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1.婚約破棄
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「フランクール王国第一王子ルシアンはシモン公爵家長女、アナスタシアとの婚約を破棄することをここに宣言する!」
その宣言がされたのは、賢王と誉れ高い先代の逝去により即位した現国王陛下の即位一周年を記念する夜会の、今まさに乾杯が行われる直前であった。
そしてこの夜会でルシアンの立太子とルシアンの婚約者、シモン公爵家令嬢アナスタシアとの結婚が発表されると思われていたのだが、あろうことかルシアンはむっちむちで肉感的な男爵家令嬢、レベッカをエスコートして夜会に現われた。よりによって衆人環視の中で…、である。…その中には俺、ジルベール・フェロン始め『王子派』と呼ばれる官吏達も大勢おり、その様子を固唾を飲んで見守っていた。
俺は昨日も王子に仕事で会っているが、ルシアンに特に変わった様子はなかった。確かに最近、肉欲に負けて男爵家令嬢レベッカと浮気していると聞いてはいたが、まさかこんなことをしでかす、そんな雰囲気は皆無であったのに…。一体、なぜ…?
昨日は、たしか………。
俺はルシアンに呼ばれて、ルシアンの執務室へ向かった。扉の前の兵士は俺が来たことに気が付くと、直ぐに扉を開ける。
「遅かったな!ジルベール!こちらへ!」
ルシアンは執務用の机ではなく、応接セットのソファーに優雅に座り、自分の膝を叩いている。
ん……?見間違い?いや、見間違いではないようだ。な、何…?膝に乗れってこと…?
ルシアンはいつも真面目な顔でこの様な冗談を言うのだが、俺とルシアンでは身分差もあるし、答えることも出来ず苦笑いするしかない。ルシアンは立ち上がり、その場に立ち尽くす俺の腕をつかみ強引にソファーに座らせた。ルシアンは俺の隣に腰を下ろすと、書類を一枚差し出す。
「この稟議書だが… 」
「…ルシアン殿下発案の灌漑工事の稟議書ですね?もう会計課で決済して、支払いに回しております 」
「それだ!お前、他の者には稟議書の意味を説明しろと呼び出したり、呼び出しに応じない者には会いに行ったりもするらしいではないか!それなのになんだ!私には一言どころか会いに来る素振りもなく!」
ルシアンは俺にずい、と近寄った。俺はあまりの距離の近さに少し、後退った。ルシアンは少し長い、艶やかな黒髪を掻き上げ、切長の美しい真紅の瞳を細めて不満そうに俺を見つめる。王族に相応しい、美形のルシアンに見つめられて俺は思わず目を伏せた。何んとか顔色に出ないように…だが、耳が少し熱い気がする。
「で、殿下の案件は議会で説明され承認を得られているものがほとんどですので、…特にお伺いするようなことはなく…」
「私の機嫌とか趣味とか休日何をしているかとか…、伺うことは沢山あるだろう!お前と言うやつは昔からそうだな?私が会計課に引っ張ってやったと言うのに…!もっと興味を持て!私に!」
そう…。俺は今、宮廷の会計課の官吏として働いている。子爵家の三男では難しいと言われた人気職なのだが、ルシアンと俺は王都の貴族学校の同級生で、同時期に生徒会に所属していた…その好みで登用試験当日、熱を出して欠席したにも関わらず、縁故採用という形で俺を雇い入れてくれたのだ。
「それは感謝しておりますが… 」
「そうだろう?」
ルシアンはふ、と笑いながら、俺に書類を手渡した。
「もう魔法などという夢のような力は失われて久しい。だからしっかりとした灌漑工事を行い、水道と水車を作ろうと思っている。それについては… 」
