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一章 出会い編
13.高校卒業※
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秋になると、蓮は推薦入試を受けて志望大学に見事合格した。
「受験で圭吾が足りなかった。今日はいっぱいしよ…?」
「蓮、合格おめでと、、、でも俺はまだ受験生で…あ…ぁ…ん…。だ、だめ…そんなとこ…」
「好きでしょ、圭吾も」
「あ…ん…、れ、ん…ッ!」
蓮とはじめてした、夏休み。それから俺たちは会えば毎回といっていいほど、えっちなことをしていた。いや、えっちなことしかしていなかった…。蓮の親は夜のお姉さんのヘアセットをする美容室を経営していて基本、夜家にいない。だからえっちなことをする場所に困らなかったというのも要因だが。
普通付き合い始めたらさ、映画に行ったり、海で泳いだり、花火を見たりデートするんじゃないか?なのに、俺たち駅で集合、コンビニで買い物してすぐ蓮の家に直行。からの~…。
「あ…ん…、や、、入っちゃう…」
「うん、すげーな、全部はいっちゃったね。圭吾のここ、俺の形になっちゃってるよ?すげー気持ちいい…」
蓮は顔に似合わず狂暴そうなものを俺の中に全部収めると、初めはゆっくり腰を揺らす。このあと来るだろう突き上げを期待して、俺の身体は既に十分反応していた。
「は…ッ、れん、れん…!や…♡」
「圭吾、かわいい…。しめつけやば…っ」
「あん♡あ、あ、あ…♡♡」
今日こそは、って思ってたのに……。結局またえっちしてしまった。蓮とするのが気持ちいいからいけないんだ。たぶんこれ「身体の相性がいい」ってやつなんだと思う。抱き合うと何も考えられなくなってしまう。
だからいつも流されて、聞けなかった。『俺達って、つきあってる?』って…。
射精した後の男は冷たくなるものだ。だって男の目的は達することなわけで…実際俺も、へとへとになるから『放っておいて』って思うタイプ。でも、蓮は逆。凄く優しい…。だから良い雰囲気を壊したくなくて、事後に冷めるようなことは聞きづらい。
今日も蓮は優しかった。コンビニで最近出たらしい甘くて溶けそうなプリンを食べさせてくれた。
そんなことで喜んでる俺ってば、超ちょろくない?!
家直行でセックスして、コンビニのスイーツくらいで満足して…。でも俺たちは男同士だし、男同士の恋人ならそんなもの?それともやっぱり、俺って『セフレ』…?
そうして、どんどん聞けなくなっていった。ーー何事も、最初が肝心なんだ…。
****
「圭吾は進学しないの?」
「いや、勉強してるじゃん?今…!」
「それで…?」
後ろの席の因幡は、俺のきれいな問題集を見ながらにやっと笑った。その顔には、以前と同じような眼鏡が掛けられている。
どうやら因幡は蓮と別れたらしい。本人たちに聞いたわけではないが、因幡は夏休み明けから眼鏡で登校したからたぶん…。それって俺のせいなのか?と一瞬思ったのだが…。
「ふはは!やってやった~!今泉蓮を追いかけさせた私、二人を見事揉めさせたのよ。それで因幡のやつあの日、蓮と別れたみたい」
「へー、そうだったんだ…」
美咲が蓮と因幡は『元カノにかっこいい彼ができたことに嫉妬した蓮が元カノを追いかけ、捕まえられなかったもののそれが原因で揉めて破局した』と教えてくれた。
そうなんだ?それで俺を、仕方なくセフレに…?!実際いつも、えっちなことしかしていないし…!
ぐるぐる繰り返す思考は、同じところを回って迷宮入り…。しかしもう、高校三年の秋。卒業は目前で、否が応でも環境は変わる。出口のない出口は直ぐそこ。
俺は学内の推薦をとれず、現役で大学生になれるのかの瀬戸際だった。その事態に蓮もさすがに俺を家に誘ったりしなくなった。朝早く学校に行って、夕方は補習か図書室で自習をして帰るようにした。
そして年が明けて春、俺は何とか大学に合格した。その大学は世間一般にはFラン大と呼ばれているが、俺は大満足だった。何故ならその大学が、蓮の行く大学の沿線上にあるからだ。家の最寄駅は一緒だし、帰りもひょっとして一緒になるかもしれない。俺は密かに喜んでいたのだが。
「え?!車?!」
「うん、免許取ったんだ。これ免許証」
蓮はそう言って俺にピカピカの免許証を見せてきた。都内なのに車に乗ろうとする奴が居るんだと俺は驚いた。忘れていたが蓮の親は美容室を経営している。ひょっとして結構、お金持ちなのかも知れない。
「機材とか運ぶのに便利だし。常に乗るわけじゃないけど、親の車もあるし」
俺は勝手にずっと、蓮と一緒に電車に乗れるんだと思っていた。こうやって大人になって、少しずつ変わっていくんだな…。俺は少しショックを受けた。
「何年か後には、うちのあたり高速のインターが出来るらしいよ。そうしたら、旅行に行こうぜ」
旅行?俺は顔の筋肉が緩んだ。
旅行って、デートみたいじゃないか?しかも蓮はインターができる何年後かまで、俺と居てくれるつもりってこと?
「インター出来るのはまだ先だけどさ」
「先だけど…?」
蓮は車で俺をドライブに連れて行った。目的地は…。
「れん、、あ…ッ」
「圭吾、久しぶりすぎてキツくなってる…」
「れんのがおっきいからぁ…」
「なにそんな煽ってんの?ホテルだから興奮した?」
そう、俺たちはドライブして、車で入れるピンクのえっちなお城…モーテルにやって来たのだ。
「こ、興奮してな…ッ、あぁっ♡」
「俺はしてる。かわいい、圭吾…。免許とってよかった 」
ピンクのお城にはお月様が浮かんで…、俺の目の前には星が飛んだ。
また、流されてしまった…!
でも、少し諦めている自分もいる。蓮と一緒にいられたら、それだけで…。
そうして迎えた高校の卒業式。蓮は予想通り、同級生だけじゃなく後輩の女子にも揉みくちゃにされて、ブレザーのボタンからブラウスのボタンまで全部なくなっていた。ボロボロの姿まで絵になるくらい、蓮はかっこいい。
蓮はクラスの打上があると言っていたが、俺は何もなく、蓮のボタンも貰えず親と帰ろうとしていた。
「圭吾、カラオケ行こ~!」
男女数人でカラオケに行くからと俺を誘ってくれたのは美咲だった。ちょっと迷ったが、最後だし一緒に行くことにした。美咲は俺の綺麗な制服姿を見て笑った。
「ちょっと、全部あるじゃん!何これ宝の山?一個もらっていい?!」
美咲はそう言って、ブレザーのボタンを用意していたらしい小さなハサミできれいに切りとった。
「圭吾がアイドルになったら転売するから」
そんな謎の宣言までされた…。
美咲たちと移動する帰り際、蓮は俺の所にやってきた。
「圭吾…。ボタンどうした?」
「ん…?ああ、美咲さんがちょうだいっていうから…」
ハサミまで持ってた、と笑ったら、蓮は眉を寄せて顔を顰める。
「ふ~~~ん…」
「ふ~ん?」
俺が首を傾げると、蓮は俺のブレザーのボタンをひとつ取った。「終わったら家にきて」とだけ言うと行ってしまう。
家にきてって…。つまりそういうこと。
蓮は思ったより打ち上げが早く終わったらしく、コンビニの前で俺を待っていた。高校生の最後、一緒に蓮の家に帰って、それで……。
ーーこうして、俺の高校生活は終わった。
「受験で圭吾が足りなかった。今日はいっぱいしよ…?」
「蓮、合格おめでと、、、でも俺はまだ受験生で…あ…ぁ…ん…。だ、だめ…そんなとこ…」
「好きでしょ、圭吾も」
「あ…ん…、れ、ん…ッ!」
蓮とはじめてした、夏休み。それから俺たちは会えば毎回といっていいほど、えっちなことをしていた。いや、えっちなことしかしていなかった…。蓮の親は夜のお姉さんのヘアセットをする美容室を経営していて基本、夜家にいない。だからえっちなことをする場所に困らなかったというのも要因だが。
普通付き合い始めたらさ、映画に行ったり、海で泳いだり、花火を見たりデートするんじゃないか?なのに、俺たち駅で集合、コンビニで買い物してすぐ蓮の家に直行。からの~…。
「あ…ん…、や、、入っちゃう…」
「うん、すげーな、全部はいっちゃったね。圭吾のここ、俺の形になっちゃってるよ?すげー気持ちいい…」
蓮は顔に似合わず狂暴そうなものを俺の中に全部収めると、初めはゆっくり腰を揺らす。このあと来るだろう突き上げを期待して、俺の身体は既に十分反応していた。
「は…ッ、れん、れん…!や…♡」
「圭吾、かわいい…。しめつけやば…っ」
「あん♡あ、あ、あ…♡♡」
今日こそは、って思ってたのに……。結局またえっちしてしまった。蓮とするのが気持ちいいからいけないんだ。たぶんこれ「身体の相性がいい」ってやつなんだと思う。抱き合うと何も考えられなくなってしまう。
だからいつも流されて、聞けなかった。『俺達って、つきあってる?』って…。
射精した後の男は冷たくなるものだ。だって男の目的は達することなわけで…実際俺も、へとへとになるから『放っておいて』って思うタイプ。でも、蓮は逆。凄く優しい…。だから良い雰囲気を壊したくなくて、事後に冷めるようなことは聞きづらい。
今日も蓮は優しかった。コンビニで最近出たらしい甘くて溶けそうなプリンを食べさせてくれた。
そんなことで喜んでる俺ってば、超ちょろくない?!
家直行でセックスして、コンビニのスイーツくらいで満足して…。でも俺たちは男同士だし、男同士の恋人ならそんなもの?それともやっぱり、俺って『セフレ』…?
そうして、どんどん聞けなくなっていった。ーー何事も、最初が肝心なんだ…。
****
「圭吾は進学しないの?」
「いや、勉強してるじゃん?今…!」
「それで…?」
後ろの席の因幡は、俺のきれいな問題集を見ながらにやっと笑った。その顔には、以前と同じような眼鏡が掛けられている。
どうやら因幡は蓮と別れたらしい。本人たちに聞いたわけではないが、因幡は夏休み明けから眼鏡で登校したからたぶん…。それって俺のせいなのか?と一瞬思ったのだが…。
「ふはは!やってやった~!今泉蓮を追いかけさせた私、二人を見事揉めさせたのよ。それで因幡のやつあの日、蓮と別れたみたい」
「へー、そうだったんだ…」
美咲が蓮と因幡は『元カノにかっこいい彼ができたことに嫉妬した蓮が元カノを追いかけ、捕まえられなかったもののそれが原因で揉めて破局した』と教えてくれた。
そうなんだ?それで俺を、仕方なくセフレに…?!実際いつも、えっちなことしかしていないし…!
ぐるぐる繰り返す思考は、同じところを回って迷宮入り…。しかしもう、高校三年の秋。卒業は目前で、否が応でも環境は変わる。出口のない出口は直ぐそこ。
俺は学内の推薦をとれず、現役で大学生になれるのかの瀬戸際だった。その事態に蓮もさすがに俺を家に誘ったりしなくなった。朝早く学校に行って、夕方は補習か図書室で自習をして帰るようにした。
そして年が明けて春、俺は何とか大学に合格した。その大学は世間一般にはFラン大と呼ばれているが、俺は大満足だった。何故ならその大学が、蓮の行く大学の沿線上にあるからだ。家の最寄駅は一緒だし、帰りもひょっとして一緒になるかもしれない。俺は密かに喜んでいたのだが。
「え?!車?!」
「うん、免許取ったんだ。これ免許証」
蓮はそう言って俺にピカピカの免許証を見せてきた。都内なのに車に乗ろうとする奴が居るんだと俺は驚いた。忘れていたが蓮の親は美容室を経営している。ひょっとして結構、お金持ちなのかも知れない。
「機材とか運ぶのに便利だし。常に乗るわけじゃないけど、親の車もあるし」
俺は勝手にずっと、蓮と一緒に電車に乗れるんだと思っていた。こうやって大人になって、少しずつ変わっていくんだな…。俺は少しショックを受けた。
「何年か後には、うちのあたり高速のインターが出来るらしいよ。そうしたら、旅行に行こうぜ」
旅行?俺は顔の筋肉が緩んだ。
旅行って、デートみたいじゃないか?しかも蓮はインターができる何年後かまで、俺と居てくれるつもりってこと?
「インター出来るのはまだ先だけどさ」
「先だけど…?」
蓮は車で俺をドライブに連れて行った。目的地は…。
「れん、、あ…ッ」
「圭吾、久しぶりすぎてキツくなってる…」
「れんのがおっきいからぁ…」
「なにそんな煽ってんの?ホテルだから興奮した?」
そう、俺たちはドライブして、車で入れるピンクのえっちなお城…モーテルにやって来たのだ。
「こ、興奮してな…ッ、あぁっ♡」
「俺はしてる。かわいい、圭吾…。免許とってよかった 」
ピンクのお城にはお月様が浮かんで…、俺の目の前には星が飛んだ。
また、流されてしまった…!
でも、少し諦めている自分もいる。蓮と一緒にいられたら、それだけで…。
そうして迎えた高校の卒業式。蓮は予想通り、同級生だけじゃなく後輩の女子にも揉みくちゃにされて、ブレザーのボタンからブラウスのボタンまで全部なくなっていた。ボロボロの姿まで絵になるくらい、蓮はかっこいい。
蓮はクラスの打上があると言っていたが、俺は何もなく、蓮のボタンも貰えず親と帰ろうとしていた。
「圭吾、カラオケ行こ~!」
男女数人でカラオケに行くからと俺を誘ってくれたのは美咲だった。ちょっと迷ったが、最後だし一緒に行くことにした。美咲は俺の綺麗な制服姿を見て笑った。
「ちょっと、全部あるじゃん!何これ宝の山?一個もらっていい?!」
美咲はそう言って、ブレザーのボタンを用意していたらしい小さなハサミできれいに切りとった。
「圭吾がアイドルになったら転売するから」
そんな謎の宣言までされた…。
美咲たちと移動する帰り際、蓮は俺の所にやってきた。
「圭吾…。ボタンどうした?」
「ん…?ああ、美咲さんがちょうだいっていうから…」
ハサミまで持ってた、と笑ったら、蓮は眉を寄せて顔を顰める。
「ふ~~~ん…」
「ふ~ん?」
俺が首を傾げると、蓮は俺のブレザーのボタンをひとつ取った。「終わったら家にきて」とだけ言うと行ってしまう。
家にきてって…。つまりそういうこと。
蓮は思ったより打ち上げが早く終わったらしく、コンビニの前で俺を待っていた。高校生の最後、一緒に蓮の家に帰って、それで……。
ーーこうして、俺の高校生活は終わった。
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