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【第37話:ちょっと待て】
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パズが駆けつけてくれたお陰で、オレたちはなんとか命拾いした。
魔人とは本当にギリギリの戦いだった。
それに……ウォリアードッグたちは……。
「パズ……すまない。お前が護衛にとつけてくれたウォリアードッグたちを、死なせてしまった……」
こみ上げてくるものを堪え、オレは誠心誠意気持ちを込めて、パズに頭を下げた。
「ばう?」
「だからウォリアードッグたちを……」
「「「「がう?」」」」
「いや、だからウォリアードッグたちをだなぁって……がう?」
な、なんかウォリアードッグの声が聞こえた気がしたのだが……。
「ゆ、ユウト!」
「ユウトさん♪」
二人の指さす先を目で追うと、ちょうど大きな魔法陣が消えていくのが一瞬見えた。
そして、その中心には……。
「ウォリアードッグ……」
そこには筋肉マッチョな四匹のウォリアードッグたちが、元気に尻尾をぶんぶんとふり、こちらを見て嬉しそうにしている姿があった。
「いったいどういう事だ……」
「ばぅわぅ!」
え? 再召喚すれば元通り、だと……。
「お、オレのこのこみ上げてきた熱いものを返せ!」
でも……そんな些細な事より、再召喚で復活してくれたことの方が嬉しかった。
「お、お前たち!」
オレは何だか無性に嬉しくなって、ウォリアードッグたちの元に走り出した! のだが……。
「ばぅ」
辿り着く前に召喚を解かれて掻き消える筋肉たち。
「ぱ、パズ……いま、ちょっと感動の再会をだな……」
無常にも四匹の召喚を解かれ、またねぎらいの言葉をかけられる事もなく、消されてしまうウォリアードッグたち。
こ、今度こそ、落ち着いたら、パズに頼んで名前をつけてやるからな!
「ばぅ!」
しかし、パズが急いでいるのにはしっかりとした理由があった。
「え? 街がまだ危ないってどういうことだ!? リズは、街は無事だったんじゃないのか!?」
さっき聞いた時は、襲ってきた奴らは氷漬けにして返り討ちにしたと言っていたのだが、いったいどういう事だ!?
「ばぅわぅ!」
「え? 本隊が街に向かってるって……そこまで大規模な襲撃なのか……」
その後、パズに詳しく話を聞いてみたところ、オレが予想していたよりも遥かに恐ろしい計画だった。
ちなみに、パズがなぜそんな計画を知っているかと言うと、ギルド職員から聞き出したらしい。
あらかじめ何か情報を掴んだら、オレがいない時はパズは言葉がわかるからパズに伝えて欲しいと頼んでおいたからだ。ギルド職員は微妙な顔してたけど。
まぁ、普通に受付でギルド職員がパズに話しかけていたら、周りの人から白い目で見られることは間違いないだろうが、今回みたいな極秘の報告なら密室で行うから大丈夫だ。たぶん。
それはともかく、ギルド職員から伝えられた情報はこうだ。
まず暗殺者が主要な施設の上の者たちを襲い、街の機能を麻痺させる。
そして混乱している所へ、ゾルド教の戦士団が魔物を従え、魔人となって街を襲う計画だったようだ。
もちろん、その主要な施設の中には、魔王の残滓が漂う宿『赤い狐亭』も含まれていたわけだが、パズは呆気なくこれを撃退。
他の場所も高ランクの冒険者が守っていたらしいのだが、ゲンが使った杭と同じ物が使われ、魔人との戦闘になって苦戦を強いられていたらしい。
そこへパズが順に顔を出して次々と魔人を倒して回り、それが全てすんだのでご褒美に貰ったおやつを食べていたらしい。
すると、オレが戦闘に入ったのを感じ取ったらしく、慌てて駆け付けてくれたという事だった。
「なるほど……ショートケーキは旨かったか?」
「ばば、ばぅ?」
