上 下
4 / 15
そして、恋が始まる。

Kちゃん

しおりを挟む
高校1年の夏、硬式テニス部に所属していた私は、生まれつき膝の関節が外れやすかったためそれを治すべく、地元で有名な病院に夏休みの3週間を利用して入院して手術をした。

そこの病院は膝を治すのが得意で、バスケとかサッカーとかで前十字靭帯を切った人とかも入院していて、運動神経が良い人がたくさんいた。年齢も幅広く、おばあちゃんから小学生までいたが、1番多かったのが高校から20代!なんだか食堂は部活のような雰囲気でいつもワイワイ楽しかった。

健全な高校生から20代の男女がたくさん集まると、やっぱり恋愛が始まる。私は何組もカップルになっていくのを見ていた。

でも、当時ラグビー部の彼がいたため、私はキューピット側に行ったり、仲良しのみんなでリハビリに行く約束をしたり土曜日にみんなでお好み焼きパーティーをするとかで人数集めたりとかして自然とそこのグループを仕切っていた。

退院した後もリハビリで通っていたため、まだ仲良しの人が入院しているからとお見舞いがてら入院の食堂に行ってはだべっていた。そこの病院は私の第二の青春だった。

ある日、かっこいい人が入院してきたんだよ!!との第一報を聞いて、ちょっと、喋ってきてよ!と言われたので、怖いもの知らずな私は知りもしない人の個室のドアを叩いた。初めまして!この前まで入院していたんですけどかっこいい人が来たって聞いて、見にきました!!!

テンション高めで入った瞬間、私は恋に落ちた。一目惚れだった。その人はKちゃん。後に7年ほど付き合うことになる人だ。私の突然の訪問に驚きつつもテンションを合わせてくれて楽しそうに笑う彼に私はメロメロだった。あの時の高揚感は今でも忘れない。

その時彼は24歳。私よりも9つも上なのに、ベイビーフェイスで高校生かと思った。顔は関ジャニ∞の大倉に似ているようなまじでイケメンだ。さらに、バスケをしているらしく、私の好みの細マッチョ。もともとテンションが高い私のテンションが更に上がる。

かっこいいを何度も繰り返す私を見てとても嬉しそうな様子のKちゃんだった。その日から私はいつもKちゃんのことを想っていた。高校にいても、リハビリにいても、何をしててもいつも考えていた。当時ガラケーだったが、何度センター問い合わせをしたかわからない笑

LINEなんて便利なものがなかったからこそ、メールが返ってきた時のテンションの上がり方ったらなかった。でも、彼は24歳。9つも上だから私になんて目もくれていないんだろうなと思っていたため、憧れだけが募っていた。

でも、リハビリに一緒に行く約束をしたり、病院のベンチに座ってる所になぜだか肘がぶつかるくらいの近さで座ってきたり、いちいちドキドキさせてくる。その笑顔、話の内容の面白さに私はどんどん恋に落ちていた。
いつの間にか、私とKちゃんがリハビリグループを仕切る存在になっていた。

そうなると、次はみんなで何して遊ぶかとか、じゃ、私は誰に連絡するねとか、そういう事務連絡も増えてくる。次の企画を2人で話し合ったりメンツを決めたりで2人で話すことが増えた。
そして、いつものお好み焼きの帰りに彼の車に乗り、みんなを送り届けて最後に下ろしてもらうようになった。

距離的に自分が最後なのがおかしいのは誰の目にも明らかだった。もしかしたらKちゃんも私のことをちょっと良いなと思ってるかも?!?!そう思うだけで天にも昇る気持ちだった。最後にうちの前でたくさん話してから帰宅するのが恒例になった。

その年の夏、秋、冬、春はとても楽しかった。もちろんリハビリの仲間たちともいろんな遊びをしたけど、シーズンを追うごとにKちゃんと2人で遊ぶことが増えていた。ラグビー部の彼とはあまり会わなくなった。私はKちゃんに夢中だった。

2人で遊びに行った後、私の家の近くに車を停めていろんな話をして笑った。そして名残惜しいけど帰宅する。帰宅した後もメールを1、2通して寝る。そんな、人生で1番ドキドキした日々が春まで続いた。
春、ラグビー部の彼と別れた。もう、Kちゃんのことしか考えられなかったからだ。そして、恋が動き出す

Kちゃんに県内では遠足でいったりする大きな公園に誘われた。もちろん2人きりだ。その道中に、リハビリテーションの作業療法士さんが独立したため、お祝いをしようと2人でドッキリを仕掛けた所、見事に大成功!お礼にかりんとうを大量にもらった笑

今日はかりんとうを食べ切るまで帰れないな!と2人で頑張って食べたが全然減らない。うちの近くのいつもの所で話しながら食べたが、夜になってしまった。じゃ、そろそろと帰ろうとする私を引き止めるKちゃん。もうちょっと一緒にいようと言われ、きゅんとしちゃって車に残る。暗い車内にドキドキする。

なんか緊張しちゃって話せなくなる。2人の息遣いだけが聞こえる車内。突然恥ずかしくなって座席を倒して背伸びをして寝転ぶ私。Kちゃんが私を突然抱きしめる。びっくりする私。俺の彼女にならない?へ?!?!?!?!

