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一章
11.追悼典礼
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朝、起きて早々、セバスチャンが土下座の勢いで謝ってきた。
「フェリシテ様、申し訳ありません。フェリシテ様のお世話を、交代で行なっているはずが行き違いがありまして…!」
「行き違いどころか、全く行なっていなかったのであろう?しかも私が在宅の際は来ていたのだから悪質だ」
レオナードは腕を組んでセバスチャンをジロリと見下ろし、ため息をついた。
「私の命令に背いたと言うことだな。誰の指図だ?」
「滅相もございません。本当に、行き違いでして…」
セバスチャンは額に汗をかいている。それを見てまた、アレが発動した。『親切にしないとギリ、死んでしまう』の発動だ。
「レオナード様、セバスチャンをあまり責めないでください。私も何も言わなかったと言うことは特に困っていなかったと言うことですから…。それにセバスチャンの仕事は本邸が主なのでしょう?」
レオナードは俺に視線を移すと、ジロリと睨む。余計、怒らせてしまった…?
俺が肩をすくめると、レオナードは立ち上がり出て行ってしまった。
レオナードの後を追って行くと、ちょうど馬車に乗り込むところだった。レオナードは俺に気づくと、振り向く。
「どうした?早くしろ」
どうやら今日も一緒に行くつもりらしい。馬車に乗り込むと、レオナードはしばらく目をつぶっていたが、到着する少し前目を開けた。
「だから、料理ができたんだな…?」
「え…?」
それは質問のようにも、自分を納得させる言葉のようにも感じた。俺が料理ができるのは前世の知識のせいだが、フェリシテの役にもたったのだろうし…。それに…。
「今日も作ってもいいですか?今日はしょっぱいものが食べたいので…。何があるかな?」
「……必要なものがあれば言え」
おっ?レオナードも乗り気なのか?昨日の料理結構気に入ってくれた?俺は嬉しくなって、レオナードに笑いかけた。
それから、数週間。俺たちは朝から晩まで一緒だった。騎士団本部に行って雑用をこなし、レオナードと一緒に夜帰宅する。そんなに遅い時間でなければ二人で食事を作るのが定番になっていった。かぼちゃのスープは濃厚で、レオナードにも褒められた。
レオナードと過ごす日々は平和で楽しく過ぎていって…なんだか新婚さんみたいだなぁ…、なんて思ったりして…。
だから今度は日本食も作りたいな、なんて呑気なことを考えていた。
あの日までは…。
****
レオナードの兄、アリエスの追悼典礼の当日。レオナードは準備があるとかで一足先に出ていった。俺は後から馬車で教会に向かう。
「フェリシテ様、今日は転移魔法でいらっしゃらなかったのですね?」
「え、ええ…」
灰色の髪を一つに纏めた、真面目そうな中年の女性に笑いかけられたのだが…。この人、誰?
「転移魔法は高度な魔術。普通の人間は魔力酔いしてしまうから使えない。今日はご一家で来られているから…って、おいセレナ!フェリシテ様にまず挨拶だろうが!申し訳ありません、フェリシテ様…」
今日はアリエスの追悼典礼に参列するため護衛も兼ねて教会にレオナードと来たらしいロダンが、頭を掻きながら謝罪した。むしろすごく助かったんだから、謝罪など不要だけど…。
「申し訳ありません。いつもの溌剌としてらっしゃるのに黒のベールを被った喪服姿のフェリシテ様は色気だだ漏れで、つい、いつもの癖で探りを入れてしまいました」
探りを入れるのが『いつもの癖』?俺が首を傾げると、セレナはくすりと笑った。
「こんなフェリシテ様を、若い旦那様が放っておく訳がありませんもの。きっと今夜、理由もなく、無体を働いてしまうでしょう?そんな時は私たち貞操委員会の出番です。レオナード様であっても例外ではありません!処罰ならお任せを!」
「無体?」
「ええ…。子作りなど理由ない同衾は不貞とみなされ罰の対象になります。口付けも愛撫も禁止です」
「え?!」
つまり、夫婦でも子作り以外のセックス禁止ってこと?!何だそれー?!
俺が驚くと、セレナはニヤニヤと笑った。え、一体どっち?俺が戸惑っているのを察したロダンはセレナを肘で小突いた。
「そんな、前時代的なこと…。ここルーベルがいくら田舎で厳格な信者が多いとは言え、今は廃れています。現在セレナたち貞操委員会が取り締まるのは不貞くらいです。実際、レオナード様も…違うでしょう?だからご安心を…」
ロダンの説明を聞いて俺はそのレオナードとのナニを思い出していた。あの服を着たままのそっけないアレって、信仰上の理由だったの?それなのにフェリシテは結構、積極的だったからレオナードには淫乱だと思われて嫌がられていたのかも…。実際レオナードには『初めてじゃないんだろ!』って言われて疑われた。
俺の顔が曇ったのを見たロダンとセレナは顔を見合わせ、肩を落とした。
「いやレオナード様は昔から堅物で…。ですからフェリシテ様が落ち込む事などなにも…。おいセレナ!余計な事を言うな!」
「私はあんまりフェリシテ様が可愛らしいのでつい…。でもまさかレオナード様…。私ならどんな理由をつけてでも事に及びますが…!」
いや、事には及んでるんだけど、問題は内容。そう言いたかったけど、そんな事恥ずかしすぎて言えるはずもなく……。
俺が赤くなったり青くなったりしていると、セバスチャンが走ってきた。
「フェリシテ様!皆様、主聖堂にお揃いです!お急ぎください!」
セバスチャンに促されて俺は主聖堂に向かった。既に身廊脇の椅子は人で埋め尽くされている。身廊を歩いていくと祭壇前の内陣にはレオナードにその両親、マリアそれにフローラが座っているのが見えた。
「フローラ様はルーベル家の人間ではないのに、なぜ内陣に?」
「それがなあ…そろそろルーベル家に正式に入るという噂だ。ほら…」
身廊にいた参列客が指差した方向を見ると、フローラが糸屑を取るためなのか…レオナードの体に触れていた。
まさか…。俺の身体の奥がズキンと痛む。これは『人に親切にしないとギリ、死んでしまう』が発動する痛みだ。じゃあこれは、誰のための親切なんだ?まさか、レオナードじゃないよな…?
俺は痛む胸を押さえてレオナードの隣の席についた。祈りの時間、胸の痛みをずっと耐えて過ごす事になってしまった。主聖堂での祈りが終わると、地下にある霊廟に移動しそこで花を手向け、一連の追悼儀礼を終える。
霊廟は白い石造りの、地下とは思えない高い天井の空間に作られている。吹き抜けはどうやら地上まで達しているらしく、明かり取りの窓もあり、室内を暖かな光が照らしていた。
レオナードの兄、アリエスの石棺はその吹き抜けの真下に設置されている。大理石の荘厳な石棺は天使などの美しい彫刻に彩られていた。
まず、兄の死後辺境伯の地位についたレオナードから花を手向ける。次は俺の番。用意されていた白いバラを一輪手に取り棺に手向けるため俺は一歩前に出た。
その瞬間、辺りが凍りつくような冷たい風が通り抜けた。
『光の魔力を捧げよ…』
ひゅう、と何処からか吹いた風にのせて、不気味な声が耳に囁くように響く。
その音は聞き覚えがあった。魔獣暴走の時の、魔物達の不思議な音階…。あれに酷似している。
そう思い至った途端、背がぞくりとして、しかし目を逸らすことができず、真っ直ぐに棺を見ると、悪魔の手のようなものが、今まさに俺が手向けた花を掴むところだった。
引き摺り込まれる…!
「フェリシテ!」
叫び声と共に、俺が手向けた花をレオナードが剣で切り裂く。すると恐ろしい悪魔の手は霧のように飛散した。
俺はその場にぺたんと座り込んだ。一体、これは…?
