24 / 51
二章
24.乱暴※
しおりを挟む
ローレンは俺を街の宿屋に連れて行った。その宿屋の一階が食堂になっている。美味しそうな食事の匂い、賑やかな喧騒、音楽を全て無視して俺たちは部屋に入った。部屋の戸を閉めると、二人きり。あれだけ騒がしかった音も聞こえない。
殺風景な部屋には、一人用にしては少し大きい寝台が一つ置かれている。サイドテーブルに灯りが点いているが、部屋は薄暗い。
ローレンは直ぐに、俺を寝台に押し倒した。俺は仰向けに寝台に倒れ込んだ。ローレンは俺を押し倒しながら自分の上着を脱ぎ捨てる。薄手のシャツを脱いだローレンは逞しい上半身を惜しげもなく晒す。俺は思わず息を呑んだ。そしてこれから起こる恥ずかしいことを想像して、ごく…と喉が小さく鳴る。
ローレンは自分の身体で俺を押さえつけ、更に手を握って固定すると、口付けた。十四の頃の、触れるだけの口付けではない。口の中に舌を入れて、舐めまわされる濃厚なもの。歯列を舐められ舌を吸われて…でも合間、唇を離して見つめられると、腰がずき…と甘く痺れる。
握った手は離されて、次第に身体を這いだす。シャツを下履きから引き抜いてボタンを外し、じかに肌を弄られた。指のひらは胸の突起を見つけて、輪郭を優しく撫でる。
「ぁ…。」
思わずため息のような声を漏らすと、ローレンは耳元に唇を這わせながら囁いた。
「…感じるの…?ここ。」
唇は耳から徐々に下へ降りていく。首筋に熱い息が掛かると、鳥肌が立つ。ローレンの硬い手で乳首を摘まれ、押されて潰されて…でもその唇で触れられたら…どうなってしまうんだろう。期待と不安で熱に浮かされたように目を瞑ると、急に下穿きを下着ごと剥ぎ取られた。ローレンは自身の下穿きも脱いでそれを寝台の下にばさ、と投げ捨てる。
俺は驚いて目を開け、ローレンを見た。俺は、前ははだけているけどブラウスを着たまま。だから想像していたものと順番が違うので落ち着かない。それに…。
「あ、あの…俺、オメガじゃないから…。その。」
そうなのだ、俺はオメガじゃないから抱かれるなら後ろの準備がいる。ローレンは俺を見下ろして腹に手を当てた。
「魔法が使えるから…。それが止める理由にはならない 」
止めてくれと言う意味で言ったわけではなかったのだが、ローレンの機嫌を損ねたようだ。ヘソのあたりに唇を這わせながら、ローレンは呪文を唱えた。腹の中が少し、熱いような不思議な感覚がする。
ローレンは呪文を唱え終えると、灯りが置いてあるサイドテーブルの引き出しの中から瓶を取り出した。蓋を開けると俺の脚を抱えて持ち、中のとろりとした液体を尻の間に垂らす。指にもつけて、それを後孔に差し入れた。
「…っ…。」
俺が声にならない声を漏らすと、ローレンは俺を熱のこもった瞳で見つめる。
「もう、耐えられそうにない。」
そう言いながら指で後孔を広げるように掻き回す。直ぐに入れている指が増やされ、二本、三本目が入った辺りで、背中に枕を挟まれた。そして指を引き抜く。
「ノア…これからノアに乱暴する…。いい?」
あまりに熱っぽくローレンが言うので、俺は頷いた。俺が頷くとローレンは俺の上体を少し起こし、俺の手に先程の液体をつけて、自身の陰茎を握らせる。
「怪我したくなかったら、ノアが塗って。」
俺はもう一度頷いた。ローレンの陰茎に慎重に、根本から先まで液体を塗っていく。指先で触れると視覚よりも形を把握できる。自分よりもずっと硬くて大きいそれが、自分の中に…と想像するだけで、また勝手にごく、と喉が鳴った。
何回か上下したところで手を掴まれて、また押し倒された。ローレンは俺の足を思い切り開き、俺の中心により密着する体勢になると、尻の間、後孔に剛直があてがった。後ろに熱い…熱を感じる。そして押しつぶすように、ローレンは俺の中に先端を捩じ込んだ。
「…あ…っ…ぁっ…!」
