20 / 48
重なる
重なる-2-
しおりを挟む
ベッドの奥にある窓一面に海が見えて美しかった。カーテンが開かれていて、日差しも波の音も全部感じる事ができる。
「キレイ」
「そうだな」
後ろからそっと抱かれて、胡桃ははっとした。
「剛史さん、見られちゃう」
「大丈夫。これマジックミラーで向こう側は見えないらしいから。まあそうでないとプライバシーもあったもんじゃないだろ」
確かに。でも開かれた場所で誰かが通ってくるのではとドキドキする。
今までは隠れて、決して誰にも知られないようにとホテルの潜んだ場所で、家の奥の方で、下界から離れた所で二人はいた。
それが普通だと、仕方ないのだと諦めて。
胡桃は空想で終わっていた。美しい場所で、二人きりでいられる。この夢のような場所にいる。
向き合って、流れるように唇を合わせる。
今は早く抱かれたくて堪らない。車の中で濡らされた奥の部分がきゅうっと引き締まる。
一度離れて互いを見つめ合って、また舌を食い込ませるように絡ませる。
彼の唇が柔らかい。舌を捻るように口腔内を侵し続ける。
「んぅっ……ん」
「……ん……やっと……正直になった」
微笑んでそのまま胡桃を抱えてベッドまで連れて行く。
目と鼻の先は真っ白な箱だった。
何も邪魔するものはない。誰からも干渉されない。ずっと願っていた二人だけの場所。
上に乗ってベルトを外す音がした。金属音が擦れる音。投げ捨ててズボンを下ろして、形があらわになる。
胡桃は唾をゴクリと飲んだ。限界まで反り返っていて、ずっと我慢させていたらしい。
手がそっと触れる。粘り着く精液。
目が爛々として自分を見下ろす姿が、支配されているようで心地良く思う。
「せっかくだから付ける」
そう言って、手に持っていた蝶々の柄の箱から一つ取り出して装着する。普段より付け心地が良かった。
本当は段階を踏んで愛し合う行為のはずなのに、今の二人はただ繋がりたかっただけで、胡桃もスカートと下着を脱ぐ。急に風通しが良くなった。
間髪入れずに剛史は自分のものをグッと入れ始める。
「ああっ」
「くっ」
声が交わる。互いにびしょびしょの中に入って混ざる。
今までしていた時よりずっとぬるっとしていて滑らかに入る。
快感が体に走るのが早い。
久しぶりだからか、これまでと違うものを使っているからか、胡桃の頭の電流が既に混線している。
「あっ、た、たけっ……ああっ」
「す、すげ……っ……やべぇ」
極上の甘美、動いていないのに挿入だけで乾いた部分にじわじわと潤いが戻る。
待ち焦がれていた、やっと来てくれたと体が喜んでいた。
ずぶずぶと淫乱な音が鳴って顔が赤くなる。期待通りだと嬉しそうに彼を誘っていく。
「や、からだが、ぁん……とまらない……の」
「まってた、ずっと、こうしたかったっ」
「たけしさっ」
最奥まで来た瞬間に剛史は体を動かし始める。それに呼応するように胡桃の体も一緒に動く。
会わなくてどれだけ経ったのかもう忘れてしまったけど、体はすぐに思い出して馴染み始める。
動くスピードが速まる。吐息の感覚も短くなっていく。
「あっ、ぁ、ああ、もうっ、だめっ」
「んっ、んん、おれ、も……」
手を強く握り合う。
このまま果てて死んでしまってもいい、と目の前の海を見ながら胡桃は思っていた。
静かな海。波音と一緒に自分の思考も途切れていく。
狂った声を上げて、互いの液体が飛び散っていった。
荒い息と共に、糸の切れた人形のようにだらりと二人はベッドに倒れ込んだ。
「キレイ」
「そうだな」
後ろからそっと抱かれて、胡桃ははっとした。
「剛史さん、見られちゃう」
「大丈夫。これマジックミラーで向こう側は見えないらしいから。まあそうでないとプライバシーもあったもんじゃないだろ」
確かに。でも開かれた場所で誰かが通ってくるのではとドキドキする。
今までは隠れて、決して誰にも知られないようにとホテルの潜んだ場所で、家の奥の方で、下界から離れた所で二人はいた。