レオナードが黙って剣を鞘に収める音が響いた。義母のディオンヌはその音にハッとしたように震える声で叫ぶ。
「な、なんですか!今の不気味な声と腕は…?!」
「母上、ここは騎士団が調べます。邸へお戻りを」
「レオナード!調べるまでもありません。原因は火を見るより明らかです!全てこの…フェリシテ殿下がルーベルに来てからではありませんか!アリエスが死んだのも、スタンピードも…!」
「母上、そのような事を証拠も無しに言う物ではありません!」
レオナードはディオンヌの言葉を遮ると、セバスチャンを呼ぶ。
「けど、たしかにフェリシテ様がいらしてからなのよ…。フェリシテ様はアリエスの生前も、私たちよりも熱心に教会へ来ていたわ。特にアリエスが貞操委員会に出席する水曜には必ず」
マリアは黒いベールの中から俺をジロリと睨んだ。
「フェリシテは私の代理で貞操委員会に出席していたに過ぎない」
マリアの言い分にもレオナードは極めて冷静に対応していた。セバスチャンを促し更に控えていた騎士団を呼ぶ。
「でも…王立魔法学校の競技大会の決勝で、負傷して死にかけたアリエスを真っ先に治療されたのはフェリシテ様だと聞きました。その後も、献身的に看病されたと…。フェリシテ様はひょっとして、アリエスを…」
レオナードはマリアの呟きを聞き、目を見開いた。その後ゆっくり、視線を俺に向ける。
レオナードと目があった。レオナードの目は明らかに俺を疑っている。
「やはり、フェリシテが…!」
ディオンヌが金切り声を上げた。俺は首を振って『違う!』と叫びたかった。でも、できない。俺の胸がギリギリと痛んで、張り裂けそうだったから…!
こんな時に、『親切にしないとギリ、死んでしまう』能力が爆発するなんて…!この中に、俺にその事を否定して欲しくない人がいるってことだ。一体全体…なんでだよ?!
フローラは俺がフローラを誘っていたと言うし、マリアは俺がアリエスを好きだと言う。フェリシテの日記では、フェリシテはレオナードを好きで…。一体誰が言うことが正しいんだ?
俺はこんな訳の分からない状況で、肯定したくなかった。そうしたら案の定、俺の意識は闇に飲まれてしまった…。
「フェリシテ様、申し訳ありません。フェリシテ様のお世話を、交代で行なっているはずが行き違いがありまして…!」
「行き違いどころか、全く行なっていなかったのであろう?しかも私が在宅の際は来ていたのだから悪質だ」
レオナードは腕を組んでセバスチャンをジロリと見下ろし、ため息をついた。
「私の命令に背いたと言うことだな。誰の指図だ?」
「滅相もございません。本当に、行き違いでして…」
セバスチャンは額に汗をかいている。それを見てまた、アレが発動した。『親切にしないとギリ、死んでしまう』の発動だ。
「レオナード様、セバスチャンをあまり責めないでください。私も何も言わなかったと言うことは特に困っていなかったと言うことですから…。それにセバスチャンの仕事は本邸が主なのでしょう?」
レオナードは俺に視線を移すと、ジロリと睨む。余計、怒らせてしまった…?
俺が肩をすくめると、レオナードは立ち上がり出て行ってしまった。
レオナードの後を追って行くと、ちょうど馬車に乗り込むところだった。レオナードは俺に気づくと、振り向く。
「どうした?早くしろ」
どうやら今日も一緒に行くつもりらしい。馬車に乗り込むと、レオナードはしばらく目をつぶっていたが、到着する少し前目を開けた。
「だから、料理ができたんだな…?」
「え…?」
それは質問のようにも、自分を納得させる言葉のようにも感じた。俺が料理ができるのは前世の知識のせいだが、フェリシテの役にもたったのだろうし…。それに…。
「今日も作ってもいいですか?今日はしょっぱいものが食べたいので…。何があるかな?」
「……必要なものがあれば言え」
おっ?レオナードも乗り気なのか?昨日の料理結構気に入ってくれた?俺は嬉しくなって、レオナードに笑いかけた。
それから、数週間。俺たちは朝から晩まで一緒だった。騎士団本部に行って雑用をこなし、レオナードと一緒に夜帰宅する。そんなに遅い時間でなければ二人で食事を作るのが定番になっていった。かぼちゃのスープは濃厚で、レオナードにも褒められた。
レオナードと過ごす日々は平和で楽しく過ぎていって…なんだか新婚さんみたいだなぁ…、なんて思ったりして…。
だから今度は日本食も作りたいな、なんて呑気なことを考えていた。
あの日までは…。
****
レオナードの兄、アリエスの追悼典礼の当日。レオナードは準備があるとかで一足先に出ていった。俺は後から馬車で教会に向かう。
「フェリシテ様、今日は転移魔法でいらっしゃらなかったのですね?」
「え、ええ…」
灰色の髪を一つに纏めた、真面目そうな中年の女性に笑いかけられたのだが…。この人、誰?
