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四章
41.王太后テレーズ様ご乱心
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「昨日の事件で、貴族たちから“豊穣祭を辞退する”旨の連絡が相次いでいます。」
「は…はあ…。」
昨日、ナタを後宮から追い出したことに対する不満が貴族達から噴出したのだ。呪われた花嫁の俺をいつまでも王配として置いて、ナタを追い出すなんて…。そんな後宮に加担したら自分の身も危ない、多くの貴族はそう判断したのだろう。
テレーズ様は朝食が済むと一目散に俺の部屋にやってきて、食後のお茶をすすっている。それだけなら良いのだが…。
それだけで済むはずもなく、テレーズ様は額に血管を浮かせた状態で、ティーカップを乱暴に置いた。ひひい!怖いっ!そんなんだから、妃たちに嫌われて隠居させられたんですよ!っていうかテレーズ様、いつのまにかずっと後宮に住んでない?!なんでっ!?
「アルノー!豊穣祭まであと残りわずか!楽器の演奏者なしで、どうするつもりなのですかっ!」
「ええ、それは昨日、陛下と対策を話し合いました…!」
「…どんな対策なのですか?」
テレーズ様は「どうせ碌な対策ではないんでしょうけど」と前置きした上で「言ってみなさい」と少し落ち着きを取り戻し、額の血管をやや引っ込めた。
「教会にお願いしてみよう、という話になりました。陛下も一緒に行って下さるとのことで…。」
「教会?教会には聖歌隊のみで、弦楽器を弾けるものはいないと思いますが…。」
「ええ、でもピアノを弾ける方はいらっしゃいますし、楽器がわりに聖歌隊に歌ってもらっても良いのではないかと。」
「…しかし、豊穣祭の儀礼曲には歌詞がありません。」
「ですので私が作詞をして…!王立学校でも芸術面は割と好成績を納めていましたから!」
そうなのだ、豊穣祭の儀礼曲には歌詞がない。でも俺、王立学校での総合成績は武術の影響で中の下だったけど、芸術面はなかなか良くて中の上くらいだったから大丈夫だと思うよ!
「…それをイリエスと相談したと言うのですか?イリエスは何と?」
「アルノーに任せる、と…。」
俺が言い終わる前に、テレーズ様はテーブルをバン、と叩いた。そして椅子からガタン、と立ち上がる。
「アルノーッ!!!」
ひいいっ!めちゃくちゃ怒ってる!なんでえっ?!
テレーズ様の額にはくっきりと血管が浮き出て、顔が真っ赤になり目も血走っている。
そしてぶるぶると身体を震わせると、そのまま、倒れてしまった。
俺はテレーズ様に駆け寄って叫んだ。
「テレーズ様―――!!だ、誰かぁっ!来てくれ!」
また後宮は大変な騒ぎになってしまった。ヒューゴに急ぎ往診してもらい、一旦落ち着いたのだが…。
「全く、アルノー様は…ついにテレーズ様の血管を切っておしまいになるなんて…。アルノー様という花嫁を貰われた故の事故ですね。テレーズ様、おいたわしや…。」
メアリーはテレーズ様が倒れられたのは完全に俺のせいだと言う。た、確かに…。すごい剣幕だったもんな…。
「ヒューゴが言うには、一旦落ち着かれたそうです。なので私は予定通り、豊穣祭の件で陛下と教会に行って参ります。」
「左様でございますか…。」
メアリーはまた、そのまま逃げようとしたので、俺はメアリーを呼び止めた。
「メアリー、頼みたい事がある。コレを買って来て貰えないか?」
俺がメモを渡すと、メアリーは俺をジロリと睨んだ。こんなものを探す給金は頂いておりません、と文句を言っていたが、渋々頷いた。
そしてそのまま、メアリーは部屋を出て行った。いや、別に今すぐじゃなくても良いんだけど…。
メアリーの奴…また逃げやがった…。
「は…はあ…。」
昨日、ナタを後宮から追い出したことに対する不満が貴族達から噴出したのだ。呪われた花嫁の俺をいつまでも王配として置いて、ナタを追い出すなんて…。そんな後宮に加担したら自分の身も危ない、多くの貴族はそう判断したのだろう。
テレーズ様は朝食が済むと一目散に俺の部屋にやってきて、食後のお茶をすすっている。それだけなら良いのだが…。
それだけで済むはずもなく、テレーズ様は額に血管を浮かせた状態で、ティーカップを乱暴に置いた。ひひい!怖いっ!そんなんだから、妃たちに嫌われて隠居させられたんですよ!っていうかテレーズ様、いつのまにかずっと後宮に住んでない?!なんでっ!?
「アルノー!豊穣祭まであと残りわずか!楽器の演奏者なしで、どうするつもりなのですかっ!」
「ええ、それは昨日、陛下と対策を話し合いました…!」
「…どんな対策なのですか?」
テレーズ様は「どうせ碌な対策ではないんでしょうけど」と前置きした上で「言ってみなさい」と少し落ち着きを取り戻し、額の血管をやや引っ込めた。
「教会にお願いしてみよう、という話になりました。陛下も一緒に行って下さるとのことで…。」
「教会?教会には聖歌隊のみで、弦楽器を弾けるものはいないと思いますが…。」
「ええ、でもピアノを弾ける方はいらっしゃいますし、楽器がわりに聖歌隊に歌ってもらっても良いのではないかと。」
「…しかし、豊穣祭の儀礼曲には歌詞がありません。」
「ですので私が作詞をして…!王立学校でも芸術面は割と好成績を納めていましたから!」
そうなのだ、豊穣祭の儀礼曲には歌詞がない。でも俺、王立学校での総合成績は武術の影響で中の下だったけど、芸術面はなかなか良くて中の上くらいだったから大丈夫だと思うよ!
「…それをイリエスと相談したと言うのですか?イリエスは何と?」
「アルノーに任せる、と…。」
俺が言い終わる前に、テレーズ様はテーブルをバン、と叩いた。そして椅子からガタン、と立ち上がる。
「アルノーッ!!!」
ひいいっ!めちゃくちゃ怒ってる!なんでえっ?!
テレーズ様の額にはくっきりと血管が浮き出て、顔が真っ赤になり目も血走っている。
そしてぶるぶると身体を震わせると、そのまま、倒れてしまった。
俺はテレーズ様に駆け寄って叫んだ。
「テレーズ様―――!!だ、誰かぁっ!来てくれ!」
また後宮は大変な騒ぎになってしまった。ヒューゴに急ぎ往診してもらい、一旦落ち着いたのだが…。
「全く、アルノー様は…ついにテレーズ様の血管を切っておしまいになるなんて…。アルノー様という花嫁を貰われた故の事故ですね。テレーズ様、おいたわしや…。」
メアリーはテレーズ様が倒れられたのは完全に俺のせいだと言う。た、確かに…。すごい剣幕だったもんな…。
「ヒューゴが言うには、一旦落ち着かれたそうです。なので私は予定通り、豊穣祭の件で陛下と教会に行って参ります。」
「左様でございますか…。」
メアリーはまた、そのまま逃げようとしたので、俺はメアリーを呼び止めた。
「メアリー、頼みたい事がある。コレを買って来て貰えないか?」
俺がメモを渡すと、メアリーは俺をジロリと睨んだ。こんなものを探す給金は頂いておりません、と文句を言っていたが、渋々頷いた。
そしてそのまま、メアリーは部屋を出て行った。いや、別に今すぐじゃなくても良いんだけど…。
メアリーの奴…また逃げやがった…。
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