「うん。惚けなくてもいいぞ……口の周りに白いの付いてるから、何かと思っていたんだ」
パズは慌てて自分の口の周りに付いている生クリームを舐めて綺麗にすると、
「ばぅ……ばぅわぅ……」
アイテムボックスからショートケーキを取り出し、しぶしぶ、泣きそうになりながらも「た、食べて良いよ?」と差し出してきた。
「い、いや……それはパズが頑張ったお礼に貰ったわけだし、後で自分で食べれば良いよ。それから、ミヒメも欲しいならこの件が落ち着いたら買ってやるから、物欲しそうな顔をするな……」
パズが光の速さでまたアイテムボックスにショートケーキを戻すと、ミヒメが悲しそうな顔をしたので、一言付け加えておく。
「美姫~やったね~♪」
「な、べ、別に私は!?」
ミヒメが恥ずかしそうに顔を真っ赤にしていたが、まぁ二人ともレベル上げかなり頑張っていたし、落ち着いたら美味しいものを食べに連れて行ってあげよう。
でも今は、いい加減話を進めよう……。
「それより、そのゾルド教の戦士団と言うのはどれぐらいの規模だとか、いつ頃襲ってくるのかっていうのはわかっているのか?」
「ばぅ!」
「今晩か……今から急いで戻れば何とか間に合うが……」
オレはミヒメとヒナミの二人を連れて行くべきか一瞬迷ってしまったのだが、どうやら当人たちに迷いは何もないようだ。
「じゃぁ、時間がないわね! ユウト、急ぎましょ!」
「パズもこっち来ちゃってるし、急がなきゃだね!」
迷う素振りさえ見せずにオレを急かす二人の態度が、ちょっと嬉しかった。
「な、なによ? その見守ってるような暖かい目は……」
「ふふふ。ユウトさん、自分だって十分お人好しだからね~?」
二人は恥ずかしそうにそう言うが、こんな二人と仲間になって本当に良かったと心から思えた。
「ありがとうな。じゃぁ、急ごう!」
「ばぅ!!」
パズも何だか嬉しそうに、ついてこいと、先頭を切って走り出した。
「ん? ちょっと待てパズ!? そっちはボス部屋だぁ!!」
魔人とは本当にギリギリの戦いだった。
それに……ウォリアードッグたちは……。
「パズ……すまない。お前が護衛にとつけてくれたウォリアードッグたちを、死なせてしまった……」
こみ上げてくるものを堪え、オレは誠心誠意気持ちを込めて、パズに頭を下げた。
「ばう?」
「だからウォリアードッグたちを……」
「「「「がう?」」」」
「いや、だからウォリアードッグたちをだなぁって……がう?」
な、なんかウォリアードッグの声が聞こえた気がしたのだが……。
「ゆ、ユウト!」
「ユウトさん♪」
二人の指さす先を目で追うと、ちょうど大きな魔法陣が消えていくのが一瞬見えた。
そして、その中心には……。
「ウォリアードッグ……」
そこには筋肉マッチョな四匹のウォリアードッグたちが、元気に尻尾をぶんぶんとふり、こちらを見て嬉しそうにしている姿があった。
「いったいどういう事だ……」
「ばぅわぅ!」
え? 再召喚すれば元通り、だと……。
「お、オレのこのこみ上げてきた熱いものを返せ!」
でも……そんな些細な事より、再召喚で復活してくれたことの方が嬉しかった。
「お、お前たち!」
オレは何だか無性に嬉しくなって、ウォリアードッグたちの元に走り出した! のだが……。
「ばぅ」
辿り着く前に召喚を解かれて掻き消える筋肉たち。
「ぱ、パズ……いま、ちょっと感動の再会をだな……」
無常にも四匹の召喚を解かれ、またねぎらいの言葉をかけられる事もなく、消されてしまうウォリアードッグたち。
こ、今度こそ、落ち着いたら、パズに頼んで名前をつけてやるからな!
「ばぅ!」
しかし、パズが急いでいるのにはしっかりとした理由があった。
「え? 街がまだ危ないってどういうことだ!? リズは、街は無事だったんじゃないのか!?」
さっき聞いた時は、襲ってきた奴らは氷漬けにして返り討ちにしたと言っていたのだが、いったいどういう事だ!?
