不遇な孤児でβと診断されたけどαの美形騎士と運命の恋に落ちる

あさ田ぱん

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二章

24.乱暴※

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 ローレンは俺を街の宿屋に連れて行った。その宿屋の一階が食堂になっている。美味しそうな食事の匂い、賑やかな喧騒、音楽を全て無視して俺たちは部屋に入った。部屋の戸を閉めると、二人きり。あれだけ騒がしかった音も聞こえない。
 殺風景な部屋には、一人用にしては少し大きい寝台が一つ置かれている。サイドテーブルに灯りが点いているが、部屋は薄暗い。

 ローレンは直ぐに、俺を寝台に押し倒した。俺は仰向けに寝台に倒れ込んだ。ローレンは俺を押し倒しながら自分の上着を脱ぎ捨てる。薄手のシャツを脱いだローレンは逞しい上半身を惜しげもなく晒す。俺は思わず息を呑んだ。そしてこれから起こる恥ずかしいことを想像して、ごく…と喉が小さく鳴る。
 ローレンは自分の身体で俺を押さえつけ、更に手を握って固定すると、口付けた。十四の頃の、触れるだけの口付けではない。口の中に舌を入れて、舐めまわされる濃厚なもの。歯列を舐められ舌を吸われて…でも合間、唇を離して見つめられると、腰がずき…と甘く痺れる。

 握った手は離されて、次第に身体を這いだす。シャツを下履きから引き抜いてボタンを外し、じかに肌を弄られた。指のひらは胸の突起を見つけて、輪郭を優しく撫でる。
「ぁ…。」
 思わずため息のような声を漏らすと、ローレンは耳元に唇を這わせながら囁いた。
「…感じるの…?ここ。」
 唇は耳から徐々に下へ降りていく。首筋に熱い息が掛かると、鳥肌が立つ。ローレンの硬い手で乳首を摘まれ、押されて潰されて…でもその唇で触れられたら…どうなってしまうんだろう。期待と不安で熱に浮かされたように目を瞑ると、急に下穿きを下着ごと剥ぎ取られた。ローレンは自身の下穿きも脱いでそれを寝台の下にばさ、と投げ捨てる。

 俺は驚いて目を開け、ローレンを見た。俺は、前ははだけているけどブラウスを着たまま。だから想像していたものと順番が違うので落ち着かない。それに…。

「あ、あの…俺、オメガじゃないから…。その。」

 そうなのだ、俺はオメガじゃないから抱かれるなら後ろの準備がいる。ローレンは俺を見下ろして腹に手を当てた。
「魔法が使えるから…。それが止める理由にはならない 」
 止めてくれと言う意味で言ったわけではなかったのだが、ローレンの機嫌を損ねたようだ。ヘソのあたりに唇を這わせながら、ローレンは呪文を唱えた。腹の中が少し、熱いような不思議な感覚がする。

 ローレンは呪文を唱え終えると、灯りが置いてあるサイドテーブルの引き出しの中から瓶を取り出した。蓋を開けると俺の脚を抱えて持ち、中のとろりとした液体を尻の間に垂らす。指にもつけて、それを後孔に差し入れた。

「…っ…。」

 俺が声にならない声を漏らすと、ローレンは俺を熱のこもった瞳で見つめる。

「もう、耐えられそうにない。」

 そう言いながら指で後孔を広げるように掻き回す。直ぐに入れている指が増やされ、二本、三本目が入った辺りで、背中に枕を挟まれた。そして指を引き抜く。

「ノア…これからノアに乱暴する…。いい?」

 あまりに熱っぽくローレンが言うので、俺は頷いた。俺が頷くとローレンは俺の上体を少し起こし、俺の手に先程の液体をつけて、自身の陰茎を握らせる。

「怪我したくなかったら、ノアが塗って。」

 俺はもう一度頷いた。ローレンの陰茎に慎重に、根本から先まで液体を塗っていく。指先で触れると視覚よりも形を把握できる。自分よりもずっと硬くて大きいそれが、自分の中に…と想像するだけで、また勝手にごく、と喉が鳴った。
 何回か上下したところで手を掴まれて、また押し倒された。ローレンは俺の足を思い切り開き、俺の中心により密着する体勢になると、尻の間、後孔に剛直があてがった。後ろに熱い…熱を感じる。そして押しつぶすように、ローレンは俺の中に先端を捩じ込んだ。

「…あ…っ…ぁっ…!」
 初めて迎え入れたそれは、思った通り大きくて、上手く受け入れられない。抵抗するように、ローレンの剛直を締め付けてしまう。
「はぁ…きつい…!ノア…、夫のことは受け入れておいて、俺を受け入れないつもりか…!?」

 ローレンは眉間に皺を寄せて目を細め、怒りに任せてぐりぐりと腰を進めてくる。

「ノア…お前の夫…殆どお前を抱かないのか?それとも、すごく、貧相なものなのか… 」

 俺がローレンが初めてだからだ…、と言おうとしたら口付けで塞がれた。

「言うな!もし比べられたりしたら…乱暴だけじゃ済まない。もう帰さない。閉じ込めて…どこにも行かせない 」
  ローレンは半ば無理やり、奥まで腰を進める。

「…あぁ…、…っ!」

 中を限界まで広げられ奥まで突き入れられた衝撃と、質量で苦しい…。俺が喘ぎ声を漏らすと、ローレンは俺の手を強く握った。そして奥まで入ったものを、限界までゆっくりと抜く。

「…ノア…。こんな…いやらしい姿を、俺以外に見せたなんて…。許せない… 」

 ローレンは顔を顰め俺を上から見下ろしながら、今度は一気に奥まで入ってきた。

「あ…ぁんっ…!はぁ…っ!」

  手を握られたまま、何度も突き上げられる。寝台に強く押さえつけられていて、逃げられない。腰を打ちつけられながら、激しい口づけも始まった。

 息…、できない…。苦しい…。

 頭を振って口付けから逃れようとすると、頭を押さえられてら項を噛まれた。

「いた…っ!いたい…!…や…っ!」

 俺がやめて欲しいと懇願すると、ローレンは噛んだ項を舐めながら囁いた。

「お前の夫は、優しく抱くから…?…だめ…、やめない… 」

 発情期のオメガの項をアルファが噛むと番になると医師に聞いた。ローレンの本能が番を求めて俺の項を噛んだのだろうか?でも俺はベータだ…。
 噛まれた項より胸が痛んで、ローレンを引き離そうと腕の中でもがいた。

「い…いやっ!」
「…だめだ!いやなんて言うな!」

 もがきながら身体を捻って逃げようとすると、ローレンは陰茎を一度引き抜いて俺をうつ伏せにして押さえつけた。尻を少し上げさせられ、間髪入れず後ろから挑んでくる。濡れている後孔はぐちゅん、と水音を立ててローレンの陰茎を受け入れた。奥まで一気に突かれると、目が眩むような、初めての感覚に恐怖をおぼえる。

「だ、だめ…っ!奥…届いちゃう…っ!だめっ!」
「はぁ…、やめない!お前の夫がしない事をする!全部塗り替えて、忘れさせてやる…!」
「まって!あっ…ぁ…んっ!」

 逃げようとすると腰を捕まえられる。引き寄せられて、逃がして貰えない。腰を打ちつけられる度、恥ずかしいくらいの水音が部屋に響く。

「はぁ…ぁ…ン…!や、もぉ…!だめ!だめっ!」

 ローレンに懇願してもやはり聞いて貰えない。むしろ抽送が激しさを増す。

「ノア…!」

 抱きしめられて後ろから顎を掴まれ口付けされた。同時に奥が熱い飛沫で溢れる…。あまりの激しさに涙を溢す俺に、ローレンは熱のこもった目で言う。


「一度で終わったと思うな… 」
「もう許してください…。初めてだから…もう…出来ない… 」
 俺が涙を流すと、ローレンは眉を寄せた。

「初めて…?」
「ローレン様が初めてです。今日が、初めて… 」
「ノア、だってお前は…!」
「…結婚していません。嘘をついていました。夫など、いません 」
 ようやく、本当のことが言えた…。ほっとしたのも束の間、ローレンに腕を掴まれ、今度は仰向けに押し倒された。