初めて迎え入れたそれは、思った通り大きくて、上手く受け入れられない。抵抗するように、ローレンの剛直を締め付けてしまう。
「はぁ…きつい…!ノア…、夫のことは受け入れておいて、俺を受け入れないつもりか…!?」
ローレンは眉間に皺を寄せて目を細め、怒りに任せてぐりぐりと腰を進めてくる。
「ノア…お前の夫…殆どお前を抱かないのか?それとも、すごく、貧相なものなのか… 」
俺がローレンが初めてだからだ…、と言おうとしたら口付けで塞がれた。
「言うな!もし比べられたりしたら…乱暴だけじゃ済まない。もう帰さない。閉じ込めて…どこにも行かせない 」
ローレンは半ば無理やり、奥まで腰を進める。
「…あぁ…、…っ!」
中を限界まで広げられ奥まで突き入れられた衝撃と、質量で苦しい…。俺が喘ぎ声を漏らすと、ローレンは俺の手を強く握った。そして奥まで入ったものを、限界までゆっくりと抜く。
「…ノア…。こんな…いやらしい姿を、俺以外に見せたなんて…。許せない… 」
ローレンは顔を顰め俺を上から見下ろしながら、今度は一気に奥まで入ってきた。
「あ…ぁんっ…!はぁ…っ!」
手を握られたまま、何度も突き上げられる。寝台に強く押さえつけられていて、逃げられない。腰を打ちつけられながら、激しい口づけも始まった。
息…、できない…。苦しい…。
頭を振って口付けから逃れようとすると、頭を押さえられてら項を噛まれた。
「いた…っ!いたい…!…や…っ!」
俺がやめて欲しいと懇願すると、ローレンは噛んだ項を舐めながら囁いた。
「お前の夫は、優しく抱くから…?…だめ…、やめない… 」
発情期のオメガの項をアルファが噛むと番になると医師に聞いた。ローレンの本能が番を求めて俺の項を噛んだのだろうか?でも俺はベータだ…。
噛まれた項より胸が痛んで、ローレンを引き離そうと腕の中でもがいた。
「い…いやっ!」
「…だめだ!いやなんて言うな!」
もがきながら身体を捻って逃げようとすると、ローレンは陰茎を一度引き抜いて俺をうつ伏せにして押さえつけた。尻を少し上げさせられ、間髪入れず後ろから挑んでくる。濡れている後孔はぐちゅん、と水音を立ててローレンの陰茎を受け入れた。奥まで一気に突かれると、目が眩むような、初めての感覚に恐怖をおぼえる。
「だ、だめ…っ!奥…届いちゃう…っ!だめっ!」
「はぁ…、やめない!お前の夫がしない事をする!全部塗り替えて、忘れさせてやる…!」
「まって!あっ…ぁ…んっ!」
逃げようとすると腰を捕まえられる。引き寄せられて、逃がして貰えない。腰を打ちつけられる度、恥ずかしいくらいの水音が部屋に響く。
「はぁ…ぁ…ン…!や、もぉ…!だめ!だめっ!」
ローレンに懇願してもやはり聞いて貰えない。むしろ抽送が激しさを増す。
「ノア…!」
抱きしめられて後ろから顎を掴まれ口付けされた。同時に奥が熱い飛沫で溢れる…。あまりの激しさに涙を溢す俺に、ローレンは熱のこもった目で言う。
「一度で終わったと思うな… 」
「もう許してください…。初めてだから…もう…出来ない… 」
俺が涙を流すと、ローレンは眉を寄せた。
「初めて…?」
「ローレン様が初めてです。今日が、初めて… 」
「ノア、だってお前は…!」
「…結婚していません。嘘をついていました。夫など、いません 」
ようやく、本当のことが言えた…。ほっとしたのも束の間、ローレンに腕を掴まれ、今度は仰向けに押し倒された。
「そんなこと…信じられない!それが本当だったとして、何故今まで黙っていた!」
「結婚して夫がいるベータでないとエヴラール家では働けないと言われて…。それしか生きていく術がなくて、それで 」
「なら…俺に連絡すればよかったんだ。そんなに信用できないのか?俺が…!」
「ローレン様はマリク様と婚約すると…。夜会の席でも、フィリップ殿下がそのようにおっしゃっていました 」