それが普通だと、仕方ないのだと諦めて。
胡桃は空想で終わっていた。美しい場所で、二人きりでいられる。この夢のような場所にいる。
向き合って、流れるように唇を合わせる。
今は早く抱かれたくて堪らない。車の中で濡らされた奥の部分がきゅうっと引き締まる。
一度離れて互いを見つめ合って、また舌を食い込ませるように絡ませる。
彼の唇が柔らかい。舌を捻るように口腔内を侵し続ける。
「んぅっ……ん」
「……ん……やっと……正直になった」
微笑んでそのまま胡桃を抱えてベッドまで連れて行く。
目と鼻の先は真っ白な箱だった。
何も邪魔するものはない。誰からも干渉されない。ずっと願っていた二人だけの場所。
上に乗ってベルトを外す音がした。金属音が擦れる音。投げ捨ててズボンを下ろして、形があらわになる。
胡桃は唾をゴクリと飲んだ。限界まで反り返っていて、ずっと我慢させていたらしい。
手がそっと触れる。粘り着く精液。
目が爛々として自分を見下ろす姿が、支配されているようで心地良く思う。
「せっかくだから付ける」
そう言って、手に持っていた蝶々の柄の箱から一つ取り出して装着する。普段より付け心地が良かった。
本当は段階を踏んで愛し合う行為のはずなのに、今の二人はただ繋がりたかっただけで、胡桃もスカートと下着を脱ぐ。急に風通しが良くなった。
間髪入れずに剛史は自分のものをグッと入れ始める。
「ああっ」
「くっ」
声が交わる。互いにびしょびしょの中に入って混ざる。
今までしていた時よりずっとぬるっとしていて滑らかに入る。
快感が体に走るのが早い。
久しぶりだからか、これまでと違うものを使っているからか、胡桃の頭の電流が既に混線している。
「あっ、た、たけっ……ああっ」
「す、すげ……っ……やべぇ」
極上の甘美、動いていないのに挿入だけで乾いた部分にじわじわと潤いが戻る。
待ち焦がれていた、やっと来てくれたと体が喜んでいた。
ずぶずぶと淫乱な音が鳴って顔が赤くなる。期待通りだと嬉しそうに彼を誘っていく。
「や、からだが、ぁん……とまらない……の」
「まってた、ずっと、こうしたかったっ」
「たけしさっ」
最奥まで来た瞬間に剛史は体を動かし始める。それに呼応するように胡桃の体も一緒に動く。
会わなくてどれだけ経ったのかもう忘れてしまったけど、体はすぐに思い出して馴染み始める。
動くスピードが速まる。吐息の感覚も短くなっていく。
「あっ、ぁ、ああ、もうっ、だめっ」
「んっ、んん、おれ、も……」
手を強く握り合う。
このまま果てて死んでしまってもいい、と目の前の海を見ながら胡桃は思っていた。
静かな海。波音と一緒に自分の思考も途切れていく。
狂った声を上げて、互いの液体が飛び散っていった。
荒い息と共に、糸の切れた人形のようにだらりと二人はベッドに倒れ込んだ。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説


甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】


溺愛ダーリンと逆シークレットベビー
葉月とに
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。
立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。
優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。


密室に二人閉じ込められたら?
水瀬かずか
恋愛
気がつけば会社の倉庫に閉じ込められていました。明日会社に人 が来るまで凍える倉庫で一晩過ごすしかない。一緒にいるのは営業 のエースといわれている強面の先輩。怯える私に「こっちへ来い」 と先輩が声をかけてきて……?

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる