ぽっちゃり童貞の俺、ガチムチスパダリに変身してかわいい上司(男)をお嫁さんにする〜一緒に生活するダイエットから目指す新婚生活〜

あさ田ぱん

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4.牧くんの趣味

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 朝食後は一旦解散して着替える事になった。着替えたら集合して、朝も一緒に出勤するらしい。同伴出勤だよ!ドキドキするなあ!

 俺はいつも、最寄駅から電車に乗っている。オフィスまでは二駅なのだが、乗らないと結構距離がある。しかし…。牧くんは歩いて行くらしい。なんと、朝も帰りも歩いてるんだって!自転車でもなく、歩き?!

「二駅だしそれに、ほらコレ!」
 牧くんはスマートフォンの画面を俺に見せる。それはGPSの位置情報を使って、現実世界でモンスターを捕まえるゲームだった。発売当時はモンスターを捕まえるため建物に不法侵入する人が続出して問題になったやつ。牧くんはそれが大好きらしい。よく見るとスマートフォンのケースにも小さく、そのゲームのキャラクターである黄色い電子うさぎが描かれている。通勤の合間にもモンスターを探して歩いているんだとか…。
 運動嫌いの俺に言わせると、あり得ない…。子供の頃流行って今も人気のゲームだがハマらなかったということもあって、出勤前に二駅も歩いてまでやりたいなんて思えない。そんな事したらこの後働ける気がしないんだが。
 モンスターを捕まえながら話していて分かったのだが、牧くんが俺に「つきあって」と言っていたのはこのゲームのキャラクターショップに行くことだったようだ。そのキャラクターショップにはカフェが併設されていて人気キャラクターを模した料理が提供されているんだとか。たぶん味は二の次、キャラクター飯なんだろうけど…。
 大人気でなかなか予約を取れないカフェが、たまたま取れたと牧くんは言う。たまたま、二人分ねぇ…。 

「一人じゃ恥ずかしいな…って思ってたから、高木くんが付き合ってくれてよかった。」
 
 牧くんはまたふんわりと微笑んだ。
 お風呂の時以外眼鏡をかけている牧くんだが、だんだん地味な眼鏡姿さえ可愛く見えてきて俺はまた混乱した。

 オフィスビルに着くと、ちょうど俺の上司、新田と出くわした。

「あれ?!高木くんちょっとしゅっとした気がするよ?やっぱ、痩せてる人と同じ生活すると全然違うね!」
 新田は嘘かホントか、笑っている。俺がまだ、昨日の夜からなのにそんな…と言うと、俺のことは無視して二人…牧くんと新田は話し始めた。
「案外楽しそうじゃない、牧くんも。一人でゲームばっかしてるより全然いいよ!良かったね!友達ができて!」
「そうだね…。」
 牧くんは苦笑いしている。ひょっとして…?いやまさか。

「でもまた高木くんに食べさせすぎちゃだめだよ?今週行くんでしょ?予約した、キャラクターのカフェ!」

 ああ…、新田がそのカフェ知ってるってことは、やっぱ、そうなの?

 ひょっとして牧くんさ、最初に新田の奴を誘った?それで断られて俺を押し付けられた?そういえば新田の奴、“牧くんは誘ったらくる”って言ってたな…。…まじかよ…。趣味悪いな!

 新田なんかやめとけ!俺の方が絶対、性格いいし優しいし何より牧くんを大切にする!
 俺は精一杯、牧くんに念を送った。

 牧くんは気づいているのかいないのか…和やかに新田と話している。そんな女と話さないで!離れてえ!俺は再度念を送った。

 その念に気付いたのは新田の方だった。俺に振り向いてニコリと笑う。

「高木くん、ダイエット成功したら、私の後輩紹介してあげるよ!かわいいよ?社長室にいるんだけど…知ってるかなあ?」

 知らねーよ!知っていたとして、お前の仲間なんか性格悪そうで絶対嫌なんだけど…!
  でも俺は表向き、「ありがとうございます」と言って笑った。 
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