の花ちゃんはじめとする外食グループ”CHAOFAN”社長である華子さんは俺に大きな饅頭を差し出した。
それは白くて大きい、一見すると肉まんのように見える。だってここは「肉まん専門店」のはずだろ?
「POSデータを分析したら店もECサイトも女性客が少なすぎることに気がついたのよ。対策として、これ!作ってみたんだけど高木くんの率直な意見が聞きたいなぁーって!」
頬を染めたそのおば…いや、華子さんから差し出された肉まんのような何かを俺は受け取り、中身を確認するため半分に割った。
「うわー!」
俺は思わず声を上げた。中にはずっしりぎっちり、餡子が詰まっている。
なんと、肉まんと見せかけて巨大な餡饅だったのだ!コレ、絶対太るやつぅ!
「いいわー、その高木くんの反応!」
キャハハ、と華子さんは笑った。
なにそれ、俺が嫌がってるのが良いってこと?あんたどSか?…ここ最近、どSの華子さんの試食&お土産攻撃には本当に参っている。確実にこれで太ってる気がするんだ!
でも、この人はお客様…しかもグロース企業の社長である。めっちゃ偉い。俺は仕方なしに餡饅を頬張った。ふわふわの肉まん生地に滑らかにすり潰されてぎちぎちに詰まった餡子の食感、恐ろしいまでの甘み…まさに餡饅の真骨頂!いや、美味しいけど、百パー太るッ!
「ねえ高木くん、これ、商品名何がいいと思う?」
「餡饅じゃないんですか?」
「もっとキャッチーなやつをつけたいのよ!みんながSNSとかで言いやすいやつ!」
「はぁ。何ですかねー?罪悪感の極み、糖質百パーセント餡饅…ですかね?」
「採用!」
採用すんのかよ?!驚いている俺に、華子はさん試作品だと言う餡饅を大きい紙袋二つも手渡した。帰り際、また来てね!と謎のウインクに見送られて、俺は肉まん専門店子豚の花ちゃんを後にした。
出先から戻ると、正午過ぎ。俺は会社のビルの入り口で、後ろから声をかけられた。
「おーい!たしか…高木くんだろ!?」
「あ、え~と。」
名前は分からないけど、先日肉まんを渡した牧くんの上司だ。一万円をくれたファイナンス部の次長ってこの人だな、多分。しまった、あの時のお礼を言っていなかった!
俺は慌てた。
「声掛けるの一瞬躊躇したわ!噂には聞いてたけど、なんかすげぇ人相変わってんね?」
お礼を言おうとしたのだが、次長は俺に近づき勝手に肩に手を乗せてきた。かなりスキンシップの激しい人のようだ。令和男子に嫌われる昭和のおじさんだな、この人!
「お前身長何センチ?体重は何キロあんの?プロレスラーでほら、写真集出したイケメンいたろ?アレみたいになっちゃってんじゃん!」
プロレスラー?!俺は平成男子だからプロレスはあまり知らないんだけど…ダイエットしてるつもりが俺、筋トレやり過ぎてガチムチのプロレスラーみたいになってるってこと?!確かに筋肉が付いてきた自覚はあったが、自分の全身を鏡で見る習慣がないから、体重はそこまで落ちないしまだ太ってると思っていた。
俺が、こんな弱いプロレスラー居ませんよ、と言うと次長は豪快に笑った。
「うちの女子達も騒いでたぞ。牧に紹介して、って言ってる奴もいたなぁー。女ってゲンキンだよな。牧から聞いてる?」
「いえ、何も… 」
「あいつ、言ってねーのかよ!モテない男の嫉妬だな、それは!じゃあ俺から言っとくから、うちの女子と飲み会しろ!いいな!?」
次長はそういうと、俺の尻を揉んだ上に餡饅を一袋奪って去っていった。
ちょっとあんた、牧くんにもセクハラしてるんじゃないだろうなぁ?!ていうかお前か?!牧くんのことオカマって言った昭和のオヤジは!許せねーな!第一なんだ、飲み会しろって…。牧くんに女を紹介されるなんて、想像だけでやけ食いしそうだ!
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