「ばぅわぅ!」
「え? 本隊が街に向かってるって……そこまで大規模な襲撃なのか……」
その後、パズに詳しく話を聞いてみたところ、オレが予想していたよりも遥かに恐ろしい計画だった。
ちなみに、パズがなぜそんな計画を知っているかと言うと、ギルド職員から聞き出したらしい。
あらかじめ何か情報を掴んだら、オレがいない時はパズは言葉がわかるからパズに伝えて欲しいと頼んでおいたからだ。ギルド職員は微妙な顔してたけど。
まぁ、普通に受付でギルド職員がパズに話しかけていたら、周りの人から白い目で見られることは間違いないだろうが、今回みたいな極秘の報告なら密室で行うから大丈夫だ。たぶん。
それはともかく、ギルド職員から伝えられた情報はこうだ。
まず暗殺者が主要な施設の上の者たちを襲い、街の機能を麻痺させる。
そして混乱している所へ、ゾルド教の戦士団が魔物を従え、魔人となって街を襲う計画だったようだ。
もちろん、その主要な施設の中には、魔王の残滓が漂う宿『赤い狐亭』も含まれていたわけだが、パズは呆気なくこれを撃退。
他の場所も高ランクの冒険者が守っていたらしいのだが、ゲンが使った杭と同じ物が使われ、魔人との戦闘になって苦戦を強いられていたらしい。
そこへパズが順に顔を出して次々と魔人を倒して回り、それが全てすんだのでご褒美に貰ったおやつを食べていたらしい。
すると、オレが戦闘に入ったのを感じ取ったらしく、慌てて駆け付けてくれたという事だった。
「なるほど……ショートケーキは旨かったか?」
「ばば、ばぅ?」
「うん。惚けなくてもいいぞ……口の周りに白いの付いてるから、何かと思っていたんだ」
パズは慌てて自分の口の周りに付いている生クリームを舐めて綺麗にすると、
「ばぅ……ばぅわぅ……」
アイテムボックスからショートケーキを取り出し、しぶしぶ、泣きそうになりながらも「た、食べて良いよ?」と差し出してきた。
「い、いや……それはパズが頑張ったお礼に貰ったわけだし、後で自分で食べれば良いよ。それから、ミヒメも欲しいならこの件が落ち着いたら買ってやるから、物欲しそうな顔をするな……」
パズが光の速さでまたアイテムボックスにショートケーキを戻すと、ミヒメが悲しそうな顔をしたので、一言付け加えておく。
「美姫~やったね~♪」
「な、べ、別に私は!?」
ミヒメが恥ずかしそうに顔を真っ赤にしていたが、まぁ二人ともレベル上げかなり頑張っていたし、落ち着いたら美味しいものを食べに連れて行ってあげよう。
でも今は、いい加減話を進めよう……。
「それより、そのゾルド教の戦士団と言うのはどれぐらいの規模だとか、いつ頃襲ってくるのかっていうのはわかっているのか?」
「ばぅ!」
「今晩か……今から急いで戻れば何とか間に合うが……」
オレはミヒメとヒナミの二人を連れて行くべきか一瞬迷ってしまったのだが、どうやら当人たちに迷いは何もないようだ。
「じゃぁ、時間がないわね! ユウト、急ぎましょ!」
「パズもこっち来ちゃってるし、急がなきゃだね!」
迷う素振りさえ見せずにオレを急かす二人の態度が、ちょっと嬉しかった。
「な、なによ? その見守ってるような暖かい目は……」
「ふふふ。ユウトさん、自分だって十分お人好しだからね~?」
二人は恥ずかしそうにそう言うが、こんな二人と仲間になって本当に良かったと心から思えた。
「ありがとうな。じゃぁ、急ごう!」
「ばぅ!!」
パズも何だか嬉しそうに、ついてこいと、先頭を切って走り出した。
「ん? ちょっと待てパズ!? そっちはボス部屋だぁ!!」
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