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3.同じ部屋で寝るダイエット
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俺はさ、童貞期間が長すぎて感覚がおかしくなっちゃったんだな、きっと。
年下にして上司の牧くんがかわいくみえて仕方ないのだ。牧くんの部屋で一緒に寝る事になった俺は、備え付けベッドの隣に布団を敷いてもらい、その上にちょこんと座りながら、牧くんに見惚れていた。
いや、俺は身長百八十、体重百キロの巨体だから「ちょこん」な訳はないのだが。気持ち的に、「ちょこん」と座っていたんだよ。まるで恋する乙女みたいに。
牧くんは腕や足に保湿クリームを塗りながら、マーケットニュースをチェックしている。牧くんはアトピーの気があるらしくて、保湿は欠かせないんだとか。牧くんが塗っている保湿クリームは無香料なのにちょっといい匂いがする。はぁ、くんくんして一緒に寝たい…。だいたい、独身寮なのに、何故客用の布団を持っているんだ?
「ひょっとして、彼女が出来たらこっそり泊まりに来るかもしれないって思って…。ほらたまに、彼女を連れ込んでるみたいな話も聞くからさ。女子寮の方から遊びに来るかも知れないし…。」
牧くんは実現していない話を、頬を染めながら語った。牧くんは実に健全な妄想をしている、二十八歳の男である。そんな男相手に、それさえかわいいな、なんて思ってしまってる、キモいうえにデブの俺…!やばい、やばすぎる!
せめて、デブだけは卒業しよう!俺は決心した。
牧くんは寝る前に甘いジュースを飲んだりはしないようだ。綺麗に歯磨きをして、マウスウォッシュまでしている。俺も牧くんが妄想上の彼女のために用意していた歯ブラシを借りて歯を磨いた。
「小さい頃、俺すごい両親に甘やかされてて…寝る前にも甘いジュースとか飲んでたんだけど、そしたら酷い虫歯になっちゃって。いまだに歯が弱いって言うか。だから寝る前は水しか飲まないし歯磨きもかかせないんだ。」
そーなの?俺も甘いジュース飲むの大好きだけど、そこまで虫歯になっていない気がする。なんでだろうなぁ…?
歯磨きが終わると、ストレッチをしてから寝るらしい。布団の上で身体を動かしながら、牧くんは申し訳なさそうな顔をした。
「小さい頃歯医者に沢山行って、歯も弱いしそれで偏食になっちゃって。だから俺に合わせると、量云々の前に、高木くんは辛いかも知れない。それでも大丈夫?」
俺が頷くと、牧くんはニコリと微笑んだ。
牧くんはストレッチを終えると電気を消して、布団に潜りこむ。俺の方に横向きになって「おやすみ」と言って目を瞑った。
直ぐに、寝息が聞こえてくる。
朝起きたら、目を覚まして眩しい朝日を浴びながら「おはよう」って笑うんだろうか。
想像したら胸がキュンとした。
朝目覚めると…牧くんは既に起きていた。牧くんはファイナンス部という何をやっているのかイマイチ不明な部署にいるだけあって、日が上らないうちから海外のマーケット情報をチェックしている。
そういえば…、独身寮に住んでいるのに、俺は牧くんを見た記憶があまりない。
俺は必ず、朝晩と食堂に行くのにもか関わらず…。と言うことは、朝も夜もかなりの頻度で食べてない説ない?!実際新田沙耶香も牧くんは家で食べないって言っていた。それはかなりしんどい…!
俺がおずおずと「おはようございます」と声をかけると、ヘッドホンをしていたけれど牧くんは振り向いて「おはよう」と笑った。朝日のような眩しい笑顔だった。
朝のマーケットのチェックが終わると、顔を洗ったりして簡単に身だしなみを整えて、食堂に向かう。牧くんは朝食を食べない派だと思っていたのだが、食べるのか?いや、明らかに俺に気を遣ったようだ。あまり、箸が進んでいない。
「牧さんと同じ生活しないと、ダイエットにならないから普段通りにしてください。」
「うん、でも…朝食は食べた方が良いらしいから…。」
牧くんはそう言って遠慮がちに微笑んだ。あー、なんなのその笑顔…好き…っ!
いやいやダメダメ!何それ!?俺はかわいいお嫁さんを貰うのが目的だ!かわいい男の娘を彼女にすることが目的ではないのだから!
