堅物王子の側妃は降嫁と言われたので王宮騎士になって返り咲く

あさ田ぱん

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一章

9.媚薬 ※

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 ファーストダンスを第一妃と踊った後、二、三番目の妃とも踊ったから、次にギルフォードと踊るのはアナベルだと思って、密かに身構えていた。
 自分から、手を取ったりしなかったけれど、そういう順番なのだと思って待っていたのに…ギルフォードは他の貴族令嬢と踊り出してしまった。
 アナベルを迎えたばかりにも関わらず、ギルフォードに輿入したい令嬢達がギルフォードを取り囲んでいて、アナベルが入る隙はなかった。 

(男の妃とは踊らないのだろうか…。それとも嫌われているとか…?)

 ギルフォードの側妃はアナベルを含めて四人いるが、正妃を定めていないし、王子も生まれていない。王子を産んで、正妃になる可能性はまだ婚姻していない令嬢達にもあるのだ。
 アナベルは男で、子どもが産めないから、そんな可能性はないけれど…。

 アナベルは失望して、もう見ていたくなかったのに、でも、ギルフォードから視線を外す事ができないでいた。
 そんなアナベルの視線に気付いたのか、ギルフォードはアナベルの方へやって来た。

「アナベル」

 ギルフォードはアナベルの名を呼んだ。と、ちょうどその時、更に後方からエリザベートに声をかけられた。
 
「ギルフォード!アナベル!こちらへ!」

 手招きされた方に向かうと、エリザベート、ギゼルハールなど王族が勢揃いしている。
 ギゼルハールは一本の果実酒を取り出した。

「これは、八年前、ギルフォードとアナベルが出会ったモール領の豊穣祭で仕込まれた果実酒だ。まだ八年、深い味わいではないが、お前達を祝うには良い酒だ 」

 ギゼルハールは、目の前で召使いに果実酒を手渡した。それを受け取った召使は、一旦瓶をティートローリーに置き、グラスを配る。
 初めは王族達、最後にギルフォードとアナベルにグラスを手渡す。

 アナベルはその時、匂いで、ギルフォードのグラスに薬が塗られている事に気が付いた。

(エリザベート様の仕業だ…)
 
 グラスが行き渡ると、召使は順に果実酒を注いで回る。当然、ギルフォードのグラスにも。

「乾杯!」

 ギゼルハールがグラスを掲げた、その瞬間。考えるより、身体が先に動いていた。

 アナベルはギルフォードのグラスを取り上げて、果実酒を一気に煽ると、思いっきり後ろに倒れた。

 倒れた時に背中を打ちつけてしまい、自然と苦悶の表情となったため、キゼルフォードはアナベルを抱き上げて叫んだ。

「医療魔術師を呼んでくれ!今すぐにだ!」


 アナベルはなぜか昔から、薬が効かない身体だったから、躊躇なく媚薬を飲み干した。エリザベートの手前、わざと倒れて見せたのだが…。


 ギルフォードはそんな事、知る由もない。アナベルを抱きかかえたまま、控えの間に向かった。
 ギルフォードに抱きかかえられて、アナベルは赤面した。

 なぜわざとグラスを取り上げたのか言い訳も考えなければならないのに…。アナベルはギルフォードとの初夜のために色々な準備をした事を思い出してしまった。

(顔から火が出そう!)


 控えの間に着くと同時に医療魔術師らしき男が合流して、グラスの匂いや医療魔術の反応から媚薬だと断定した。そして、解毒薬を素早く調合する。
 ギルフォードは解毒薬を匙でのませようとしたのだが、アナベルが咄嗟に目をつぶったからか、具合が悪いと判断したらしい。そのまま自分の口に含み、口移しで薬を飲ませられた。

 アナベルは、ギルフォードの唇を感じて、思わず目を開けた。その後、薬を乗せた舌が入ってきて、アナベルの舌に優しく絡む。それを何度か繰り返されて、アナベルは涙した。

 初めての口付けだった。
 


 赤くなって涙するアナベルを見て、ギルフォードは医療魔術師や、召使いたちを下がらせた。
 そしてアナベルを優しく、自身の膝の上に抱く。

「こういった時は発散しないと、精神に異常をきたす。精通はしているか?」

「は、はい…… 」

 アナベルは困惑した。
 ギルフォードに抱きしめられて、口付けされて、アナベルの中心は兆していたのだ。
 赤面と涙と、中心がゆるく立ち上がってしまった理由を、ギルフォードは媚薬のせいだと誤解したらしい。

 ギルフォードは服の上から、アナベルの中心を撫でた。服の上からでも、ギルフォードの大きな手の感触が伝わってきて、アナベルのそれは素直に反応してしまう。
 丈の長い法衣は、絹の軽い素材なので、簡単にたくしあげられてしまった。下着をずらされて、直に触れられる。

「はぁ……っ!で、殿下…!」  

 ギルフォードはアナベルの陰茎の先端部分を優しく扱いた。先走りで濡れてくると、先端のくびれをくちくちと弄られて、焦ったくて堪らない。

「も、もうやめてください……!」
「いや、出してしまった方がいい 」 

 ギルフォードはアナベルを膝に座らせて後ろから抱きしめていたから、ギルフォードが話すと吐息がアナベルの耳にかかる。それすら刺激になって、アナベルは身悶えた。
 アナベルが身動いでも、ギルフォードの腕は力強くて、離してくれない。アナベルの吐息と、陰茎を扱かれる音が室内に響いていたたまれなくて、また涙が流れた。
 ギルフォードはアナベルの涙を指でなでる。
 アナベルの顔を後ろから覗き込むと「アナベル」
と、名を呼び、自分の方を見るように促した。アナベルはギルフォードとしばし無言で、視線を合わせる。



「どうして欲しい?」


「……くちづけて…… 」


 
 途端、噛み付くように唇を塞がれた。
 唇を合わせると、すぐに舌が入ってくる。舌で上顎を撫でられて、舌を吸われて、また、唇を舐められた。その間も、陰茎の刺激が止むことはなく、もう限界が近い……。


「ぁ、…ン…ッ」 

 嬌声を上げて、アナベルが吐精すると、ギルフォードは、またアナベルに口付けた。



 
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