ルシアンは俺に手渡した書類に視線を落としながら、説明を始めた。ルシアンの方が背が高いから、俺の手元を覗き込むようにして書類を見下ろしている。その視線は書類をみているのか俺を見ているのか…。確かめようとして、視線が合うことが怖くて、俺は下を向きながらルシアンの声を聴いていた。良く通るバリトン…ずっと聞いていたくなるような声だ。
視線を向けていないから姿は見えていないけど、ルシアンがどんな顔をして話しているか、俺にはわかる。それは、学生時代からずっと、ルシアンを見て来たからだ。学生時代から数えると、付き合いは既に十年以上にもなる。
その間俺はずっと、ルシアンに片思いをしていた。しかしルシアンには既に非の打ち所がない婚約者、公爵家令嬢のアナスタシアがいたから、恋したと同時に失恋してしまったのだ。失恋したものの、俺の気持ちはずっとルシアンにあった。フランクール王国では同性婚も認められているし、先代国王の後宮には男もいたと聞いたことがある。だからもし、俺がレベッカくらい、かわいらしい美男で快活なら思いを打ち明けたかもしれないが、生憎俺はかわいらしくもない、二十五になるのになんの縁談もないくらいの、魅力に乏しい平凡な男…。
ずっと思い続けていたとは言っても流石にルシアンが結婚すれば、この恋は終わるのだろうと思っていた。
明日、ルシアンの立太子発表と共に、結婚も発表されるだろう。そうすれば、きっと…この恋は終わる。
「おい、聞いていたか?」
「え?ええ… 」
ルシアンは上の空の俺を見て呆れた、というように笑った。テーブルの上へ長い腕を伸ばし赤いダリアの花を一輪手に取って俺の胸ポケットに挿す。
「それ、美しいだろう?明日の夜会でも胸に挿してくれ…。きっとお前の髪と白い肌に良く映えるだろうから… 」
俺の髪はやや明るめの茶色で、瞳も同じ色だ。顔立ちも割と薄い顔だから、こんなはっきりした美しい花が映えるとは思えないが、ルシアンが俺に花をくれたことは純粋にうれしかった。
話が終わるとルシアンは俺をソファーから立ち上がらせ、「ご苦労様」と言ったので、俺はそのまま執務室を後にした。
ルシアンはいつものルシアンだった。俺の方が感傷に浸っていたくらいで…。だから本当は悩んでいたのかもしれないが、俺は何も気付かずにいた。俺がもっと気付いて、相談に乗っていれば…、あるいは…。
俺が昨日、ルシアンの異変に気がついていれば…こんな事は防げたかもしれない。
ーーこんなこと、と、いうのは…ルシアンの宣言の後、すぐに、アナスタシアからの反撃が始まってしまったからである……。
「ルシアン殿下が今日、この晴れの場でそのようなことをおっしゃるということは、私に落ち度があって、明確な証拠がある、ということでしょうか?」
アナスタシアは扇をひらき口元を隠し、冷めた目でルシアンを見つめている。
「ああ、お前がレベッカに執拗な嫌がらせをしていたことの証拠はしっかりとある!しかも先日、レベッカを暴漢に襲わせたことも明らかになった!」
ルシアンの返答にアナスタシアがピクリと反応し、扇を下そうとした。その時、一人の青年がアナスタシアの前に進み出て、ルシアンと対峙する。
「待て、ルシアン!その暴漢はお前が雇った者だということが、こちらの調べで判明した!嫌がらせの数々も自作自演だという動かぬ証拠もある!」
アナスタシアの前に身を乗り出したのはルシアンの腹違いの弟、第二王子のエリックであった。エリックは現国王似の金髪碧眼の見目麗しい王子だ。一方ルシアンは王妃似の黒髪に深紅の瞳。だから一説には現国王陛下はエリックを溺愛しているとも言われており、その自信からかエリックの立ち振る舞いは常に堂々としている。
今日もエリックはアナスタシアを守る騎士のように、兄ルシアンの前に立ちはだかった。そしてエリックが手を上げて合図すると、近くに待機していた騎士達が、縄で縛られた柄の悪そうな男を数人、連れて来る。
「これが動かぬ証拠です!兄上…!」
「……さあ…、このような者など、私は知らぬ。」
ルシアンは明らかに動揺して目を伏せた。それを見た柄の悪い男たちはルシアンを顎で指し「俺はこいつに雇われ、命令されただけだ!」と、罪から逃れるため一斉に騒ぎ立てた。
アナスタシアはエリックの背中にもたれ、涙を流している。幼い頃から決められた、幼馴染みとも言える婚約者に裏切られさめざめと泣く、アナスタシアの背中をエリックは優しくさすった。
「ルシアン殿下…私のために、悪事に手を染めてしまうなんて…。まさか…っ!」
ルシアンの罪を知ったレベッカは一歩、また一歩と遠ざかっていく。
「私にこうさせたのは、お前だぞ、レベッカ!」
「わ、私は…罪まで犯せとは言っておりません!それに殿下とは健全なお付き合いで…!」
レベッカは取り乱して、首を振り怯えた表情をしている。あくまでルシアンの暴走だと、レベッカは言いたいようだ。レベッカの態度にカッとしたルシアンはレベッカに向かって手を伸ばす。
それは、流石にまずい…!俺はもう見ていられなくて目を瞑った。
その時、一段高いところから凄みのある声が響いた。
「そこまでだ!ルシアン!」
声の主はルドヴィック・フランクール国王陛下であった。怒鳴られたルシアンは、ぴたりと動きを止める。
「ルシアン…。第一王子ともあろうものが、フランクール王国有数の公爵家…、シモン公爵家令嬢を私欲により排する事がどれほどの事が分かっておらぬのか!?…情けない…!そのようなものに、立太子する資格などない!」
「……。」
ルシアンはレベッカに視線を送ったが、レベッカはもう、ルシアンと視線を合わせることはなかった。アナスタシアも、エリック王子に抱き寄せられ、ルシアンに完全に背を向けている。
ルシアンは結果的に、二人の女性に見放されてしまったのだ。ルシアンは下を向き、唇を噛む。
それは誰がどう見ても、アナスタシアの完全勝利………。
の、はずだった。
しかし下を向いて目を伏せ、悔しそうに肩を振るわせるルシアンの口角は少しだけ、上がっていた…。
その宣言がされたのは、賢王と誉れ高い先代の逝去により即位した現国王陛下の即位一周年を記念する夜会の、今まさに乾杯が行われる直前であった。
そしてこの夜会でルシアンの立太子とルシアンの婚約者、シモン公爵家令嬢アナスタシアとの結婚が発表されると思われていたのだが、あろうことかルシアンはむっちむちで肉感的な男爵家令嬢、レベッカをエスコートして夜会に現われた。よりによって衆人環視の中で…、である。…その中には俺、ジルベール・フェロン始め『王子派』と呼ばれる官吏達も大勢おり、その様子を固唾を飲んで見守っていた。
俺は昨日も王子に仕事で会っているが、ルシアンに特に変わった様子はなかった。確かに最近、肉欲に負けて男爵家令嬢レベッカと浮気していると聞いてはいたが、まさかこんなことをしでかす、そんな雰囲気は皆無であったのに…。一体、なぜ…?
昨日は、たしか………。
俺はルシアンに呼ばれて、ルシアンの執務室へ向かった。扉の前の兵士は俺が来たことに気が付くと、直ぐに扉を開ける。
「遅かったな!ジルベール!こちらへ!」
ルシアンは執務用の机ではなく、応接セットのソファーに優雅に座り、自分の膝を叩いている。
ん……?見間違い?いや、見間違いではないようだ。な、何…?膝に乗れってこと…?
