前世を思い出したら愛したはずの旦那様を忘れてしまいました

あさ田ぱん

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一章

6.かっ、身体が…♡?!※

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「なぜあんな無茶をした!北の教会に避難しろと使いをやったはずだ!」
 
 レオナードは俺を抱きしめたまま、怒鳴った。どうやら酷く怒っているらしい。その手は震えている。

「信じられない!騎士達も止めたと言っていたぞ。それなのにあんな…魔物の群れに飛び込んでいくなんて!命が惜しくないのか…!」

 レオナードは明らかにヒートアップしている。怒ってる途中でアドレナリン出て止まらなくなるタイプだな。厄介なんだよな~、そういう奴が上司だと説教が長くて…同じことを繰り返し言う系かも。

「あの、ごめんなさい…。でも、俺のせいだから何とかしないといけないと思って…」
「だからといって、無茶をするな!お前にもしもの事があったら…!」

 確かに俺、元王族だから、何かあったら面倒なことになりそうだ。それでそんなに怒ってるんだよな?
 レオナードを観察してみると、必死に走ってきたらしく頬には汗で前髪が張り付いていた。服には魔物のものと思われる血や、草を分け入ってやって来たからか葉っぱや泥が無数についている。
 なあレオナード、お前、慌てて来たみたいだけど、俺のこと、すごく心配してたわけじゃないよな?だってお前のお義母さん、離婚しようって言ってたよ…?

 レオナードと見つめ合うと、目頭が熱くなった。ぽろり、と涙が溢れる。

 何で涙なんか…。ひょっとしてこれも、『フェリシテ』?

 俺の涙を見たレオナードは叱るのをやめ、頬に流れた涙を拭った。俺は引き寄せられるようにその手にそっと触れる。触れた指先から電流が走ったみたいに体がびく、と震えた。
 な、な、なんだ、これ…?

 俺は思わず、崩れ落ちる様にしゃがみ込んだ。

「フェリシテ…!大丈夫か?」

  レオナードはしゃがみ込んだ俺の、背中側に腰を下ろして背中をさする。
  ひいい、やめてっ!触らないで…!だって俺…!

「レオナード様!フェリシテ様―!」

 更に運悪く、レオナードを追いかけて来たらしい騎士達が大勢現れた。まずい、超まずい…!

「フェリシテ様、まさか、具合が?!」
「……」
  違う!違うんだ、ほっといてくれ~!
「医師を呼んで参ります!」
  よ、呼ばないでっ!それだけは絶対辞めてくれ…!

 ……なぜなら、俺は今、勃起しているのだ。しかもバッキバキに…!
 多分これは一回出さないと治らないやつ!だから俺を一人にしてくれ…!

 俺は薄手のシャツにウエストコートを着て、下はトラウザーズを履いている。運悪く勃起が全くもって隠せないスタイルなのである。立たされでもしたら、どうしよう、恥ずかしすぎる…。
 レオナードはそんな顔面蒼白の俺に羽織っていたマントを被せた。柑橘系の爽やかな匂いがするマントだった。これ…、俺の好きな匂いだ。たしか…。マントが思いの外心地よくて、ぎゅっと身体を丸めると背後からレオナードにいきなり抱き上げられた。

「フェリシテは魔力を使いすぎて動けない。フェリシテをつれて帰るから、後のことは任せる」
「畏まりました!」

 騎士達は敬礼で俺たちを見送る。何だか見送る騎士達の顔がちょっと赤い気がするんだけど、気のせいだろうか…?
 レオナードは俺を馬に乗せるとまた何処かへ向かった。しばらく森を走ると要塞の様な建物に入っていく。
 中にいた騎士達に簡潔にいうと、別邸にあったものと同じ様な魔法陣が描いてある部屋に入った。転移魔法陣だ。
 レオナードが呪文を唱えると魔法陣が反応し、次の瞬間には別邸に到着していた。

「レオナード様!フェリシテ様!」

 セバスチャンはあのまま、別邸で待っていたらしい。泣きそうな顔で駆け寄って来た。

「セバスチャン…人払いを」
「かしこまりました…!」

 ん?何だかセバスチャンの顔も赤くなっている気がする。それに、人払い…?レオナードは何をするつもりなんだ?

 レオナードは寝室に俺を連れて行くと、ベッドに下ろした。被せられていたマントを引き抜くと、ベッドの下に投げ捨てる。

「慰めてやろう」
「慰める?」
  何を…?聞くより前に、レオナードはベッドに乗り上げ俺に覆い被さると、俺のトラウザーズに手をかけた。

「ななななななにを……っ?!」
「これを慰めてやると言っている。男なら戦闘後、昂るのは仕方ないこと…」
  そういうと、レオナードは俺の手を取って自分の中心に導いた。
「た、勃ってる……」
 お前も勃ってるのかよ…!めちゃくちゃ普通だったけど…。まさか周りの奴らにバレたりしてないよね…?

「そうだ。責任を取れ。私の、妻なのだから」
「そんな、俺、男だし…!」
 レオナードは眉間に皺を寄せて目を細める。逃げようとしたら手を頭に上で抑えられ、逃げられない…!
 もう片方の手で、トラウザーズを下履きごと脱がされた。

「や、やめてくれ…!いやだ!」
「もうこんなに蜜を滴らせておいて…?さっきもずっと、ここを立てて、顔を赤らめて…いやらしい顔を他の男達に晒していたくせに」
「な…、ち、ちが…!」

 完全にレオナードは目が座っている。こわい…。
 レオナードは、腹に手を当てると、呪文を唱えた。腹の中が熱くなったように感じる。これってまさか…腹の中を魔法で洗浄している…?
 レオナードはまた別の呪文を唱え始めた。今度は俺の窄まりに、だ…。中と入り口が濡れた様な感触がしたと思ったら、指を捩じ込まれる。

「ひっ……!」
「力を抜け…」
「い、いやです。やめてください!怖い怖い怖い…!」
「怖い…?嘘だ。中はいやらしく呻ってる。指を増やせばわかる。ほら…」
 そう言ってまた、一本指が増やされた。痛くはないけど…怖い…!

 だって自分より大きくてガタイの良い男が無理やり自分の物を突っ込もうとしているんだ。怖くない方がおかしい。しかもキスも、ハグも、愛撫も…前戯ひとつもなし!いくらもう勃ってるからって、愛が無さすぎる!
 愛がないセックスなんて、受け入れる方は恐ろしいだけ…。性病の危険も、女なら妊娠のリスクだってある。それなのに…。
 俺はそこまで考えてはた、と気がついた。俺に遊ばれてた女達も、同じ気持ちだった…?

 恐怖で震える俺の気持ちを無視して、レオナードは下履きの前だけ寛げると後孔に凶悪そうなものをぐり、と擦り付ける。

「まって、怖い!俺入れられるのは初めてなんだ!」
「入れられるのは…?じゃあ入れたことはあったのか…?!大罪だぞ!」

 婚前交渉が大罪ってこと…?怒っているらしいレオナードは体重をかけて一気に腰を進めて来た。もの凄い、圧迫感に息が詰まる。

「…あっ…ッ!ぁ…は、ぁっ!やっ、だ、だめ…!」
「ダメなものか、奥まで簡単に入ってしまった!」

 簡単に、なんて…、強引に突っ込んだくせに…!

 俺がレオナードを睨むと、レオナードは更に腰を意地悪く振って攻め立てる。

 いくら夫だからって何なんだよ、こいつ!
 悪態をつきたいのに、レオナードのものが目一杯、中を擦ると思わず甘い声が溢れた。

「ぁっ…ん、あぁん!や…っ、ぁ…ぁ…ン…っ。はぁ…っ」
「はぁ…フェリシテ…。本当に初めてなら、そんなに気持ちよさそうによがったりしないものだ…!」

 レオナードは俺の脚を掴んで自分の肩にかけた。腰を浮かせて、より深く中を突いてくる。

「や…んっ、やだ、だめ…!ぁん、やだ…っ!」
「嘘をつくな。ほら、ここが好きなくせに…!」
  知っているんだそ、と言わんばかりに、ぱちゅん、ぱちゃんといやらしい音をさせながら、中を抉るように穿たれる。

 おい、嘘だろ…?!こんなの嘘だ!す…、すごく、気持ちがいい…。ありえないほど甘ったるい声が口をつく…!
 入れられるのは初めてで、怖いのも本当。でもそれは俺が今、前世の記憶しかないからだ。今世を生きていたこの、フェリシテの身体は確かにレオナードの侵入を喜んでいる。
 レオナードを離すまいと、中はきゅん♡としまる。レオナードに絡みついて、擦られるたびに歓喜して痙攣するほど感じてしまう。
 
 な、何なんだよ、この身体っ…!この男に一方的に好きにされて、感じるなんて…!前戯もなし、突っ込むだけなのに…それなのに…。これじゃまるでこの男を好きみたいじゃないか…!

 今の俺は不本意なのに、、、なのに~~……っ♡♡

「あ♡ぁぁ~っ♡いくっ、いく…♡♡もう、いっちゃう…、ぁ…んっ♡やだ、でる…っ、あああっ♡」
「はぁ…!フェリシテ、フェリシテ…!」

 ほぼ同時に、二人で果てた。吐精の余韻の間、少しだけ見つめ合った。身体の一番秘めやかな部分で繋がって、同時に達して…。離婚を迫られていた事も忘れて、勘違いしそうになる。前世の『一回やっただけで彼女ヅラすんな!』といっていた俺を、ぶん殴ってやりたい…。勘違いするに決まってる、こんなの…。

 吐精が終わると目を逸らされ、現実に引き戻された。二人とも上は脱いでいないから、服が精液で酷い有様だ。

 レオナードがまた呪文を唱えた。ふわりと暖かい風が吹いて、一瞬で服と身体が綺麗になる。魔法って便利だ。
 
 でも、恋人と汗ばんだ事後の身体で抱き合うのも好きだったな…。レオナードは当然、そんなこともなく、さっさと部屋を出ていってしまったけど。
 俺もセフレにはこんな感じだったかもしれない。そりゃ俺、刺されるよ。受け身になってみて、改めて前世を反省した。
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