「転移魔法は高度な魔術。普通の人間は魔力酔いしてしまうから使えない。今日はご一家で来られているから…って、おいセレナ!フェリシテ様にまず挨拶だろうが!申し訳ありません、フェリシテ様…」
今日はアリエスの追悼典礼に参列するため護衛も兼ねて教会にレオナードと来たらしいロダンが、頭を掻きながら謝罪した。むしろすごく助かったんだから、謝罪など不要だけど…。
「申し訳ありません。いつもの溌剌としてらっしゃるのに黒のベールを被った喪服姿のフェリシテ様は色気だだ漏れで、つい、いつもの癖で探りを入れてしまいました」
探りを入れるのが『いつもの癖』?俺が首を傾げると、セレナはくすりと笑った。
「こんなフェリシテ様を、若い旦那様が放っておく訳がありませんもの。きっと今夜、理由もなく、無体を働いてしまうでしょう?そんな時は私たち貞操委員会の出番です。レオナード様であっても例外ではありません!処罰ならお任せを!」
「無体?」
「ええ…。子作りなど理由ない同衾は不貞とみなされ罰の対象になります。口付けも愛撫も禁止です」
「え?!」
つまり、夫婦でも子作り以外のセックス禁止ってこと?!何だそれー?!
俺が驚くと、セレナはニヤニヤと笑った。え、一体どっち?俺が戸惑っているのを察したロダンはセレナを肘で小突いた。
「そんな、前時代的なこと…。ここルーベルがいくら田舎で厳格な信者が多いとは言え、今は廃れています。現在セレナたち貞操委員会が取り締まるのは不貞くらいです。実際、レオナード様も…違うでしょう?だからご安心を…」
ロダンの説明を聞いて俺はそのレオナードとのナニを思い出していた。あの服を着たままのそっけないアレって、信仰上の理由だったの?それなのにフェリシテは結構、積極的だったからレオナードには淫乱だと思われて嫌がられていたのかも…。実際レオナードには『初めてじゃないんだろ!』って言われて疑われた。
俺の顔が曇ったのを見たロダンとセレナは顔を見合わせ、肩を落とした。
「いやレオナード様は昔から堅物で…。ですからフェリシテ様が落ち込む事などなにも…。おいセレナ!余計な事を言うな!」
「私はあんまりフェリシテ様が可愛らしいのでつい…。でもまさかレオナード様…。私ならどんな理由をつけてでも事に及びますが…!」
いや、事には及んでるんだけど、問題は内容。そう言いたかったけど、そんな事恥ずかしすぎて言えるはずもなく……。
俺が赤くなったり青くなったりしていると、セバスチャンが走ってきた。
「フェリシテ様!皆様、主聖堂にお揃いです!お急ぎください!」
セバスチャンに促されて俺は主聖堂に向かった。既に身廊脇の椅子は人で埋め尽くされている。身廊を歩いていくと祭壇前の内陣にはレオナードにその両親、マリアそれにフローラが座っているのが見えた。
「フローラ様はルーベル家の人間ではないのに、なぜ内陣に?」
「それがなあ…そろそろルーベル家に正式に入るという噂だ。ほら…」
身廊にいた参列客が指差した方向を見ると、フローラが糸屑を取るためなのか…レオナードの体に触れていた。
まさか…。俺の身体の奥がズキンと痛む。これは『人に親切にしないとギリ、死んでしまう』が発動する痛みだ。じゃあこれは、誰のための親切なんだ?まさか、レオナードじゃないよな…?
俺は痛む胸を押さえてレオナードの隣の席についた。祈りの時間、胸の痛みをずっと耐えて過ごす事になってしまった。主聖堂での祈りが終わると、地下にある霊廟に移動しそこで花を手向け、一連の追悼儀礼を終える。
霊廟は白い石造りの、地下とは思えない高い天井の空間に作られている。吹き抜けはどうやら地上まで達しているらしく、明かり取りの窓もあり、室内を暖かな光が照らしていた。
レオナードの兄、アリエスの石棺はその吹き抜けの真下に設置されている。大理石の荘厳な石棺は天使などの美しい彫刻に彩られていた。
まず、兄の死後辺境伯の地位についたレオナードから花を手向ける。次は俺の番。用意されていた白いバラを一輪手に取り棺に手向けるため俺は一歩前に出た。
その瞬間、辺りが凍りつくような冷たい風が通り抜けた。
『光の魔力を捧げよ…』
ひゅう、と何処からか吹いた風にのせて、不気味な声が耳に囁くように響く。
その音は聞き覚えがあった。魔獣暴走の時の、魔物達の不思議な音階…。あれに酷似している。
そう思い至った途端、背がぞくりとして、しかし目を逸らすことができず、真っ直ぐに棺を見ると、悪魔の手のようなものが、今まさに俺が手向けた花を掴むところだった。
引き摺り込まれる…!
「フェリシテ!」
叫び声と共に、俺が手向けた花をレオナードが剣で切り裂く。すると恐ろしい悪魔の手は霧のように飛散した。
俺はその場にぺたんと座り込んだ。一体、これは…?
レオナードが黙って剣を鞘に収める音が響いた。義母のディオンヌはその音にハッとしたように震える声で叫ぶ。
「な、なんですか!今の不気味な声と腕は…?!」
「母上、ここは騎士団が調べます。邸へお戻りを」
「レオナード!調べるまでもありません。原因は火を見るより明らかです!全てこの…フェリシテ殿下がルーベルに来てからではありませんか!アリエスが死んだのも、スタンピードも…!」
「母上、そのような事を証拠も無しに言う物ではありません!」
レオナードはディオンヌの言葉を遮ると、セバスチャンを呼ぶ。
「けど、たしかにフェリシテ様がいらしてからなのよ…。フェリシテ様はアリエスの生前も、私たちよりも熱心に教会へ来ていたわ。特にアリエスが貞操委員会に出席する水曜には必ず」
マリアは黒いベールの中から俺をジロリと睨んだ。
「フェリシテは私の代理で貞操委員会に出席していたに過ぎない」
マリアの言い分にもレオナードは極めて冷静に対応していた。セバスチャンを促し更に控えていた騎士団を呼ぶ。
「でも…王立魔法学校の競技大会の決勝で、負傷して死にかけたアリエスを真っ先に治療されたのはフェリシテ様だと聞きました。その後も、献身的に看病されたと…。フェリシテ様はひょっとして、アリエスを…」
レオナードはマリアの呟きを聞き、目を見開いた。その後ゆっくり、視線を俺に向ける。
レオナードと目があった。レオナードの目は明らかに俺を疑っている。
「やはり、フェリシテが…!」
ディオンヌが金切り声を上げた。俺は首を振って『違う!』と叫びたかった。でも、できない。俺の胸がギリギリと痛んで、張り裂けそうだったから…!
こんな時に、『親切にしないとギリ、死んでしまう』能力が爆発するなんて…!この中に、俺にその事を否定して欲しくない人がいるってことだ。一体全体…なんでだよ?!
フローラは俺がフローラを誘っていたと言うし、マリアは俺がアリエスを好きだと言う。フェリシテの日記では、フェリシテはレオナードを好きで…。一体誰が言うことが正しいんだ?
俺はこんな訳の分からない状況で、肯定したくなかった。そうしたら案の定、俺の意識は闇に飲まれてしまった…。
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感想などいただけたら嬉しいです!↓現代BLも書いてます振られて捨てられたはずがなぜか成功して周りの評価が爆上がりした件~失恋ソングを配信しただけでけして復讐ではありません!~扉絵は自作ですが、構図はふまる様よりお借りしました^ ^
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