ルシアンはいつも真面目な顔でこの様な冗談を言うのだが、俺とルシアンでは身分差もあるし、答えることも出来ず苦笑いするしかない。ルシアンは立ち上がり、その場に立ち尽くす俺の腕をつかみ強引にソファーに座らせた。ルシアンは俺の隣に腰を下ろすと、書類を一枚差し出す。
「この稟議書だが… 」
「…ルシアン殿下発案の灌漑工事の稟議書ですね?もう会計課で決済して、支払いに回しております 」
「それだ!お前、他の者には稟議書の意味を説明しろと呼び出したり、呼び出しに応じない者には会いに行ったりもするらしいではないか!それなのになんだ!私には一言どころか会いに来る素振りもなく!」
ルシアンは俺にずい、と近寄った。俺はあまりの距離の近さに少し、後退った。ルシアンは少し長い、艶やかな黒髪を掻き上げ、切長の美しい真紅の瞳を細めて不満そうに俺を見つめる。王族に相応しい、美形のルシアンに見つめられて俺は思わず目を伏せた。何んとか顔色に出ないように…だが、耳が少し熱い気がする。
「で、殿下の案件は議会で説明され承認を得られているものがほとんどですので、…特にお伺いするようなことはなく…」
「私の機嫌とか趣味とか休日何をしているかとか…、伺うことは沢山あるだろう!お前と言うやつは昔からそうだな?私が会計課に引っ張ってやったと言うのに…!もっと興味を持て!私に!」
そう…。俺は今、宮廷の会計課の官吏として働いている。子爵家の三男では難しいと言われた人気職なのだが、ルシアンと俺は王都の貴族学校の同級生で、同時期に生徒会に所属していた…その好みで登用試験当日、熱を出して欠席したにも関わらず、縁故採用という形で俺を雇い入れてくれたのだ。
「それは感謝しておりますが… 」
「そうだろう?」
ルシアンはふ、と笑いながら、俺に書類を手渡した。
「もう魔法などという夢のような力は失われて久しい。だからしっかりとした灌漑工事を行い、水道と水車を作ろうと思っている。それについては… 」
ルシアンは俺に手渡した書類に視線を落としながら、説明を始めた。ルシアンの方が背が高いから、俺の手元を覗き込むようにして書類を見下ろしている。その視線は書類をみているのか俺を見ているのか…。確かめようとして、視線が合うことが怖くて、俺は下を向きながらルシアンの声を聴いていた。良く通るバリトン…ずっと聞いていたくなるような声だ。
視線を向けていないから姿は見えていないけど、ルシアンがどんな顔をして話しているか、俺にはわかる。それは、学生時代からずっと、ルシアンを見て来たからだ。学生時代から数えると、付き合いは既に十年以上にもなる。
その間俺はずっと、ルシアンに片思いをしていた。しかしルシアンには既に非の打ち所がない婚約者、公爵家令嬢のアナスタシアがいたから、恋したと同時に失恋してしまったのだ。失恋したものの、俺の気持ちはずっとルシアンにあった。フランクール王国では同性婚も認められているし、先代国王の後宮には男もいたと聞いたことがある。だからもし、俺がレベッカくらい、かわいらしい美男で快活なら思いを打ち明けたかもしれないが、生憎俺はかわいらしくもない、二十五になるのになんの縁談もないくらいの、魅力に乏しい平凡な男…。
ずっと思い続けていたとは言っても流石にルシアンが結婚すれば、この恋は終わるのだろうと思っていた。
明日、ルシアンの立太子発表と共に、結婚も発表されるだろう。そうすれば、きっと…この恋は終わる。
「おい、聞いていたか?」
「え?ええ… 」
ルシアンは上の空の俺を見て呆れた、というように笑った。テーブルの上へ長い腕を伸ばし赤いダリアの花を一輪手に取って俺の胸ポケットに挿す。
「それ、美しいだろう?明日の夜会でも胸に挿してくれ…。きっとお前の髪と白い肌に良く映えるだろうから… 」
俺の髪はやや明るめの茶色で、瞳も同じ色だ。顔立ちも割と薄い顔だから、こんなはっきりした美しい花が映えるとは思えないが、ルシアンが俺に花をくれたことは純粋にうれしかった。
話が終わるとルシアンは俺をソファーから立ち上がらせ、「ご苦労様」と言ったので、俺はそのまま執務室を後にした。
ルシアンはいつものルシアンだった。俺の方が感傷に浸っていたくらいで…。だから本当は悩んでいたのかもしれないが、俺は何も気付かずにいた。俺がもっと気付いて、相談に乗っていれば…、あるいは…。
俺が昨日、ルシアンの異変に気がついていれば…こんな事は防げたかもしれない。
ーーこんなこと、と、いうのは…ルシアンの宣言の後、すぐに、アナスタシアからの反撃が始まってしまったからである……。
「ルシアン殿下が今日、この晴れの場でそのようなことをおっしゃるということは、私に落ち度があって、明確な証拠がある、ということでしょうか?」
アナスタシアは扇をひらき口元を隠し、冷めた目でルシアンを見つめている。
「ああ、お前がレベッカに執拗な嫌がらせをしていたことの証拠はしっかりとある!しかも先日、レベッカを暴漢に襲わせたことも明らかになった!」
ルシアンの返答にアナスタシアがピクリと反応し、扇を下そうとした。その時、一人の青年がアナスタシアの前に進み出て、ルシアンと対峙する。
「待て、ルシアン!その暴漢はお前が雇った者だということが、こちらの調べで判明した!嫌がらせの数々も自作自演だという動かぬ証拠もある!」
アナスタシアの前に身を乗り出したのはルシアンの腹違いの弟、第二王子のエリックであった。エリックは現国王似の金髪碧眼の見目麗しい王子だ。一方ルシアンは王妃似の黒髪に深紅の瞳。だから一説には現国王陛下はエリックを溺愛しているとも言われており、その自信からかエリックの立ち振る舞いは常に堂々としている。
今日もエリックはアナスタシアを守る騎士のように、兄ルシアンの前に立ちはだかった。そしてエリックが手を上げて合図すると、近くに待機していた騎士達が、縄で縛られた柄の悪そうな男を数人、連れて来る。
「これが動かぬ証拠です!兄上…!」
「……さあ…、このような者など、私は知らぬ。」
ルシアンは明らかに動揺して目を伏せた。それを見た柄の悪い男たちはルシアンを顎で指し「俺はこいつに雇われ、命令されただけだ!」と、罪から逃れるため一斉に騒ぎ立てた。
アナスタシアはエリックの背中にもたれ、涙を流している。幼い頃から決められた、幼馴染みとも言える婚約者に裏切られさめざめと泣く、アナスタシアの背中をエリックは優しくさすった。
「ルシアン殿下…私のために、悪事に手を染めてしまうなんて…。まさか…っ!」
ルシアンの罪を知ったレベッカは一歩、また一歩と遠ざかっていく。
「私にこうさせたのは、お前だぞ、レベッカ!」
「わ、私は…罪まで犯せとは言っておりません!それに殿下とは健全なお付き合いで…!」
レベッカは取り乱して、首を振り怯えた表情をしている。あくまでルシアンの暴走だと、レベッカは言いたいようだ。レベッカの態度にカッとしたルシアンはレベッカに向かって手を伸ばす。
それは、流石にまずい…!俺はもう見ていられなくて目を瞑った。
その時、一段高いところから凄みのある声が響いた。
「そこまでだ!ルシアン!」
声の主はルドヴィック・フランクール国王陛下であった。怒鳴られたルシアンは、ぴたりと動きを止める。
「ルシアン…。第一王子ともあろうものが、フランクール王国有数の公爵家…、シモン公爵家令嬢を私欲により排する事がどれほどの事が分かっておらぬのか!?…情けない…!そのようなものに、立太子する資格などない!」
「……。」
ルシアンはレベッカに視線を送ったが、レベッカはもう、ルシアンと視線を合わせることはなかった。アナスタシアも、エリック王子に抱き寄せられ、ルシアンに完全に背を向けている。
ルシアンは結果的に、二人の女性に見放されてしまったのだ。ルシアンは下を向き、唇を噛む。
それは誰がどう見ても、アナスタシアの完全勝利………。
の、はずだった。
しかし下を向いて目を伏せ、悔しそうに肩を振るわせるルシアンの口角は少しだけ、上がっていた…。
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