「そんなこと…信じられない!それが本当だったとして、何故今まで黙っていた!」
「結婚して夫がいるベータでないとエヴラール家では働けないと言われて…。それしか生きていく術がなくて、それで 」
「なら…俺に連絡すればよかったんだ。そんなに信用できないのか?俺が…!」
「ローレン様はマリク様と婚約すると…。夜会の席でも、フィリップ殿下がそのようにおっしゃっていました 」
「あれは殿下の悪ふざけ…噂を真実のように言うな!なぜ、俺を信じない?」

 叱られて俺はまた涙があふれた。だって…。

「…手紙の返事もいただけず…出ていくように言われて… 」
 俺がそう言うと、ローレンは目を見開いて固まってしまった。暫く沈黙していたが、やがて俺の頬の涙を優しく拭う。

「…俺に手紙を送った?本当に?」
「…はい 」
「それ、俺は受け取っていない。…ノア、俺からの手紙も受け取らなかったのか?一度も…?」
「受け取っていません。ローレン様も俺に…?」
 ローレンは眉を顰めた。誰かが、俺たちの手紙を渡さないようにしていた?学校の方は分からないが…エドガー家については…ジェイド様かもしれない。

「信じられない…。『自分の意思を通したいのなら力を持たなければならない』と、言って俺を王都に行かせて…ただ、引き離すことが目的だったのか…!」 
 ローレンも同じように思ったのだろう、吐き捨てるように言った。でも…ローレンはエドガー家の嫡男。相手が俺じゃ反対されて当然。むしろよく、俺たちの関係を知りながら三年も家に置いてくれたと俺は思った。でも、どんなに反対されても…もう自分の気持ちを誤魔化せそうにない。

「…良かった。嫌われたと思ってた…。ローレン様は再会しても冷たかったから 」
「それは…。俺がどんな気持ちでいたと思う?ノアが他の男と恋仲になって結婚すると聞かされて…。確かめようと思って、騎士祭りで会おうと手紙を書いたのに…お前は現れなかった。探しても見つからなくて… 」
 去年…?それはジェイドと俺がランタンを見た日だ…。そうか、あれは俺とローレンが出会わないようにするためだったんだな…。そんなに反対されていたなんて、知らなかった。

「…わかります。俺も辛かったから… 」
「ノア…。ずっと、苦しかった。諦めきれずにお前の後をつけて…」
「俺の後を…?ひょっとして、ジョルジュから助けていただいたのは、ローレン様ですか?」
「…そうだ。みっともない真似をして…お前の夫をどれだけ羨んだか知れない 」
「俺もマリク様が羨ましかった。ローレン様と婚約したマリク様が… 」
「マリクと婚約なんてしていない。夜会の時のあれは殿下が俺とマリクを揶揄っただけ。お前は…あの時途中で出ていってしまったから…。でも、ノアに俺と同じ思いをさせていたとしたら…すまなかった 」

 婚約していないと聞いて安堵して俺が涙を流すと、今度は優しく抱きしめられた。見つめあってまた口付ける。

「ノアのことが好きだ…。これからはずっと一緒にいよう。離れているから、おかしなことになる… 」

 俺が頷くとローレンは微笑んだ。

 もう一度口付けて見つめ合う。

「ノア…。さっき…、初めてなのに乱暴に抱いてしまった…。後悔してる…」
「…でも嬉しかった。ローレン様が俺で…。その…。」

 俺が赤くなって俯くと、ローレンに顔を覗き込まれる。

「ノア…もう一度やり直したい。今度は優しくするから。それにノアは達していないだろう?」
「大丈夫です。それは… 」

  そう言って逃げようとしたが、ローレンに捕まった。真っ直ぐに見つめられる。

「ノア…俺はお前を知ってしまったから…。このままだと、収まりそうにない。もう一度お前の中で果てたい…。いい?」
 手を握られ、懇願されるように口付けされ…、俺は頷いた。

「あの、首は噛まないで…。俺、オメガじゃないから…いやなんだ 」
 交換条件を出すと、ローレンは真剣な顔をして俺を見つめた。

「俺はベータとかオメガとかじゃなく、ノアを愛してるから、抱きたいと思ってる。それは信じて欲しい 」

 ローレンは「ごめん」と言って、俺の首すじを撫でた。
「愛してる…。」とローレンに囁かれて、また何度目か…恋に落ちた。
 
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