年下にして上司の牧くんがかわいくみえて仕方ないのだ。牧くんの部屋で一緒に寝る事になった俺は、備え付けベッドの隣に布団を敷いてもらい、その上にちょこんと座りながら、牧くんに見惚れていた。
いや、俺は身長百八十、体重百キロの巨体だから「ちょこん」な訳はないのだが。気持ち的に、「ちょこん」と座っていたんだよ。まるで恋する乙女みたいに。
牧くんは腕や足に保湿クリームを塗りながら、マーケットニュースをチェックしている。牧くんはアトピーの気があるらしくて、保湿は欠かせないんだとか。牧くんが塗っている保湿クリームは無香料なのにちょっといい匂いがする。はぁ、くんくんして一緒に寝たい…。だいたい、独身寮なのに、何故客用の布団を持っているんだ?
「ひょっとして、彼女が出来たらこっそり泊まりに来るかもしれないって思って…。ほらたまに、彼女を連れ込んでるみたいな話も聞くからさ。女子寮の方から遊びに来るかも知れないし…。」
牧くんは実現していない話を、頬を染めながら語った。牧くんは実に健全な妄想をしている、二十八歳の男である。そんな男相手に、それさえかわいいな、なんて思ってしまってる、キモいうえにデブの俺…!やばい、やばすぎる!
せめて、デブだけは卒業しよう!俺は決心した。
牧くんは寝る前に甘いジュースを飲んだりはしないようだ。綺麗に歯磨きをして、マウスウォッシュまでしている。俺も牧くんが妄想上の彼女のために用意していた歯ブラシを借りて歯を磨いた。
「小さい頃、俺すごい両親に甘やかされてて…寝る前にも甘いジュースとか飲んでたんだけど、そしたら酷い虫歯になっちゃって。いまだに歯が弱いって言うか。だから寝る前は水しか飲まないし歯磨きもかかせないんだ。」
そーなの?俺も甘いジュース飲むの大好きだけど、そこまで虫歯になっていない気がする。なんでだろうなぁ…?
歯磨きが終わると、ストレッチをしてから寝るらしい。布団の上で身体を動かしながら、牧くんは申し訳なさそうな顔をした。
「小さい頃歯医者に沢山行って、歯も弱いしそれで偏食になっちゃって。だから俺に合わせると、量云々の前に、高木くんは辛いかも知れない。それでも大丈夫?」
俺が頷くと、牧くんはニコリと微笑んだ。
牧くんはストレッチを終えると電気を消して、布団に潜りこむ。俺の方に横向きになって「おやすみ」と言って目を瞑った。
直ぐに、寝息が聞こえてくる。
朝起きたら、目を覚まして眩しい朝日を浴びながら「おはよう」って笑うんだろうか。
想像したら胸がキュンとした。
朝目覚めると…牧くんは既に起きていた。牧くんはファイナンス部という何をやっているのかイマイチ不明な部署にいるだけあって、日が上らないうちから海外のマーケット情報をチェックしている。
そういえば…、独身寮に住んでいるのに、俺は牧くんを見た記憶があまりない。
俺は必ず、朝晩と食堂に行くのにもか関わらず…。と言うことは、朝も夜もかなりの頻度で食べてない説ない?!実際新田沙耶香も牧くんは家で食べないって言っていた。それはかなりしんどい…!
俺がおずおずと「おはようございます」と声をかけると、ヘッドホンをしていたけれど牧くんは振り向いて「おはよう」と笑った。朝日のような眩しい笑顔だった。
朝のマーケットのチェックが終わると、顔を洗ったりして簡単に身だしなみを整えて、食堂に向かう。牧くんは朝食を食べない派だと思っていたのだが、食べるのか?いや、明らかに俺に気を遣ったようだ。あまり、箸が進んでいない。
「牧さんと同じ生活しないと、ダイエットにならないから普段通りにしてください。」
「うん、でも…朝食は食べた方が良いらしいから…。」
牧くんはそう言って遠慮がちに微笑んだ。あー、なんなのその笑顔…好き…っ!
いやいやダメダメ!何それ!?俺はかわいいお嫁さんを貰うのが目的だ!かわいい男の娘を彼女にすることが目的ではないのだから!
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