なる!!!なりたい!あたし、ずっと好きだったの。9つも下でも良いの?○○が好きなんだよ。耳元でそう囁かれ、好きがMAXに振れた。それからちゅーをして、そのまま車内で事に及んだ。笑
とても娘には話せない話だ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

上司は初恋の幼馴染です~社内での秘め事は控えめに~

けもこ
恋愛
高辻綾香はホテルグループの秘書課で働いている。先輩の退職に伴って、その後の仕事を引き継ぎ、専務秘書となったが、その専務は自分の幼馴染だった。 秘めた思いを抱えながら、オフィスで毎日ドキドキしながら過ごしていると、彼がアメリカ時代に一緒に暮らしていたという女性が現れ、心中は穏やかではない。 グイグイと距離を縮めようとする幼馴染に自分の思いをどうしていいかわからない日々。 初恋こじらせオフィスラブ

麗しのラシェール

真弓りの
恋愛
「僕の麗しのラシェール、君は今日も綺麗だ」 わたくしの旦那様は今日も愛の言葉を投げかける。でも、その言葉は美しい姉に捧げられるものだと知っているの。 ねえ、わたくし、貴方の子供を授かったの。……喜んで、くれる? これは、誤解が元ですれ違った夫婦のお話です。 ………………………………………………………………………………………… 短いお話ですが、珍しく冒頭鬱展開ですので、読む方はお気をつけて。

順番を待たなくなった側室と、順番を待つようになった皇帝のお話 〜陛下!どうか私のことは思い出さないで〜

白猫
恋愛
主人公のレーナマリアは、西の小国エルトネイル王国の第1王女。エルトネイル王国の国王であるレーナマリアの父は、アヴァンジェル帝国との争いを避けるため、皇帝ルクスフィードの元へ娘を側室として差し出すことにした。「側室なら食べるに困るわけでもないし、痛ぶられるわけでもないわ!」と特別な悲観もせず帝国へ渡ったレーナマリアだが、到着してすぐに己の甘さに気付かされることになる。皇帝ルクスフィードには、既に49人もの側室がいたのだ。自分が50番目の側室であると知ったレーナマリアは呆然としたが、「自分で変えられる状況でもないのだから、悩んでも仕方ないわ!」と今度は割り切る。明るい性格で毎日を楽しくぐうたらに過ごしていくが、ある日…側室たちが期待する皇帝との「閨の儀」の話を聞いてしまう。レーナマリアは、すっかり忘れていた皇帝の存在と、その皇帝と男女として交わることへの想像以上の拒絶感に苛まれ…そんな「望んでもいない順番待ちの列」に加わる気はない!と宣言すると、すぐに自分の人生のために生きる道を模索し始める。そして月日が流れ…いつの日か、逆に皇帝が彼女の列に並ぶことになってしまったのだ。立場逆転の恋愛劇、はたして二人は結ばれるのか? ➡️登場人物、国、背景など全て架空の100%フィクションです。

【完結】お姉様の婚約者

七瀬菜々
恋愛
 姉が失踪した。それは結婚式当日の朝のことだった。  残された私は家族のため、ひいては祖国のため、姉の婚約者と結婚した。    サイズの合わない純白のドレスを身に纏い、すまないと啜り泣く父に手を引かれ、困惑と同情と侮蔑の視線が交差するバージンロードを歩き、彼の手を取る。  誰が見ても哀れで、惨めで、不幸な結婚。  けれど私の心は晴れやかだった。  だって、ずっと片思いを続けていた人の隣に立てるのだから。  ーーーーーそう、だから私は、誰がなんと言おうと、シアワセだ。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

好きな人の好きな人

ぽぽ
恋愛
"私には10年以上思い続ける初恋相手がいる。" 初恋相手に対しての執着と愛の重さは日々増していくばかりで、彼の1番近くにいれるの自分が当たり前だった。 恋人関係がなくても、隣にいれるだけで幸せ……。 そう思っていたのに、初恋相手に恋人兼婚約者がいたなんて聞いてません。

処理中です...