「あれは殿下の悪ふざけ…噂を真実のように言うな!なぜ、俺を信じない?」
叱られて俺はまた涙があふれた。だって…。
「…手紙の返事もいただけず…出ていくように言われて… 」
俺がそう言うと、ローレンは目を見開いて固まってしまった。暫く沈黙していたが、やがて俺の頬の涙を優しく拭う。
「…俺に手紙を送った?本当に?」
「…はい 」
「それ、俺は受け取っていない。…ノア、俺からの手紙も受け取らなかったのか?一度も…?」
「受け取っていません。ローレン様も俺に…?」
ローレンは眉を顰めた。誰かが、俺たちの手紙を渡さないようにしていた?学校の方は分からないが…エドガー家については…ジェイド様かもしれない。
「信じられない…。『自分の意思を通したいのなら力を持たなければならない』と、言って俺を王都に行かせて…ただ、引き離すことが目的だったのか…!」
ローレンも同じように思ったのだろう、吐き捨てるように言った。でも…ローレンはエドガー家の嫡男。相手が俺じゃ反対されて当然。むしろよく、俺たちの関係を知りながら三年も家に置いてくれたと俺は思った。でも、どんなに反対されても…もう自分の気持ちを誤魔化せそうにない。
「…良かった。嫌われたと思ってた…。ローレン様は再会しても冷たかったから 」
「それは…。俺がどんな気持ちでいたと思う?ノアが他の男と恋仲になって結婚すると聞かされて…。確かめようと思って、騎士祭りで会おうと手紙を書いたのに…お前は現れなかった。探しても見つからなくて… 」
去年…?それはジェイドと俺がランタンを見た日だ…。そうか、あれは俺とローレンが出会わないようにするためだったんだな…。そんなに反対されていたなんて、知らなかった。
「…わかります。俺も辛かったから… 」
「ノア…。ずっと、苦しかった。諦めきれずにお前の後をつけて…」
「俺の後を…?ひょっとして、ジョルジュから助けていただいたのは、ローレン様ですか?」
「…そうだ。みっともない真似をして…お前の夫をどれだけ羨んだか知れない 」
「俺もマリク様が羨ましかった。ローレン様と婚約したマリク様が… 」
「マリクと婚約なんてしていない。夜会の時のあれは殿下が俺とマリクを揶揄っただけ。お前は…あの時途中で出ていってしまったから…。でも、ノアに俺と同じ思いをさせていたとしたら…すまなかった 」
婚約していないと聞いて安堵して俺が涙を流すと、今度は優しく抱きしめられた。見つめあってまた口付ける。
「ノアのことが好きだ…。これからはずっと一緒にいよう。離れているから、おかしなことになる… 」
俺が頷くとローレンは微笑んだ。
もう一度口付けて見つめ合う。
「ノア…。さっき…、初めてなのに乱暴に抱いてしまった…。後悔してる…」
「…でも嬉しかった。ローレン様が俺で…。その…。」
俺が赤くなって俯くと、ローレンに顔を覗き込まれる。
「ノア…もう一度やり直したい。今度は優しくするから。それにノアは達していないだろう?」
「大丈夫です。それは… 」
そう言って逃げようとしたが、ローレンに捕まった。真っ直ぐに見つめられる。
「ノア…俺はお前を知ってしまったから…。このままだと、収まりそうにない。もう一度お前の中で果てたい…。いい?」
手を握られ、懇願されるように口付けされ…、俺は頷いた。
「あの、首は噛まないで…。俺、オメガじゃないから…いやなんだ 」
交換条件を出すと、ローレンは真剣な顔をして俺を見つめた。
「俺はベータとかオメガとかじゃなく、ノアを愛してるから、抱きたいと思ってる。それは信じて欲しい 」
ローレンは「ごめん」と言って、俺の首すじを撫でた。
「愛してる…。」とローレンに囁かれて、また何度目か…恋に落ちた。
殺風景な部屋には、一人用にしては少し大きい寝台が一つ置かれている。サイドテーブルに灯りが点いているが、部屋は薄暗い。
ローレンは直ぐに、俺を寝台に押し倒した。俺は仰向けに寝台に倒れ込んだ。ローレンは俺を押し倒しながら自分の上着を脱ぎ捨てる。薄手のシャツを脱いだローレンは逞しい上半身を惜しげもなく晒す。俺は思わず息を呑んだ。そしてこれから起こる恥ずかしいことを想像して、ごく…と喉が小さく鳴る。
ローレンは自分の身体で俺を押さえつけ、更に手を握って固定すると、口付けた。十四の頃の、触れるだけの口付けではない。口の中に舌を入れて、舐めまわされる濃厚なもの。歯列を舐められ舌を吸われて…でも合間、唇を離して見つめられると、腰がずき…と甘く痺れる。
握った手は離されて、次第に身体を這いだす。シャツを下履きから引き抜いてボタンを外し、じかに肌を弄られた。指のひらは胸の突起を見つけて、輪郭を優しく撫でる。
「ぁ…。」
思わずため息のような声を漏らすと、ローレンは耳元に唇を這わせながら囁いた。
「…感じるの…?ここ。」
唇は耳から徐々に下へ降りていく。首筋に熱い息が掛かると、鳥肌が立つ。ローレンの硬い手で乳首を摘まれ、押されて潰されて…でもその唇で触れられたら…どうなってしまうんだろう。期待と不安で熱に浮かされたように目を瞑ると、急に下穿きを下着ごと剥ぎ取られた。ローレンは自身の下穿きも脱いでそれを寝台の下にばさ、と投げ捨てる。
俺は驚いて目を開け、ローレンを見た。俺は、前ははだけているけどブラウスを着たまま。だから想像していたものと順番が違うので落ち着かない。それに…。
「あ、あの…俺、オメガじゃないから…。その。」
そうなのだ、俺はオメガじゃないから抱かれるなら後ろの準備がいる。ローレンは俺を見下ろして腹に手を当てた。
「魔法が使えるから…。それが止める理由にはならない 」
止めてくれと言う意味で言ったわけではなかったのだが、ローレンの機嫌を損ねたようだ。ヘソのあたりに唇を這わせながら、ローレンは呪文を唱えた。腹の中が少し、熱いような不思議な感覚がする。
ローレンは呪文を唱え終えると、灯りが置いてあるサイドテーブルの引き出しの中から瓶を取り出した。蓋を開けると俺の脚を抱えて持ち、中のとろりとした液体を尻の間に垂らす。指にもつけて、それを後孔に差し入れた。
「…っ…。」
俺が声にならない声を漏らすと、ローレンは俺を熱のこもった瞳で見つめる。
「もう、耐えられそうにない。」
そう言いながら指で後孔を広げるように掻き回す。直ぐに入れている指が増やされ、二本、三本目が入った辺りで、背中に枕を挟まれた。そして指を引き抜く。
「ノア…これからノアに乱暴する…。いい?」
あまりに熱っぽくローレンが言うので、俺は頷いた。俺が頷くとローレンは俺の上体を少し起こし、俺の手に先程の液体をつけて、自身の陰茎を握らせる。
「怪我したくなかったら、ノアが塗って。」
俺はもう一度頷いた。ローレンの陰茎に慎重に、根本から先まで液体を塗っていく。指先で触れると視覚よりも形を把握できる。自分よりもずっと硬くて大きいそれが、自分の中に…と想像するだけで、また勝手にごく、と喉が鳴った。
何回か上下したところで手を掴まれて、また押し倒された。ローレンは俺の足を思い切り開き、俺の中心により密着する体勢になると、尻の間、後孔に剛直があてがった。後ろに熱い…熱を感じる。そして押しつぶすように、ローレンは俺の中に先端を捩じ込んだ。
「…あ…っ…ぁっ…!」
初めて迎え入れたそれは、思った通り大きくて、上手く受け入れられない。抵抗するように、ローレンの剛直を締め付けてしまう。
「はぁ…きつい…!ノア…、夫のことは受け入れておいて、俺を受け入れないつもりか…!?」
ローレンは眉間に皺を寄せて目を細め、怒りに任せてぐりぐりと腰を進めてくる。
「ノア…お前の夫…殆どお前を抱かないのか?それとも、すごく、貧相なものなのか… 」
俺がローレンが初めてだからだ…、と言おうとしたら口付けで塞がれた。
「言うな!もし比べられたりしたら…乱暴だけじゃ済まない。もう帰さない。閉じ込めて…どこにも行かせない 」
ローレンは半ば無理やり、奥まで腰を進める。
「…あぁ…、…っ!」
中を限界まで広げられ奥まで突き入れられた衝撃と、質量で苦しい…。俺が喘ぎ声を漏らすと、ローレンは俺の手を強く握った。そして奥まで入ったものを、限界までゆっくりと抜く。
「…ノア…。こんな…いやらしい姿を、俺以外に見せたなんて…。許せない… 」
ローレンは顔を顰め俺を上から見下ろしながら、今度は一気に奥まで入ってきた。
「あ…ぁんっ…!はぁ…っ!」
手を握られたまま、何度も突き上げられる。寝台に強く押さえつけられていて、逃げられない。腰を打ちつけられながら、激しい口づけも始まった。
息…、できない…。苦しい…。
頭を振って口付けから逃れようとすると、頭を押さえられてら項を噛まれた。
「いた…っ!いたい…!…や…っ!」
俺がやめて欲しいと懇願すると、ローレンは噛んだ項を舐めながら囁いた。
「お前の夫は、優しく抱くから…?…だめ…、やめない… 」
発情期のオメガの項をアルファが噛むと番になると医師に聞いた。ローレンの本能が番を求めて俺の項を噛んだのだろうか?でも俺はベータだ…。
噛まれた項より胸が痛んで、ローレンを引き離そうと腕の中でもがいた。
「い…いやっ!」
「…だめだ!いやなんて言うな!」
もがきながら身体を捻って逃げようとすると、ローレンは陰茎を一度引き抜いて俺をうつ伏せにして押さえつけた。尻を少し上げさせられ、間髪入れず後ろから挑んでくる。濡れている後孔はぐちゅん、と水音を立ててローレンの陰茎を受け入れた。奥まで一気に突かれると、目が眩むような、初めての感覚に恐怖をおぼえる。
「だ、だめ…っ!奥…届いちゃう…っ!だめっ!」
「はぁ…、やめない!お前の夫がしない事をする!全部塗り替えて、忘れさせてやる…!」
「まって!あっ…ぁ…んっ!」
逃げようとすると腰を捕まえられる。引き寄せられて、逃がして貰えない。腰を打ちつけられる度、恥ずかしいくらいの水音が部屋に響く。
「はぁ…ぁ…ン…!や、もぉ…!だめ!だめっ!」
ローレンに懇願してもやはり聞いて貰えない。むしろ抽送が激しさを増す。
「ノア…!」
抱きしめられて後ろから顎を掴まれ口付けされた。同時に奥が熱い飛沫で溢れる…。あまりの激しさに涙を溢す俺に、ローレンは熱のこもった目で言う。
「一度で終わったと思うな… 」
「もう許してください…。初めてだから…もう…出来ない… 」
俺が涙を流すと、ローレンは眉を寄せた。
「初めて…?」
「ローレン様が初めてです。今日が、初めて… 」
「ノア、だってお前は…!」
「…結婚していません。嘘をついていました。夫など、いません 」
ようやく、本当のことが言えた…。ほっとしたのも束の間、ローレンに腕を掴まれ、今度は仰向けに押し倒された。
「そんなこと…信じられない!それが本当だったとして、何故今まで黙っていた!」
「結婚して夫がいるベータでないとエヴラール家では働けないと言われて…。それしか生きていく術がなくて、それで 」
「なら…俺に連絡すればよかったんだ。そんなに信用できないのか?俺が…!」
「ローレン様はマリク様と婚約すると…。夜会の席でも、フィリップ殿下がそのようにおっしゃっていました 」
「あれは殿下の悪ふざけ…噂を真実のように言うな!なぜ、俺を信じない?」
叱られて俺はまた涙があふれた。だって…。
「…手紙の返事もいただけず…出ていくように言われて… 」
俺がそう言うと、ローレンは目を見開いて固まってしまった。暫く沈黙していたが、やがて俺の頬の涙を優しく拭う。
「…俺に手紙を送った?本当に?」
「…はい 」
「それ、俺は受け取っていない。…ノア、俺からの手紙も受け取らなかったのか?一度も…?」
「受け取っていません。ローレン様も俺に…?」
ローレンは眉を顰めた。誰かが、俺たちの手紙を渡さないようにしていた?学校の方は分からないが…エドガー家については…ジェイド様かもしれない。
「信じられない…。『自分の意思を通したいのなら力を持たなければならない』と、言って俺を王都に行かせて…ただ、引き離すことが目的だったのか…!」
ローレンも同じように思ったのだろう、吐き捨てるように言った。でも…ローレンはエドガー家の嫡男。相手が俺じゃ反対されて当然。むしろよく、俺たちの関係を知りながら三年も家に置いてくれたと俺は思った。でも、どんなに反対されても…もう自分の気持ちを誤魔化せそうにない。
「…良かった。嫌われたと思ってた…。ローレン様は再会しても冷たかったから 」
「それは…。俺がどんな気持ちでいたと思う?ノアが他の男と恋仲になって結婚すると聞かされて…。確かめようと思って、騎士祭りで会おうと手紙を書いたのに…お前は現れなかった。探しても見つからなくて… 」
去年…?それはジェイドと俺がランタンを見た日だ…。そうか、あれは俺とローレンが出会わないようにするためだったんだな…。そんなに反対されていたなんて、知らなかった。
「…わかります。俺も辛かったから… 」
「ノア…。ずっと、苦しかった。諦めきれずにお前の後をつけて…」
「俺の後を…?ひょっとして、ジョルジュから助けていただいたのは、ローレン様ですか?」
「…そうだ。みっともない真似をして…お前の夫をどれだけ羨んだか知れない 」
「俺もマリク様が羨ましかった。ローレン様と婚約したマリク様が… 」
「マリクと婚約なんてしていない。夜会の時のあれは殿下が俺とマリクを揶揄っただけ。お前は…あの時途中で出ていってしまったから…。でも、ノアに俺と同じ思いをさせていたとしたら…すまなかった 」
婚約していないと聞いて安堵して俺が涙を流すと、今度は優しく抱きしめられた。見つめあってまた口付ける。
「ノアのことが好きだ…。これからはずっと一緒にいよう。離れているから、おかしなことになる… 」
俺が頷くとローレンは微笑んだ。
もう一度口付けて見つめ合う。
「ノア…。さっき…、初めてなのに乱暴に抱いてしまった…。後悔してる…」
「…でも嬉しかった。ローレン様が俺で…。その…。」
俺が赤くなって俯くと、ローレンに顔を覗き込まれる。
「ノア…もう一度やり直したい。今度は優しくするから。それにノアは達していないだろう?」
「大丈夫です。それは… 」
そう言って逃げようとしたが、ローレンに捕まった。真っ直ぐに見つめられる。
「ノア…俺はお前を知ってしまったから…。このままだと、収まりそうにない。もう一度お前の中で果てたい…。いい?」
手を握られ、懇願されるように口付けされ…、俺は頷いた。
「あの、首は噛まないで…。俺、オメガじゃないから…いやなんだ 」
交換条件を出すと、ローレンは真剣な顔をして俺を見つめた。
「俺はベータとかオメガとかじゃなく、ノアを愛してるから、抱きたいと思ってる。それは信じて欲しい 」
ローレンは「ごめん」と言って、俺の首すじを撫でた。
「愛してる…。」とローレンに囁かれて、また何度目か…恋に落ちた。
516
あなたにおすすめの小説
過労死転生した公務員、魔力がないだけで辺境に追放されたので、忠犬騎士と知識チートでざまぁしながら領地経営はじめます
水凪しおん
BL
過労死した元公務員の俺が転生したのは、魔法と剣が存在する異世界の、どうしようもない貧乏貴族の三男だった。
家族からは能無しと蔑まれ、与えられたのは「ゴミ捨て場」と揶揄される荒れ果てた辺境の領地。これは、事実上の追放だ。
絶望的な状況の中、俺に付き従ったのは、無口で無骨だが、その瞳に確かな忠誠を宿す一人の護衛騎士だけだった。
「大丈夫だ。俺がいる」
彼の言葉を胸に、俺は決意する。公務員として培った知識と経験、そして持ち前のしぶとさで、この最悪な領地を最高の楽園に変えてみせると。
これは、不遇な貴族と忠実な騎士が織りなす、絶望の淵から始まる領地改革ファンタジー。そして、固い絆で結ばれた二人が、やがて王国を揺るがす運命に立ち向かう物語。
無能と罵った家族に、見て見ぬふりをした者たちに、最高の「ざまぁ」をお見舞いしてやろうじゃないか!
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
売れ残りオメガの従僕なる日々
灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才)
※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!
ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。
無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。
炊き出しをしていただけなのに、大公閣下に溺愛されています
ぽんちゃん
BL
希望したのは、医療班だった。
それなのに、配属されたのはなぜか“炊事班”。
「役立たずの掃き溜め」と呼ばれるその場所で、僕は黙々と鍋をかき混ぜる。
誰にも褒められなくても、誰かが「おいしい」と笑ってくれるなら、それだけでいいと思っていた。
……けれど、婚約者に裏切られていた。
軍から逃げ出した先で、炊き出しをすることに。
そんな僕を追いかけてきたのは、王国軍の最高司令官――
“雲の上の存在”カイゼル・ルクスフォルト大公閣下だった。
「君の料理が、兵の士気を支えていた」
「君を愛している」
まさか、ただの炊事兵だった僕に、こんな言葉を向けてくるなんて……!?
さらに、裏切ったはずの元婚約者まで現れて――!?
新年に余り物でおせちを作ったら、冷酷と噂の騎士団長様に「運命の番」だと求婚されました
水凪しおん
BL
料理人だった俺が転生したのは、男性オメガというだけで家族に虐げられる不遇の青年カイ。
新年くらいはと前世の記憶を頼りに作ったのは、この世界にはない『おせち料理』だった。
それを偶然口にしたのは、氷のように冷酷と噂される最強の騎士団長リアム。
「お前は俺の運命の番だ」
彼の屋敷に保護され、俺の作る料理が彼の心を溶かしていく。
不器用で、だけどまっすぐな愛情を注いでくれる彼と、美味しい料理で紡ぐ、甘くて温かい異世界スローライフ。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
-----------------------------------------
0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新
【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
* ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。
BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
本編完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
きーちゃんと皆の動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら!
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる